回答一覧 - 不育症・流産・子宮外妊娠・陽性判定後 No.2 -
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 はじめまして。昨年の2月と5月に、人工授精で妊娠したのですが、2度とも初期に流産してしまい、いずれも掻爬(そうは)手術を行いました。11月になって、3度目を試みようと受診したところ、「排卵日であることは間違いないが、子宮内膜が4.4mmしかないので、現状では着床はほとんど無理」と言われました。12月と1月に受診した際にも、やはり排卵日における内膜の厚さは5-6mm程度にしかなりませんでした。
2度の妊娠の時には、排卵日での内膜の厚さは10mm以上ありました。流産直後に基礎体温は完全な二相性に戻り、排卵周期も正常です。掻爬手術によって内膜が薄くなることはあるのでしょうか?あるとしたら、再び厚くするためにはどうすればいいのでしょうか?

 残念なことですが、掻爬手術後に子宮内膜が薄くなることはあります。厚くする方法としては、1.プロゲステロン投与、2.エストロゲン+プロゲステロン投与、3.HCG投与があります。
 1.の方法では、プロゲステロンの注射と内服がありますが、注射がより効果的です。
 2.の方法では、a.エストロゲン+プロゲステロンの合剤の服用、b.エストロゲンの貼付剤+プロゲステロンの内服、c.エストロゲンの貼付剤+プロゲステロン膣坐薬(あるいは坐薬)などがあります。3.の方法では、HCG2000〜5000単位を隔日ないし、2〜3日に1回、3回程度注射します。[2006年2月1日]
(産婦人科医:永吉基)
 先月、3度目の流産を経験しました。私には均衡型転座があるのですが、やはり染色体異常が原因なのでしょうか?着床前診断という方法を聞きましたが、日本ではできないと言われました。何か方法はないのでしょうか?

 着床前診断のひとつとして、染色体異常による習慣流産があります。2006年2月現在、着床前診断は、日本では、重篤な遺伝性疾患の方のみに限られておりますが、均衡型転座保因者による習慣流産の着床前診断は、近い将来認められる可能性があります。着床前診断では、約85〜90%で正常な染色体をもつ胚を選別可能となり、流産率が低下します。しかし、染色体異常がすべて習慣流産になるとは限りません。流産物の染色体を調べ、ご夫婦の染色体異常が原因であるという確認が必要です。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 これまでに3度の流産を経験しています。専門の先生に質問をしたところ、リンパ球移殖という方法があると教えて下さいました。これは、どういった方法なのでしょうか?やってみる価値はありますか?

 リンパ球移殖とは、夫のリンパ球を妻に投与する方法です。習慣流産の原因が不明な方に行われる治療法です。具体的には、夫のリンパ球を妻に投与することにより、遮断抗体を作成して、母体の胎児への免疫の拒絶をなくする方法です。しかしながら、日本産婦人科学会は、リンパ球移殖は臨床応用はしないようにと警告しております。それは副作用としてGVHDという死亡率の高いアレルギー反応が起こる可能性があるからです。但し、一般的にはこのGVHDは免疫能力の低下した末期の癌や重篤な患者さんに多く起こり、健康な方に起こったという報告はほとんどありません。担当の先生と十分な検討を行った上で、希望される方には有効な方法だと思います。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 今回、妊娠反応が陽性となり、主人と大喜びしたのですが、流産をしてしまいました。担当の先生に、HLAの検査をすすめられましたが、これはどういった検査なのでしょうか?

 HLAタイピングとは、組織適合性のことを言います。人間の体には、組織のタイプが色々あります。このタイプが夫婦の間で似ている場合には、流産が起こりやすいということが報告されております。原因がはっきりとしない流産の場合、ご夫婦のHLAタイプを調べることがあります。もし、このHLAタイプが似ている場合には、リンパ球移殖が効果があるといわれております。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 長い間、不妊治療を行い、昨年の春にようやく陽性反応が出ましたが、切迫流産してしまいました。とても落ち込んだのですが、主人の支えもあり、ようやく治療を再開しました。今年に入ってから、また妊娠できたのですが、2度目の流産となってしまいました。何度も流産するのは、なぜなのでしょうか?原因は何なのですか?

