回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.60 -
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回 
 クラミジアによる卵管閉塞で約一年前から体外受精に挑戦しています。今のところ精子、ホルモン値に問題はありませんが、子宮底が弓状なのと、卵管の癒着が問題点となっています。誘発剤を使用し、採れた卵子5個のうち4個が胚盤胞まで育ち、今月3個目を戻しましたがおそらく着床していないと思います。
 若くはないですが、質のよい卵が採れるのですぐ妊娠すると思っておりました。担当医は首をかしげていて、「同じような症例の方で、年齢も若く、いい卵もとれるのに、何度移植をしても妊娠に至らないケースがあった」と言われ、ショックを受けました。精神的にも経済的にも苦しくなりつつあります。また、「癒着がある場合、通常の組織に比べて血流が悪くなるので、栄養が行き届かず、着床し辛いのではないか」とも言われましたが、内膜も8から10ミリ程度あります。
 今の担当医は、体外受精を繰り返すしかないと言いますが、私と同じような患者さんにはどのような治療を行いますか?また、卵子の質は良いのですが、5個しか採れないのは少ないでしょうか?転院も視野に入れていますが、凍結胚が残り1つあるので、その胚は移植したいです。

 クラミジアによる卵管閉塞は、着床には直接影響はないと考えます。両側卵管閉塞に対する治療には体外受精がありますが、自然妊娠を希望する方には、全身麻酔下でカテーテルと呼ばれる細いチューブを経膣的に卵管内に挿入して閉塞部位を治療するFTカテーテルという選択肢もあります。奥様はクラミジア感染の既住がありますので、腹腔鏡も同時に行い卵管周囲の癒着が無いか確認することをお勧めします。これでも卵管閉塞が改善しない場合は、やはり体外受精の適応となります。
 採卵した卵子は5個でもそのうち4個が胚盤胞に発育していますし、採卵数は誘発方法によっても異なるため問題ないと思います。月経が規則的で基礎体温が二相性のため、自然周期での凍結胚移植をお勧めします。[2014年4月28日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:5回 人工授精:7回 体外受精:3回 
 6個採卵し、3日目に4分割〜桑実期胚まで分割した胚を、分割スピードが近いもの同士を2個ずつ、3本に分けて凍結しました。融解後は胚盤胞まで培養し、ホルモン補充周期で移植する予定です。
 分割が早い胚と遅い胚では、胚盤胞になるまでの時間を考慮して融解するタイミングもずらすべきなのでしょうか。

 3日目に4細胞〜桑実期胚ということですが、通常3日目では桑実期胚までにはなりません。4日目ではないのでしょうか。もし3日で桑実期胚であるならば、非常に良好な胚と考えます。
 移植する胚は、最も分割が進んだものを基準とし、最も発育のいいものを選んで移植するように致します。
 融解後、胚のスピードが遅くなるものがありますが、そのような胚は着床には至らないと思います。全ての卵子が受精し、同じスピードで発育することはまずありえません。採取した卵子のうち胚盤胞に到達するのは30%くらいだとお考えください。ですから、発育のスピードが異なるのは一般的です。最も分割が進み、発育のいいものを1個または2個移植することができれば、良好な治療内容だとお考えください。[2014年4月28日]
(院長:田中 温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回 
 先日、2年前に凍結していた受精卵を移植しました。移植後、培養士に受精卵のカラーコピーをいただいたところ、最終的に移植した受精卵には「一部変性」と書かれていました。その際に、一部変性についての説明がなかったことに驚きました。大丈夫だから移植したと思いますので説明がなかったことには触れませんでしたが、気になることが2点あります。
 (1) この受精卵で妊娠した場合、奇形児が産まれる可能性が高いのか?
 (2) 「一部変性」の受精卵でも妊娠の可能性はあるのか?

