回答一覧 - 不育症・流産・子宮外妊娠・陽性判定後 No.12
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:回 体外受精:0回
 私は過去に6回妊娠し、無事出産できたのは1回だけでした。あとの5回の妊娠は、稽留流産4回(5週1回、8週1回、9週2回)、化学流産1回で、流産物の染色体検査をしましたが、異常はなく不育症と診断されました。
 去年8月、うっすらと陽性反応がでていた時期に血液検査をしたところ、黄体ホルモン値が2でした。その後化学流産となり、原因は黄体機能不全とのことでした。基礎体温は二相性で、高温期も11日以上は常にあったのでこういうケースもあるんだな・・・と、思っていました。
 その後、医師の指示で妊娠率をあげるために、セロフェンを内服したり、HCGを打って排卵させタイミングをとったりしてきました。しかし、D10には卵胞が30mmを超え卵巣もすぐに腫れてしまい、経管粘液・経血量も極端に減ってしまったため、3周期程試した後、セロフェンの内服は中止となりました。フェマーラなら体に合うはずだということで、フェマーラに変更となりました。しかし、D12には卵胞が30mmを超えたためHCGを打ち、排卵はしましたがセロフェンの時と変わらず卵巣がすぐに腫れてしまいました。
 今周期は前周期の卵胞が残っていた事と卵巣の腫れが生理を経ても引かなかった事から、デュファストンとエストラーナを使ってリセットしました。今のところその前周期の卵胞が消えたかどうかは未確認です。どうやら多嚢胞気味で卵巣内に幾つか卵胞も見える状態のようで、治療の効果が出ているのか・・・合う薬がないのか・・・と、不安です。セロフェンでもフェマーラでも卵巣がすぐ腫れますし、卵胞は早い段階で巨大になります。多嚢胞気味であることが治療の妨げになっているのでしょうか。
 医師からは「薬がどうも効きすぎる、受容体の感度が良すぎる」と言われましたがどういう意味でしょうか。私にはどのような治療があっているのでしょうか。

 月経周期が不規則ということ、6回妊娠して5回流産しているということを考えますと、まずは不育症の検査をされてみてはどうでしょうか。受容体の感度が良すぎるというのは、卵巣が排卵誘発法に対して反応しやすいということです。すなわち、排卵誘発剤を注射すると、通常の2倍3倍の卵子ができてしまうということです。数が15個より多くできた場合には、卵子の質がかなり低下しますのでたくさんできることは避け、10〜15個になるようにコントロールすることが重要です。[2012年6月16日]
(院長: 田中 温)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:2回 体外受精:0回
 以前、不妊治療専門の病院で血液検査を受けたところ、プロラクチンの数値がやや高い(約20ng/ml)とのことで、カバサールを週に1錠服用し、妊娠判明後もしばらく飲み続けるように指示があり、服用しました。しかし、先日妊娠8週目で稽留流産となり、内容物除去手術を受けました。流産手術は都合上不妊治療していた病院とは別の病院で受けることになり、術後1週間検診の時に先生に尋ねたところ、治療を再開するまではカバサールは飲まなくてよいと言われました。
 カバサールを飲むと便秘になるというストレスからは解放されています。また、カバサールを再開すれば直ちにプロラクチンの値は下がりますか?服用しないことで以前よりも数値が上がるのではないか心配です。年齢的なこともあり、次の妊娠への焦りも強い中、数カ月も飲まなくて大丈夫なのかと不安です。

 カバサールは継続的に内服することでプロラクチンの分泌を抑えることができるので、中断期間があると血中のプロラクチンが上昇する可能性があります。その場合、カバサールを再開してもすぐに下降するわけではありません。カバサール内服を再開する前に、一度血中プロラクチンを測定し必要かどうか確認されるとよいと思います。[2012年5月2日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:数回 人工授精:数回 体外受精:0回 
 5年前に人工授精で長女を出産しましたが、その後1年半前と半年前に6週近くで初期流産をしました。1回目は何の兆候もないまま胎嚢が成長せず、2回目は胎嚢の成長が遅く高温期35日目から出血し、進行性流産と言われました。
 その後人工授精で妊娠し、今6週目に入ったところです。今回は妊娠反応が陽性となった高温期14日目からバファリンを処方されて毎朝飲んでおり、先日高温期28日目の受診で3ミリの胎芽と心拍が確認できました。今のところ便秘には悩まされていますが出血もなく、特に問題なく過ごせています。今後は胎児の成長が順調であれば問題はないのでしょうが、長女は順調に出産出来たのに、その後続けて流産したため、今回は大丈夫なのかどうか不安でたまりません。
 不育症の検査を受けていないので前回の流産の原因はわかりませんが、私のような場合、バファリンにはどのような効果があるのでしょうか。

