回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.61 -
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:2回
 これまで採卵を2回行いました。AMHは7.9です。
 採卵1回目はOHSS回避のためクロミッドと注射で誘発を行い、卵胞数27個、採卵数7個(うち1個は変性卵)でした。精液所見が悪いため顕微授精をして、胚盤胞が1個(3AB)できたので、ホルモン補充周期で移植しましたが、陰性でした。
 採卵2回目は私の希望で採卵個数を増やすためアンタゴニスト法で誘発を行い、卵胞数50個以上、採卵数24個、体外受精で14個受精して9個凍結できました。凍結胚は、分割期胚が2個(グレード3)と5日目胚盤胞が6個(4BA、3AA、3AB、グレード1×2個、グレード2)、6日目胚盤胞(3CB)が1個です。
 不妊Q&Aや他のサイトの情報では、20個以上の卵胞ができた場合は卵子の質が低下するということをよく目にします。グレードが5や6の胚盤胞がなかなかできないので悩んでいますので、私も卵胞の数を減らせばグレードをあげることができるでしょうか?

 奥様は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因で誘発剤によりOHSSが起こりやすいものと思われます。2回目のアンタゴニスト法で卵胞数が50個以上となっていますが、また同じ誘発方法となると、卵巣への負担だけでなく血液濃縮による血栓症のリスクが高まるためお勧めしません。また、採卵数が多いからといって質の良い卵子が数多く得られるわけではありません。次回採卵する場合は、発育卵胞数を減らすためにクロミッド単独あるいはクロミッドとFSHまたはHMGを隔日で注射し発育する卵胞から採卵する低刺激法で排卵誘発することをお勧めします。[2014年10月11日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 36歳から不妊治療を始めました。現在仕事の都合で妊娠できないので、若いうちの卵子を使って凍結胚を増やすことを目指しています。1回目はショート法で誘発し採卵数8個、G1が1個、G2が2個、G3が5個でした。受精卵は6個で3日目に8分割胚を1個凍結し、残りは凍結できませんでした。
 凍結できる卵を増やそうと思いアンタゴニスト法に切り替えましたが、採卵数が2個と大幅に減ってしまいました。顕微授精を行ったものの1個しか受精せず、その受精卵も3日目に2分割にしかならなかったので、移植も出来ない状態でした。アンタゴニスト法は採卵数は減るが卵の質は良くなると聞いていたのでとてもショックです。アンタゴニスト法が私に合っていなかったと解釈してよいのでしょうか?
 次回も凍結を目指して体外受精を行う予定ですが、ショート法とアンタゴニスト法の落差があまりにも激しかったので、誘発法をどうすべきか迷っています。ショート法に戻した方がよいのでしょうか?それとも自分にあった誘発法を探して、別の誘発法を試すべきでしょうか?同じ誘発法でも、ストレスや体調によって凍結できる数が変動するのでしょうか?

 排卵誘発法で採卵される卵の数としては問題ありません。ですので、どの排卵誘発法を選択するかが非常に重要です。この目安は、月経3日目の胞状卵胞の数と大きさ、E2、H、FSHのホルモンの結果です。
 もし胞状卵胞の数が少ないようであればアンタゴニスト法は採卵数が少なくなるという不利な点があります。卵の質の点から考えるのであれば、あなたの場合はアンタゴニスト法では受精率も低下してますので、ショート法または低刺激の方が良いかもしれません。数だけではなく、質が問題です。また、アンタゴニスト法は何本、またいつから打つかということでもかなり結果が変わってきます。非常に強いお薬ですので、卵胞がかえって減ったり、縮んだりすることもありますので、充分に卵胞が成熟することが期待できるところまでアンタゴニストは打たないようにしています。これは言葉では言いあらわせないような難しいところがあります。最終的には、排卵誘発法は人によってどれがベストであるかというのはかなり変わってきますので、主治医の先生によく診ていただき決めていただいてください。[2014年10月11日]
(院長: 田中 温)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:回 体外受精:1回
 精子の運動率が悪く、濃度も基準値ギリギリまたはそれ以下で体外受精、顕微授精を同周期に1回行いました。
 その際卵は15個採れ、いずれもグレードは良いとのことでした。3個は体外受精で、残りは顕微授精でした。
 体外受精をした中の1個を 6日目胚盤胞で凍結し、顕微授精では4個受精しその内の1個を新鮮胚移植し妊娠に至りました。残りは破棄することになりました。
 その時1回目で妊娠できましたが、妊娠と同時に原因不明の卵巣膿腫(採卵時に何かあったのかもしれません) で卵巣摘出しましたが、なんとか無事に出産できました。
 今回凍結していた体外受精での 6日胚盤胞を戻すことになりました。
 体外受精では1回目で上手くいくことはまれで2回連続で上手くいくことはもっと稀だと思うのですが、女性に問題ない場合は体外受精であっても妊娠しやすいのでしょうか?

