回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.62 -
いきなり注射を打つ排卵誘発法でも、問題ないのでしょうか?
年齢:39 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 高齢の為、自然妊娠はまず無理だということで初めての治療を体外受精からスタートしました。ロング法を行い、6個採卵できましたが受精しませんでした。
 現在2回目の体外受精に挑戦中です。1か月お休みし、生理3日目で受診しました。前回はピルの服用、点鼻薬→注射の流れでしたが、今回は受診当日に、いきなり注射から始まりました。ピルや点鼻薬を使わず、HMG注射またはFSH注射だけで採卵まで行うのは問題ないのでしょうか?前回は夫婦で抗生物質を飲みましたが今回は抗生物質も飲んでいないこともあり、とても不安です。

 前周期からピルとGnRHアゴニスト(スプレキュア・ブセレキュアなど)の点鼻薬で調節し、次の周期に排卵誘発するロング法は、前周期のホルモン剤の作用で過剰な卵胞の発育を抑制することを目的とします。そのため年齢が34歳以下の比較的若い方で胞状卵胞数が多く、排卵誘発により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性が高い方に選択します。この誘発方法は残念ながら奥様には合わなかったものと推測されます。
 月経3日目からHMGまたはFSHを連日注射し、卵胞発育を促す方法は次の治療の選択肢として問題ないと思います。排卵誘発により卵胞発育が良好な場合は、HCGを注射する前に排卵を抑えるためのGnRHアンタゴニストというホルモン剤を注射するアンタゴニスト法をお勧めします。
 抗生剤は排卵後の感染予防のために処方するのが一般的であり、治療に入るごとにご夫婦で服用することはありませんのでご心配いりません。[2015年7月11日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:41 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回 
 海外在住です。当地の施設で治療を受けております。男性不妊(閉塞性無精子症)のためIVF-ICSIでしか方法がありません。幸い、初回の顕微授精で妊娠し、38歳で出産にいたりました。
 現在第2子を希望しており、この1年強で顕微授精3回、凍結胚移植2回を行いました。
 1年前(40歳の時)、Day3の血液検査の結果はFSH:11.2mIU/mL,Estradiol:14.5pg/ml,AMH:1.5ng/mlでした。この数値は私が37歳の時に測った数値とあまり変わっていないとのことです。
 第2子の治療は、初回は第1子と同じLong Lupron法を受けてoversupressionとなり、2個採卵できましたが2個とも受精しませんでした。
 その後の2回はEPP-Antagonist法で、FSH剤(Gonal-F)を朝晩225IUずつ、14日前後注射し、トータルで5850IU前後打ちました。Slow Responderのため、エストロゲンはFSH剤を打ち始めてから9日前後でやっと470前後となり、採卵前日には3300前後まであがりました。採卵は9個前後で、正常受精して分割が進んだ胚は2〜4個でした。凍結してからの胚移植も2回行いました。陽性判定が2回出ましたが両方とも6週目で流産となりました。胎嚢確認後、心拍を確認する前の初期流産です。
 培養士によると、「9個採れても第二減数分裂中期の成熟卵(M2卵子)の数が少ない」とのことでした。M2卵子の数は、正常受精した数だけしかなかったということです。
 凍結胚をすべて使い切りましたので、また新たに採卵から始めないといけません。EPP-Antagonist法は、その前に行ったLong Lupronよりも多くの卵子を採卵できたので治療方法としては間違っていないように思いますが、M2卵子の数を増やさなければならないと思います。
 M2卵子の採卵数を増やすには、どのような方法が効果的だと思われますか? Long-Lupron法とEPP-Antagonist法以外では治療を受けた事がありません。

