回答一覧 - 不育症・流産・子宮外妊娠・陽性判定後 No.10 --
年齢:32 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:回
 妊娠24週で子宮内胎児死亡と診断され、前回の検診時から赤ちゃんは成長していないとのことでした。体長も体重も標準の半分しかないので、胎児側が原因の死産ではないかとのことでしたが、私自身が原因で死産させてしまったのではないかと考えずにはいられません。主治医からは、赤ちゃんの解剖で原因が分かる場合もあると説明されましたが、可哀想で傷つけることができず断りました。退院後に色々と調べてみると、胎児の解剖以外でも、胎盤や両親の血液検査で原因がわかることもあると知りました。今からでもできる検査で、今回の死産原因が分かることはありますか?セントマザーで検査ができるのであれば、検査内容・検査期間・費用などを教えていただければと思います。また、気持ちが前向きになった時、次回の治療を始めるのは死産後どのくらい期間をあけて治療を再開するとよいでしょうか。

 人工授精法(AIH)による妊娠であれば、週数は正しいだろうと思います。胎動はいつ頃から感じ始め、いつ頃から感じなくなったのでしょうか。
 胎児の身長や体重が極めて小さかったとのことなので、ただ栄養が不充分でやせているとは考えにくく、胎児の染色体異常によるものや、胎児の先天異常による可能性は十分ありうると思います。すでに退院された後となっては、診断は困難です。
 今まで妊娠されたのは、この1回だけでしょうか。夫婦のいずれかに染色体異常(相互転座など)がある場合には流産を繰り返すことがあります。また、奥様に「抗リン脂質抗体症候群」という自己免疫異常があると、子宮内胎児発育不全や、子宮内胎児死亡が起こりやすくなります。この診断は奥様の血液検査を行うことで診断可能です。
 次回の不妊治療は3〜4ヶ月後からは可能と思われます。御自身の体調を見ながら判断して下さい。
 検査内容・検査機関・費用などについては、不育症のコーナーをご参照下さい。[2009年7月15日]
不育症のページ   http://www.stmother.com/art.html#5
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 胚盤胞移植で妊娠確認できましたが、5日後には何もみえなくなりました。その後、また14日目に11mmの胎嚢を確認できたのですが、主治医より小さいと言われました。この時期であれば胎芽も確認できるかと思っていたので、とてもショックです。「もしかしたら空っぽの卵だったのでは?成長できないのでは?」と不安でいっぱいです。妊娠判定後からずっとデュファストンを飲んでいるので、高温期は続いていますが、このまま流産してしまう可能性は高いのでしょうか?教えて下さい。

 今の段階では経過をみることしかないように思います。順調であれば1週間後には胎嚢は大きくなり、胎芽がみえてきますし、流産であれば胎嚢の大きさも変わらず胎芽は見えてこないと思います。
 初期には胎嚢位置によっては超音波で見えにくい場合やはっきりしないこともありますが、少なくとも1〜2週間経てば状態ははっきりしてきます。心配でしょうが、あせらずに1週間の状態を待ちましょう。早急な結論を出すには、まだまだ初期なので、ダメだと思わないでもう少し様子を見られてください。[2009年7月15日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:6回
 今までの経過ですが、不妊治療歴は5年になります。
 5回目の新鮮胚移植(胚盤胞 グレード4BC)で初めての陽性反応がでました。
 6週6日目で心拍は確認できたものの心拍数が遅く(90前後)、7週目3日目に心拍数が上がらず、その後、繋留流産と診断されて8週で手術しました。
 治療を再開して6回目の凍結胚移植(胚盤胞 グレード5BC)でも妊娠し、4週目ではHCG値が59、5週にはHCG値が130で経過観察中ですが、主治医は、おそらく流産になるといいます。
 1回目の流産時に、染色体検査をするかどうか聞かれましたが、その時はしませんでした。この染色体検査をすることで、今後の治療に役立つことはあるのでしょうか。染色体に異常があれば、子供はできないと言われてしまう場合もあるのですか。また、この検査は不育症と関係があるのでしょうか。何度か流産を繰り返して、無事に出産できた方は、どのような治療をされるのでしょうか・・・・・
 4週のHCG値は100以上が理想とされていますが、私は毎回低めです。この値と受精卵や着床とには、どのような関係がありますか?