 不育症の原因として抗リン脂質抗体症候群を代表する自己免疫疾患が考えられています。自己抗体は妊娠時に免疫反応を起し、血管に微小な血栓を形成し、絨毛周辺の毛細血管への血流を低下させると考えられています。
 アスピリンやバファリンには血栓形成を抑制する作用があり、不育症の妊婦さんの初期流産予防として有用と考えています。
 また、抗リン脂質抗体症候群の診断となった方の初期流産予防にはアスピリンとヘパリンの併用療法が効果的だと考えられています。[2012年2月15日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:1回 体外受精:回
 今年5月に化学流産をしました。その後不妊治療の病院を受診し、ヒューナーテストをした結果は、良くも悪くもなく、他の検査も問題はありませんでしたが、高齢なのでと人工授精(AIH)を勧められ、AIHを行いました。結果は、1回目で妊娠することができましたが、6週3日で心拍確認できず、その後6週5日で何とか心拍は確認できたのですが胎芽心拍120で、胎芽も小さめとのことでした。7週目に入り、胎芽は大きくなってきていたのですが、8週で心拍が確認できず、稽留流産となりました。
 流産が2回続いたため、次回の妊娠について不安を持っております。年齢も年齢なので、染色体異常の卵子が排卵される確率が高くなり、次回妊娠しても、また流産になる確率が高くなるのでしょうか?それとも、不育症の検査をした方がよいのでしょうか?また、もし卵子の質が悪いとしたら、排卵誘発剤等の薬を使用したほうが良いのでしょうか?

 2回の流産を繰り返しておりますので、不育症のスクリーニング検査を受けられることをお勧めいたします。  その結果を見て、抗核抗体や抗リン脂質抗体があればアスピリン・ヘパリン療法、染色体異常があれば着床前診断、異常がない場合にはリンパ球移植などの方法があります。[2012年2月1日]
(院長: 田中 温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:2回 体外受精:1回
 妊娠が判明し、4週目からプロゲストンデポーの注射を処方されています。
 『受胎8週時点またはそれ以後に母親がプロゲストンデポー剤を使用した場合、女性胎児の男性化を引き起こすおそれがある。』と書いてある本を見ました。処方されたプロゲストンデポーの服用をこのまま続けると胎児に影響が出るのではと心配です。問題ないのでしょうか?

 プロゲストンデポーは黄体ホルモンの製剤であり、黄体ホルモンの低い妊婦の方が流産予防として使用することがあり、妊娠8週経てばほぼ安定しますので、8週まで使用するようにしています。
 黄体ホルモン長期投与では、女児の場合だと胎児の黄体ホルモンの産出能力が抑制されるため、男性化を引き起こす可能性が理論上考えられますので、当院では8週以上の長期使用は行なっておりません。[2011年12月17日]
(産婦人科医: 山本 正孝)
年齢:39 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:10回 体外受精:10回
 今までに4回妊娠しましたが、1度は化学流産し3度は繋留流産となりました。前回は、ヘパリン注射をする前に流産してしまいました。
 私自身、薬の成分によってはめまい、蕁麻疹が出るアレルギー体質です。胚移植後はバファリンを飲んでおり、以前、市販のバファリンで蕁麻疹がでたことがありますが、不妊治療での服用は量が少ないためか大丈夫でした。
 ヘパリン注射の事を調べると副作用も結構あるようなのですが、私のような体質でもヘパリン注射を打つことは可能なのでしょうか?もし打ってはいけない場合、せっかく新しい命が授かってもヘパリン注射ができない事によって、また流産してしまうのでは・・と心配です。私のようにアレルギー体質の場合、妊娠を継続させるための方法はないのでしょうか?