 1回目で妊娠して、卵巣摘出になったものの無事出産との事、本当によかったですね。
 精子の状態は中等度の乏精子症ですね。そのため、卵を体外受精と顕微授精に分けて培養したのですね。体外受精でも胚盤胞まで成長し凍結可能だったので、いい卵と思われます。したがって、凍結胚移植をしても十分に妊娠の可能性はあると思われます。卵の状態が胚盤胞といいのですから、妊娠率が高いものと思われます。[2014年10月11日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:39 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:20回 人工授精:0回 体外受精:2回
 39歳になり妊活をスタートして体外受精を2回しました。成熟卵がとれて、精子にも異常ありませんでしたが、ふりかけで2回とも受精せず失敗に終わりました。これはたまたま受精しなかったのでしょうか?それとも卵子の質に問題があったのでしょうか?他に原因があるとしたらなんでしょうか?
 また、卵を残さないために、ピルを服用して生理をおこしました。主治医からは「ピルを飲んだ次の周期は卵の成長が遅い」と言われ、D17でもまだ成長途中です。本当にピル服用後は卵子の成長が遅くなるのでしょうか?成長が遅い卵は、あまり良い卵ではないと思っているのですが、採卵しないほうがいいでしょうか?

 年齢が高くなると卵子の一番外側の透明帯が硬くなってくるため、精子が自力で入り込むことができず受精障害が起きていることが考えられます。次回は顕微授精することをお勧めします。
 ピルを服用した周期はホルモン剤の作用で卵巣を刺激するホルモンの分泌が抑制されるため、次の周期の卵胞発育もゆっくりになることがあります。しかし、成長が遅くても主席卵胞が20mm近くまで育てば成熟卵が採取できる可能性はあります。あせらずに頑張ってください。[2014年10月11日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:38 基礎体温:不明 生理周期:不明 タイミング法:10回 人工授精:7回 体外受精:3回
 day11夜まで、スプレキュア点鼻とフェリング・ゴナール注射を3、4回と続け、E2:3400、卵胞:最大18ミリで数は合計7つほどでした。次の日にhCG注射をして、day14で採卵予定でしたが当日朝の超音波検査で排卵済みと判明したため採卵キャンセルとなりました。
 これまでの3度の採卵では、数は最大7つですが凍結まで至る胚は常に1つか2つで、胚盤胞までいかないときもありました。今回E2の値により期待している自分がいましたし、せっかく痛い注射を繰り返したのに、このような結果で本当に残念です。day11の診察の時点では、day14の採卵がベストな選択だったのでしょうか?素人ながらに、day14で間に合うのかな?と少し心配したのも事実です。また、次周期は卵巣の為にもお休みしたほうがよいのでしょうか?

 スプレキュア点鼻を続ける事により、排卵は抑制され、自然の排卵の可能性は限りなく下がっているはずだと思います。卵胞の大きさや、E2の値を考えると、Day14に採卵したのは妥当と考えます。
 それなのに排卵したということですが、Day11までスプレキュアを使い、Day12にhCGを投与していますが、直前までスプレキュアは使っていましたか?もしDay11にスプレキュアを中止されているのであれば、当然排卵してしまいます。スプレキュアは、最後にhCGを投与する直前まで使用する必要があります。もしスプレキュアの使用方法に問題なければ、hCGの注射の時間の影響もあるかと思われます。hCGは個人差もありますが、注射をした36時間後に排卵をします。
 誘発法を変えてみるという選択も良いかもしれません。次周期に関しては、卵巣の腫れがなければ続けて採卵でもかまいません。[2014年10月11日]
(産婦人科医:御木 多美登)
年齢:36 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:10回 
 2年前から顕微授精を始めました。10歳年上の主人が、精子量が約0.2mlと少なく運動率も一桁の重度乏精子症の男性不妊のため、顕微授精をしています。
 実績のあるクリニックで採卵6回、移植を10回してきましたが、一度流産(16トリソミー)して以来9回陰性です。
 アンタゴニストによる誘発で卵子はたくさん取れるのですが、いつも受精率が3〜5割と低く、受精卵が出来にくく初期胚での移植ばかりです。先生にも「顕微授精で受精率はいつも8〜9割あるので珍しい」と言われています。一度だけ凍結した初期胚を融解後に培養すると胚盤胞になりましたが、それも陰性の結果でした。
 陰性が続いていたので不育症の検査を行い問題ありませんでしたが、染色体異常検査をしたところ、私は正常でしたが、夫の結果に、「9番長腕部が長い。正常変異と思われるがC-バンドでの検査が必要」との結果が出て、染色体異常と診断されました。
 この長腕染色体が長いことが原因で、受精率が悪かったのでしょうか?また、男性不妊の原因でもあるのですか?もう妊娠は望めないのでしょうか。

