回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.3 -
 こんにちは。体外受精で治療をしています。この間、雑誌を読んでいると、いい胚になるかどうかを受精の段階で判定できると書いてありましたが本当ですか?教えて下さい。

 胚の中の核や細胞質の性状を観察したり、核の中にある核小体の数や大きさ、配列の状態で判定が可能です。
 下図は、前核期胚の前核、核小体および細胞質の形態を分類したものです。
 前核においては、大きさがほぼ同じで中央に向かい合い接しているものが良好となります。大きさに大小があったり、離れたり、辺緑に位置するものは不良です。
 核小体では、両前核で数が同数で大きさが同じであり、中央に1列に配列しているものが良好となります、両前核内の数の差が多いものや、核小体の大小のあるもの、いつまでも中央に配列せずにばらばらに位置するものは不良です。
 細胞質においては、明瞭な顆粒状のあるものが良好です。細胞質が顆粒状でないものや、空胞の存在するものは不良胚となります。
 以上、前核、核小体および細胞質の状態によって、その胚が良好かどうかを判定する事が可能です。
前核、核小体、および細胞質の形態によるzygoteの分類
(産婦人科医:永吉基)
 卵子や受精卵、胚の凍結方法には、緩慢凍結法とVitrification法など色々な種類があると聞きましたが、それぞれどのような方法なのですか?セントマザーではどの凍結方法をしているのですか?

 Vitrification法とは、胚と凍結用媒液を専用のシートに乗せ、一気に液体窒素の中に入れて凍結する方法です。
 緩慢凍結法とは、胚と凍結用媒液をストローに入れ、-7℃で殖氷し、毎分-0.3℃の速度で-30℃まで冷却(100分かかります)し、その後液体窒素で保存する方法です。当院では、この緩慢凍結法で凍結を行っています。
 蘇生率は、4細胞胚で約84.4%、8細胞期胚で約80.6%、桑実期胚で約82.5%、胚盤胞で約76.2%となっています。妊娠率は、それぞれ48.8%、57.0%、76.3%、80.0%で良好な成績をおさめています。
(ラボディレクター)
 こんにちは。採卵時にする麻酔には色々な種類があるそうですが、どのような種類があるのですか?それぞれの麻酔はどのような場合に使い分けるのですか?教えて下さい。

 採卵時の麻酔は、プロポフォールという静脈麻酔薬を使います。鎮静と軽度の鎮痛効果が認められます。更にペンタジンという鎮痛剤6mgを静脈し、OHSSの場合、採卵数が多いので9mgに増量します。この様な麻酔は、麻酔導入も速やかで覚醒も早く、アレルギーに対する作用も少なく、喘息などに対しても安全性は高い麻酔法です。当院では、常勤の麻酔科医の下、十分訓練されたナースとともに安全第一に麻酔をかけております。
 尚、術中の嘔吐は危険な合併症を引き起こす事がありますので、当日の絶飲食は必ずお守り下さい。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 いつも気になっているのですが、採卵後に卵子と精子を一緒にした後はどのようにして培養を行うのですか?また、戻しの時には、2日戻しや5日戻し(長期培養?)など色々とあるようですが、どんな時に長期培養になるのか違いを教えて下さい。

 採卵後、培養液の中で精子と卵子を一緒にし、インキュベーター(孵卵器)の中で培養します。このインキュベーターの中は、卵管の中に近い環境にするために、温度は37℃で、酸素5%、二酸化炭素5%、窒素90%のガスが常に安定して供給され、飽和水蒸気で満たされています。
 一晩培養した後に、卵子と精子の受精を確認します。その後、培養液を新しいものと交換しさらに培養を続けます。 培養2日目には、4細胞期胚、3日目には、8細胞期胚、4日目には桑実期胚、5日目には胚盤胞へと成長していきます。
 通常、培養2日目に胚移植を行いますが、良好胚を移植しているにもかかわらず、なかなか着床しない場合があります。これは、培養2日目に形態的に良好と思われる4細胞期胚でも、胚盤胞に比べ、着床率が低いからであると考えられます。それ故、胚盤胞にまで発育させ、移殖することにより、着床率は上昇します。しかしながら、胚によっては長期培養をすることにより却って着床率が下がることもあり、この様な胚は4〜8細胞期に2〜3個と数多く移殖する方が有利なこともありうるということは重要です。
(ラボディレクター:竹本洋一)
 ある雑誌で、精子や卵子をとり間違ったという記事を目にしてから、心配をするようになりました。診察の際に先生に聞くのは失礼だと思い、なかなか聞けなかったのですが、そのような間違いは起こりませんか?セントマザーでは、どんな管理を行っているのか教えて下さい。失礼な質問をしてしまってすみません。