 HCGは、胚の着床後、絨毛から分泌されるホルモンですので、絨毛の発育と相関します。絨毛の発育が遅いという事は、胎芽の発育が遅いという事になります。
 万が一、今回も同じ結果になってしまった場合は、流産が2回となりますので、不育症のスクリーニング検査をされてみて下さい。
 染色体検査は不育症のスクリーニング検査に含まれています。もし、染色体に異常が見つかりましたら、今後の治療法が変わってきますので、是非ご夫婦でお受けになられて下さい。[2009年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:2回 体外受精:回
 現在、6歳の子供が1人いて、主人は36歳です。
 結婚後すぐに1人目を妊娠し、3年後に第2子を妊娠しましたが、18週で前期破水にて流産しました。
 それから、約1年間妊娠に至らなかったため、不妊専門病院に通い、主人の精液検査にて精子の数が少ないことがわかりました。人工授精(AIH)を2回行いましたがうまくいかず、次周期に(ルトラールを服用しての)タイミング法にて妊娠することができましたが、11週にて心拍停止、流産してしまいました。
 産科では、前回は破水での流産で繋留流産とはタイプが異なることと、1人目の子供が元気であれば不育症の疑いはないといった説明を受けました。
 でも、もう2度と悲しい流産を繰り返したくないと思っています。次の妊娠にむけて、検査など行うべきことはやっておきたいと思っていますが、不育症検査は必要でしょうか。

 流産の原因は数多くあります。また不育症と言われている人も、毎回同じ原因で流産しているとは限りません。治療方法のない流産(胎児の先天異常によるものなど)もしばしばあります。
 例えば以前に正常児の出産歴があったとしても、続発性の不育症という事はありうることと思います。「二度と流産したくない」という気持ちであれば、念のため出来る範囲で、不育症のスクリーニング検査を受けてみては如何でしょうか。[2009年7月2日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:1回
 現在36歳、不妊治療歴2年で原因不明不妊です。(自然周期では排卵が8〜9日目で早いのが原因かもしれませんが、よくわかりません。)
 約1年前にタイミング指導で初妊娠をしましたが、心拍確認前に進行流産でそうは手術となりました。先月は初めての体外受精(IVF)で2日目の分割胚を移植し、妊娠したものの子宮外妊娠で手術しました。7週目の手前でしたが心拍は確認できませんでした。反復流産ではありませんが、不育症の検査はしたほうがよいでしょうか?
 現在、凍結胚が1つ残っています。着床した右卵管は切除したのですが、子宮外妊娠がとても不安です。2日目凍結胚を胚盤胞まで培養して移植すれば、再びの子宮外妊娠は避けられるものでしょうか?

 体外受精の治療は高額であり、1回の妊娠に要する精神的、肉体的、時間的負担もかなりのものです。
 1回の流産だとしても、前もって不育症のスクリーニング検査を受ける価値は充分あると思います。
 一般的に加齢によって卵巣の予備能力の低下、卵子の質の低下、染色体異常の頻度の上昇、妊娠率の低下、流産率の上昇が挙げられますが、それだからこそ、治療によって防げる流産は、可能な限り回避すべきだと思います。
 子宮外妊娠はクラミジア感染や子宮内膜症など、発症しやすい要因があります。そのような場合には反対側の卵管での再発率は多少上昇するでしょう。また、前回の手術が、卵管切除術なのか保存的手術(患部卵管を温存)なのかも知りたいですが、保存手術の場合は再発率が増えます。根治手術の場合でも、卵管と子宮の接合部分での切断が望ましいと思います。
 胚盤胞移植では子宮外妊娠の発生率が減少するかどうかについては判断が難しいのですが、少なくとも増加する事はないのではないかと思います。[2009年7月2日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:8回 体外受精:2回
 人工授精(AIH)で、7回目と8回目に陽性反応が出ましたが、HCG値が上がらずに流産となりました。その後、胚盤胞移植(3AA)を1個移植しましたが陰性でした。2回目の凍結胚盤胞移植に加え、抗癌剤治療に用いられるというグランという注射を移植の2日以降に5回(隔日)投与しました。抗癌剤治療に使用されているようですが、不妊症に効くという情報が見られません。グランの効果や情報、副作用、リスクなどを教えていただけませんでしょうか。