 4回初期流産されていますが、不育症のスクリーニング検査はお済みでしょうか?スクリーニングにより抗リン脂質抗体症候群の診断となる場合は、初期流産の予防として低容量アスピリン(バファリン)とヘパリン注射の併用が効果的との報告があり、当院でもお勧めしています。ヘパリン注射は抗血栓作用があるため、鼻出血、歯肉からの出血、あざが出来やすいなどの副作用が出る場合がありますので、使用する際は、定期的に凝固系の異常がないか、血液検査で確認を行ないます。
 アレルギー体質の方でも使用可能な薬剤ですが、体質に合わない場合はありますので、主治医の先生とご相談された上でご使用ください。[2011年12月17日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:35 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回 
 1人目の妊娠は初めての体外受精(IVF)で2回目の胚移植(自然周期)でした。それから5年後の今、2人目を希望し再度体外受精にチャレンジをしています。既に胚盤胞移植を3回しましたが、全て心拍確認後の進行流産から完全流産への移行で、流産しています。
 もともと多嚢胞性卵胞で排卵日の特定が難しいという理由で、3回とも移植前からエストラーナテープで内膜を作り、その後ルテウム注射での黄体ホルモンの補充を行う、ホルモン補充周期で移植しました。
 1回目の流産は6週目で心拍確認でき、注射をやめた1週間後から出血が始まりました。2回目もやはり心拍確認後注射をやめ、デュファストン錠でホルモン補充を続けましたが、やはり注射中止から1週間で出血、3回目も同様でした。いずれの場合も、出血の始まりと同時に子宮の収縮があり腹痛もあります。
 3回とも検査を行いましたが、染色体異常などはなく、医師からは「理由は分からない」との回答であり、「既に経産婦のため不育症も考えられない」と言われました。
 担当の医師は「心拍確認後に黄体ホルモン補充の意味はない」というのですが、どう思われますか?私としては、いつも注射をやめた1週間後の流産ということで黄体ホルモンの減少が原因ではないのかなと思っています。最後にあと1回分の受精卵があるのですが、同じ方法で移植し、また流産するのではないかととても心配です。

 心拍確認後の黄体ホルモン補充は、胎児の外性器異常の原因になるという報告があるため、妊娠7〜8週で終了しますが、そのことが原因で流産しやすい子宮内環境となる可能性は低いと考えられます。一人目は一度でご出産されていますが、今回は3回流産されているため、習慣流産(不育症)の診断となります。不育症のスクリーニング検査がお済みでない場合は、受けていただくことをお勧めいたします。[2011年12月1日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回 
 妊娠初期の11週で超音波検査を受け、Nuchal Translucency(NT)が3.3mm見つかり、ダウン症の可能性がありますと言われました。いろいろ考えた結果、羊水検査を受けることにしましたが、その際の麻酔は全身麻酔のようです。妊娠中の全身麻酔は問題ないのでしょうか?赤ちゃんに影響しないですか?

 羊水検査とは、超音波ガイド下に腹壁から羊水膣を穿刺し羊水を採取する、いわばお腹に細い針を刺す検査ですので、一度の穿刺で済みます。当院では、羊水検査には麻酔を使用しませんし、必要なら局所麻酔で十分です。もし、全身麻酔が必要だとしても、赤ちゃんに問題ない麻酔法を選びますので、ご心配ありません。[2011年12月1日]
(産婦人科医: 山本 正孝)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:5回 
 昨年6月の38歳の時にアンタゴニストで5日目胚盤胞が6個出来ました。グレード1が1個、グレード2が4個、グレード3が1個です。
 1回目はグレード1を移植し、陽性判定が出ましたが5週で流産しました。
 2回目はグレード2を1つ移植し、9週で流産しました。その後、不育症であることが判明しました。
 3、4回目はグレード2を1つずつ移植しましたが、陰性でした。
 5回目はグレード2を1つ、グレード3を1つ、合わせて2個移植しましたが陰性に終わり、余剰胚は尽きました。
 流産手術を繰り返したため、内膜の厚さは毎回8ミリ以下の薄い状態のままで移植を繰り返して来ました。
 あと3ヵ月で40歳になります。また一から採卵して移植を繰り返すか、胚盤胞移植を5回もやって子供が授かれなかったのだから、もう無理だと受け止めるべきなのか悩んでいます。また、移植は回数を重ねるごとに妊娠率が下がっていく事を昨日知りました。そろそろ諦める時期なのでしょうか?