重度乏精子症と9番染色体長腕の異常は多少関係している可能性があるかもしれませんが、直接的にはあまり関係はないかと思います。染色体の長さは人種などによってもかなり差があるのが一般的です。染色体異常である16トリソミーは流産の中で最も頻度の高い異常ですので、これは今回のご主人の染色体異常との関係はありません。このまま治療を続けて結構だと思います。[2014年9月12日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:5回
 子宮筋腫、子宮内膜症(チョコレート嚢腫)、子宮腺筋症持ちです。5年前に子宮筋腫の開腹手術をしていますが再発し、今では筋腫が大きく子宮がボコボコしていると言われました。
 腺筋症により着床しにくいようで、今まで5回移植しましたが1度も妊娠に至っていません。卵の質はいいと毎回言われるので着床に問題があるのではないかと思っています。
 前回の採卵では卵が6個採れ、桑実期胚を3個凍結して、自然周期で2回移植しましたが妊娠には至りませんでした。
 今後の治療は今までと同じように凍結胚を自然周期で戻す治療法になるのでしょうか?他に方法はないのでしょうか?生理を薬で止めても、腺筋症にはあまり意味がないのでしょうか?
 金銭的にも精神的にも苦しく、助成金が今年までなので不妊治療をいつまで続けようか悩んでいます。

 度重なる治療でご苦労のこととお察し致します。
 子宮筋腫や子宮腺筋症などの疾患が着床の妨げとなっている可能性があります。しかし、桑実期胚を3個凍結できるまでの状態の良い受精卵ができておりますのでご妊娠になる可能性はあると思います。最大限お手伝い致しますので頑張っていきましょう。
 ホルモン剤で月経をコントロールすることで過多月経や貧血などの症状は緩和されても卵巣機能を高めることはできません。
 金銭的に治療継続が難しい場合は子宮卵管造影検査を行い、卵管通過性が問題なければ人工授精やタイミングにステップダウンすることも可能です。[2014年9月12日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:7回
 主人が白血病による骨髄移植の影響で無精子症となりました。骨髄移植の前に精子を凍結保存していたので、セトロタイド法で誘発し、顕微授精しました。その結果、凍結胚が3個でき、うち1個を胚盤胞移植して第一子を授かりました。5年前の29歳のときです。
 2年前から第二子の治療を再開して、余っていた2個の凍結胚盤胞を移植しましたが着床せず、また採卵から始めることになりました。
 前回と同じセトロタイド法で誘発を2回行い、1回目は空胞1個のみ、2回目は採卵15個で、うち凍結胚が3個できました。その後1個ずつ胚盤胞移植しましたが、すべて着床しませんでした。もう一度セトロタイド法で誘発して3個採卵し、今度は新鮮胚で1個移植しましたが、結果は変わりませんでした。
 医師からの薦めで、今年に入りホルモン検査や卵管造影検査を受けましたが特に問題なく、加齢の影響も考えにくいとのことです。その後の採卵も排卵済みだったり、初めてロング法を試してみるも採卵4個すべて空胞だったりでした。
 育つ卵胞が少ない、または空胞という状態が続いていますが、これは誘発法が合っていないだけなのでしょうか?凍結精子があるので転院はできませんし、大学病院なので担当医制ではなく相談することもできません。