 奥様の経過を見ますと、Long法は抑制が強いためお勧めしませんが、アンタゴニスト法の結果は決して悪くありません。もし次に採卵を行う際は、やや刺激が強めのShort法を考えてみてはいかがでしょうか。
 2回初期流産を繰り返していますので、抗リン脂質抗体症候群や抗核抗体のスクリーニング、ご夫婦の染色体検査を行い、流産を繰り返す原因の検査をされてみてはいかがでしょうか。その結果をもとに適切な流産予防を行うことで、生産となる可能性は高まると考えられます。[2015年5月27日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:6回 体外受精:2回
 アンダゴニスト法で2度採卵しました。
 1度目は19個採卵、成熟卵17個、正常受精12個で5日目に桑実期胚を新鮮胚移植しました。6日目まで培養した胚は胚盤胞2BCが2個と2CCが3個となりました。なお、洗浄前のSMIは32でした。
 2度目はフェマーラを併用し、IVFとICSIを行いました。 11個採卵、成熟卵10個、IVF:5個中2個正常受精で5日目桑実胚1個、ICSI:5個中4個正常受精で5日目胚盤胞2個(2BC・1CC)でした。ICSIでの5日目胚盤胞2個を新鮮胚移植しました。なお、洗浄前のSMIは31で、生理3日目のホルモン値は E2:65、LH:6.31、FSH:8.28、AMH:3.5でした
 胚盤胞となっても、初期〜中期胚盤胞でグレードも悪く、現在の病院からは転院や養子を勧められています。グレードがイマイチなのはどの様な原因が考えられるでしょうか。また、20年前に盲腸の破裂から腹膜炎になっており、卵管の癒着があります。子宮にも癒着などの影響はあるのでしょうか。

 排卵誘発剤により成熟卵が採卵できており、胚盤胞まで分割が進む受精卵が育っていますので、卵巣機能は正常と思います。腹膜炎や卵管の癒着は卵巣機能や卵子の質に影響するものではありません。
 胚盤胞まで発育するのにグレードが良くならない原因の一つとして考えられるのは、この排卵誘発法が奥様に合っていない可能性があります。月経は規則的ですので、採卵の前周期の高温相からGnRHアゴニスト(スプレキュア・ブセレキュアなど)の点鼻を使用して月経を起こし、5日目よりHMGまたはFSHと点鼻薬を併用しながら投与し、採卵を行うGnRHアゴニストLong法をお勧めします。
 ご妊娠する可能性は十分にあると思います。諦めずにがんばりましょう。[2015年5月27日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
 年齢:43 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:3回 人工授精:回 体外受精:8回 
 多嚢胞性卵巣症候群で、卵管は右が通っておらず、左も狭窄のため、39才から体外受精を始めました。体外受精5回の内3回妊娠反応があり、5回目の41才の時に第1子を授かりました。40才の時に凍結した胚を使って42才から第2子のための治療を始めましたが、3回失敗しました。3回目は採卵周期で透明体を開孔しましたが、黄体ホルモン不足で出血しました。
 今後の治療のことで迷っています。以下の3点についてご回答をお願いします。
 @40才時点の凍結胚 3CB 、43才時点の凍結胚 3BB、5BCのどれから移植するか迷っております。3CBのCについて、AやBの場合よりも胎児の障害率が高くなると聞いたのですが、本当でしょうか。
 A過去のご回答で体外受精の間隔について2ヶ月あける、とありますが、これは、高齢の場合でも同じでしょうか。現在の病院では連続してもよいといわれましたが、自己判断で1ヶ月あけています。ですが、高齢のため、間隔をあけることに焦りを感じています。
 B他院に凍結胚が3つある状態なのですが、セントマザーへの受診を考え始めました。3月に採卵、移植したばかりなのですが、採卵はどのくらいあけたほうがよいでしょうか。また、2月時点でLH:2.9、FSH:4.8、E2:25、AMH:3.37、採卵当日のhCG:1500でしたが、私のような状態で体外受精より妊娠率の高い方法はありますか?

 @3つの胚盤胞はどれもあまり質が良くないようです。ですので、全て融解して移植した方がいいのではないでしょうか。胚の状態と胎児の障害とは直接因果関係がありません。胚の状態が悪ければ妊娠には至らないからです。
 A採卵した卵の数が少ないのであれば、一か月間隔でも大丈夫です。
 BあなたはAMHが非常に高いので、十分チャンスがあります。やはり体外受精ないしは、卵管内移植が良いと思います。[2015年5月27日]
(院長:田中 温)
 年齢:30 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:5回 人工授精:回 体外受精:回 
 夫がEDになったので精液検査をしたところ、重度の精子減少症が発覚しました。(精液量:5ml,精子濃度:6×10の6乗,直進運動精子率:1~2×10の6乗,正常形態精子率:30%)
 医師からは顕微授精でしか妊娠する方法はないと言われております。インターネットで調べたところ、精子自体の状態の劇的な向上方法や治療法は無いとありました。この数値で顕微授精での妊娠は無謀でしょうか?
 子供を授かりたいと考え始めてからの数か月でこのようなことが発覚し、不安な毎日です。