 流産を2〜3回繰り返すことを不育症といいます。不育症の原因としては、色々なものが考えられますが、代表的なものとしては、子宮の奇形または子宮筋腫、粘膜化筋腫があります。次に自己免疫疾患、自己抗体、抗リン質抗体、染色体異常、甲状腺機能異常、内分泌異常、糖尿病、プロラクチン異常などがありますが、最も頻度の高い場合は原因不明です。まずは専門医に詳しく調べていただいて下さい。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:0回 体外受精:0回
 セントマザーで不妊治療をしています。本日、流産後、初の生理が来ましたので検査へいきました。次はいつ来たらいいのかを尋ねたところ、2ヶ月後とのことでした。治療は2ヵ月後からになるが、自然に妊娠するのはかまわないと言われました。これは、今周期から、夫婦生活をもち、妊娠できたとしても問題はないと理解していいのでしょうか?もしも、そうだとすれば、2ヶ月間、治療ができない理由は何なのでしょうか?
 自然妊娠しても全く問題がないのであれば、駄目もとでチャレンジしてみようかと考えています。子宮内容物の検査結果に関しては、癌などはなく、流産の内容物だったとのことです。今回の流産はたまたま起こったものと考えてもよいのでしょうか?

 診察時での説明が不十分で申し訳ございません。流産内容物には、癌などの悪性化の所見はありません。この標本でみる限りは、はっきりした胎盤組織は認められませんでしたので、子宮外妊娠ということも考えなければなりません。しかし、これに関しては、超音波で胎嚢を確認しておりますので、まず心配はないと思います。標本は、全体の一部分しか検査できませんので、全体に反映しているとは限らないからです。
 さて、次の妊娠に関しては、2ヶ月は避妊して下さい。自然妊娠でも2ヶ月は子宮内膜の回復を待った方が良いと思いますので、避妊をされて下さい。次回の来院時に院長希望とおっしゃって下さい。私がご説明致します。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
年齢:31 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:4回
 前回の体外受精で双子を妊娠することができましたが、心拍確認後、2人とも流産してしまいました。その後、不正出血とも生理ともわからない出血が、2週間ごとにきたり、たまに1日で終わったりといった状態です。まだホルモンのバランスが崩れているのだと思います。次回は自然周期で戻す予定ですが、基礎体温が二相性になったら治療を再開してよろしいのでしょうか?それとも、まず診察をしていただいてからの方がよろしいのでしょうか?子宮の状態も受診すればわかるのでしょうか?今春には、またセントマザーで頑張りたいと思っています。

 大変残念な結果となり、心中御察し申し上げます。
 流産後は、排卵障害による月経不順が助長されることがありますので、もともと月経不順がある方は、カウフマン療法などで、人工的に消退出血を起こすのもよいと思います。流産の手術のあとは、次の月経が来るまで、不正出血が起こることがよくあります。下腹痛があったり、出血量が多めの場合には受診して下さい。
 心拍が確認できる週数で、しかも双胎だったのであれば、手術から3ヶ月程、期間をあけてから治療を再開しましょう。月経周期の3日目までに来院して下さい。月経不順(排卵障害)がある方の場合、セロフェン(クロミッド)周期での凍結保存胚移植という方法もあります。[2006年2月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:1回
 他院にて不妊治療をしております。今回、初めての体外受精(顕微授精)で妊娠することが出来ました。とはいえ、まだ妊娠初期ですし、高齢のこともあり流産がとても心配です。1年前にタイミング療法で妊娠したのですが、その時は流産しないようにHCGを打ったのですが、結局、切迫流産をしました。今の時期、何か気をつけることはありますか?それとも流産しないような薬などは処方されるのでしょうか?