 一部変性という言葉の意味は「凍結した胚の割球の一部が戻らずに退行変性した」、すなわち死滅したということです。しかし、全ての割球が正常に戻らなくても三分の一近くが正常であれば、退行変性した一部分をカバーし、正常に発生する可能性も十分にあります。また、変性の状態が強い場合には妊娠に至りません。ですから奇形児との関係は全くありません。[2014年4月28日]
(院長:田中 温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:10回 人工授精:7回 体外受精:5回 
 ホルモン補充周期の凍結胚移植において、私の通院先ではプレマリンをD3〜6に朝1錠、D7〜10に朝晩1錠ずつ、D11〜判定日まで朝晩3錠ずつ服用しています。
 他院での方法を見てみますと、プレマリンの量は仮の排卵日あたりでピークとなり、その後は減らすことが一般的なようです。それに比べて、私のやり方では移植後の投与量が多いのではと思うのですが、多い分には特に問題ないのでしょうか?
 ちなみに、ホルモン値を測らない病院なので、数値を見て投与量を決めている訳ではなく一律でこの方法のようです。

 ホルモン補充周期による凍結胚の移植では、通常のホルモン周期と同じように投与するのが原則です。そのためには、エストロゲンは排卵に向けて増やしていきます。ですから一錠から始まり、二・三・四錠と増やしていくのが一般的でしょう。ただし、二錠で始まり途中から四錠、ないしは最初から三錠からなど、施設によって方法は異なります。よって、統一した方法はありませんが、理論的なのは増やしていく方法だと思います。
 内膜が大体10mm以上厚くなった時点で、黄体ホルモンを投与します。黄体ホルモンも様々な種類のものがありますが、大体一定量で開始し、投与し始めた2日後を排卵ないしは採卵日として計算し、移植日を決定します。黄体ホルモンを投与した時点で卵胞ホルモンはピークの半分の量で維持するのが一般的です。[2014年4月28日]
(院長:田中 温)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:2回 人工授精:2回 体外受精:4回
 今までに採卵2回(short 法、long法)と、顕微授精4回 (新鮮初期胚移植2回、凍結初期胚・胚盤胞移植) を行い、自然周期やホルモン補充周期で移植したりAHを施行したりしましたが、全て陰性判定でした。AMH:2.99で、毎回子宮内膜も良好で、男性不妊以外は特に問題は見つかっていません。誘発により7個程度の卵子が採取でき、5個程度受精するのですが、年齢の割には卵子の質がかなり悪く、グレードの良い胚盤胞まで育たないので、移植した胚もグレードはあまり良くありません。
 次回はアンタゴニスト法を行う予定です。現状のままグレードが上がらない、もしくは胚盤胞まで分割しないのであれば、何度移植しても難しいのでは?と感じています。アンタゴニスト法でも良好な卵子が得られない場合は、誘発をせず自然周期にする方が良いのでしょうか?何か違う誘発法はありますか?
 先生からは「若いから大丈夫」と言われるのですが、年齢の割には苦戦しているので、そろそろ夫婦2人の生活も考えないといけないとは思っていて、20代で諦めるのは悲しくてなりません。今後セントマザーへの転院を考えています。

 原因は、男性因子とのことですが、精液所見の詳細はいかがでしょうか。良好精子が確認できていれば良いと思います。
 最も大切なのは、成熟卵が採取できるか、また受精卵の分割・質であります。今まで2回の採卵は共にスプレキュア(GnRHアゴニスト)を使用しており、次回予定されているアンタゴニスト法は結果につながる可能性は十分あると思います。
 当院でも、月経直後のホルモンや胞状卵胞の状態によって、誘発法を考えております。諦めず、もしよろしければ受診されてください。患者様に適した誘発法を考えていきます。[2014年4月4日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:4回 体外受精:1回
 朝一でエコーを行った時はすでに排卵済みで、前日の夜から当日の朝までの間に排卵が起きたと仮定されました。この状況で3日目凍結胚を移植する場合の質問です。
 (1)移植日は、エコーの前日から数えて3日目とするか、または当日から数えるのかどちらが良いでしょうか。
 (2)もし前日から数えた場合、本当はエコー当日に排卵していたら、 3日目凍結胚を2日目に移植することになりますが、問題ないでしょうか。