 顕微授精は精子を卵子の中に注入させ受精させるものですので、理論上は卵子1個に対し、良好精子が1匹いれば妊娠、出産は可能です。
 今の状態であれば、顕微授精での妊娠、出産の可能性は十分にあります。ですので顕微授精をされてみてはいかがでしょうか。[2015年4月7日]
(産婦人科医: 御木 多美登)
 年齢:34 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:5回 人工授精:回 体外受精:回 
 子供が4人います。避妊目的のため、3年間中用量のピルを服用していました。子作りを開始したくピルを止めてタイミング法を試していたのですがなかなか妊娠しなかったため、婦人科にかかったところPCOSだと診断されました。月経不順、無排卵という状態でした。
 クロミッドを使用し卵胞は成長しましたが、子宮内膜が5mmと毎月厚くなりません。クロミッドは1度しか使用していません。ピルを服用し始める前はしっかりと厚くなっていたのですが、ピルを止めて5ヶ月経っても、内膜は厚くなりません。
 PCOSは仕方ないのですが、内膜が厚くならないのはなぜでしょうか?時間が経てば元に戻りますか?

 クロミッドは排卵誘発効果は高いですが、内膜が厚くならなかったり、月経量が少なくなることがあります。しかし、排卵誘発剤をやめてしまうとまた無排卵や月経不順になると思われます。セキソビットという誘発剤はクロミッドに比べて誘発効果は弱いですが、内膜の厚みが保たれる傾向にあると考えられます。次回はこの方法を試してみてはいかがでしょうか。それでも効果がなければ、フェマーラというお薬を試してみてください。[2015年4月7日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:43 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:5回 人工授精:8回 体外受精:1回 
 2年程前から治療をしております。半年前に体外受精へのステップアップを希望するも、筋腫のある左側ばかりで排卵をしているため位置的に採卵はできないそうなので、人工授精に切り替えました。生理不順がありカウフマン療法を2回ほどしました。
 今回も生理がこなかったので、病院を受診したところ、「右側で自然に排卵している」とのことでした。初めて採卵をすることになりましたが、1つは空胞で2つは変性卵でした。
 この先いつ右で排卵するかもわからず、しかも採れても変性卵かもしれないと思うと絶望的です。この年齢で質のいい卵ができる可能性は、この先あるのでしょうか?