 グランは抗癌剤の副作用である顆粒球減少を防止する目的で使用される薬物です。流産予防の効果を期待して投与され ているかと推測されますが、一般的にその効果は認められていないと思います。
 主治医に詳しくお聞きになって下さい。[2009年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:2回
 体外受精(IVF)で妊娠しましたが、胎嚢が小さいため8週目で流産手術をしました。1週間後の検診で、内容物が増えており、胞状奇胎かもしれないということでしたが、病理検査の結果で異常なしとの事でした。
 早めに、子宮内の内容物をきれいにしたかったので、2回目の流産手術をしました。その1週間後の検診で、病理検査の結果も異常なしとの事で、2週間後には、生理準備が始まっていると説明を受けました。
 念のために、HCGの血液検査をお願いしたところ、数値は1.6で、1回生理がきたら不妊治療再開しても良いと言われました。
そこで質問です。
 1. 術後3週で、HCG=1.6でも大丈夫なのでしょうか。HCGが残っていると絨毛がん等につながるのでは..と心配です。
 2. 不妊治療は、HCG=1.6でも再開して良いのでしょうか。インターネット等で調べると、多くの方が0になってからと記載されているので心配です。
 3. 妊娠していない女性の正常HCG値は、どの位なのでしょうか。

 子宮内容除去術を2回行い、2回とも病理検査で異常なしということなので、胞状奇胎、絨毛癌の可能性は無いと思われます。HCGの値が低いのも通常の流産であった証拠です。HCGの正常値は0ですが、血中のHCGは半分に減るまで1日以上かかりますから、あなたの場合問題ありません。[2010年2月15日]
(産婦人科医:佐々木雅弘)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:0回 体外受精:0回
 抗精子抗体検査で陽性(数値=80)とでました。今は抗アレルギー剤のバファリンを飲んで治療しています。
 検査結果が出たときには抗精子抗体のことを何も知らずに、薬を飲めば自然妊娠が可能なのだと思っていました。ただ、色々と勉強をして、今の治療で良いのか不安になったので、主治医に確認をしたところ、「自然妊娠できる確率は100%ではありません。ただ飲まないより飲んだ方が可能性が上がる」と、説明されました。
 この抗アレルギー剤を飲むという治療だけで大丈夫なのでしょうか?

 バファリンは市販の薬ですか、それとも医師から処方された薬でしょうか。薬の内容が異なりますのでご確認下さい。
 どちらにしてもバファリンは、抗アレルギー剤ではなく、消炎解熱鎮痛剤です。
 抗精子抗体に対して、バファリンを処方するという治療はあまり聞きません。もちろん当院ではそのような指導はしておりません。妻の抗精子抗体陽性に対しては、人工授精(AIH)法や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)などを行っております。
 検査としては性交後試験(フーナーテスト)を行って子宮頸管内の精子運動性の良否を確認します。[2010年2月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 先日、他院で3回目の凍結胚盤胞移植をして化学流産しました。
 自然周期での移植でしたが、P4が低いため、移植2日前より判定日までプロゲ膣座薬(50mm)を夜1回使用しました。判定日にβ-hcgが15で、5日後に再判定することになりました。
 黄体ホルモンがあがりすぎているため、判定日から座薬は無しになりました。すると、翌日に生理痛と同じような腹痛がおこり、その翌日には茶色のおりもののような微量の出血がありました。
 その翌日には腹痛もおさまり出血もありませんでした。再判定の結果β-hcgは下がり、化学流産でした。
 判定日翌日の腹痛と出血は薬を急にやめたため起こったのたのではないかと思うのですが、担当医には違うと言われました。もともとβ-hcgが低かったので、化学流産とは関係ないとは思っていますが、今後の移植でもまた同じことが起こるのではないかと不安です。あの腹痛や出血は座薬を止めたせいではないのでしょうか。