 自然周期で排卵日を決定する方法は、経膣超音波で主席卵胞が変形、消失または黄体化している状態を確認することと、尿中LHの検査薬でLHサージのピークから24時間経過していることです。
 (1)ご質問の回答になりますが、エコー検査の2日前にLHサージがピークであった場合は前日に排卵したと考え、前日にピークであった場合は当日に排卵したと考えます。もしLHサージのピークがはっきりせず、排卵日の確定が困難な場合は血中プロゲステロンの値を測定することをお勧めします。
 また可能であれば、排卵日から3日目に凍結卵を解凍し、2日間培養を行い胚盤胞で移植することをおすすめします。
 (2)1日の違いで結果に大きな影響を与える可能性は低いと思いますが、お勧めはできません。[2014年4月4日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:8回 体外受精:4回 
 いつも1個しか採卵できず、過去には分割まで達したものの『SERC』が認められたため移植中止となったことがあります。そして、今回も採卵後「にSERCが有りますがどうしますか?」と言われました。症例が少ないので産まれてくる子供に異常が出るかの判断は難しいらしいのですが、やはりリスクは高いのでしょうか?

 「SERCがあると胎児異常のリスクが高くなる」との報告がありますが、これに対し、数多くの卵子を観察してSERCの有無と胎児のリスクについて検討すると、差がないという結果が出ております。心配されなくても結構だと思います。[2014年4月4日]

(院長:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:7回 体外受精:3回 
 融解後に胚盤胞まで培養した胚をホルモン補充周期にて移植したのですが、移植日が5回目の黄体補充の注射を打った日でした。注射以外での黄体補充はしていません。ホルモン値などを測って決めたわけではなく、毎回最初からそのスケジュールで組まれていました。
 色々調べてみると、黄体補充を始めた日を『排卵した日=0日』として、実質6回目の黄体補充をした日を5日目として移植するのが基本とあり大変ショックを受けております。私が今まで行ってきた移植方法は妊娠の可能性を低めてしまっていたのでしょうか。また、担当医師に次の移植は一日ずらして欲しい旨を伝えて良いものでしょうか。

 当院でも『排卵した日=0日』として、排卵日はなるべくずれないように注意しております。それでも排卵の日がはっきりと特定できず、移植日が1日ずれてしまうこともありますが、妊娠率・着床率に大きな差は見られません。
 月経周期が不順のようですので凍結胚をホルモン補充周期で移植しているようですが、ホルモン補充には黄体ホルモンと卵胞ホルモンの両方が必要です。卵胞ホルモンはどのようにして補充しているのでしょうか。
 黄体ホルモンの注射は、非常に効果的です。ただし、卵胞ホルモンがなければ着床には至りません。[2014年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:回 体外受精:10回 
 第1子の治療の時は中程度の刺激で誘発し、採卵3日後に移植し妊娠しました。
 現在出産後、生理が再開し半年が経ちます。以前は規則正しかった周期が長くなり、基礎体温も安定しません。
 早く治療を再開したいのですが、このまま第2子の治療に入る場合、凍結胚の移植はホルモン補充周期の方がいいのでしょうか?また、採卵からやり直す場合は1人目 と同じ誘発方法が良いのでしょうか。

 ご出産おめでとうございます。もう、断乳はお済みでしょうか。授乳されているようでしたら、乳汁を分泌するために必要なプロラクチンの血中濃度が高いために、月経が不規則となっている可能性があります。断乳を完全に行って下さい。断乳して2ヶ月後に始まる月経周期から治療が可能となります。
 もともと月経周期が規則的であれば、自然周期の凍結胚移植が可能となります。また、断乳しているにもかかわらず月経が不規則である場合は、一度ホルモンバランスに問題がないか血液検査を行うことをお勧めします。もし、ホルモンバランスが整っていない場合は、ホルモン補充周期での凍結胚移植を検討しましょう。
 採卵の方法は月経3日目の胞状卵胞数とFSH・LH・E2の基礎値をもとにして決めますが、一度妊娠された時の誘発方法を用いる可能性は高いと思います。[2014年4月4日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 アンタゴニスト法で誘発し、採卵16個に全て顕微授精を行って10個受精し、胚盤胞3個が凍結できました。
 その後の治療の流れは、8分割を移植したもののhcg:18で陰性、2回目の移植は凍結していた胚盤胞の内1個を融解して移植しましたが陰性で、子宮鏡検査でポリープが見つかったので抓爬手術を受けました。3回目の移植も残る凍結胚盤胞の内1個を移植しましたがhcg:10で陰性でした。
 胚盤胞が残り1個ありますが、毎回同じ方法で移植しているので妊娠する気がしません。先生の話では、何度も移植して上手くいくことを願うしかないといわれました。
 他の移植方法や検査すべき項目はないのでしょうか?また採卵からの治療となる場合、転院した方がいいでしょうか?