 一般に流産で最も多い原因は、「胎児の側」の異常(染色体異常など)といわれており、特に治療方法はありませんし、それはたまたまの流産であり、次回元気な赤ちゃんを出産できる人もたくさんいらっしゃいます。高齢になると、体外受精で1回にできる卵子の数が減り、個々の卵子の質も低下していくことは避けられません。卵子の染色体の異常も増えます。
 過去の流産歴は1回だけですが、習慣流産(不育症)に関するスクリーニング検査を前もって行っておくのも宜しいかと思います。[2006年2月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:0回 体外受精:0回
 半年前に3回目の初期流産をし、掻爬(そうは)手術を受けました。
 術後3日目から出血がはじまり、その後10日間程(術後14日目くらいまで)1日1回強い痛みがありました。3週間たっても出血が治まらなかったので、病院に行ったところ、異常ではないが、ピルを10日飲んで人工的に月経を起こすことになりました。運動もしてよいとのことだったので、術後19日目にスキーに出かけたところ、多量の出血があり、それから2日間は何度も大きな血の塊が出てきました。今日で手術後29日目です。そろそろ月経の出血が起こる予定ですが、出血は術後3日目から1日も止まっていないので術後の出血なのか月経なのかわかりません。
 前2回の流産は今回とは別の病院でしたが、術後の痛みもそれほどなく、出血も7〜10日程で終わったので、今回は不安でたまりません。なぜ1ヶ月近くも出血が続いているのでしょうか?手術で子宮内に傷がついて出血が止まらないのでしょうか?もし傷が付いたなら、今後は妊娠できるのでしょうか?

 流産手術は、同じ患者さんでも、それぞれの手術でその経過が異なることがよくあります。流産の状態(稽留流産、不全流産、進行流産など)や週数によっても違います。
 あまり子宮の内壁を「掻爬」し過ぎると、傷がついて癒着の原因になることもありますので、手術後でも子宮内に多少の子宮内膜や胎盤などの遺残物は残っています。この遺残物は、子宮が収縮して、外へ押し出してくれます。そのために一時的に下腹痛や出血が起こったりします。心配であれば、受診して下さい。時には、再掻爬手術が必要なことがあります。[2006年2月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:25 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:0回 体外受精:0回
 初めまして。1年半前に不妊治療を始めてから、色々な検査をしてきました。旦那の精液検査では問題ありませんでした。私は薬を使ってですが排卵しています。高温期が短いので、今期からは黄体機能を補う薬も使い始めました。3日目から出血があり、妊娠検査薬で反応が出ましたが、その後、出血が増えて翌日再検査をすると反応が消えていました。今も出血が続いていますが、生理にしては少なく、不正出血にしては多い感じです。最初の妊娠反応は間違いだったのでしょうか?

 ごく初期の流産だったのかもしれません。妊娠まではしたのですから、次回からも頑張って下さい。ただし、時には市販の妊娠検査薬で、偽陽性の反応が出ることがあると聞きますし、御本人自身が誤って判定することもあり得ます。検査薬は、長時間放置しておくと、うっすらと陽性反応が出ることもありますので、決められた時間内で判定してください。[2006年2月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 第1子出産後、心拍確認後(8週)2回の流産をしました。病院で習慣性流産の検査をしましたが、結果に異常は見られませんでした。
 これまでは、クロミッドでしたが、HCGを打つ方が卵の質も子宮の状態も良くなり、流産の予防になるということで、生理開始7日目からHCGを打ってタイミングをとる事になっています。
 年齢のこともありますし、授かった命を亡くしてしまうことが2度も続き、とてもつらいのです。次に妊娠した時には万全の状態でいたいと思います。もし、他にも追加して行う検査があれば、再検査をお願いしたいのですが、追加項目はありませんでしょうか?また、流産をしないようにするにはどうすればよいでしょうか?
 以下は検査項目および結果です。
FSH 8.9,LH 4.9,TSH 3.93,T3 1.14,T4 8.2,ループス抗凝固因子(-)1.2,抗核抗体(-),抗DNA(R1)(-) 2未満,PRL(前) 5.7 (15分) 51.3 (30分) 43.7,プロゲステロン 19.5,血清E2 182,血糖97以上