 初めのP4と判定日のP4はいくらだったのですか。またプロゲ膣座薬以外のホルモン剤の投与はなかったのでしょうか。これまでに黄体期のP4がいつも低いのでしょうか。
 今回の妊娠ではHCGが低いことから、着床はしたが流産になったのだと思います。このような症例は自然淘汰であり、黄体ホルモンを補充しても継続が難しいというのが現状です。次回の妊娠は、卵胞ホルモンを補充してもらってはどうでしょうか。[2010年2月3日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 現在、妊娠4w1dです。2日前に血液検査を行って、HCGは269でした。
胚盤胞を2つ移植しましたが、移植6日後から出血が始まり、本日で5日目になります。量は少しづつ増えているようで、生理ほどありませんが、ナプキンはしていないとだめな量です。
 主治医は2つとも着床して、ひとつが流産してしまったのではないかといって、経過待ちといわれました。ただ出血が多い場合、もうひとつの着床している方も巻き添えになるかもしれないといわれました。まだまだお腹の中では確認できませんので不安ばかりが募ります。このまま妊娠継続できるのでしょうか?なにか方法はないのでしょうか。

 妊娠4週ですので着床はしていると思いますが、いくつ着床しているかについては現時点では経過をみていくしかありません。基本的には安静が一番大切なことと思います。
 今後出血量が増えるならば、担当医と相談して、入院管理するかどうか検討されて下さい。初期の出血は約10%の方が経験します。今回が初めての妊娠であれば、子宮収縮抑制剤や止血剤の点滴をした方がいい場合もありますし、2回以上の流産の既往があればアスピリン服用などをした方がいい時もあります。今は安静にし、経過を良く診てもらってください。[2010年1月20日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:34 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:2回
 先日、妻が10w2dで稽留流産しました。エコーで診たところ、元気に動いていた心拍がとまっているとのことでした。赤ちゃんの大きさから、2日前あたりに心拍がとまったのではとのことでした。
 検診の2日前に、飼っている犬(体重10キロ)が下腹部に思いっきり飛び乗り、しばらく痛がりました。しかし、出血もなかったので、大丈夫だと思っていました。しかし、心拍停止と犬が飛び乗ったタイミングが同じですし、あの痛がりようから、もしかしたら、それが原因ではと思っています。
 主治医からは、「エコーでは赤ちゃんがきれいな状態なので、それはない。胎児に問題があったのではないか。」と言っています。しかし、インターネットで検索すると、外的な衝撃も初期流産の原因になると書いています。外的衝撃してしては、具体的にどのようなことが流産の原因になりますか?

 私も産婦人科医になってかなり長い年数、診療を行ってまいりましたが、自己の経験の中では、その程度の外的衝撃で12週前の妊婦さんが流産になったケースは経験したことがありません。ただ、そのような原因で流産は起こり得ないというつもりは全くありません。
 流産の原因は数多くあり、その原因をはっきりと突き止めることができない場合の方が圧倒的に多いものです。(あくまで推測のレベルを超えない場合が多い)。
 流産物の絨毛染色体検査(保険は適用されず、自己負担で3〜4万円かかる)をすれば、染色体異常の有無は分かりますが、それも既に流産が進行していたり、細菌に汚染されていれば困難です。
 子宮はお腹の中で守られており、外的な振動や衝撃はかなりの程度和らげられているはずです。また子宮自体はまだそのサイズは小さく、殆んど骨盤の中に入っており、外からお腹を触れてもその存在を確認することは困難です。
 手術時のように開腹した状態や産婦人科での内診時に、腹壁と膣内から両手を用いて子宮を挟むようにした(双手診)場合や、開腹して子宮を直接触った状態で、子宮を暴力的に扱うような場合には、初期の流産もありうるかもしれませんが、お腹に愛犬が1回飛び乗った状態とは、かなり状況が異なると思います。
 個人的な見解としましては、今回に関しては他の何らかの原因による自然流産と、そのような事件がたまたま重なっただけではなかったのか、という気がします。
 流産物の絨毛染色体検査や抗リン脂質抗体症候群などの除外診断をすることも1つの対応策だったかもしれません。[2009年12月16日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:3回 体外受精:3回
 これまでに妊娠判定陽性がでたことはありません。体外受精(IVF)の結果も、HCG値=7といった微妙な数値です。担当医からは、着床はしたみたいですが・・・と言われました。受精もするし、HCGの数値もあるし、卵巣機能も悪くないのだから、体外受精をもう少し行えばらうまくいくのではないかとも言われました。
 着床はしたみたいだということですが、もしかしたら不育症なのではないかと思っていますが、どう思われますか?