 今回の採卵で変性卵しか採卵できなかったのは、カウフマン療法によるホルモン剤の作用で見かけ上卵胞が育ったように見えたものを採卵したからである可能性があります。良好な卵子を採卵するには、月経3日目までは胞状卵胞数とホルモンの基礎値(E2・LH・FSH)を計測し、奥様に合った排卵誘発法を行うことが一番良いと思われます。
 良い卵が育つ可能性はあると思います。諦めずに頑張っていきましょう。AMHは卵巣の予備能を評価するための参考としていますが、必ずしも今の卵巣の状態がわかるわけではありません。卵巣は正常に機能し、排卵が規則的に起こっているにも関わらずAMHが低い場合もあります。
 AMHが低い場合、数年後に卵巣機能が低下する可能性があると推測されるため、若い方にも卵巣の状態が良いうちに少しでも良い状態の卵子が採取できるよう体外受精をお勧めすることがあります。
 AMHは1年経過したところで値が大きく変化することはありませんので、再検査は必要ないと思われます。まずは卵巣の状態が良いうちにご妊娠されるよう、お手伝いさせて頂ければと思います。[2015年2月26日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
 年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:3回
 はじめての治療では、生理3日目の血液検査でプロラクチン値が少し高かった為、カバサールを週1と、排卵誘発のためにセロフェンと、注射を2回し、採卵2日前に点鼻薬を使用しました。7つ採卵でき、すべて体外受精で受精してグレード2の、3日目9分割を新鮮胚移植し、3日目8分割2つを凍結しました。
 移植時と移植後4日目にhcgとプロゲステロンの注射を打ち、移植して一週間後の血液検査でP4が120、E2が3000でした。基準値よりかなり高くて驚きましたが、「年齢が高くなければ良い数値だ」と言われました。お腹の張りは少しありましたが、痛みはありませんでした。妊娠判定は、陰性でした。
 その後1周期あけて、2回目の治療では凍結胚を2つ移植しましたが陰性でした。その際の移植して1週間後の血液検査の数値はP4が8、E2が400と、1回目のときよりも低かったです。
 3回目は、2回目の移植後に休まずに行いました。1回目と同じくカバサールとセロフェンで、注射を1回のみにして採卵しました。5つ採卵でき、3つ受精しました。2日目4分割を新鮮胚移植し、1つは成長が遅く、もう1つは桑実期胚で分割が止まりました。移植して一週間後の血液検査ではP4が48、E2が3000と1回目のように高く、結果は陰性でした。
 採卵した周期の移植一週間後の血液検査でP4とE2の値が高いのですが、このような数値で着床はできるのでしょうか?採卵した周期の移植は避け、全部凍結して次の周期で移植した方が妊娠率は上がるのでしょうか?

 採卵周期の新鮮胚移植と凍結胚移植で胚移植されてこられたのですね。
 まず、新鮮胚移植ですが、受精卵を凍結する必要はありませんが、採卵のために行う排卵誘発によって卵巣に腫れが残りE2が高値を示すことや薬の影響で内膜が薄くなることがあり、子宮が移植に適さない環境になることがあります。凍結胚移植は、自然排卵をみる自然周期とホルモン補充周期があります。どちらも子宮内膜を着床時期の状態に調整していきますので、子宮内は移植に適した環境に近くなります。現在凍結技術は上がっており、凍結可能な胚は良好胚であるので凍結胚移植の着床率、妊娠率は高くなっております。[2015年2月26日]
(産婦人科医:山口 貴史)
 年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:回 体外受精:回
 夫が無精子症と診断され、MD-TESEを受けましたが精子が全くいませんでした。細胞検査をしたところ、精母細胞は見つかったのですが分化はしていないと言われました。FSHとLHのホルモン値が高く、睾丸が小さく萎縮しているようです。
 治療法は無いと言われましたが、精母細胞での妊娠はできないのでしょうか?私たちが赤ちゃんを授かる方法はないのでしょうか?

 精母細胞から児を出産することは理論的には可能ですが、現実的にはまだ成功例はありませんし、おそらくこれからも不可能だと思います。2回の減数分裂を人工的に行わせなければならず、そのためにはかなりのリスクを伴うと思われる事が理由として挙げられます。しかし、精母細胞がいるのであれば、精子細胞がいると思われます。精子細胞であれば卵子と受精できるので出産に至る可能性が十分にあります。
 当院でMD-TESEを受けて詳しく調べてみてはどうでしょうか。細胞の見つけ方、凍結の方法など20年に渡り研究し、継続して精子細胞で出産例を報告しているのは世界でもセントマザーのみと評価されております。よろしければ一度来院されてみてはどうでしょうか。
 なお私は月に1回、第3木曜日に東京でカウンセリングを行っておりますので、関東圏にお住まいでしたらぜひ一度お訪ね下さい。場所は、都営新宿線大島駅前の江東病院です。ご希望の場合には、セントマザーへ予約をお取りください。詳しい内容は、当院ホームページに掲示しておりますのでご覧下さい。[2015年2月26日]
(院長:田中 温)
 年齢:30 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 今まで凍結胚盤胞移植を3回行いました全て陰性でした。3回とも内膜の厚さも10mm以上と充分で、ホルモン値も問題なく、グレードも4AAなどの良好な5日胚盤胞でした。また3回目の移植時には、前周期に子宮鏡検査と、着床率が3倍になると聞いたので内膜に傷をつけて移植しました。子宮鏡検査、組織診ともに異常ありませんでした。
 まだ10個の良好胚盤胞が残っているのですが、2個同時移植を考えています。年齢や良好胚盤胞であること、3回とも完全な陰性であったことを考えると、2個移植するにはまだ早いのでしょうか?