 あなたのご質問の内容を拝見すると、良好な治療だと思われます。しかし、胚盤胞といってもグレードが1〜6番までありますので、どの胚盤胞であるかが重要です。1番と6番とでは、着床率が大きく変わってきます。また、凍結胚移植はどの方法で移植していますか?月経が規則的で基礎体温が二相性の場合には、自然周期のほうが妊娠率は高くなります。そちらについても、検討されてみてください。[2014年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:7回 体外受精:3回
 転院を考えている不妊専門クリニックにお話を聞きに行ったところ、予約が詰まっているため早くて半年後の採卵になるので、日にちも今から指定して下さいと言われました。その日に採卵になるよう、薬で生理周期をコントロールしていくそうです。
 患者が多く、医師は一名しかいません。現在治療している所にまだ凍結胚があるので、一応予約だけ取っておいたのですが、薬で調整した不自然なタイミングで採卵を行うことに少し不安を感じ始めています。方法としてあまり良くないのでしょうか?

 長期間ホルモン剤で月経のリズムを作ってしまうと、卵巣が休んだ状態となるので、採卵周期に入って誘発剤を使用しても卵胞の発育がみられないことや質の良い卵子が育たない可能性があり、お勧めできません。奥様が治療を希望する時期に合わせてスケジュールを組み立てて下さる主治医を探してみてはいかがでしょうか。 [2014年4月4日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:12回 人工授精:2回 体外受精:1回
 ロング法で排卵誘発し、採卵23個、受精7個、胚盤胞4個となりました。自然周期では排卵が遅れることも多いため、ホルモン補充周期で5日目胚盤胞4AB、3BBと6日目胚盤胞4AB、5BBを凍結胚移植しました。しかし、4回とも陰性でした。
 胚盤胞が4個できたことを考えると、今回のロング法は私に合っているのでしょうか?ただ、結果が全て陰性だったので、また同じロング法を繰り返していいものか分かりません。凍結胚盤胞移植は妊娠率が高いと聞いていましたが、4回連続で陰性だったので落ち込んでいます。原因を調べるため、次回の採卵の前に何か検査をするべきでしょうか?
 また、ハッチングやシート法は、私のように何度も胚盤胞を移植しても妊娠しない場合に有効でしょうか?

 胚盤胞まで成長していますが4AB,3BB,5BBと、4AA,5AAまでなっていないことから推測すると、必ずしもとても質のいい胚盤胞とはいえないと思われます。 年齢32歳で卵胞数は23個と多くできていますが、ロング法以外の方法を試みていないようですから、GnRHアンタゴニスト法やクロミフェン+FSH法(隔日投与)などの方法を行ってみてはどうでしょうか。 ハッチングやシート法も着床の点から考えると、行ってみる価値は十分あるものと思われます。[2014年2月20日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:4回 体外受精:6回
 セントマザーに数年通院しています。毎回なかなかいい卵が採れず、数も少なめです。
 今までに新鮮胚移植4回、凍結胚移植2回行っていますが、全て陰性でした。凍結胚移植の時は胚盤胞と桑実胚を2個ずつ戻して、どちらも『いい卵』と言われていましたので期待していましたがダメでした。
 主人の精子の状態もあまりいい方ではなく、毎回顕微授精ですが、桑実胚や胚盤胞まで育ち、『いい卵』と言われる胚を戻してもダメなのは、私の方に問題があるからではと思い、今後どうしたら良いのか…今はもう絶望感でいっぱいです。
 内膜はいつも8mm前後と薄めです。自然周期戻しの方が妊娠率は高いというのは承知していますが、ホルモン補充も試してみたいと言う気持ちもあります。
 前回の凍結胚移植の時にモニターの病院で排卵の確認はされたものの、基礎体温が不安定で排卵後も体温が上がらなかったことが気になっていますが、そのような状態で移植をしても問題なかったのでしょうか?
 また、家庭や仕事の都合で遠距離通院が困難な状況になりつつあり、県内の病院への転院も考えております。その場合は今までの治療のまとめや紹介状等用意して頂く事は可能でしょうか?

