回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.11 -
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:5回 体外受精:6回
 今回はフォリチスムとクロミッドを使った自然周期の採卵でしたが、ロングやショートでは卵が2〜3個しかできず、自然周期に変更しました。先月採卵し、1個は5日目に胚盤胞になりました。グレードはよくなく、4段階中3番目でした。
 その卵を凍結し、ホルモン補充周期(HR周期)で今月移植予定でしたが、当日融解がうまくいかず、キャンセルになりました。卵が元に戻らないとの事です。
 胚盤胞は凍結に強いと聞いていましたが、やはり卵の質が悪いのが原因なのでは・・と思っています。次回からはどのような治療をすればよいのでしょうか?

 受精胚は2細胞〜胚盤胞(約60細胞)までの、どの段階でも同じように凍結可能というわけではありません。私たちの経験では、凍結に対しては、4細胞か8細胞が最も安全です。胚盤胞の凍結は難しくなります。ですから、もしも凍結を最初から御希望ならば、4細胞か8細胞で凍結する方が、戻る確率が高くなるはずです。[2006年4月17日]
(院長:田中温)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:3回
 これまでに体外受精(IVF)を3回行いましたが、質のよいものではありませんでした。
 1回目は9個採卵できましたが、分割は1つしかせず、グレードはG2(下から数えて2番目)でした。2回目も分割したのは1つだけでグレードはG3、3回目は3つ受精しましたが、分割しませんでした。
 担当医には、受精したのに分割しないということは、ほとんどないと言われました。
 私の卵子にはどのような問題があるのでしょうか?妊娠の可能性はありますか?また私の姉も同じような理由で不妊です。遺伝子の問題ということがあるのでしょうか?

 受精はするのに分割はしないということは、決して珍しいことではありません。おそらく、採卵した時点で卵のグレードが低いのだと思います。そうであれば、排卵誘発の方法が、あなたにとって、最も適した状態ではなかったのではないでしょうか。
 遺伝子に問題がある場合には、まず正常な卵子がとれません。卵子が採れて受精をするということは、ある程度までは正常に卵子は発育しているということになります。
 あなたに合った排卵誘発法を早くみつける事が第一の方法です。そうすれば必ずいい結果は出るはずです。[2006年4月17日]
(院長:田中温)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:10回 人工授精:5回 体外受精:1回
 先日、初めての体外受精(IVF)に挑戦し、生理3日目からスプレキュアを使用、HMGを8本打って卵を作りました。しかし、卵6個のうち、分割卵が2個と少なく、分割のスピードも遅くて、結局妊娠に至りませんでした。
 年齢から考えて、思ったよりも卵の数も質も悪かったので、何故?という気持ちでいっぱいです。1日も早く子供を授かりたいので、1周期あけて、また体外受精をしようと思うのですが、卵の作り方は前回と変えたほうがよいのでしょうか。具体的に次はどのような方法がよいでしょうか?