 日本生殖医学会の「多胎妊娠防止のための移植胚数ガイドライン」において、「多胎リスクが高い35歳未満の初回治療周期では、原則として1個に制限する。なお、良好胚盤胞を移植する場合は、必ず1個移植とする」と定められています。そのため、原則的に奥様のご年齢で良好胚盤胞を2個移植することはできません。
 凍結胚移植は自然排卵後に移植する法方法が良好と考えられます。月経は不規則との事ですが、一度試してみてはいかがでしょうか。[2015年2月26日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
 年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:7回 体外受精:1回
 7、8月は自然周期でE2の値が悪くキャンセルになりました。
 9月は生理開始からプレマリンを1回2錠/1日2回服用し、D12の血液検査でE2が130だったため、プレマリンを1回4錠/1日2回に増量するもD18でE2は139までにしか上がらず移植キャンセルとなりました。内膜は、8.4ミリ位です。
 今周期は薬をかえて1日4錠ジュリナを服用していましたが、D11にして内膜が6.8〜7.3ミリ位しかないため、ジュリナを倍の量服用することになりました。また1週間後に診察です。内膜が薄いため今回は血液検査を行っていません。
 ホルモン療法にも関わらず、今回も移植キャンセルになるのではないかと心配です。ここ最近、胃腸の調子もよくなく、お腹を壊してしまったこともありました。こんなにも薬が効かないということは、何か他に原因が考えられるのでしょうか?あるいは、治療方法を変えた方がよいのでしょうか?

 自然周期の際のE2はどの時期で採血されていますか?月経が規則的で基礎体温が二相性の場合、排卵時に計測すれば200〜300 pg/mlくらいの値が出ることもありますので、100〜150pg/mlでも自然周期で問題ないものと思います。あなたの場合は自然周期での移植をおすすめします。
 ホルモン補充を行う場合は卵胞発育が抑制されるため、エストロゲン製剤を十分に使用し、エストロゲンの血中濃度を上昇させる必要があります。
 血中エストロゲン濃度は、プレマリン<ジュリナ<エストラーナ貼付剤の順で高くなると思います。プレマリンは1日3錠、ジュリナなら1日6錠に増やすなどし、エストロゲンの血中濃度を上昇させ、子宮内膜の肥厚を促すことをお勧めします。これでもエストロゲンが低いようでしたらプロギノーバ(輸入剤)がいいと思います。最高でも8錠まででしょう。胃腸障害が副作用として出やすくなります。[2015年1月21日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
 年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:6回 体外受精:3回
 先日体外受精にて、透明帯奇形といわれた受精卵を桑実胚まで培養し移植をしました。結果は妊娠判定陽性が出たのですが、この「透明帯奇形」というのは先天性の病気の原因になるのでしょうか?

 透明帯奇形と言う言葉はあまり一般的に使われておりませんが、おそらく透明帯の状態が堅いか、薄いか、色が悪いか、ということではないでしょうか?透明帯の作用は本来卵を守ることなので、妊娠したのであれば問題ないと思います。また胎児の異常とは関係ないと思います。[2015年1月21日]


(院長:田中 温)
 年齢:32 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不明 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回 
 顕微授精を行い、前核が確認できなかったグレード4AAの胚盤胞を移植し、去年男児を出産しました。出産できたことから、核が確認出来なかったのは、染色体異常ではなく分割が早かったためだったと理解しています。
 今年二人目を考え採卵したところ、3つの4AA 5日目胚盤胞ができ、そのうち一つは前回と同じく核が確認出来なかったということです。先日核が確認できた胚盤胞を1個移植しましたが着床すらしませんでした。
 前回の成功はかなり稀なケースで、胚盤胞になっても核が確認できないものは一般的に流産率が高いのでしょうか?また、もし核が未確認のものが正常な胚だった場合、分割が早いという事で核が確認できたものより生命力が強いとは言えないでしょうか?
 過去の不妊QAでも、「残っている受精卵が核未確認のものだけである場合は、胚盤胞になったなら移植してよいのでは」とありましたが、同グレードで核が確認、未確認という胚盤胞が一つずつある場合、次回の移植ではどちらを優先すべきでしょうか?