 ご心配されるのは、当たり前のことだと思います。
 セントマザーにおいては、チェックだけを専門とするチェッカーというスタッフが3人常勤しております。卵子、精子、胚移植等、操作すべてにおいて、検査技師とチェッカーによるダブルチェック(2人で確認をしながらチェックすることです)を行い、チェッカーの確認のサインがなければ先へは進めません。
 まずは、名前の間違いがないかの確認から始まり、その中で同姓同名がいた場合はどうするのかということに気づき、印を付け、住所の確認を行うようにしたりと、日々間違う可能性がないかを検討し、何年もかけて今のチェック体制が出来上がりました。
 培養器からの精子、卵子の出し入れはもちろん、卵子の数の確認やすべての処理過程において、チェックのサインを行い、責任をもって操作に取り組んでいます。凍結室に保管されている、凍結精子、凍結卵においても、タンクから出す時、収める時、ダブルチェックを行っています。すべては、患者様の間違いがないか、名前の確認から始まります。
 精子の受け取りにおいても、入れ物の上下にサインをしていただき、さらにご本人さまに間違いないとゆう確認書にサインをいただきます。採卵、胚移植においても、何回も名前の確認をさせていただくことになります。取り間違いのない為に必要なことですので、ご了解いただけたらと思います。
 また、操作においても、クリーンベンチ、遠心器内には1検体しか置かない、1つ以上のものを培養器から出すときは、1つはチェッカーがもつようにするとか、名前の確認は声を出して、技師、チェッカーで確認し合う等、細かいことまで決まりごとがあります。精巣生検は1日2件までで、午前と午後に分け、午前の症例の処理が完全に終了するまでは午後の2件目はスタートできないようにしてあります。
 精子の処理においても、採卵から胚移植においても、そして、凍結卵の移植においても、お一人お一人チェックシートというものがあり、1つ1つの操作においてチェッカー、技師のダブルチェックでサインをして記録を残しています。今行っているチェックで完璧だと思っておりますが、今後もより一層、検討を続けていくことをお約束致します。
(チーフチェッカー)
 先日、胚移植をしましたが、下腹部が少し痛みます。病院に行って診察を受けた方がよいですか。放っておいても大丈夫でしょうか。痛みが生理痛にとても似ていますが、生理がきてしまうのではと毎日気がかりでなりません。

 胚移植後、妊娠の有無に関わらず、同じように訴えられる症状に、下腹部が重い・軽く痛む・腰が少し重いなどがあります。このような症状は、月経前や妊娠初期の症状でもあり、そのほとんどが異常ではありません。但し、排卵数が15個以上で卵巣が腫れている場合には、おなかが強く張る・ウエストがひどくきつくなる・体重の急激な増加・尿が出ない・出血がある・ひどい痛みなどの症状が出やすくなります。このような症状があらわれた場合には、我慢しないでご相談下さい。
 胚移植後2週間経っても月経がこない場合には、妊娠の可能性が高いといえます。特に妊娠初期には、ちょうど月経が始まる時と良く似たような症状となりますので、妊娠反応が出ても月経が始まるのではないかと心配される方もおられます。しかし、1週間2週間と時間が経つうちに、明らかな妊娠であるということが判明してきます。
(院長:田中温)
 こんにちは。スプレキュアを使って治療をしていますが、本日は仕事がとても忙しくて、スプレキュアの投与をすっかり忘れてしまいました。投与の時間が2時間ほど過ぎているのですが、このまま使用を続けてもよいでしょうか。現在、仕事がとても忙しい時期なので、今後もこのようなことがあると思います。その場合にはどうすればよいでしょうか。

 スプレキュアの投与は1日3回8時間おきが原則ですが、仕事などでお忙しい方の場合には、これができない場合もあるでしょう。その場合には、1〜2時間ずれても構いません。
 投与する時間がなくて(投与するのを忘れて)、1回抜けてしまうといった場合もあると思います。その場合は、時間ができた時点(気がついた時点)で直ちに使用して下さい。次の使用までの時間が短くなっても構いませんが、なるべく忘れないようにご注意下さい。
(院長:田中温)
 体外受精をすると子宮外妊娠の率が高くなると聞きましたが本当ですか?もし本当であれば、どうしてですか?体外受精は子宮に胚を戻すのに、どうして卵管に移動するのでしょうか。教えて下さい。