 あなたの年齢を考えると、スプレキュアを使用してHMGを8本うち、6個の卵のうち分割が2個となると、反応が悪く、とれた卵の質もよくないことが予想されます。分割状態は、どうだったでしょうか。
 原因としては、排卵誘発法が合わなかった、もしくは、年齢はお若いのですが、排卵誘発剤に対する反応が悪いことが考えられます。
 今後の治療についてですが、スプレキュア使用のロング法や、GnRH-アンタゴニストを使っての排卵誘発法、クロミッドやHMG法などの方法でいい卵が得られる可能性があります。
 また、超音波で月経周期3日前後の卵巣の状態をみて、卵巣の中の小さい卵胞(胞状卵胞)の数と粒が揃っているかどうかをみて、卵巣の予備能をチェックする必要もあると思います。施設によっては卵巣の予備能の検査として、LH、FSH(下垂体ホルモン)、エストラジオール(卵胞ホルモン)、インヒビンなどを行っているところもあります。これらの卵巣の予備能をチェックした上で、ご自身に合った方法を考慮していただくといいでしょう。[2006年4月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:31 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:2回 人工授精:2回 体外受精:3回
 私は多嚢胞性卵巣(PCOS)で、夫にも原因がありましたので、すぐ顕微授精(ICSI)をすすめられ、3回の採卵、戻し6回(内5回は胚盤胞)しましたが、いい結果が出ません。いつも卵はたくさんとれるのですが、フラグメンテーションが多く、担当医はダメかもとおっしゃいますが、胚盤胞になるそうです。今回の採卵時には、31個の卵がとれて21個受精、15個が胚盤胞になりました。胚盤胞はきれいなほうだといわれますが、採卵時には卵の質が悪いのに、いい胚盤胞ができるものなのでしょうか?やっぱり胚盤胞になっても最初がよくないので着床しないのでしょうか?担当医は、今後もフラグメンテーションが多いのは変わらないでしょうとおっしゃいます。どうしたらよいかわかりません。これから先も胚盤胞移植を続ければ、妊娠の可能性はありますか?

 一般的には受精した胚のうち、どんなに多くても胚盤胞に到達するのは半分です。特にフラグメンテーションが多い場合には、胚盤胞にはなりにくいケースが多くみられます。ですから、31個採れて21個受精し、15個が胚盤胞になったというあなたの場合は、良すぎるくらいです。胚盤胞にも色々な種類がありますので、もしかしたら、あなたの場合は、胚盤胞のグレードが低いのかもしれません。
 胚盤胞になっても、グレードが低い場合には、なかなか着床しません。それを解決するためには、まず発育する卵胞の数を少し減らす必要があると思います。採卵数が20個以上の場合には、採取された卵子の質は明らかに低下し、着床にふさわしい胚の割合はかなり低下してしまいます。いかにして適当な数の卵胞数にするかは、担当の先生によくお願いして下さい。
 現在では、ピルやホルモン剤を採卵周期の前に使うことにより、卵胞数をコントロールすることが可能となっています。また、一般的に採卵数が多い場合の内膜環境はかなり乱れてしまいますので、その周期には戻さず、すべての胚を凍結し、自然周期(ホルモン周期)に移植した方が妊娠率は高くなると思いますよ。[2006年4月1日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:5回 人工授精:0回 体外受精:4回
 初めまして。地元で不妊治療をしております。腹腔鏡検査を含め、検査は一通りして、体外受精を4回しました。なかなかうまくいかないので、セントマザーに転院を考えていますが、全部の検査をやりなおさないといけないのでしょうか?

 これまでに費用をかけて色々な検査を受けられたのですから、同じ検査を重ねて受けなくても良いようにと当院では考えております。今までの検査データが手元にありましたら、それらのすべてをお持ち下さい。また診て頂いていたドクターが紹介状を出して頂けるようでしたら、その中にデータを記載してもらって下さい。もしお願いできなかったり、紹介状を頼みにくいようであれば、どのような検査をいつ頃受けて、結果がどうであったかを紙に書いて持参して下さると参考になります。当院に受診されましたら、今までの検査データを再検討し、また足りないものや必要なものがあれば、こちらでも追加の検査を行います。その上で再度治療方針を組み立て、治療スケジュールをお話しします。[2006年4月1日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:4回
 2人目を望み、治療をしています。原因不明といわれ、1人目は、体外受精(IVF-ET)、凍結戻し(凍結ET)で成功せず、その後、顕微授精(ICSI)新鮮胚で妊娠する事ができました。このときが23歳でした。1人目の出産時(帝王切開)に、卵管が癒着しているのでピックアップ障害だろうと言われましたが、出産後、約2年で自然妊娠。しかし、子宮外妊娠で、右の卵管を切除しました。
 その頃から2人目を強く望むようになって、手術3ヵ月後から治療を開始しました。23個の卵がとれ、IVFとICSIの半々で受精させて、22個の受精卵(G1とG2)ができました。たくさん取れたので、7回分に分けて全凍結して、2ヵ月後から移植を開始しました。
 1回目: 内膜9mm、3日目戻しで8分割G1、8分割G2を戻し。化学的流産。
 2回目: 内膜9mm、7分割G2、4分割G3、3分割G2を戻し。陽性反応なし。
 3回目: 二段階移植。3日目に8分割G2、8分割G3。5日目にほぼ胚盤胞を2個戻し。陽性反応なし。
 4回目: ホルモン補充周期にプレマリンを服用し、移植の2日前からプラノバールにかえる。8分割G1、7分割G2、6分割G3を戻し。当日のみ油性の注射。その後、判定まではプラノバールを服用。結果待ち。
 7回分もあった凍結胚が、次に二段階移植をしたらなくなってしまいます。毎回、内膜や卵の状態は良いようです。何が悪いのでしょか?卵管に癒着があるのが原因なのでしょうか?もうどうすればよいのかわかりません。