 このような値では、日常生活の場合であれば、妊娠にまったく気付かないまま出血が起こりますから、本人は月経と判断するところです。
 日本産科婦人科学会では、体外受精(IVF)などによる臨床的妊娠は、子宮外妊娠以外では、「子宮内に胎嚢を認めること」としており、化学的流産は妊娠とは判定していません。
 化学的流産ばかりを2〜3回繰り返した場合を不育症とするかどうかは、医師の中でも意見が分かれるところですが、HCG=7iu/lは低すぎるので、今回に関しては臨床的に流産とはいえ ないのではないのでしょうか。卵子の質の問題や受精後の胚の発育異常はあったのかもしれません。もし不育症が心配であれば、念のためスクリーニング検査を受けてみてはいかがでしょうか。体外受精での流産を2回も3回も繰り返すのを待ってからでは負担が大きくなってしまいます。[2009年11月18日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:27 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:2回 人工授精:1回 体外受精:回
 初めての人工授精(AIH)で妊娠に至り、妊娠10週に入りました。
 しかし、診察で胎児に3.4mm程の頚部浮腫があるので、慎重に経過を見ましょうと言われました。頚部浮腫は染色体異常の可能性が高いということで、ショックを受けています。頚部浮腫はよく見られる症状ではないのでしょうか・・・。もしかして、人工授精が影響したのではとも考えてしまうのです。
 また、今後についてですが、頚部浮腫が消えれば問題はないものと思いますが、ずっと消えなかった場合は流産、あるいは染色体異常の確率が上がるのか教えて下さい。初めての妊娠なので不安です。お願いします。

 頚部浮腫が見られるとダウン症などの染色体異常が高いと言われています。
ただ、頚部浮腫は、正常でもみられるのも事実で、正常でも染色体異常でも妊娠が進むにつれて消えることが多いです。消えない場合は異常のことが多いです。
 頚部浮腫=染色体異常ではないので、胎児の頚部浮腫のサイズと成長状態を1〜2週間おきにチェックしていくことが大切です。染色体異常は羊水検査で調べることが可能ですから、どうしても心配なら受けてみられてはどうでしょうか。[2009年11月18日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 顕微授精(ICSI)を5回、胚移植7回(うち4回が胚盤胞移植)を行っていますが、着床するものの出血して流産となります。血液検査で、抗リン脂質抗体症候群と診断され、中間検査で陽性が出ると、カプロシン注射を自分で打っていました。移植後は、なるべく安静にしているのになぜ出血してしまうのでしょうか?主治医からは、これ以上調べようがないと言われてしまいました。来月の治療を最後にしょうと思っています。何かいい方法があれば教えていただけませんか?
 なお、移植後のお薬は、以下の通りです。
 デュファストン 1回2錠 1日3回 / プレマリン 1回2錠 1日2回
 プラノバール 1回1錠 1日1回 / (ステロイド剤) 1回1錠 1日1回
バイアスピリン 1日1回 / サイレイトウ 1日3回 / プロゲステロン膣座薬1日1回