 ご納得のいく結果が出せず、申し訳ありません。
 胚盤胞まで分割した胚を凍結胚移植できていますので、奥様の卵巣機能に問題はありません。月経3日目の胞状卵胞数、FSH、LH、E2のホルモン値を確認し、排卵誘発方法を検討しましょう。卵巣機能がどれくらいの年齢に相当するか、AMHの数値を検査することをお勧めします。
 月経が規則的で排卵が確認できているので、自然周期の凍結胚移植で問題ないと思いますが、卵巣からの黄体ホルモンの分泌が十分でない可能性があります。その場合は、移植時から黄体ホルモンを補充しておりますが、それでも効果が見られないようであればホルモン補充周期で凍結胚移植を行うことも可能です。ご来院される際に相談しましょう。
 転院を希望される場合は、治療経過について記載した情報提供書を作成させて頂きます。[2014年2月20日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 過去に3回ICSIをしています。1回目は2007年5月で移植後陰性、2回目の2007年8月では妊娠し、出産しました。第二子に向けての3回目の移植では2013年9月に移植し妊娠、9週目にて流産となりました。
 そして今回、2014年1月にICSIをする予定だったのですが、カテーテルが途中から入らず中止になり、融解したD3の凍結胚を再凍結しました。カテーテルは数種類で試みました。また、尿も溜まっていました。
 過去3回の移植の際にはスムーズに入っていたので、どうして今回だけ入らないのか医師も首を傾げていました。3回目からは4ヶ月しか経っておりません。
 そこで先生にお聞きしたいことが3つあります。
 1.前屈・後屈など子宮の位置は、体調等により変わるのでしょうか?
 2.結果的に凍結胚を融解して15分後くらいに再凍結したようですが、卵の質や着床率にはどの程度影響しますか?
 3.次回TMET法で移植する可能性があるとのことですが、その際の着床率やメリット、デメリット等ありましたら教えてください。

 1.子宮の位置は体調等により変わることがありますが、一般的には特殊なチューブを用いれば5分以内に入ると思います。しかし、非常に稀ですがゾンデが入らない場合には、子宮内カテーテルも入らない場合があります。
 2.再凍結胚は凍結胚よりも卵の質はかなり低下します。よって着床率、妊娠率も低下すると考えられます。
 3.TMET法は最後の手段です。どうしてもゾンデが入らない場合には経子宮筋層的に先端が鋭利な針を直接子宮腔内に刺入し、針の入ったカテーテルを子宮腔内に入れる方法です。着床率がかなり低下する点がデメリットです。また、1回でスムーズに入る確率はかなり低く、この際にはやはり患者様にはかなりの苦痛を伴います。軽い麻酔を打たれた方が円滑に進むかもしれません。 [2014年2月20日]
(院長: 田中 温)
年齢:28 基礎体温: 生理周期:不規則 タイミング法:7回 人工授精:1回 体外受精:1回
 先日顕微授精をして、フラグメントが多い受精卵が9個もありました。これは、卵子と精子どちらに問題があるのでしょうか?
 最近、IMSIやPICSIという精子の選別方法があることを知りました。もしフラグメントの原因が精子にある場合、より良い精子を選ぶにはこの方法が有効ですか?また、セントマザーではこの方法を使っていますか?