 前核は発生確認後、約18時間程度見られるといわれていますが、卵割に向けて絶え間なく変化していくため、必ず確認できるわけではありません。受精卵の位置や見え方によっては、卵子由来の雌性前核と精子由来の雄性前核が1つのように見えることもあります。また、2つの前核は融合して1つの前核になります。この融合時期をシンガミー(Syngamy)と言います。前核の大きさ、核小体の数などから融合前か後かの鑑別は可能です。また、タイムラプスという観察用培養装置を使って培養できれば以上の問題点は解決されると思います。
 その後順調に卵割が進めば問題ないものと判断します。ご妊娠された際の胚盤胞も、前核を認めていたと考えられます。また胚盤胞が同じ分割状態まで進んでいるようでしたら、前核を確認したもの、未確認のもの、どちらも妊娠する可能性のある胚と考えられますので、奥様が希望される方を移植して頂ければよいと思います。[2015年1月21日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
 年齢:33 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:20回 人工授精:4回 体外受精:1回
 AMHの値が0.16未満です。FSHやLH、プロラクチンの値は正常です。
 タイミング法をしていた頃は、体温は二相性で卵も比較的スムーズに育っていました。しかし、人工授精3回目辺りから卵の育ちが悪くなり始め、生理周期も40日以上になってしまったのでプレマリンとソフィアCで生理を起こすことになりました。
 その後、薬を使って生理を起こしながら体外受精をすることとなりましたが、初回は卵が育たず採卵中止となりました。2回目は、AMHの値が低すぎるので自然周期で採卵しましたが空胞でした。
 この採卵した空胞は、もしかしたら遺残卵胞だったかもと思っています。急きょ自然周期での採卵が決定したためD3までの卵胞チェックをしておらず、またいつもなら排卵まで20日くらい日数がかかるのに今回13日で大きくなったためです。
 また、エコーではずっと4つの卵が確認されていたのですが、13日目で大きくなったのは2つで、採卵した卵も2つでした。また遺残卵胞が2つあるという事になりますよね?
 遺残卵胞をリセットするにはピルを処方してもらうといいとよく目にしますが、私のようにAMHの値が極端に低くてもピルを使用して大丈夫なのでしょうか?また、AMHの値が低く、生理不順が何ヶ月も続いているとなると、今後はやはり自然周期しか方法はないのでしょうか?

 ホルモン剤を使用して月経を起こすことにより、ホルモンバランスの変化が生じ、月経時に遺残卵胞を認めることがあります。月経3日目のモニターで20mm以上の嚢胞を認め、血中エストロゲン値が100pg/ml以上まで上昇していると遺残卵胞を疑います。その周期はほとんどの場合、卵子の成熟が見られず空砲のこともあります。AMHが低い場合も血中エストロゲン値が100pg/ml以上の場合はホルモンバランスを整えるため、3週間低容量ピル(マーベロン)を服用していただくことをお勧めします。エストロゲン値が50pg/ml前後と正常範囲内の場合は採卵と同様の方法で経腟超音波下にて嚢胞の内容液を穿刺吸引することで卵胞の発育が良好となる可能性があります。自然周期だと卵胞発育が認められない可能性がありますので、クロミッドやフェマーラなどのホルモン剤の服用をお勧めします。[2015年1月21日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
 年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:11回
 グレードが悪いせいか、移植キャンセルが4回と、移植できても分割スピードが初日からとても遅いため、長期培養できたことがありません。
 いつも早朝と午後の確認でまったく分割が進んでいないのに、移植をする意味があるのでしょうか?胚が壊れたり変性を起こしたりということがない限りは、分割停止したような胚でも妊娠の可能性はあるということですか?
 分割停止や移植キャンセルと判断される基準があれば教えてください。