 卵管水腫で卵管から子宮内に液が逆流し、たまってくるということがないのであれば、卵管に癒着があることは原因ではないでしょう。文面からのみ判断し、今後どのようなことをしていけばいいか検討してみると、まず、卵の質はよいが卵子の殻が硬い可能性を考えると、アシステッド・ハッチング(Assisted Hatching)といって、透明帯という卵子の殻を一部うすくすることによって、子宮内膜に着床しやすい状態を作ることがいいでしょう。次に、基礎体温は二相性ですが、高温期は10日以上あるかを確認することです。黄体機能不全があるのかもしれません。その場合には、黄体期にエストロゲン+プロゲステロンの合剤の内服や、HCGを2〜3日うつことによって黄体期をサポートするのがよいと思います。方法はあります。諦めないで下さい。[2006年4月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:14回 体外受精:12回
 初めてメールさせていただきます。33歳の時に稽留流産をし、その後、不妊治療を受けて36歳で妊娠に気付かないうちに流産しました。39歳からは、地元のクリニックで治療を受けています。
 これまでに12回の体外受精を受けましたが、妊娠しませんでした。免疫等も含めて特に異常があるわけでもなく、卵の数は5〜7と少なめですが、グレードはとてもよいと言われます。ただ、毎回、子宮内膜が厚くならず、エストラダームを毎回3枚ずつ貼り変えても10mm足らずですが、これが原因なのでしょうか?
 今回は、初めてフェマーラで刺激をし、顕微受精(ICSI)で5個が受精、通常通り2個を戻し、次に胚盤胞を1個戻しましたが、着床しませんでした。
 子宮筋腫が4個あり、どれも大きさは小さいし、着床には影響しない場所なのですが、筋腫のために血流が悪いかもしれないと言われています。しかし、年齢を考えると、筋腫の治療よりも不妊症治療を優先したほうがよいのでは...と悩んでいます。今後の治療は、どうすればよいでしょうか?

 女性の年齢が高くなるに従い、卵の質は下がってきますので、顕微授精(ICSI)でも妊娠率は下がり、流産率が上がるのはある程度は仕方がありません。いかにして質の良い卵を作るかが勝負だと思います。また卵管に入れるGIFT法やZIFT法も高齢の方には非常に良い方法です。子宮筋腫も現状では影響を及ぼすものではなさそうなので、不妊症治療を優先された方が良いと思います。[2006年3月15日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:7回 人工授精:10回 体外受精:1回
 昨年、初めての体外受精(IVF)をしました。超音波では卵胞の数は11個ほど確認できたのに、実際に採卵してみると、21個もの卵がとれました。でも、そのうち9個は成熟度がよくなくて(D)、使うことはできませんでした。
 超音波で調べるのと、実際に採卵してみるのとでは、こんなにも卵の数が違う事があるのでしょうか?