 体外受精・顕微授精の成績は、排卵誘発法の選択で決まるといっても過言ではありません。採卵された卵の数・質によって妊娠するかが決まるからです。月経3日目までの左右卵巣内の胞状卵胞の数と大きさ、E2・LH・FSHのホルモンの結果で最も適した排卵誘発法を決めることが重要となります。もちろん、今まで行った治療の結果も参考となります。[2014年9月12日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:33 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:12回 人工授精:4回 体外受精:2回
 私は元々生理不順で数年間ほど毎月クロミッドを服用していました。結婚半年後、28歳のときに不妊治療を始めました。30歳のとき、顕微授精3回目にして初めて胚盤胞を移植し、妊娠、出産しました。 
 そして第二子希望のため、今年の1月に再度採卵から治療を始めました。21個採卵し、うち16個受精、胚盤胞になったのはたったの一個でした。その一個を先月AHAありで移植しましたが、妊娠には至りませんでした。BT11のβHCGが7でした。移植時の内膜の厚さは11mmで、医師からは充分な厚さだと言われており、着床しかけていたそうです。この場合、受精卵の質が悪かったということでしょうか?
 第一子のときも、8個採卵し、胚盤胞は1個だけでした。陰性だった顕微授精1・2回のときは、分割途中の桑実期胚と8分割を移植したので結果的に胚盤胞になるだけの生命力があったのかは不明です。AMHもそれほど悪くなく平均的です。
 いくら採卵でたくさん卵がとれても、胚盤胞にならなければ意味がないのではないかと落ち込んでいます。誘発はすべてロング法で行っています。この方法が合っていないという可能性はありますか?また採卵から治療を再開する予定なのですが、どの誘発法がよいでしょうか? 

 排卵する数が21個と多いことと年齢を加味すると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や月経周期3日目の胞状卵胞数が10個以上認められる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こりやすいタイプの患者様と思われます。質の高い卵が多く採れれば問題ないのですが、文面からは良い卵が少ないものと思われ、刺激法を選択することが難しい方だと思います。
 今後としては、ロング法でも前周期に1か月ピルを飲んで抑制をしたり、GnRHアンタゴニストを使用する方法や、あるいはFSH(HMG)を隔日投与する低刺激法を試されてもいいのではないかと思われます。[2014年9月12日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:32 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:7回 体外受精:4回 
 夫は中等度精子無力症で、私は腹腔鏡検査と子宮鏡検査では異常は見つかりませんでした。人工授精を7回して陰性だったので、体外受精を始めました。
 初回は150単位の注射を打ち続ける誘発を行いましたが、卵が変形したため治療中止となりました。その後すぐに次の治療へ入り、同じ排卵誘発で卵を7個採卵し、G1:1個・G2:3個・G3:1個の計5個を顕微受精して受精卵が3個できました。「いい卵ですよ」と先生から言われましたが、拡張期胚盤胞1個を採卵周期に移植し陰性でした。内膜は7.9mmでした。
 残った桑実期胚2個は凍結し、翌月に解凍しました。拡張期胚盤胞と胚盤胞まで分割した2個を自然周期にて移植しましたが、陰性でした。内膜は6.5mmでした。
 その翌月も治療を続け、同じ誘発方法で採卵5個(G2:2個・G3:1個・D:2個)、4日目に桑実胚盤胞1個と10細胞期胚1個の計2個を移植しましたが結果は陰性でした。内膜は8.9mmでした。
 「内膜が薄くて大丈夫ですか?」と院長先生に聞いたところ、「3mmでもできる」と言われましたが、原因が内膜でないとしたら何でしょうか?3回の治療に失敗し、とてもショックです。これからどんな治療をしたらいいですか?

 何度もつらい思いをさせてしまい申し訳ありません。今の状況を考えますと、ホルモン周期で凍結胚移植をされてみてはいかがでしょうか。
 確かに内膜は薄くても妊娠はしますが、やはり薄すぎるよりはある程度厚みがあったほうが、確率が高いのも事実です。それを考えると、内膜をしっかりと厚くできる、ホルモン周期での凍結胚移植されてみてはいかがでしょう。[2014年9月12日]
(産婦人科医: 御木 多美登)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:0回 体外受精:9回
 最近、どのような誘発方法を行っても発育卵胞が1個のみで、現在は自然周期での採卵を行っています。3回の採卵結果は(1)分割胚凍結(2)空胞(3)変性卵でした。
 今通っている病院では自然排卵を予防するため、採卵前々日夜のHCG投与後、採卵前日の午前中にもアンタゴニストを投与します。しかし、不妊Q&Aに「卵子の質に関わるので、アンタゴニスト投与後HCGを打つまでの時間は12時間以上とるようにしています」という回答があったので、私の治療に不安を持ちました。HCG投与後のアンタゴニスト投与は自然周期での採卵に適しているのでしょうか。