【流産の原因について】
 習慣流産の原因は多く、また検査をしても原因が分からず、「原因不明」となる場合が多くあります。
 一般の方における最も多い原因としては、「胎児の染色体異常(両親の染色体は正常)」があります。これは、たまたま起こった流産で、特に治療の必要はなく、加齢により流産率が増加します。
 他の原因としては、「抗リン脂質抗体症候群や膠原病などの自己免疫異常」があげられます。絨毛(胎盤)から胎児へ行く微小血管の中で血液が固まって、つまってしまうために血液が途絶してしまうために流産が起こります。治療としては、血液の凝固を防ぐために、低用量アスピリン療法(小児用バッファリンなど)、ステロイド(プレドニゾロンなど)、漢方薬(柴苓湯)、ヘパリン注射療法(大量グロブリン療法)などが行われます。
 「同種免疫異常」も原因として挙げられます。夫婦の間でのタイプ(HLAなど)が似ていると、遮断抗体が産生されずに、拒絶反応が起こり、流産することがあります。治療としては、夫リンパ球移植を行っています。
 他には「夫婦いずれかの染色体異常に起因する胎児の染色体異常」です。体外受精胚の着床前診断は、現在(2006年2月)のところ、日本では認可されていません。精子と卵子の組み合わせによっては、正常の染色体の胚ができることもあり得ます。
 上記にいくつか原因を挙げましたが、他にも、「黄体機能不全」「クラミジア・トラコマティス、淋菌、その他の菌による子宮内感染症」「子宮頚管無力症」「子宮奇形」「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「糖尿病」「甲状腺機能障害(亢進症、低下症)」「遺伝子疾患による流産」などが挙げられます。
【流産の検査について】
 流産の原因として、「抗リン脂質抗体症候群」が疑われる場合に行われる検査の中で、健康保険が適用となるものでは、「第]U因子」や「抗CLβ2GPI抗体」、「抗カルジオリピン抗体IgG」などがあります。また自費にはなりますが、「抗フォスファチジルエタノールアミン抗体、抗フォスファチジルセリン抗体」などがあります。自費の検査の項目は多く、費用もかさみ、結果がでるまでに日数がかなりかかるものもあります。コストパーフォーマンスや、検査所用日数の点からみて、当院ではスクリーニング検査として、「抗フォスファチジルエタノールアミン抗体(IgG)」を行っています。
 御本人の場合、もし原因が判明しなかった場合、「少量アスピリン療法」を試してみるのも1つの方法です。費用も安く、母体や胎児への負担も少ないのではないでしょうか。[2006年2月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:1回 体外受精:20回
 体外受精で受精卵を複数戻して、子宮内外同時妊娠した場合の処置はどうなるのでしょうか?単胎の場合の処置は良く目にしますが、内外同時に妊娠した場合は、子宮内に着床した赤ちゃんも諦めないといけないのでしょうか?

 子宮内に着床した赤ちゃんは、順調に発育できるようにできる限りのことを行います。子宮外妊娠は確認されれば、開腹し、外妊部位を取り除く手術を行います。通常一側の卵管に妊娠する場合が多いので、片側の卵管切除術を行うことになります。この場合、子宮内に妊娠した赤ちゃんには影響は無いので、手術がすめば、子宮の安静をとって、子宮内の妊娠を継続してゆきます。従って、子宮内に着床した赤ちゃんを諦めるということはあり得ません。しかし、子宮外妊娠は、非常に稀なケースですが、頚管部妊娠や卵管角部妊娠という妊娠があります。この場合は難しい選択を迫られますので、赤ちゃんに影響を与えることもあります。[2006年2月1日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:25 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 私はこれまでに2回の流産(原因不明)と11ヶ月前の33週での死産(心室中核欠損:普通は無事に生まれてくる軽度のもの)を経験しています。夫婦のホルモン検査は異常なし、染色体検査は行っていません。
 死産後は1ヶ月半で生理が始まり、30日周期で安定し、基礎体温も二相性になりました。しかし、9月に仕事を始めてから(おそらくストレスで)排卵が止まってしまい、生理もこなくなってしまいました。
 10月は、薬で生理をおこしてもらい、生理5日目からクロミッド50mgを飲みましたが、排卵しませんでした。11月にも、薬で生理をおこしてもらい、クロミッド100mgを飲み、周期15日目に排卵しましたが、妊娠しませんでした。
 12月も、周期3日目からクロミッド100mgを飲んでいますが、主治医から、「以前は排卵があったし、まだ若いから、今回は薬を止めて排卵をするか様子をみたらどうだろうか。」と勧められました。でも、排卵が無くなったら・・・ととても不安になって、今回は薬を飲むことにしました。
 今後は、クロミッドを止めて、排卵が自然に来るかどうか様子を見た方が良いのでしょうか。以前、生理や排卵に問題がなかった場合は、薬を使わなくても元に戻るのでしょうか?どうすればよいのかわからなくて不安です。毎日が辛くて仕方ありません。アドバイスをください。