 数が多くできる場合は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。この場合、1日1日と数も増加し、大きさも急激に大きくなります。従って超音波で調べた数よりも、採卵時には数と大きさが急激に増えたのではないかと思います。しかし、この場合の卵の状態は不良なものが多いのです。こういったケースでは、次の卵の作り方を充分に考える必要があります。ドクターと充分相談の上、次回の卵の作り方を変えてみられて下さい。[2006年3月15日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:10回 体外受精:4回
 今まで顕微受精(ICSI)で、新鮮胚を4回移植しています。採卵数がいつも少なくて、3個程度です。3個採れても、受精せず、いつも戻し(ET)は1つになってしまいます。
 戻しの受精卵は、毎回グレード1(G1)なのですが、3日目(8分割)でETしても妊娠できません。3回目の時に初めてG1とG2を1個ずつ戻して妊娠したのですが、心拍確認後に流産してしまいました。排卵誘発方法もいろいろ変えているのですが、うまくいきません。
 先生にはいつも、「数ではなく、卵の質ですよ」と言われるのですが、G1でも卵の質が良くないのでしょうか?それとも他の問題があるのでしょうか?卵が1個でも胚盤胞にチャレンジしてみた方がよいのでしょうか?何か試してみることのできる方法はないのでしょうか?

 体外受精(IVF)の妊娠率は、採卵した良好な卵子の数で決まります。できれば10個前後の卵子が採れると、理想だと思います。10個の卵子が採れれば、良好胚はその半分の4〜5個となるはずですので、移植の分と凍結の分が2回分確保でき、累積妊娠率は高くなります。もちろん排卵誘発法を行っても、卵が1〜2個しかできない場合もありますので、そのような場合は、1〜2個を戻すしかありませんが、わざわざ卵の数を少なくするのは、あまり得策ではないと思います。
 高齢や子宮内膜症などにより、発育する卵胞数が1〜2個と少ない場合には、卵管に戻すGIFT法やZIFT法もひとつの方法だと思います。[2006年3月15日]
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:6回 体外受精:1回
 凍結胚盤胞を移植する日は排卵した日を含めて6日目に戻すのでしょうか?戻すのが一日早いもしくは遅い場合(5日目や7日目など)でも問題ないでしょうか?
 また、(月経前症候群だと思うのですが)排卵後の腹痛と腰痛がかなりひどいのですが、着床に影響がありますか?

 一般的な胚の発育では、採卵後5日目に胚盤胞となります。良好な胚の場合には、4日目に初期の胚盤胞になります。しかしながら、5日目で桑実期で止まったり、6日目にやっと胚盤胞になるような場合には、その着床率はかなり低下してしまいます。胚盤胞を戻す場合には、胚盤胞で凍結しておいて、もう1日培養して戻す場合と、融解したその日に戻す場合とがありますが、もし初期の胚盤胞であるならば、もう1日長く培養して、拡張期胚盤胞またはハッチングした胚盤胞で戻すのも可能だと思います。しかし7日目では少し遅すぎると思います。
 月経前症候群に関しましては、子宮内膜症や子宮筋腫などの病的な状態でないのであれば、着床には影響はないと考えます。[2006年3月15日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温: 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:0回 体外受精:1回
 大学病院にて、体外受精、胚移植をしました。
 胚移植は、4分割で戻すのが一般的と聞いていますが、私の場合は、2分割で、1個のみが戻し可能ということでした。1個のみでは、成功する確率はたったの10%だと言われました。
 雑誌やインターネットで、みなさんの体験談を読んでいますが、胚移植当日に、「今回は卵の状態が不良のため戻しなし」などとあります。もしかしたら、私の卵の状態も不良だったのではないかと不安になっています。どうでしょうか?また、戻しができない(しない方がよい)卵とはどういったものなのかを教えて下さい。
 もしも、悪い状態だったのであれば、なぜ戻しを行ったのか、今回ダメだった場合、このまま同じ病院で体外受精を考えても良いのかと、毎日悶々としています。アドバイスをお願いします。