 自然発生による子宮外妊娠の発症率は、約0.2〜0.3%との頻度に対して、体外受精の子宮外妊娠の発症率は、国内外の報告をみても高く、当院のデータでも約0.6%と上昇します。体外受精は、子宮に胚を戻しますが、胚は子宮内、卵管内を移動して、発育しながら受精後5〜6日間かかって着床します。この時、卵管内や卵管周囲に炎症があると、そこで子宮外妊娠となります。子宮外妊娠の多くは、90%位卵管内ですが、他に卵巣、腹腔内、間質部、頚管内に妊娠する場合や、子宮内、子宮外に同時に妊娠することも稀にあります。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 今度、初めて採卵をしますが、住まいが鹿児島です。採卵の時には、麻酔をすると聞いたので、採卵後のことが不安です。ケアはしていただけますか。

 今回初めて麻酔を使って採卵するということなので、その流れと採卵後のケアについて説明致します。
 朝、外来で子宮内膜の厚さのチェックと卵の個数と位置をチェックし麻酔で採卵をするか、麻酔を使わず痛み止めの坐薬で採卵をするのか(卵の数が1〜2個と少なく痛くない場所にある場合)を先生が確認します。その後は、順番で4Fのリカバリー室へご案内します。リカバリー室で貴重品を預けた後、カーテンで仕切られたベッドで採卵前の点滴(5%TZブドウ糖250mg)の準備をします。静脈麻酔なのでOPE室の中に入って採卵の直前に麻酔薬を入れていきます。採卵は、麻酔が入り完全に眠った状態で開始します。終了後すぐに麻酔を切り短時間で覚醒します。しばらくはボーっとした感じがありますので、採卵後は回復室で(個人差はありますが)約1〜2時間安静となります。
 採卵後、休んでいる間は、15分おきに看護士が患者様の状態(腹痛がないか、気分不良でないか)を見に参ります。腹痛で薬が必要な場合には、看護士が先生へ確認し、痛み止めの坐薬かお注射をしますが、軽減しない場合には入院をすすめることもあります。
 休んでいる間に結果(体外受精、GIFT、ZIFTのいずれになるか)をご本人に伝えます。結果は院長が出しますが、ご希望または何かコメントがありましたら、遠慮なくお申し出下さい。ご説明致します。GIFT法になれば一泊入院となります。
 意識がはっきりして歩いてトイレに行ける状態となりましたら、係のものが付き添いますので、紙コップに尿をとって頂きます(血尿があるかないかを確認するためです)。尿がきれいで気分が良好な場合は、点滴を終了後に抜針します。着替えた後、血圧を測り、薬の飲み方、戻しについての説明を致します。
 付き添いの方がおられる場合には、一緒にご自宅に帰宅されて下さい。付き添いの方がいない場合には、当院では麻酔後、一人で帰ることを控えるようにしております。お近くの旅館に泊まるか、遅くても構わないのでどなたかお迎えに来ていただきます。ホテルや旅館をご利用の際は、当院よりいくつかご紹介できる施設がありますので、御申し出下さい。ホテルや旅館までは、お一人の場合はタクシーをご利用になられることをおすすめしております。
 付き添いの方がいない方で、ご本人の都合で一人でご自宅へ帰宅する場合には、誓約書を書いて頂き、当院よりご主人様へ連絡し、一人で帰宅することを確認して頂きます。自宅へ帰り着いた後に病院へ電話を掛けて頂きます。 説明後は、スタッフが付き添い、外来診察までご案内します。診察後は帰宅となりますが、少しでも気分が悪かったり、痛みなどがありましたら、ゆっくりベッドで休んで帰られて構いませんので、お声をかけられて下さい。
 帰られた後にお腹が張ってきたり、出血がひどかったり、何か変わったことがありましたら、夜間でも構いませんので、連絡をされて下さい。いつでも来院されて構いません。24時間体制でお受け致します。
 付き添いの方が一緒に来院されている場合は、奥様が麻酔から回復するまでの間、外出して頂いても構いませんし、2Fにインターネットが出来るリラックスルームの設備もありますので、そちらを利用されても構いません。
 今回初めてで分からないことや不安なことがまだおありの方は、いつでも気軽に声を掛けて下さい。
(手術部主任)
 現在ロング法でスプレキュアを使用しています。本日生理3日目で診察に行ったところ、16mmくらいに大きくなった卵胞があり、誘発が延期になりました。主治医からは「大きな卵胞がなくなるまでスプレキュアを使用していてください。誘発はスプレキュアを続けていればいつでもできるので大丈夫です。」と言われました。
 私は、誘発は生理に合わせてするものだと思っていたのですが、このように生理に関係なく誘発をずらして開始するという事はあるのでしょうか?また、その場合の妊娠率はどうなるのでしょうか?