 通常の場合、アンタゴニストを打ってHCGを打つのが原則ですが、年齢が45歳を超えてくるとLHが高めとなり、HCG前にアンタゴニストを打っていても急激にLHが上昇し、排卵してしまうこともあります。恐らく、近医の先生はそのような状態を考慮して、採卵前日にアンタゴニストを打っているものと思われます。もし近医でLHの値が当日の早い時間に分かるのであれば、2回目のアンタゴニストを打つ前にLHを測ってみて、高ければ打つようにされてはどうでしょうか。[2014年9月12日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:4回 体外受精:8回
4年ほど不妊治療をしており、今までにいい受精卵を数回移植しましたが一度も妊娠はできていません。 AMHは0.16以下で、FSHは通常20〜30です。今はDHEAとプレマリンのお陰でD3のFSHは一桁を維持していますが、D3からセロフェン1日1錠を5〜6日服用するとFSHが40くらいまで急上昇し、卵胞も途中から育たなくなってしまいました。次回はフェマーラかプレマリンのみでの採卵を勧められたのですが、どちらがよろしいでしょうか? フェマーラは誘発作用が微量と聞いていますがフェマーラでもFSHに作用し、値が上がる可能性はありますか?また、プレマリンのみで採卵になった場合、D3からFSHが上がらなければ卵胞は育つのでしょうか? 41歳なので残されている時間はごくわずかだと認識しています。1周期でも無駄にしたくないので、少しでも私の体に合う誘発を選択できればと思います。

 低AMH、高FSHの方の排卵誘発は卵巣のホルモン剤に対する反応が低下する傾向にあり、私達も難渋しております。セロフェンは1日1錠で、卵胞発育がみられない場合は1日2〜3錠に増やし、月経3日目から35日間服用することをお勧めします。それでも効果が認められない場合にはフェマーラ1錠を5日間服用する方法やフェマーラ1錠を5日間とセロフェン2錠を5日間連続して服用する方法を行うことがあります。
 プレマリン単独だと外見上は卵胞発育が認められますが、空胞のことが多いのでお勧めしません。[2014年9月12日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 これまで自然周期で採卵2回し、分割胚が4個でき、そのうち3個が3日目に桑実期胚となりました。1個は6日目に分割が止まり、1個は新鮮胚で移植して陰性、1個は5日目胚盤胞で凍結しました。
 今後、5日目胚盤胞は凍結したままで採卵をしようかどうか迷っています。理由は、凍結した5日目胚盤胞は3日目朝には既に桑実期胚となっていたのに、胚盤胞になったのは5日目と、速度が安定していないからです。「3〜4日目までは分割のスピードは一定のほうがいい」との記事を読んだことがあります。分割スピードが一定でないと陰性になる確率が高いなら、高齢なので採卵を進める方がいいのかなと思います。
 3日目で桑実期胚になるような情報はあまりないのですが、妊娠する確率は低いのでしょうか?

 3日目で桑実期胚は一般的にはスピードは早めですが3日目の午前と午後では話が変わってきます。午前であれば、やはり少し早めでしょう。
 中止にならない場合は桑実期胚なのか、それともフラグメンテーションという同じような形態をとる退行変性なのか、区別をされてください。
 前日まで8細胞・16細胞と綺麗な分割であれば桑実期胚で間違いないでしょう。[2014年9月12日]
(院長: 田中 温)
年齢:31歳 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 37歳未満で、顕微授精5回目までで妊娠率が90%あるとの事でしたが、顕微授精1回につき3個移植した場合のカウントは1または3のどちらでしょうか?
 (2014年7月 第15回セミナーより)

 排卵誘発周期で採卵をして、胚移植をしたことを1回と数え、移植回数3回で3回と数えます。1回に1個移植しても、2個移植しても1回と数えて5回移植しての妊娠率となります。[2014年8月12日]

(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:28歳 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 胚移植の際に、なかなかチューブが入らず時間と痛みと出血を伴いました。手術時間と出血量は、着床率に関係しますか?
 (2014年7月 第15回セミナーより)