 採卵2日目で発育が2分割での着床率は、非常に低くなります。分割の形があまり良くない場合には、戻しをキャンセルする場合もあります。ただし、2分割でも着床する確率はゼロではありませんので、戻すことは無駄ではないと思います。
 この2分割が果たして着床能力があるのかどうか、詳しくさらに検討するためには、もう1日培養してみることも良いことです。もし発生能力のない2分割であるならば、3日目には胚の発育は止まってしまうでしょう。このような場合には、キャンセルされてはどうでしょうか。4分割、8分割と進む場合には戻す価値はあります。
 体外受精の妊娠率は、いかにして「質の高い卵子」を数多くつくるかが決め手です。質が良い卵子であれば、1個よりも2個、2個よりも3個、3個よりも4個と増えるに従い、妊娠率は高くなります。
 また、いかにして御自身にあった排卵誘発法を選ぶかも決め手となります。排卵誘発法の詳細については、他のご質問で回答をしております。【自分にあった排卵誘発はどのようにして見極めればよいでしょうか?】などは参考になると思います。他、「排卵誘発」というキーワードで検索もされてみてください。[2006年3月15日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:4回 体外受精:4回
 卵管不全で今まで体外受精(IVF)を4回しました。採卵、受精、胚移植と、毎回ほぼ順調です。そのうち2回は胚盤胞移植で、1回は二段階移植をしています。
 内膜も十分な厚さで、胚もきれいだから十分期待できますね、と先生も言ってくださるので、毎回とても期待するのですが、判定はいつも陰性です。どんな原因が考えられますか?

 排卵誘発を行いますと、卵巣、子宮、内膜にかなりの負担をかけてしまいますので、着床率は自然周期に比べて、明らかに低下します。ですから、今まで良好な胚を戻して着床しない場合には、排卵誘発で発生した分割胚を全て凍結しておいて、自然周期に戻す方法をおすすめ致します。着床率は、必ず上がるはずです。[2006年3月15日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:4回 体外受精:0回
 いつも参考にさせていただいています。回答の中に、「自分にあった排卵誘発剤をいかに早く見つけるか」というコメントがありますが、「自分にあった排卵誘発剤」とはどのように見極めればよいのですか?
 私は同じ誘発剤で人工授精(AIH)を4回しております。卵子の数は2〜4個で多くはありませんし、右側の卵巣でしか卵子ができておらず、現在の誘発剤が自分にあっているのかどうか疑問です。他の方法に変えたほうがよいでしょうか?

 まず、月経周期が規則正しいかどうかという点が重要であす。規則正しい場合には、月経初期における左右卵巣内の胞状卵胞数や、粒が揃っているかが重要となります。排卵誘発剤に卵巣が反応するかどうかの予測は、この胞状卵胞所見が、最も信頼性が高いと言われております。
 しかし、左右それぞれに10個以上の胞状卵胞が認められる場合には、1個あたりの卵子の質は低下してしまいます。そのような場合には、数があまり出ないような排卵誘発が必要となります。卵胞数をコントロールするためには、排卵誘発を行う1ヶ月前の周期にホルモン剤(ピル又はカウフマン)を投与することが注目されています。
 数が全部で20個前後の場合には、アンタゴニストの使用が有利だと思います。一方、胞状卵胞の数が5〜6個と少なめの場合には、スプレキュアのロング法が有効だと思います。年齢が35歳を過ぎている場合には、ロングよりもショートの方が数は増えます。
 また、月経周期が不順で多嚢胞性卵巣で、体重が理想体重よりオーバーしている方には、まず理想体重に減量することが有効であります。またインシュリンや糖負荷試験を行い、インシュリン抵抗性が認められた場合には、メトホルミンを2〜3ヶ月投与した後に、排卵誘発剤を使用した方が良い結果となります。
 年齢が40歳以上で、胞状卵胞が1〜2個と少ない場合には、GnRHアナログやアンタゴニスト又はピルなどの投与は、発育卵胞数をかえって減少させてしまう場合もありますので、この場合には、セロフェンとHMGのみの投与が有効だと思います。[2006年3月15日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 30歳で2人の子ども(2人とも帝王切開でした)がいます。2人目妊娠後、卵管結紮術を受けました。(卵管切除で結ぶ方法だったと思います。)最近もう1人子どもが欲しいと思い始めたのですが、その際、再建術は可能でしょうか?
 可能な場合、どのくらいの入院期間や費用が必要になりますか?再建術ができない場合は、妊娠できる方法はありますか?