 移植キャンセルは、2日目など初期の段階での明らかな分割停止や変性があれば決定されます。胚の状態が良ければ着床率が高くなるのは当然ですが、少しでも胚にフラグメンテーションなどの異常があれば必ず着床しないという訳ではありません。半分以上良好胚であれば着床する可能性はあると思いますが、その確率はかなり下がります。3日目、4日目と分割の状態を見て、妊娠率が高いか否かを判断した後に移植かキャンセルかを決定します。胚の状態別の臨床試験のデータは当院にございますので、よければ一度ご覧になってはいかがでしょうか。
 24時間発育が止まったものは、可能性はゼロに近いと思います。[2015年1月21日]
(院長:田中 温)
 年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:8回 体外受精:4回
 夫が慢性骨髄性白血病で、2年前からスプリセルという薬を飲んでいます。
 人工授精でだめだったのでステップアップして顕微授精を進められていますが、この薬の胎児への影響に関する情報があまりにも少なく、血液内科の主治医に相談しても「例がないからわからない」としか言ってもらえません。
 もし妊娠できたとしても、この薬による胎児への影響は出るのでしょうか?
 よく問題のある精子は授精しないと聞きますが本当でしょうか?

 胎児への影響に関しては明確なデータはありませんが、あまり問題はないと思います。お薬の影響の後遺症が心配ですので、精液検査を行い、現在の奇形率などを調べてもらってください。[2015年1月21日]


(院長:田中 温)
 年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:4回 体外受精:1回
 体外受精を初めて行い、5日目胚盤胞を移植しました。移植後にプラノバールやビタミン剤、坐薬、その他3種の薬を処方されました。
 本来プラノバールは就寝前1錠だったのですが、移植から6日後に誤って朝昼晩1錠ずつ服用してしまいました。
 3錠目を服用して2時間が経ったころから腹痛が起き、茶色の出血がありました。腹痛は服用から8時間経っても続きました。
 服用方法を誤ったことで、どのような副作用が起きるのでしょうか?また、今回の妊娠は難しいのでしょうか?

 プラノバールを1日に3錠服用しますと、一時的にですが血中のエストロゲンとプロゲステロンの濃度が上昇します。また、時間が経過して濃度が下がってくると同時にホルモンバランスの変化で不正出血が生じる可能性があります。胚盤胞を移植して6日経過していますので、胚の発育が順調であれば着床していたと考えられます。少量の出血や茶色いおりものの場合はそのままプラノバールの服用を1日1回で継続し、妊娠反応を待ちましょう。
 胚移植後の黄体機能補助は一般的には天然型の黄体ホルモンが最も効果があると思います。[2015年1月21日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
 年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:10回 人工授精:3回 体外受精:1回 
 初めての体外受精を行った際、5個採卵し、その内4個が受精しました。全て胚盤胞まで培養できたので採卵周期に新鮮胚盤胞を1個移植し、残りを凍結しました。受精卵のグレード等は教えていただけない医院でしたが、良い受精卵だったので全て凍結できたとのことです。
 その周期で妊娠したのですが5ヶ月に入ったところで胎児に命に関わる遺伝子の病気が見つかったので、妊娠の継続を断念しました。今回、結婚して8年目にようやく授かることができた赤ちゃんを諦めなければいけない結果になってしまい次の妊娠に不安もありますが、条件が整えば12月中旬にも凍結胚盤胞移植を行う方向で先生とお話をしています。その場合、次回の移植胚数は1個になりますか?できれば妊娠率の高い2個移植も視野に入れて話をしたいのですが、先生は原則1個ずつの移植を勧めています。私のように一度は妊娠している場合には1個ずつの移植の方がよいのでしょうか?また、1個移植で妊娠できたということは、次も妊娠できる可能性は高くなっているのでしょうか?長い不妊期間を経ての妊娠だったので、また再出発しなければいけないのかと思うと不安です。