 2回流産されていますので、まずは不育症のスクリーニング検査を受けてみてください。胚盤胞まで発育するのであれば、十分チャンスはあると思いますよ。[2011年11月22日]
(院長: 田中 温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:回 体外受精:回 
 これまでに自己タイミングで6回チャレンジし、2回の化学的流産でした。
 医師から「卵子の低下のせいだろうと」言われ卵巣年齢検査と卵管造影検査を行なった結果、卵巣年齢は40代前半で、片方の卵管が詰まっていると言われました。しかし、基礎体温をみると、詰まっているといわれている方で排卵がおきているときに、化学的流産しています。
 2度の流産がありますので妊娠率は高いほうだと思っているのですが、本当に片方の卵管がつまっているのでしょうか?医師からは「子宮鏡で入口をふさいでいるものがないか確認して、選択的造影検査をしましょう」と言われているのですが、本当に片方の卵管が詰まっていると分かるためには、他にも検査したほうがいいのでしょうか?

 一般的に詰まっている卵管のなかへ卵子が入ることは非常に稀ですが、0ではないと思います。しかし、あなたのように2度も同じようなことが起きることはまずないと思います。もう一度、子宮卵管造影検査をされてみてはいかがでしょうか。[2011年11月22日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:1回
 体外受精(IVF)により妊娠陽性判定が出て、現在4W5Dで妊娠継続中です。妊娠1ヵ月以上前から葉酸サプリを400μg/日摂取していました。
 アスピリンを1日80mg×2回摂取すると血液がサラサラになり、流産防止につながると知人から聞き、3W3Dから毎日葉酸と一緒に摂取していました。しかし、その後アスピリンは葉酸の働きを阻害するとの注意書きを発見し、細胞分裂が盛んな最も大切な時期に葉酸を不足させてしまったのではないかととても不安です。食事にも注意して食品から葉酸を摂取する様に心がけていましたが、アスピリンによる阻害を考慮すると摂取量は400μgに達していないと思います。葉酸の摂取不足により、胎児に影響が出る可能性は高いのでしょうか。

 葉酸の摂取は器官形成期の神経管閉鎖障害による二分脊椎や脊髄髄膜瘤の予防に効果的とされ、妊娠初期に1日400μg摂取することが厚生省より推奨されています。アスピリンは葉酸の吸収を抑制するとされていますが、これが神経管閉鎖障害の原因となる可能性は極めて低いので、今まで通りでよろしいかと思います。[2011年11月2日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:5回 体外受精:2回 
 体外受精(IVF)をしてから3日後に移植し、妊娠判定に陽性が出ました。その後、エストラーナと膣座薬を処方されましたが、妊娠4週2日くらいに宿泊を伴う出張があり、その際に膣座薬を家に忘れたため、勝手な判断でエストラーナだけを貼り続けていました。2日おきに1枚を6日間貼っていました。
 座薬は黄体ホルモンを補充するために処方されたと思うのですが、妊娠初期にエストラーナだけ貼っていた場合はホルモンなどに影響があるのでしょうか?流産の原因になってしまうのではないかと心配でたまりません。