 どの段階の流産なのでしょうか。流産は以下のような段階に分けられます。
 1.胎嚢が確認されない化学的流産(妊娠反応のみ)。
 2.胎嚢は出現しても胎児心拍が確認できない枯死卵。
 3.胎児心拍まで確認できた後。
 週数がかなり進んだ後に子宮胎児死亡を起こす場合もあります。
抗リン脂質抗体症候群と診断するに至った検査データが分からないので、今までの不育症の原因が本当に抗リン脂質抗体症候群なのかは判断できません。
 不育症の原因は多く、また原因不明となる場合も決して少なくありません。
夫婦の体質的な相性の問題による「同腫免疫異常」では夫リンパ球移植やピシバニール投与が行われていますが、その概念・診断方法や治療効果については賛否あり、まだ確立したものとはなっていません。
 夫婦のいずれかの染色体異常(相互転座など)が原因となっている場合もあります。この場合は着床前診断の対象となります。
 全く異常のない若い自然妊娠のご夫婦でも10回妊娠すれば1〜2回は胎児異常が原因で流産に至ることがあります。女性の年齢が高齢になると卵子の 染色体異常が起こりやすくなるために、不育症ではない方でも次第に妊娠率は低下し、流産率は上昇していきます。
 処方の薬の多さに驚いております。流産の原因は別として、もっと処方の内容を吟味して、減らしても良いのではないでしょうか。直感的に流産予防になりそうだと思われる薬を次から次に処方しているようにもみえるのですが。[2009年11月5日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:29 基礎体温: 生理周期:不規則 タイミング法:3回 人工授精:回 体外受精:回
 妊娠5週目で1つの胎嚢が確認できました。7週目でもう1つ胎嚢が見えたのですが、赤ちゃんの姿は見えず、バニシングツインの可能性があると言われました。しかし、9週目に2つとも心拍が確認されました。
 現在は12週目ですが、1人は4〜5日成長が遅いと言われて不安です。
 原因としては、「遅れて受精した」か「初めの時点で、胎嚢を見落としていたならば、成長の遅い子に障害があるのかもしれない(ただ、首などはしっかりしている)」と説明を受けています。ただ、医師からはどちらかわからないと言われて不安で仕方ありません。
 今さらですが、確認できる方法はあるのでしょうか。もう少し経過を見るべきでしょうか。教えてください。

 今回の妊娠は自然妊娠ですか、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)などの治療を経た上での妊娠ですか。原因としては、主治医から説明を受けた内容と同じです。12週で4〜5日のズレということですが、大きな差は無いように思われます。
 今後は、児心拍の状態と児の発育状態をみていき、大きさの差が週毎に1週、2週と大きくなっていくようであれば、羊水検査や感染症に関する検査を受ける、もしくはセカンドオピニオンとして大学病医や国立病院などの専門医を紹介してもらって診てもらってはどうでしょうか。[2009年11月5日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:11回 人工授精:3回 体外受精:2回
 凍結融解胚盤胞移植でグレード3ABの卵の移植をしました。移植から12日目に血液検査で妊娠判定をもらい、その1週間後に胎嚢の確認をしました。翌日、少量の出血をして病院に電話したところ、看護師の指示にて入院となり、診察もないまま「安静に」とのドクター指示で1日中横になっていました。
 ところが、入院3日目に生理かと思うくらいの出血があり、ようやく診察がありました。内診の結果「子宮内には出血はないが、少し成長が遅い。安静にしてください。」と言われました。出血も治まってきていたので、特に処方等ありませんでした。
 しかし、その2日後の早朝4時過ぎに、今度は座れないほどの大量出血で看護師に報告するも、出血が治まらなければ止血の点滴をするといわれて、3時間放置されました。7時過ぎに様子を見に来て、トイレに行って出血確認するようにと言われましたが、座れないほどの出血だった為、ナースコールして、初めて止血点滴開始となりました。結局、ドクターの診察は9時過ぎで、流産と言われました。私はどうして流産したのでしょうか?流産の入院管理とはこのようなものなのでしょうか?