 スプレキュアは、もともと卵を誘発するために作られたお薬です。ですから、使用初期では卵巣を刺激しますので、卵巣が腫れてくるということは自然な反応です。
 スプレキュアを継続して使用することによりLH、FSHを低下させていきますので、ロング法で、月経が始まった初期に卵巣を診ると卵巣が腫れているということは異常なことではありません。しかし、私の経験では、このように卵巣が腫れた場合には、その後の排卵誘発であまり良い卵が採れません。このような場合には、一度その周期は中止して次の周期に違う方法をされてはどうでしょうか。ピルを使って一ヶ月卵巣を休めた後にアンタゴニストの方が良いかもしれませんね。スプレキュアを使っている限りは、排卵はおきませんので、理論的に生理とずれても構いません。
(院長:田中温)
 当院では、卵胞は20mm未満であれば問題ないと考えております。
 ロング法は、スプレキュアを長期間使った排卵誘発法ですから、腫れがなくなり、HMGに対して通常通りの反応を示すようであれば妊娠率を下げることはないでしょう。ロング法の場合、卵胞が20mm以上が残るようであれば、無理にHMGを開始しない方がいいかと思います。それは、Down requlation(エストロゲンが十分ホルモン的に下がっている)状態でないと、いい卵胞が発育しないからです。
(産婦人科医:永吉基)
 先日ETを受け、黄体ホルモン値を教えていただきましたが、一般的な値がわからないので、自分の値は低いのか高いのかよくわかりません。どのくらいが理想の値なのでしょうか?

 ET(胚移植)の時期にもよりますが、採卵後2日目の値は、自然周期であれば5-10ng/ml、採卵周期では10-50ng/ml以上にあがっています。採卵後5日目であれば、採卵数にもよりますが、50-100ng/mlとなっています。自然の場合には、15-30ng/mlぐらいになります。排卵後、卵胞液が増加すれば、黄体ホルモンの値も上昇していきます。
(院長:田中温)
 はじめまして。現在、体外受精を行っています。先日の胚移植後にバファリンを処方されました。
 バファリンは鎮痛剤として使用したことがありますが、なぜ今回処方されたのか、よくわかりません。どういった働きがあるのでしょうか?また、いつまで飲み続ければよいでしょうか?

 以前は、着床時の血流を良くする作用があるとしてET(胚移植)後にバファリンがよく使われておりました。しかし、現在では、その効果はあまり認められておらず、習慣性流産の方のみ使用されています。バファリンの作用は、微小血管内の血栓防止にあり、妊娠成立後、妊娠35週まで服用します。
(院長:田中温)
 こんにちは。半年前より体外受精をしています。先日、胚移植をして、ホルモンを補充してもらっていますが、生理の量がとても少ないのですが、何が原因なのでしょうか?このまま何もしなくてもよいですか?

 ホルモン補充療法を行ったにもかかわらず、出血の量が少ない原因の1つとして、内膜がもともと薄いことが挙げられます。
 排卵直後は厚くても薄くなる場合には、黄体ホルモンの量が少ない、もしくは、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの比が不均衡になっている状態が考えられます。卵胞ホルモンが非常に高いにも関わらず、黄体ホルモンの量が少ない、または黄体ホルモンが多すぎて卵胞ホルモンが足りない時には、内膜が薄くなり、月経の量が減少することがあります。また、2週間もたたないうちに早く月経が開始することもあります。
(院長:田中温)
 こんにちは。初めて質問をします。
 4ヶ月前に体外受精を始めましたが、毎回、採卵後にかなり痛みがあります。戻しのときまで、痛みが続いているのですが、着床に影響はないのでしょうか?

 採卵時には、針で膣壁や卵巣表面を穿刺していますから、膣壁や下腹部に、多少の痛みがあるのは仕方ありません。2,3日間、鈍痛が続いても異常ではありません。必ず、軽くなってきます。
 しかし、この痛みがどんどんひどくなる場合には、卵巣からの出血、腹腔内の感染などが考えられますので、必ず病院で診てもらってくださいね。
(院長:田中温)
 胚移植後の安静時間は病院によってまちまちだと感じています。安静にすごした方が妊娠しやすいように思うのですが、実際はどうなのでしょうか?

 ET後の安静時間は0(ゼロ)でも、長くても妊娠率に差はないという報告がされています。【050820-12】欧米の施設では、胚移植後は安静にせず、そのまま帰宅されている程です。当院でも、以前は胚移植後、3時間安静にしていただいておりましたが、現在では、1時間と短くなっております。ET後、特に運動の制約などもありません。日常の生活をされてかまいません。
(院長:田中温)
 子宮筋腫がありますが、着床には影響がないということで、体外受精を続けています。筋腫を放置したままで不安です。排卵誘発剤を打ち続けても筋腫は大きくならないでしょうか?