 卵子と精子、どちらに問題があるかは何とも言えません。6000倍以上の倍率で精子を確認して精子を選別するIMSI、精子のヒアルロン酸への結合能を利用して選別するPICSIという方法があります。これは、正常のICSIで選別するより、より厳密により良い精子を選別する方法ですが、正常のICSIと着床率、妊娠率には大きな変化はないという結果が一般的です。
 以上より、当院では運動率、形態で精子を選別するICSIを行っており、IMSIは行っておりません。フラグメントは、卵子の状態による可能性が低いので、誘発法を変えてみてはいかがでしょうか。[2014年1月31日]
(産婦人科医: 御木 多美登)
年齢:27 基礎体温: 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:1回 体外受精:回
 多嚢胞性卵巣症候群と精子欠乏症がわかり、初めてアンタゴニスト法(フォリルモンp+ 数種類のHMG)で顕微授精をしました。
 採卵数は13個、そのうち成熟卵11個は受精しましたが、3日目の時点でグレード1とグレード2の受精卵2つ、それ以外の9個はグレードが4または5の悪い状態でした。多嚢胞性卵巣症候群なので質が良くないとは思っていましたが、ショックでした。まだ移植はしていませんが、次の採卵のことで頭がいっぱいです。
 先生は次の誘発法はどのようにされますか?

 多嚢胞性卵巣症候群の場合は月経周期が不規則になります。多嚢胞性卵巣症候群にはアンタゴニスト法は良い方法だと思います。
 採卵数13個は理想的です。また、13個中11個受精ということは、受精段階としては非常に良好です。しかし、3日目の時点で良好な受精卵が2つというのは正常な胚の発生ではありません。採精と卵子の質が不良ということになりますので排卵誘発法を変えてみましょう。卵胞の発育法で、ピル服用10日目にスプレキュア(GnRHアゴニスト)の点鼻薬を20秒くらい繰り返すと質が上がることが報告されています。[2014年1月31日]
(院長: 田中 温)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:13回
 男性不妊とチョコレートのう胞のため、8年前から不妊治療をしています。
 先日、13回目の採卵を行うため、低刺激法で誘発して3個採卵して顕微授精し、8分割2個を凍結保存しました。今まで14回移植し、1度も着床したことがないですが、内膜の厚さはいつも大丈夫と言われます。今、通院している病院では必ずホルモン補充周期で移植します。
 不妊Q&Aでは「自然周期に移植を!」というのをよく見かけるのですが、その方が着床率は高いのでしょうか?高いのであれば、何がどう違うのでしょうか?年齢的にもそろそろ限界という気持ちがあり、次回の移植ではぜひ妊娠を願うばかりです。

 自然周期とホルモン補充周期での移植を比較しますと、間違いなく自然周期のほうが妊娠率は高く、流産率は低くなります。しかしこれは、月経周期が規則正しく、排卵の日時が正確に分かった場合に限ります。排卵時間帯が不明な場合にはホルモン周期のほうが良い結果になることもあり得ます。
 また、排卵しても高温相が10日未満だったり黄体機能が不十分な場合には、十分な黄体ホルモンの補充が必要となります。現在の年齢を考えますと、ホルモン周期のほうが良いかもしれません。
 しかし、一番大事な点は3日目で凍結した胚の状態です。いくら凍結胚とはいえ胚の質が良好でなければ着床に至りません。凍結することにより、かえって胚へのダメージが高くなることはありえます。
 3日目で凍結した胚は融解後、胚盤胞まで培養する方が良いと考えます。もし3日目で融解し、同日に移植して問題があれば、1〜2日さらに培養してみることでその胚の質が判断できます。胚の質が良好であれば胚盤胞にまで発育するでしょうし、不良な場合には胚の発育は止まったままとなるでしょう。以上の点を検討してみてください。[2014年1月31日]
(院長: 田中 温)
年齢: 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:10回 人工授精:1回 体外受精:回
 別の病院で、今月採卵予定です。
 生理4日目に受診しましたがFSHが高かったので、ピルを5日間飲むことと5日目からはエストロゲンのテープを2枚ずつ、隔日で貼るように指示をいただきました。12日目に受診した際にはセロフェンを1日1錠ずつと、1日おきにHMG注射(225単位)を打って、排卵誘発が開始となりました。その際、エストロゲンのテープは隔日で1枚になりました。
 しかし、誘発開始から2日後に生理が始まりました。次回は4日後に受診する予定なのですが、このまま排卵誘発などは続けていてもよいのでしょうか?