 妊娠反応陽性、おめでとうございます。エストラーナはエストロゲン、ウトロゲスタン(膣座薬)はプロゲステロンが主成分であり、併用することによって子宮内膜を厚い状態に保ち、受精卵の着床を助けます。
 受精卵が着床することにより、卵巣からも同様のホルモンが分泌されるため、どちらかが欠けてしまったからといって、流産してしまうわけではありません。気が付いた時点で再開して頂いて問題ありません。[2011年10月15日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:36 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 最初の妊娠は31歳の時で、8週まで順調で心拍も確認できましたが、10週の検診の時に心臓が止まっていると言われ、繋留流産で手術しました。2度目は32歳の時で、5週で出血したため妊娠が継続できるようにホルモン剤を処方されました。それが良かったのかわかりませんが、無事に3485gの男児を自然分娩しました。その際、妊娠後期に「血小板減少で要注意」と言われましたが、出産後の検診で8万だったのが24万まで戻っているので心配ないとの事でした。
 その後、育児も落ち着いてきたのでそろそろ二人目がほしいと思い36歳で3度目の妊娠をしましたが、8週になっても5週の大きさにしかならず、また繋留流産で手術しました。その半年後にまた妊娠したのですが、今度は胎嚢も確認できないまま5週はじめに出血し始め、陣痛のような痛みとともに完全流産しました。
 このように流産が続くと、年齢の事もあり「もう自分には子どもを持てないのでは・・・」と思ってしまい不安です。先生からは「生理が2回きたら簡単な不育症の検査をしましょう」と言われているのですが、簡単な検査ではなく、不育専門の病院で詳しい検査をしてもらった方が良いのでしょうか。

 不育症の原因は、抗リン脂質抗体症候群に代表される免疫学的異常、高プロラクチン血症などの内分泌異常、子宮内腔の形態異常、染色体異常、感染症など多様ですが、原因不明のものもあります。不育症の検査は項目によりますが、自費検査であり、患者さんの費用負担が大きくなる場合があります。主治医と相談して決めて頂く事をお勧めします。[2011年10月15日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:6回
 4年前にタイミングで妊娠しましたが6週で進行流産。3年前に子宮外妊娠、そして今年6月に顕微授精(ICSI)で妊娠しましたが10週で繋留流産となってしまいました。
 3年前の子宮外妊娠後に夫婦染色体検査も含め不育症の検査を一通り受け、すべて問題はない数値でした。
 3年前と現在では不育症の検査結果が変わることは考えられるのでしょうか?
 高齢であり、次の妊娠ができるかどうかわりませんが、次こそは無事に出産までたどり着きたいので、もしも不育症の可能性が考えられるのであれば、お金はかかりますが再検査を考えています。

 3年前と現在で検査結果が変わるようなことは、まず考えられないと思います。
 不育症検査で異常がない場合は、当院ではリンパ球移植による免疫治療を行なっております。ただし、日本産科婦人科学会はリンパ球移植を勧めておりません。リンパ球を移植する副作用を懸念しているためだと思いますが、実際にリンパ球移植で副作用が起きたり、後遺症が残ったりするような事例を私は経験したことがありませんので、当院の患者様には十分にご理解いただいてから治療を勧めております。[2011年10月4日]
(院長:田中 温)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:0回 体外受精:2回
 卵管閉塞のため、体外受精(IVF)に挑戦しています。一度目の採卵はロング法で10個採卵し、胚盤胞を新鮮胚移植して妊娠しましたが、心拍確認できず8週で流産手術を受けました。その時に凍結胚は2つあったのですが、融解のダメージで移植キャンセルになってしまいました。二度目はショート法で7個採卵して、再び胚盤胞を新鮮胚移植して妊娠しました。心拍も確認できましたが9週で止まってしまい、また流産手術を受けました。二度とも胎のうや胎芽の成長が遅めだったのも気になります。
 不育症の血液検査をしたところ、負荷後のプロラクチン値が少し高めということで、その他は「特に問題無いでしょう」ということでしたので、テルロン半錠を飲み始めました。なお、夫婦の染色体検査はしていません。
 ネットでいろいろ見調べてみたところ、高プロラクチンは不育症の原因になるという見解と、不妊には影響するが不育には関係無いという見解があるようですが、実際はどうなのでしょうか?
 また、今度ホルモン補充周期で凍結胚を移植する予定ですが、もし妊娠できたら「とりあえず」という形でアスピリンを服用するかで悩んでいます。検査上は問題無さそうですが、薬を飲んでおけば後悔しないのかもという思いがあります。服用する必要はないかもしれませんが、念のためという考えでアスピリンを服用する場合、デメリットはどの程度あるのでしょうか?