 やっと妊娠されたのに流産なさってお辛かったことでしょう。「もしも適切に対応してくれていたら流産しなかったのではないか」というお気持ちになられるのも理解できます。ただ病院としてもしかるべき対応はされていると思いますから、流産を防ぐことができなかったことは、病院側の責任というわけではありません。
 ほとんどの場合は「やむをえなかった流産」と考えられています。染色体異常などの潜在的な問題があった可能性が高く、それは移植の段階で判断することは困難です(注※)が、妊娠できた胚なので、もちろん移植時には「良好胚」と判定される事が多いのですが、そのような胚でも、異常が内在していたり、着床後に異常が起こることがしばしばあります。全く健常な若い男女が自然に妊娠しても、10回のうち1〜2回は流産してしまうのです。異常の胚や胎芽が自然淘汰されているのです。また女性の加齢とともにその率は少しずつ上昇していきます。
 そのような場合でも次回は全く健康な赤ちゃんを出産できる可能性は充分あります。頑張りましょう。
 ただここで注意しておくべきこととしては、そのような中に流産を繰り返す特殊な原因を持ったカップルも存在している事です(不育症)。治療可能な場合もありますので、不育症のスクリーニング検査は受けられることをお勧めします。
※日本では胚移植前の「着床前診断」は特殊な症例に限定されており、その手続きも大変です。適応外の「着床前スクリーニング」は禁止されています。[2009年10月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:33 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:7回
 4年程前に「重度の子宮腺筋症、卵管両側完全に塞がっている」との診断を受け、体外受精(IVF)を7回行いました。しかし、妊娠せず、腹痛や出血量が悪化してしまったため、子宮腺筋症腹腔鏡下核出手術を受けました。
 手術中に卵管造影検査を行ったようなのですが、術後の説明で「卵管両側通っている」と言われました。
 手術4ヶ月後(不妊治療は再開していない状況で)排卵を確認し、高温期11日目に市販の妊娠検査薬を使用したところ薄っすらと陽性が出ました。しかし、高温期15日目には陰性となっていました。これは化学流産というものでしょうか?これが化学流産である場合、
 質問1:子作りを始めてから5年経ちますが、私は化学流産を繰り返しているという可能性がありますか?
 質問2:化学流産を繰り返しているとしたら私に原因があるのでしょうか?(現在通っている病院で「受精卵は良い状態」と言われています)そうだとしたら、治療法はあるのでしょうか?
 今後の治療の参考にしたいので、宜しくお願い致します。

 このようなケースを化学的流産と診断できるかは疑問です。市販の検査薬は偽陽性や誤判定もしばしばあります。決められた時間で判定すべきであり、しばらく放置しておいて、その後うっすらと反応が出現する場合には陽性とは判定できません。血中β-hCGや尿中HCGの判定量検査で陽性であることの確認が必要です。
 また、腹腔鏡手術で子宮筋腫の核出術を行い、卵管が通過したとのことですが、その後もう一度子宮卵管造影検査をして、確認しておくべきだと思います。一時的に通過してもその後再び閉塞することもしばしばあります。そうであればやはり、体外受精(IVF)の治療が必要でしょう。
 不育症の体質があることを心配されているのであれば、念のため「抗リン脂質抗体症候群」についてのスクリーニング検査は受けておいてもよいかもしれません。ただ、市販の妊娠検査薬で薄く陽性が出る程度の反応の化学的流産を繰り返す場合、不育症と診断できるかどうかは産婦人科の医師の中でも考えが異なります。[2009年9月17日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:15回 人工授精:6回 体外受精:1回 
 私はいつも排卵が早くて、8日目に排卵してしまいます。卵胞は20mmくらいに成長しています。月経周期は28〜32日で、高温期は14日以上続きます。
 昨年、8日目に病院にて排卵を確認後、自然妊娠したのですが、心拍確認できず進行流産となりました。
 排卵が早いと未熟卵の可能性や、卵子の質がよくないのでは・・・と心配になっています。
クロミッドを飲むと排卵抑制できますが、体質にあわず、副作用で内膜の状態も子宮頸管粘液も状態が悪くなってしまいます。排卵が早いことで妊娠しづらいようであれば、何かいい方法を教えてください。