 遺伝子の病気は妊娠5ヶ月で見つかったということですが、これはどのような疾患だったのでしょうか?その疾患が遺伝性のものであるか、突発性のものであるかによって対策が変わってくると思います。
 移植する胚の数は、1個で大丈夫だと思います。問題は個数ではなく、胚の状態、すなわち胚がどのような遺伝病であったかということです。[2015年1月21日]
(院長:田中 温)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:0回 体外受精:6回
 セロフェンと注射を使用して誘発を行い、初めての採卵で22個採れました。体外受精した胚を採卵周期に3日目8分割で移植したところ、子宮外妊娠(hcg:1200まで上昇)した後に自然流産となりました。
 その後、顕微授精した胚を凍結し、3日目7〜8分割の状態で5回移植しましたが、すべて陰性でした。最後の2回は2個移植です。毎回、胚はグレードが良くて内膜も綺麗なので、どうしてだろうと首をかしげられます。その他、何も原因はないと言われております。
 2回目の採卵では、ロング法にて誘発した結果50個の卵胞がエコーに映り、採卵中止になりました。
 子宮外妊娠や陰性、卵胞多数による採卵中止と、なかなか結果が得られていません。今後は胚盤胞などに挑戦するつもりなのですが、唯一hcgの反応があった体外受精の新鮮胚移植が私には合った治療法なのでしょうか?

 奥様は、月経時に認められる胞状卵胞数が多いため、排卵誘発剤により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすい傾向があります。ロング法でもOHSSとなっておりますので、さらなる抑制が必要です。この方法を二重抑制と言います。
 やり方は、月経初日よりプラノバール(ピル)を飲み始め、10日目よりスプレキュアを使い始めます。月経はプラノバールを三週間分飲み終えた3,4日目より始まります。スプレキュアはロング法と同じように使い続けてください。この方法でも卵がたくさんできるようでしたら、クロミフェン(セロフェン)とHMGまたはFSHを隔日で投与する低刺激法での排卵誘発をお勧めします。この低刺激法でも卵がたくさんできる場合には、飲み薬(クロミフェン・セロフェン)単独の排卵誘発がいいと思います。
 また、受精卵を一度凍結保存し、次周期以降に自然排卵を確認した後に融解胚移植を行うことにより妊娠の可能性が高まると考えられます。[2014年11月17日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 夫が過去に停留精巣を患ったことがあるので、結婚してすぐに不妊病院へ行き精液検査をしたところ、やはり精子は少なく顕微授精でないと厳しいと言われました。私も色々検査をしたところ、子宮内膜症、チョコレート嚢腫と診断されました。今は不妊治療歴2年目で、顕微授精しかした事がありません。
 これまでの治療は採卵2回、移植4回で、初採卵時には同時にチョコレート嚢腫を取りました。1回目の移植では妊娠しましたが流産となり、2回目の凍結胚盤胞4AB、3回目の胚盤胞4AA(採卵周期)、4回目の凍結胚盤胞4AAはすべてアシステッドハッチングをしてから移植しましたが陰性でした。
 先生から「若いし卵も内膜も良い状態だから大丈夫」と言われて期待してしまった分、この様な結果にショックが大きかったです。金銭的にも段々と厳しくなってきたので、残り2個(4AB、5BB)の凍結胚盤胞は同時に移植したいと先生に希望を出しました。「多胎児になる可能性があるのであまりオススメは出来ない」と言われましたが、私と夫はそのリスクを背負う覚悟で次回2個移植することになりました。
 そこで、2個の胚盤胞はそれぞれ4日目と5日目なので2回に分けて移植をすると言われましたが、これは二段階移植ということでしょうか?色々調べてみると、二段階移植とは初期胚を移植してから胚盤胞を戻す治療法と書いてあったので、今回のように胚盤胞を2回に分けて移植することもありえるのでしょうか?私達が2個戻してほしいと言ったばかりに希望通りになりましたが、実際は1個ずつ戻した方が妊娠率は高いのでしょうか?

 奥様の受精卵の状態は良好であり、ご妊娠する可能性は十分にあると思います。2個移植は移植あたりの妊娠率は高まりますが、双胎のリスクが伴うため判断が難しいところです。しかし、反復不成功の場合は2個移植することも容認されておりますので、トライして頂いても良いのではないかと思います。
 二段階移植はあまりエビデンス(この治療法が良いと言える根拠)が無いためお勧めすることはできません。分割状態からするとほぼ同じ日まで培養した胚盤胞と思いますので、主治医の先生とご相談ください。[2014年10月11日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
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