 もともと卵巣の機能は正常であると予測されますので、最近の無排卵は流産の影響かもしれません。クロミッドの服用をやめ、自然排卵に任せた方がいいかもしれません。染色体検査を含めた習慣流産の詳しい検査をされ、その結果をみて治療方針を立ててはいかがでしょうか。カウンセリングも効果があります。詳しくお話しすることで、意外と不安がなくなることもあります。[2006年2月1日]
(院長:田中温)
 妊娠検査でプラスがでて「おめでとう。妊娠してるよ。」と言われるのに、いつも赤ちゃんの袋が確認できないまま自然流産してしまいます。これは、受精はするけれども、受精卵が育たないということなのでしょうか?着床、妊娠にいたらない原因は何なのでしょうか?また、原因を調べるための検査方法や流産をしないための治療方法を教えてください。

 御本人の場合は、妊娠反応だけが陽性に出る、初期流産(化学的流産)を繰り返す「不育症」ということになります。一般に、流産の原因で最も多いのは「胎児の染色体異常」といわれています(両親の染色体は正常)。その場合は、次回、正常妊娠することは期待できますし、特に治療も必要ありません。ただし、自然妊娠の場合でも女性の年齢とともに染色体異常による流産の率は上昇していきます。
 他に特殊な原因があって、流産を繰り返す場合には、1.同種免疫的原因、2.抗リン脂質抗体症候群や膠原病などの自己免疫疾患、3.第VII因子欠乏症などによる凝固機能障害、4.両親のいずれかの染色体異常(相互転座)、などが挙げられます。
 これらの治療法ですが、1.では夫リンパ球移植、2.,3.では低用量アスピリン療法を中心に、漢方薬(柴苓湯)、ステロイド剤(プレドニゾロンなど)、ヘパリン注射などがあります。4.の場合、2006年1月現在、国内では「着床前診断」は認められておりません。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 不妊治療を続け、待望の赤ちゃんを授かり、帝王切開で出産しました。第2子を考えているのですが、第1子が帝王切開でしたので、次の妊娠で、もしも多胎妊娠になった場合、出産のリスクが心配です。

 第1子が帝王切開であれば、母子の安全のため、第2子出産も安全のため帝王切開された方が良いと考えます。
 もしも、次の妊娠で、多胎妊娠の場合、出産は帝王切開が選択されます。しかし、十分な管理と注意深い監視を怠らなければ心配はありません。また流産や早産の危険を考えて、妊娠中期にはシロッカー子宮頚管縫縮術を受けて下さい。また妊娠後期には、合併症の防止と早産予防の面から長期の管理入院が必要です。胎児心拍モニターや内診、エコー検査で、定期的な管理を受けながら、適切な時期に帝王切開することになります。この時、胎児に問題がありそうであればNICUのドクターにも立ち会って頂きます。こうすれば更に安心だと思います。細心の注意を払えば双胎でも安全に出産ができると思います。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 二卵性の双子を妊娠中です。現在、関東の大学病院を受診していますが、2歳になる長男がおりますので、できれば里帰り出産をしたいと思っています。
 以前かかっていた病院では双子出産後、赤ちゃんに何かあったら大きな病院に搬送しなくてはならないということで、現在の病院を紹介されたのですが、セントマザーではどのようなシステムになっているのでしょうか?
 もちろん、セントマザーの実績は知っておりますので、しっかりした体制はできておられることだと思いますが、双子出産のリスクが心配です。詳しく教えてください。

 当院では双胎妊娠の患者様には、以下の3つのことを行っていただいて管理しています。
1つめは妊娠16〜18週頃に子宮の入り口を結ぶ手術(シロッカー)を行い、子宮口が早期に開くことを防ぐことです。
2つめは、妊娠の30〜32週頃から、状態が安定していても、入院管理として妊娠経過をみていくことです。これは、合併症の発生を防ぎ、万が一、問題が起こった場合にも早期に対応できるようにするためです。
3つめは、分娩方法は基本的には帝王切開術とすることです。これは経膣分娩では深夜になることもあり、ベビーと母親の状態が急に悪くなった時に素早い対応ができないためです。帝王切開であれば、昼間でスタッフが充実しており、ベビーの運送、母体出血が多い時の輸血の準備に早急に対応できます。帝王切開は、約1時間で分娩が終了することから負担が少ないことも帝王切開を選択する理由です。
以上の3つのことによって流産・早産率の減少や母体とベビーの合併症を抑制することが可能となっています。
(産婦人科医:永吉基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:11回 体外受精:0回
 35歳を過ぎると高齢出産となり、障害をもった子供が産まれるリスクが高くなるので、羊水検査をするかどうかを尋ねられると聞きました。セントマザーでも35歳以上の場合は羊水検査のお話をされるのでしょうか?この検査で問題がなければ、障害をもった子供は産まれてこないと安心していいのでしょうか?
 セントマザーでは、羊水検査は、どれくらいの頻度で(10人に1人など)されていますか?また、検査した事によって流産した場合はありませんか?