 子宮内腔のカーブがなめらかな患者様の場合、やわらかいソフトチューブがスムーズに入り移植も容易です。ところが、子宮内腔が子宮筋腫や子宮腺筋症等で塞がっている時にはソフトチューブが入らず、固めのハードチューブを入れての移植になります。ハードチューブがきちんと入り移植できれば、妊娠、着床率には問題ありません。
 子宮内腔から出血するようでしたら、着床率も下がりますので、次の移植の選択としては卵管がどちらかでも通っていれば、卵管への移植がよいでしょう。[2014年8月12日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:31歳 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 前回採卵した時はグレードIIの卵が12個とれました。主人の精子細胞と授精させましたが、移植してもうまくいかないだろうということでまた採卵をやり直します。
 精子細胞だと、精子を顕微授精させるよりも移植まではなかなかうまくいかないものなのでしょうか?
 また、ホルモン剤の影響でイライラすることが増えますが、採卵に影響しますか?
 (2014年7月 第15回セミナーより)

 精子が卵子の中に入ると、精子由来の物質が卵子を活性化して受精が起こり、割球の分裂が始まると考えられています。精子細胞の中には卵子を活性化させる作用が弱いものも含まれますので、電気刺激や薬剤を用いて活性化を促す方法を取り入れ、精子細胞における治療の向上を目指しています。
 卵子の質が良好であることも大切です。この治療で元気なお子さんを授かった方がいらっしゃいますので、諦めずにがんばりましょう。
 ホルモン剤を続けて使用しても、月経開始時は胞状卵胞数やホルモンの基礎値に異常がなければ、採卵することは可能で、卵子の質に影響を与えることは少ないと思います。
 治療が長く続くと精神的にきつくなる時があります。適度な運動や趣味を楽しむことにより解放されることもありますので、試してみてください。[2014年8月12日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
 年齢:32 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:3回 人工授精:2回 体外受精:3回
 以前はクロミッドなどで反応していたのですがここ数ヶ月で効かなくなってしまったため、生理3日目に血液検査をしたところ、FSHとLHのホルモン値がほぼ0に近い状態でした。そこで注射での治療が必要だと言われ、毎日フェリングを打っています。
 (1)このような場合、もう自力でホルモン値が回復することはありえないのでしょうか?AMHの値がとても低いのですが、それが影響しているのでしょうか?
 (2)注射を打っても成長が遅くなかなかいい卵ができないのですが、それはホルモン値とは別の原因が考えられるのでしょうか?
 (3)毎月治療を続けているのですが、お休みした方がいいのでしょうか?  

 FSH・LHは脳下垂体前葉から出るホルモンです。この値がほぼ0ということは、脳下垂体の機能が低下しているということです。何か脳の方に問題はないでしょうか?目が見えにくいとか、転んだりとかはないでしょうか?その場合には、プロラクチンというホルモンの値を測る必要があると思います。脳下垂体に腫瘍ができたりなどの症状がない場合には、脳下垂体性の無月経ということになります。本来ならば、FSHを投与すれば反応してくるはずですが、それでも反応しない場合にはFSH・LHを分泌する更に上位のホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を投与すると効果があるかもしれません。いずれにしても、かなり詳しく診断する必要があるということと、治療には時間がかかることを十分にご理解されて、この治療に詳しいドクターと巡り合うことが重要だと思います。[2014年7月2日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 42歳からレスキュー顕微で3回体外受精をしました。D3の値は毎回FSH:4.2〜5.0、LH:2.5〜4.0、E2:48〜68です。
 1度目:アンタゴニスト法(r-FSHのみ)で誘発して4個採卵し、4分割胚を1個移植(フラグメント5%以下)。
 2度目:ショート法(r-FSHのみ)で誘発して3個採卵し、4分割胚を2個移植(フラグメント20%)。
 3度目:HMGフジを1800単位使用して8個採卵し、グレード4の3日目7分割胚を2個移植。他の受精卵は「すぐに超速度で分割(?)してしまった」とのことでした。
 3度の治療で9ヶ月経っているので、当然卵子の質が落ちてくると思っていましたが、薬が変わった為かと疑問があります。採卵数が増えたため、次回もショート法(HMG使用)で採卵予定ですが、r-FSHとHMGでは卵子の質に差が出てくるのでしょうか?