 卵管結紮後の再建術は、「体外受精-胚移植」の治療が普及する以前には、妊娠するための唯一の方法でしたが、その成績はさほど良好とはいえませんでした。開腹して、顕微鏡下手術を行っても、その後、自然妊娠できる症例は少数です。また、現在では、この手術を引き受けてくれる施設をみつけるのも、至難の技といえるかもしれません。それよりは、「体外受精-胚移植」を行うことの方が、妊娠するためには、より現実的な選択だろうと思われます。[2006年3月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 こんにちは。受精卵を戻すとき、生理食塩水の管を使う時と、使わない時がありますがどうしてなのですか?

 受精卵を戻す時には、超音波で子宮の内膜と子宮底部の移植部分を確認し、移植します。この際、膀胱に尿がたまった状態で、移植部分が確認できれば、そのまま戻しが可能です。ところが、太っている方や、子宮後屈、子宮筋腫や子宮腺筋症、卵巣嚢腫等がある場合には、子宮内膜がわかりにくいことがあります。こういった状態のときには、管を入れ、生理食塩水を入れて、膀胱を充満してから子宮内腔が見える状態をつくるのです。[2006年3月15日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:5回 体外受精:1回
 初めての体外受精での戻し(IVF-ET)をしましたがうまくいきませんでした。アンタゴニストで採卵数7個、全て受精して採卵後4日目に8分割(G1)を1個、6日目に胚盤胞(G1)を1個と桑実胚1個(少し表面が変性)を戻しました。他は途中でだめになり、凍結はできませんでした。
私は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)なので、卵巣過剰刺激(OHSS)予防のために排卵促進はスプレキュアを使用しました。採卵前のE2は6600、Pは1.1でした。ET後は、E2が180、Pが30.1でしたが、これはETをするのに適していたのでしょうか?卵のグレードは良かったので、凍結して自然周期が良かったのでは・・と思ってしまいます。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で、アンタゴニストで採卵数が7個は少ないと思います。また、2段階移植を受けていますが、4日目、6日目の分割速度が遅いように思います。
 ホルモン値に関しては、ET後のE2が180とすると、急激に下がっているように思われるので、移植後に黄体ホルモンと一緒に卵胞ホルモンも服用した方がいいかもしれません。排卵刺激周期にホルモン値が大きく変化するならば、次回は可能であれば、卵を凍結し、自然周期もしくはホルモン補充周期で戻す方がよいと思います。[2006年3月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 こんにちは。近畿地方に住む41歳女性です。38歳の時、自宅近くの病院にて体外受精1回目で1人目を妊娠し、39歳11ヶ月で出産しました。その時は、卵のグレードは良く、子宮内膜は8.5mmで、卵8個のうち3個を戻しました。産後、半年で、1人目の胎盤が子宮に残っていたため、除去手術を受けました。
 41歳になり、2回の体外受精をしました。1回目は、内膜は6.5mm、卵10個のうちグレード普通を1個戻しました。2回目は、内膜は8.1mm、卵4個のうちグレード普通を2個戻しました。2回目は、黄体が子宮に残っており、他の卵があまり育たなかったといわれています。
 ここからが、質問なのですが、出産してから6回程しか排卵をしていませんが、出産前には良かった卵の質がこんなにも早く普通に変わってしまうものなのでしょうか?現在41歳4ヶ月ですが、セントマザーで治療をすれば、少しでも妊娠の可能性はありますでしょうか?夫の精子には今のところ問題はありません。少しでも可能性のある今、悔いの無いように頑張りたいと思っています。