 月経4日目のFSHが高い場合には、ピル5日間の服用ではFSHを下げることはあまり期待できません。
 また、5日目からエストロゲンのテープを貼付するという指示はあまり一般的ではないと思います。まずはFSHを下げることにより、卵巣の機能を正常に戻すことが重要だと考えます。[2014年1月31日]
(院長: 田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 過去に6回も良好な胚盤胞(グレードは何れも3AA,4AA,4BA)を凍結胚移植しているにもかかわらず、着床したのは一度だけで、それもすぐに化学流産になってしまいました。良好な胚盤胞を移植しているため、受精卵の問題ではなく自分の子宮に問題があるのではないかと思っています。
 先日、子宮鏡検査をしたところ内膜が白く、鶏卵の卵殻膜のような薄くて白いヒラヒラとしたものがたくさん見えました。主治医は「次回の移植は内膜掻爬手術できれいにしてから行おう」と言っていますが、これは生理の時に排出されなかった内膜が蓄積したものでしょうか?なぜ子宮が白く、ヒラヒラとしたものが蓄積するようになってしまったのでしょうか?血の巡りが悪いのが原因でしょうか?どうすれば改善しますか?

 グレードの良好な胚盤胞を凍結移植したにもかかわらず、着床しないことは珍しくありません。原因は、胚の持つ能力を形態学的に判断するには限界があるということと、子宮内膜の問題の2つがありますが、原因はやはり胚の質の方がよりウェイトを占めると思います。
 特に、現在ほとんどの凍結はvitrification法 (ガラス化法)という簡便で誰もができる手法を用いており、不妊治療の成績向上に大きく貢献してはいますが、この凍結法の欠点として、見た目ほど着床率が高くないという点にあります。ですから、あなたと同じような思いで悩んでいるという方が、実は少なくありません。この現実を打破するための手段としては、1.胚盤胞ではなくて、その一日前の桑実期胚で移植する、 2.アシステッドハッチングまたは透明帯を全面除去、 3.凍結せず採卵周期で移植する、の3つが考えられます。
 子宮内膜の問題に関しては、もし今まで凍結胚の移植がホルモン周期で行われているのであれば、あなたは月経周期が規則正しいので、自然周期で戻されてはどうでしょうか。また、逆に今まで自然周期で戻されているのであれば、ホルモン周期で戻されてはどうでしょうか。さらに着床率を高めるために、子宮内膜の一部に傷をつけるということが報告されています。これは賛否両論で、未だその有意性については確認されていませんが、試してみる価値はあると思います。ただし、移植周期中の高温期、黄体期または、卵胞期の初期に子宮内膜に傷をつけるということです。[2014年1月31日]
(院長: 田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:4回 体外受精:2回
 前回初めての体外受精で飲み薬を使用して誘発し、変性卵1個と空胞数個のみという結果で戻せませんでした。
 今回ピルで整え、注射で誘発し成熟卵2個と未熟卵2個とれましたが、4個すべて多精子受精になり戻せませんでした。
 私の年齢ではまれなケースのようで、途方にくれています。何かよい方法はないのでしょうか?
 また、抗核抗体340でしたが、これはこの2回の結果と何か関係があるのでしょうか?

 体外受精で4個の卵子が全て多精子になった現象の原因は、1.卵子の質が低い、2.精子が卵子内に入る時期が遅い、の2通りが考えられます。
 前者に対しては、排卵誘発法を変えることをお勧めいたします。あなたの年齢で排卵誘発後の採卵数が4個というのは少ないと思います。あなたにあった排卵誘発法を見つけるには、月経3日目までの胞状卵胞の数と大きさ、E2、LH、FSHのホルモン値を参考にして排卵誘発法を決めることが重要です。それにより、質は高くなおかつある程度の数(目安としては10個程度)がとれるはずです。
 2番目に関しては、顕微授精をすることにより、精子と卵子の受精のタイミングがずれることを防ぐことができると思います。
 また、抗核抗体はあまり関係ないと思います。[2014年1月31日]
(院長: 田中 温)
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