 月経3日目のホルモン値は問題ありませんので、奥様に合った排卵誘発方法を選択することで、発育する卵胞数や卵子の質が改善する可能性はあると思います。
 ただし、40歳以上の場合には、どのような排卵誘発法を使っても、あまり差はでません。また、リコンビナントのFSHとHMGでも卵子の数には差が出ないというデータが出ております。
 HMGはFSHとLHが混合したホルモン剤で、r-FSHに比べ卵巣への刺激が強くなります。発育する卵胞数もこのことが反映されています。3度目の治療では卵子は比較的多く採れましたが、1個を除いておそらくフラグメンテーションの多い胚となってしまったと考えられ、必ずしも適した方法とは言えません。HMGを使用したアンタゴニスト法、クロミッド+HMG隔日の低刺激法を考えてみてはいかがでしょうか。[2014年7月2日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:2回 
 海外で体外受精をしています。子宮後屈でPCOSですが生理は規則的にきます。
 昨年9月に1回目の採卵後、OHSSになったので移植を翌々月に延期し、卵巣の状態を戻してから移植に臨みました。しかし、移植したその日にひどい下痢と1回だけ嘔吐したため、先生に聞いたところ治療とは関係がないとの回答でした。翌日には良くなりましたが結果は陰性でした。
 そして今月に2回目の採卵で6個採れ、2日後に移植を行いましたが、移植したその日に下痢になり、翌日は平気でしたが移植後2日目もひどい下痢をしました。
 まだ移植は2回しか経験がありませんが、毎回移植直後に下痢が起こっているので何か関係があるのでしょうか。

 まず、月経が規則的であればPCOSとは言いません。PCOとPCOSとでは全く違いますので、間違わないようご注意ください。ただし、どちらも排卵誘発法に対し過剰に反応します。PCOSの場合は腹腔鏡下のドリリングという方法が非常に効果的です。しかし、PCOの場合にドリリングをしますと、卵巣の中の卵が減ってしまい、卵巣機能が低下しますのでご注意ください。
 下痢と嘔吐は、恐らく使用したホルモン剤の影響かと思われますが、1日だけで良くなるということは普通ないので、はっきりしたことがわかりません。お薬を少し検討してみてはいかがでしょうか。[2014年7月2日]
(院長:田中 温)
卵子の質の低下は誘発方法に原因があるのでしょうか
 年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 2人目不妊のため他院で治療中です。1人目はICSIで妊娠、出産しました。
 2人目の治療を再開してしばらくは受精卵ができて胚盤胞までいくつか育ちましたが、いずれも妊娠には結びつきませんでした。ここ2年ほどは4回採卵しましたが、1度も移植できていません。誘発方法も、先生の指示でロング法からショート法や今回のアンタゴニスト法などに、注射の種類も変えながら試しましたが、全く効果がありません。採卵数はだいたい5〜9個で、今回は8個でした。
 主人が乏精子症のため精子の状態(運動率・奇形率)はよくないので、毎回カルシウムイオノフォアで刺激してもらっていますが、他の不妊Q&Aからすると卵子の質が悪いなら効果はないように感じます。
 主治医の先生は「卵の質が悪かったなあ」、「これはもういい卵が採れるタイミングの問題だね」と言いますが、毎回タイミングが悪いと言われてもどうしていいのか分からなくなります。またホルモンの値は、前周期D2はFSH:9.16、E2:20以下、今周期D2はFSH:12.2、E2:36.5と、良いのか悪いのかも先生の様子からは分かりません。AMHの検査も受けてみたほうがいいのでしょうか?
 次回の治療もアンタゴニスト法で行くようなのですが、質が変わらないならショート法やロング法でもいいのではと思ってしまいます。誘発方法を変えてもうまくいかない場合は、他にも問題が考えられますか?  期限を決めての治療で、残された時間はあまりないので後悔しないよう最善を尽くしたいと思っています。

 あなたの年齢で採卵数5〜9個ということは卵巣の反応が良好で、非常に有利です。しかし、採れた卵の数ほど卵の質が良好でないことは、ある程度卵子の老化に原因があり、避けることができない生理現象です。
 カルシウムイオノフォアはどちらかというと卵子側ではなく、精子側に問題がある場合に卵子を活性化する意味で効果がありますが、卵子の質に問題がある場合にはほとんど効果がありません。私たちは、このような場合の治療法として、卵子の質を改善する細胞質置換を現在検討しております。まだ臨床の段階には至っておりませんが、将来有望な治療法だと考えております。[2014年7月2日]
(産婦人科医:御木 多美登)
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