 卵の質は、年齢に大いに関係がありますので、38歳の時に質がよかったけれども、41歳の時には低下する可能性はあります。けれどもあなたの場合は、卵が10個、4個とできていますから、反応は悪くはないと思います。40歳を過ぎると1〜2個しかできない人が多いものです。
 内膜がやや薄めのようなので、黄体機能の維持が大切です。また、加齢によって、卵の殻である透明帯が硬くなる傾向にありますので、Assisted Hatching (アシステッドハッチング)といった透明帯を一部カットもしくは薄くする方法や、卵管内に移植するGIFT法やZIFT法が有効な場合があります。当院では、幅広い排卵誘発法や補助技術にてひとりひとりの治療法を一緒に考えて治療をしております。御希望であれば、お電話やメールにて御連絡いただければ詳しい資料をお送りいたしますよ。[2006年3月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:20回 人工授精:6回 体外受精:2回
 体外受精(IVF)を2回行いましたが、残念ながら妊娠には至りませんでした。前回の体外受精のときに、多精子受精が見られて、10個採卵できた結果、2個だけが分割しました。卵のグレードはよく(G1)、内膜の状態もよかったのにうまくいきませんでした。次回は、顕微授精(ICSI)をする方がよいのでしょうか?

 前回の体外受精で10個採卵し、分割が2個ということですが、この値は平均値よりかなり下回っております。多精子受精もあったということですので、次回は顕微授精をすることをおすすめ致します。きっと良い結果が出ると思いますよ。[2006年3月1日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:8回
 主人が閉塞性無精子症で、2年前に不妊治療を始めました。昨年の10月に8回目の顕微授精を行ったところ、3個の受精卵ができ、2個を子宮に戻して1個を凍結保存しました。戻した卵は2個とも着床して、妊娠したのですが、流産となり,12月に掻爬手術をしました。凍結保存してある受精卵で、もう1度チャレンジしようと思っているのですが、前回流産してしまった時と同じ受精卵なので、また流産してしまうのではないかと不安です。大丈夫でしょうか?

 同じ胚を用いて1回目が流産であった場合でも、2回目の流産率が高くなる事はありません。しかし、2回続けて流産した場合には、3回目の流産率は少し高くなります。あまり心配されずに、凍結胚を戻してみて下さい。[2006年3月1日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:2回 体外受精:2回
 重度の乏精子症で、顕微授精(ICSI)を2回終えたばかりです。採卵前のエコーでは、7〜10個の卵胞が確認できるのですが、実際に採卵してみるとその数がぐっと減っています。前回は11個見えていて、採卵は3個(その内1つは潰れており、実質2個)でした。今回は7個見えていて、実際の採卵では3個でした。
 これは、どのような原因が考えられるのでしょうか。採卵手技の問題か、または卵の質や作り方などの問題か、考えられることを教えていただけると助かります。

 排卵誘発剤を投与しているときの卵胞数は、大きいものから小さめのものまですべてカウントしますが、小さめの卵胞は未熟なために卵子を採取できないこともありますし、穿刺すらしない場合もあります。卵胞のように見えても、実は卵子の入っていない、卵巣嚢腫や卵管水腫の場合もあります。また、特殊な症例では、一見よさそうに見えるにも関わらず、何回洗浄を繰り返しても採取できないケースや、採れてもかなり質の悪い卵子しか得られないこともあります。個々の患者さんで原因は異なりますので、胚移植の時に医師に相談されてはいかがでしょうか。[2006年2月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
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