 高プロラクチン血症の主な症状は乳汁漏出、月経異常、不妊などがあります。不育症の原因としても挙げられますので、診断がついた場合はテルロン、カバサール等の内服をお勧めします。
 他の不育症の原因は受精卵の染色体異常、抗リン脂質抗体症候群などの免疫学的異常、子宮内膣形態異常があります。
 当院では、不育症の患者様には低用量アスピリンの内服を行なっております。合併症としては、アスピリンが誘因する喘息発作や鼻出血、あざができやすいなどの出血傾向があります。定期的に血液検査で凝固機能をチェックしていればほとんど問題ありません。[2011年10月4日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:8回 体外受精:回 
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されて、クロミッドと注射で卵を育てています。1度目は人工授精(AIH)4回目で妊娠し、8週で心拍が止まり流産しました。2度目も人工授精4回目で妊娠しましたが、胎嚢と卵黄嚢だけで胎芽が見えず8週目で流産と診断されました。
 2回妊娠して2回とも流産してしまいつらい日々です。不育症の検査等はやったことがないのですが、受けるべきでしょうか。また、妊娠初期のウォーキング等は避けるべきだったのでしょうか?自分の年齢が原因なのか、仕事で忙しくしていたからか、妊娠前から習慣にしていたウォーキングを続けていたからかと自分を責めています。自分の行動で流産が防げたのではないかと思えてなりません。

 2回連続で流産されていますので、最低限の不育症の血液検査を受けた方が良いと思います。凝固系、膠原病、抗リン脂質抗体、糖尿病の検査、甲状腺ホルモンの検査、ご夫婦の染色体の検査などが当てはまります。子宮筋腫や、高血圧、肥満などが無いかどうかを調べる事も大切です。
 妊娠中の適度な運動は、むしろ元気な赤ちゃんを産むためには大切です。ウォーキングについては流産とはあまり関係がないと思いますのでご安心ください。
 また今度妊娠したら、低容量のアスピリン療法やヘパリン療法などの治療方法もあります。どうぞ主治医の先生にご相談ください。[2011年9月16日]
(産婦人科医: 岡田 潤幸)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:回 体外受精:回 
 子宮卵管造影検査で、甲状腺に異常があることが判明しました。子宮卵管造影検査直後の甲状腺ホルモン(TSH)は12でした。造影検査をした次の周期で,排卵誘発剤を使って妊娠しました。現在4週と3日ですがTSHは8と高値のままです。排卵誘発剤や、TSHの高値が胎児に影響を及ぼさないか心配です。大丈夫でしょうか。

 TSH高値の場合は橋本病などの甲状腺機能低下を起こす甲状腺の病気が考えられます。妊娠中は切迫流早産や低出生体重児、胎盤早期剥離などのリスクが増加すると言われています。また新生児期に一過性の甲状腺機能低下を来す事があり注意が必要です。
 内分泌内科受診の上、原因の追及と必要に応じてチラージン内服などの治療について相談された方が良いかもしれません。[2011年7月15日]
(産婦人科医:岡田 潤幸)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:3回 体外受精:3回
 以前相談させていただきましたが、23週1日の早産で出産し、その後息子を亡くした者です。産後、半年以上空けてから凍結胚移植にて妊娠しました。現在5週5日目で、胎嚢・卵黄嚢は確認済みで、心拍はまだ時期が早いので確認できていません。
 本日の内診では、絨毛膜下血腫ができていると診断されました。エコーでも胎嚢の横に少し大きめの血の塊のような映像が確認できましたが、それ以外に出血の自覚症状はなく出血もないようです。ただ、5週目からオリモノの量が少し多いと感じており、検査をしたところ先生からもそう言われました。検査結果は来週に出るので、それまではクロマイ膣錠を処方して安静にするようになりました。また円錐切除をしているので、結果が出た後は10〜14週頃にシロッカーをする予定です。
 以前の早産では絨毛膜下血腫と絨毛膜羊膜炎が併発したため、出血が続いていました。今回も早くに絨毛膜下血腫ができ、また絨毛膜羊膜炎にならないか不安でたまりません。
1. 絨毛膜下血腫については、このまま出血しなければ問題ないのでしょうか?通常、胎盤が吸収していくと聞いたのですが、吸収されないこともあるのですか?
2. 絨毛膜下血腫は流産の引き金になりますか?
3. 絨毛膜下血腫があってもシロッカーはできますか?
4. 検査結果が出るまで安静にすること以外できることはないのですか?もし結果に異常があった場合、初期から抗生剤を服用することになるのでしょうか?