 体外受精の着床率と子宮筋腫の有無には、あまり大きな因果関係はありませんが、排卵誘発剤を使用することによって、筋腫が少しずつ大きくなっていくことは、実際問題としてありうると思います。
 ただし、子宮筋腫が子宮の内膜の直下に発生したために、内腔を変形してしまった場合や、流産を何回も繰り返す場合には、手術で摘出をされたほうがいいかもしれません。
 外側に大きく飛び出した「こぶとりじいさん」のような子宮筋腫の場合は、妊娠や着床率にはほとんど影響がありませんが、妊娠後の胎児の発育に影響がある場合があります。ですから、あまりにも大きくなった場合(10cm以上の場合)には、手術が必要かもしれませんね。
(院長:田中温)
 現在、体外受精をしています。5日前に、戻しを行ったのですが、それからずっと腹痛が続いています。もしかして、子宮が収縮して、受精卵が流れ出てしまっているのでは・・・と不安です。大丈夫でしょうか?

 体外受精後の腹痛は、いろいろな原因が考えられます。採卵による穿刺が原因であるならば、時間がたつとともに軽減すると思います。胚移植が、腹痛の原因となることはめったにありませんが、子宮内に移植する操作によって、子宮が収縮し、痛みを伴う場合もあります。この子宮の収縮や痛みには個人差があり、非常に過敏な方は、移植カテーテルをいれるだけでも腹痛を起こす場合があります。このような場合には、前もって、子宮収縮をおさえるための非ステロイド系の鎮痛薬などが効果を発揮する場合もあります。
 いったん子宮内に移植した胚が逆流して膣内に出てくることは、まずありえないことと思います。しかし、胚移植時に毎回必ず痛みを訴える方の場合には、ありえるかもしれませんので、前もって担当医に相談され、お薬を投与していただくとよいと思います。
(院長:田中温)
 自然周期で体外受精をしています。雑誌に移植後に黄体補充をすると書いてあったのですが、わたしはしていません。大丈夫でしょうか?

 自然周期の体外受精の場合には、原則的に黄体補充は不要だと思います。多量の黄体ホルモンを投与しすぎると、かえって着床を阻害する場合もあります。
(院長:田中温)
 体外受精を行っています。採卵後に黄体補充をしているのですが、胚移植後の内膜が採卵後よりも薄くなってしまいます。なぜでしょうか?何かよい方法はないでしょうか?

 正常な子宮内膜は、排卵後に黄体ホルモンおよび卵胞ホルモンの作用で、徐々に厚くなり、着床の準備状態に入ります。そして、着床後はさらに肥厚していきます。すなわち、内膜が肥厚するためには、適量な黄体ホルモンと卵胞ホルモンが必要なのです。体外受精において、胚移植後に内膜が薄くなる原因としては、黄体補充が不十分であるか、または過剰になり、卵胞ホルモン(E2)と黄体ホルモン(P)の比が不均衡となった場合が考えられます。
 これまでは、黄体ホルモンのみを投与していましたが、最近では、卵胞ホルモンも同時に投与した方が着床率が高くなるという報告もあります。黄体補充をする場合には、この辺も加味しながら行うことが大切です。
 また、採卵数が少ない場合と多い場合とでは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの量がかなり違ってきますので、補充量のそれに応じて使い分けなければなりません。アンタゴニストやアゴニストを使用し、脳下垂体の抑制がかなり強くなっている場合には、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを早期に多めに補充する必要があります。一方採卵数が少なく、アゴニスト、アンタゴニストの抑制が軽度な場合は、少量の補充の方が着床率は高くなります。
(院長:田中温)
 こんにちは。8ヶ月前に体外受精にステップアップをしました。この数ヶ月間で2回の胚移植を行いましたが、胚移植後に何かが流れ出すような感覚があります。もしかして、受精卵がこぼれてしまっているのでしょうか?

 胚移植後、膣の中になにかが出てきていると感じることはあります。チューブを子宮内にいれ、胚移植後に抜いてくるときの感覚が残像として感じられているのでしょうか。子宮内にいれる培養液は非常に微量ですから、これが出てくるということはありません。心配しないでいいと思います。 もしかしたら、移植前の膣内の消毒(生理食塩水)の際の液体が移植後に流れ出てきている可能性もあります。しかし、鉗子(チューブ挿入時に子宮の一部を鉗子で把持します)の針穴からの出血を止めるためにガーゼを数枚挿入しますので、実際には液体の流出はないと思います。
(院長:田中温)
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