 35歳を過ぎると染色体異常の児が産まれる率が、年齢を重ねるに従って増加してゆきます。染色体異常の種類によって、障害は軽度なものから致死的なものまで色々です。当院でも、高齢出産の方は、羊水検査も行うことができますとご説明しております。しかし、児の異常は染色体異常の他にも様々な原因があります。原因不明なものもあります。ですから、羊水検査のみで100%カバーできるものではありません。
 当院では、高齢出産の方の10人中1〜2人が検査をされていると思います。ただ児の染色体異常が、児の生誕を否定するものではありませんので、この検査をお受けるかどうかは、ご夫婦の子供を持つという真剣な話し合いのもとで決めていただきたいと考えます。
 検査が流産の引き金になることは否定できませんが、可能な限り安全に行っています。
 また血液からこれらを検査する「トリプルマーカークワトロテスト」もあります。これらは羊水検査に比べ、正確性に劣りますが、一応これらも検討してみられたら良いと思います。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 わたしは42歳女性です。これまでに自宅の近くの不妊専門医で3度の体外受精をして、2度流産しました。1度目の体外受精は桑実胚が着床せず、残りも胚盤胞まで到達しませんでした。2度目は桑実胚が受精したものの血中HCG値が低くて流産しました。その時に受精卵の残りが凍結できたので6ヶ月後に移植したものの10週(心音確認後)で流産しました。
 年齢的にも精神的にも厳しいのですが、最後だという覚悟を決め、その最後をセントマザーで治療したいと思いますが、他医院で何度もうまくいっていなくても希望はもてますか?

 習慣流産の可能性があります。習慣流産の検査や染色体検査はされたでしょうか。習慣流産であれば治療として、アスピリン療法などがあります。体外受精の前に検査をして、習慣流産の検査の結果によって、直ちに治療すべきことがありますので、まず検査を急いで下さい。
 女性の年齢が高くなるに従い、卵巣の機能は閉経へと向かいます。その結果、卵子の値は低下してきます。しかし、これは自然な現象ですのである程度さけられません。ですから、高齢の方には年齢に適した治療法を選択する必要があります。採取できる卵子の数は少なくなりますので、採取できる卵子を最も良好な状態で体内に戻す方法を選びます。わたしたちは卵管内移植をおすすめしております。
(産婦人科医:永吉基)
 心音確認の後、10週程で心臓が止まり流産手術をしました。これで、4月と11月と今年2度の流産です。次の治療をセントマザーでと考えているのですが、術後に生理が何回来たぐらいで来院したらよいのでしょうか?初診の検査に支障がない周期を教えてください。また、初診時にもっていった方がよい書類がありますか?

 流産手術後の子宮内膜や卵巣機能の回復を考えると、術後2回の月経が正常に確認されてから来院されるとよいと思います。月経の10日目位であれば検査にも影響ありません。できれば基礎体温を記載され、体温表を持参していただければ良いと思います。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 こんにちは。はじめて質問をします。毎年、インフルエンザ予防接種を受けているのですが、接種をした月に妊娠しても大丈夫でしょうか?また、予防接種後、何ヶ月間は妊娠しない方がよいということあるのでしょうか?教えてください。

 インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、国際的には妊娠に無害と考えられています。アメリカでは老人や子どもと同じように予防接種をすすめています。またこれまでにはワクチンによって胎児に影響があったという報告もありません。しかし、日本では妊娠初期のワクチンの安全性は確率されていないということから、妊娠中期以降であればワクチン接種も問題ないとされています。従って接種をした月に妊娠しても大丈夫と考えられます。予防接種後の避妊も必要ないと思われます。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
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