 絨毛膜下血腫とは、絨毛膜(胎盤)の一部の出血により血腫を作る状態をいいます。基本的には絨毛膜の外の部分の出血ですので、胎児に対する発育については関係がないといえます。
 絨毛膜下血腫は出血しなければ通常は自然に軽快し、体内に吸収されますので問題ありませんが、血腫が吸収されずにそのまま残ることもあり、その場合絨毛膜半膜炎を併発することもあります。絨毛膜下血腫は血液の成分からなるため感染が起こり易く、そのために絨毛膜半膜炎が併発しやすいのです。
 炎症の刺激により流産、早産の原因となります。特に前期破水を起こしやすく、早産の最大の要因となります。炎症に至らず軽快すれば自然治癒となりますし、落ち着けばシロッカーの手術も可能です。無理のないようにして自然な軽快を待つことが最大の治療ですので、感染を予防するためには、初期から抗生剤投与の必要性もあると思います。[2011年7月15日]
(産婦人科医:山本 正孝)
年齢:29 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:0回
 今年で30歳になります。2004年3月に何事もなく長女を出産ました。二人目がなかなかできなかった為、不妊治療を始めましたが、治療休養中に自然妊娠し、2007年5月に次女を2008年6月に三女を出産しました。
 しかし、自然妊娠で出産した三女は13トリソミーで生後3カ月で亡くなりました。染色体検査の結果は、遺伝的な原因ではないと診断されました。またその他に、2004年6月に化学流産を起こし、2009年11月には、繋留流産を起こしています。流産を起こしたり三女を亡くしたりしたことと、さらに今の日本は地震や原発などの問題を抱えていることもあり、長女と次女の2人がいれば十分と思っていますが、心の中ではずっともう一人欲しいとも思います。
 しかし、三女も流産だったかもしれない可能性を含めると、これまでに3回の流産を起こしたことになり、次に妊娠してもまた流産してしまうのではないかと、とても心配になります。 体質が変わったのかとも考えましたが、三女は流産せずに生まれてきてくれたので、私の子宮には異常はないのではないかとも思います。もしかすると、2人目が不妊だったのが影響しているのではないかと思っているのですが、不妊と流産は、なにか関係があるのでしょうか?

 不妊症と不育症(反復流産、あるいは習慣性流産)には密接な関係があります。
 不育症の原因としては、感染症、染色体異常、子宮形態異常、内分泌代謝異常、免疫異常(自己免疫異常と同種免疫異常)と多岐にわたります。
 第三子を出産後ご自身あるいはご夫婦の染色体検査を受けたとの事ですので、染色体については問題ないと思われますが、内分泌異常や免疫異常についてはご精査なさいましたでしょうか?これらの疾患については、年齢を経て発症するものもありますので、再度かかりつけの先生に相談してみる事をお勧めいたします。[2011年6月1日]
(産婦人科医:岡田 潤幸)
年齢:38 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 10年前に結婚し、一昨年、夫が67歳、私が37歳の時に一度妊娠しましたが、切迫流産でした。夫の年齢的にもう子供ができないと思いましたが、先日妊娠したことがわかりました。とても嬉しかったのですが、胎児の健康に影響がないかと心配しています。この子を生むべきかどうかをぜひ教えてください。

 旦那様の年齢については特にご心配いただく必要はないと思います。
 一昨年前妊娠されたとの事で、文脈から想像するに切迫流産では無く、完全に流産なさったことと判断致します。
 もしあなたが内科的な合併症(高血圧や糖尿病、膠原病など)をお持ちの際は、今回の妊娠も注意が必要です。あるいは子宮筋腫などのある種の婦人科の病気においても流産しやすくなる事が知られています。
 現在まで上記の事を指摘された事が無いのなら過度にご心配なさる必要は無いと思いますが、主治医の先生にご相談頂くと良いと思います。[2011年6月1日]
(産婦人科医:岡田 潤幸)
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