 月経周期が28〜32日で8日目に排卵というのは少し計算が合わないようですね。実際には排卵はもう少し遅いのではないでしょうか。正確な排卵日を確認するにために、経膣超音波による卵巣内の卵胞の測定および、排卵近くになった時点からの尿中LHの測定を1日3回行えば、約95%の確率で排卵時間が2〜3時間の誤差で分かりますよ。ぜひ一度、排卵確認を正確に行われてみてください。
 卵胞が十分に発育しLHレベルが高くなるのであれば8日目でも構いませんが、卵胞の発育が未熟な結果、黄体の発育が不十分な場合には流産率が高くなるかもしれません。クロミッドなどを用いますと排卵までの期間が長くなりますので、試みる価値はありますが、体質にあわないとのことですので、セキソビットを試してみられてはいかがでしょうか。[2009年9月1日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温: 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:4回 体外受精:1回 
 半年前に体外受精(IVF)で妊娠しましたが、2ヶ月後に、完全流産してしまいました。手術なしで薬の処方だけでした。出血が長引いたので、近医の産婦人科で診てもらい、子宮を収縮する薬を処方していただきました。しばらくして出血も止まったのでそのままにしました。
 治療を再開して、先日の内診時、流産時の残骸が子宮内にあるかもしれないとカルテに記載されていましたが、主治医はそのことについて何も説明してくれませんでした。子宮に残骸がある場合、次の妊娠の妨げになるのではと心配していますが、大丈夫でしょうか。

 主治医の先生がその事について説明されなかったのは、不必要な心配を与えないようにとの配慮からかもしれません。流産の後や、流産手術・人工中絶の後に、子宮の中に流産による遺残物がまだ多少なりとも残ることは、しばしば起こりうる事と考えて下さい。いずれ子宮の収縮によって自然に排出されたり、次回の月経時に子宮内がきれいになります。
 手術の時にあまり念入りに掻爬しすぎると、子宮内壁を傷つける心配があります。時には流産や手術の後で、様々な要因が重なって、子宮内に炎症、感染が起こる事もありますが、通常はほとんど問題にはなりません。
 しばらく続いた出血も止まり、とりたてて自覚症状もないのであれば、ひとまずはそのまま様子をみても良いと思います。 ご心配であれば、今後、膣内細菌培養やクラミジア抗原検査、子宮卵管造影検査などを受けてみられてはいかがでしょうか。[2009年8月12日]
(産婦人科医:)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:10回 体外受精:10回
 人工授精(AIH)で3回、体外受精(IVF)で2回妊娠しておりますが、全て9週以内に初期流産となっております。
 3回目の流産の時から胎児染色体検査をしています。3回目は16トリソミー、4回目は22トリソミー、5回目は今結果待ちです。
 夫婦の染色体には異常はありませんでした。その他簡単な不育症の検査(子宮の形、凝固、甲状腺、自己抗体など)もしましたがこれといった異常はありませんでした。このような場合に治療法はあるのでしょうか?リンパ球移植などの治療も気になるのですが効果はないでしょうか?

 トリソミーの原因としては、卵子由来・精子由来がありますが、ほとんどが卵子由来と言われており、特に加齢による影響が考えられます。しかし、連続してトリソミーという事はあまり考えられません。実際に、着床・妊娠されているわけですから、正常児の出産ができると思いますよ。
 諸外国ではPGSと言って、移植前に胚の割球をとって、7〜9種類の染色体(トリソミーを起こしやすい染色体)を調べて、正常なものだけを胚移植するという方法があります。しかし、日本ではまだこの点について、学会は言及しておりません。卵がたくさん採れるのであれば、本来ならばPGSが有効だと考えられます。リンパ球移植は適応外だと思います。[2010年2月15日]
(院長:田中温)
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