回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.63 -
年齢:43 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 採卵を4回行いましたが、高齢のため、排卵誘発をしても採卵数は1〜2個でグレードも良くありません。卵子がしわしわだそうです。医師からは「排卵が正常で、フーナーテストに問題がないのであれば、体外受精でも人工授精でも変わらない」と言われ、現在は、他院でセキソビット内服による人工授精へとステップダウンしています。高齢者の人工授精について、どのようにお考えでしょうか。(2016年7月 第17回 セミナーより)

 フーナーテストで問題はなくても、卵管閉塞や癒着等による卵管の卵子のキャッチアップ障害がありますと受精することはできません。体外受精は受精卵を移植しますが、人工授精は受精しているかの確証はありません。そのため体外受精でも人工授精でも変わらないとは言えません。もちろん排卵、月経がある限りは人工授精での妊娠の可能性は決して0%にはなりませんが妊娠率がかなり低くなりますので、正しい知識を持って、御夫婦のライフスタイルや価値観によって治療を選択していただけたらと思います。[2016年9月10日]
(産婦人科医:市山 卓彦)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:2回
 一年半前妊娠しましたが心拍確認前に流産となり、現在まで妊娠に至りません。
 不妊専門病院で検査したところ、単角子宮(複角の可能性もあり)との診断でした。また、AMHが2.9ng/mlで生理周期が40日前後と、生まれつき長い体質です。
 単角子宮で左側の卵管が無い為、チャンスを増やすために今年から体外受精にチャレンジしています。
 1度目、2度目とも、生理3日目よりセロフェンを1日1錠5日間と、ゴナールエフを3回注射する誘発法を行いました。1度目は4つ採卵の内、変性卵2つ、分割停止1つだったので、残りの4分割(グレード4)の2日目新鮮胚を移植しましたが陰性でした。2度目は2つ採卵、7分割(グレード3)の3日目新鮮胚を移植し陰性でした。
 このまま同じ誘発方法を続けるのが良いか、それとも他の誘発方法を試してみるべきか悩んでおります。
 何かおすすめの方法がありましたら教えてください。

 今までの採卵経過を検討しますと、卵の質を改善させるには排卵誘発法の変更が良いと考えます。排卵誘発は、超音波による胞状卵胞数やホルモン値により決定します。一度流産となってしまったとのことですが、着床可能な子宮と考えれば排卵誘発法の再検討が先決です。[2016年6月30日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:32 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 不妊治療中でも夫婦生活が可能な治療内容と周期等教えて下さい。

 不妊治療中の夫婦生活については諸説ありますが、実は明確なエビデンスや統一された見解というものはありません。タイミング療法や人工授精の周期は基本的にはいつとっていただいても構わないかと思います。
 体外受精の治療中についてですが、採卵周期は感染や物理的な刺激による排卵、多胎妊娠を予防するため、採卵直前から妊娠判定を行うまでは夫婦生活はおすすめしません。凍結胚移植周期については、自然周期の場合は多胎妊娠を予防するため避妊をおすすめいたします。ホルモン周期の場合は避妊は必要ないかと思います。[2016年6月30日]
(産婦人科医:市山 卓彦)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:5回
 40歳の時に不妊治療を始め、5回胚盤胞を移植しました。1回目は新鮮胚、2回目はホルモン補充周期で移植しいずれも着床しませんでした。3回目(一昨年)と4回目(昨年)は自然周期で移植し、いずれも着床、妊娠に至りましたが、その後初期流産となりました。今年に入りまた移植のチャンスがめぐってきたのですが黄体機能不全と診断され、「すぐに回復することはあまりないので補充周期で移植しよう」ということになり、補充周期で移植しました。結果着床せず、現在に至ります。
 一週間ほどで次の生理が来る予定ですが、生理2日目にまたホルモン補充周期を始めることになっています。ただ次が最後の卵で、いままで自然周期でしか妊娠したことがなく、とても不安です。そこで質問なのですが、
 ・自然周期の方がホルモン補充周期よりも妊娠の確率が上がると言うことはありますか?
 ・黄体機能が戻るかどうか数周期様子を見て、可能ならば自然周期で移植する方がいいでしょうか?
 ・ホルモン補充周期の移植を続けると、妊娠しなかった場合にその後の治療に影響はありますでしょうか?

 月経周期が規則的で基礎体温も二相性でありますので、自然周期の凍結胚移植は可能であると考えます。また、黄体補充も移植時からの補充で良いと考えます。
 今まで2回の妊娠歴がありますので、自然周期の移植を再検討し相談して頂いてよいと思います。
 (1)当院での42歳以上の凍結胚移植の成績は、自然周期では19.4%、ホルモン補充周期では5.9%となっております。
 (2)自然周期でよいと考えます。
 (3)一般的にホルモン補充周期での移植後は、妊娠成立後も妊娠初期まではホルモン補充をしていきます。黄体ホルモンも天然型のものとなっておりますので、児への影響はほとんどないと考えてよいです。胎盤ができるまでは、しっかり補充した方がよいです。また、流産歴もありますので、不育症の精査を受けられたことがなければ、ご検討されてください。[2016年6月30日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:40 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:1回 体外受精:3回
 これまで自然周期・低刺激の病院で、フェマーラ、フォリスチム等を使って採卵を3回しましたが、いずれも1個から3個程度採れて受精はしますが、分割が遅いということで一度も移植したことがありません。採卵のお休み周期に一度自然妊娠をしましたが、5週で流産しました。
 AMHが0.62と低いこともわかっていましたが、高刺激も試してみたくなり、転院しました。その結果、片方の卵管が閉塞しており、そちらの卵巣には卵胞もほとんど見えないことがわかりました。
 生理5日目からスプレキュアと並行してHMG注射を7日間打ちましたが、卵胞3個が不揃いで、採れても1個ということだったので、採卵をキャンセルしました。体温は上昇していたのでHCG注射はしませんでしたが、14日目から体温が低下し、不正出血が続いたため、病院で見てもらうと、5個の大きくなった卵胞が見え、排卵していないようなのでHCGで排卵させようということで注射をしました。しかし、出血は4日ほど続き、基礎体温も上がることなく乱れています。
 これまでの自然周期・低刺激の病院では、不正出血も基礎体温の乱れもなかったので、高刺激にしたのが体の大きな負担になってしまったのではないかと不安になっています。低刺激の病院に戻った方がいいのでしょうか?

 体外受精・顕微授精の成績は、どのような卵子がいくつ採れたかによって決まると言っても過言ではありません。この採卵した卵の数・質は、排卵誘発法で決まります。どの排卵誘発法が良いのかは、月経3日目までの月経期間中の左右卵巣内の胞状卵胞の数と大きさ、E2・LH・FSHの値で決めることが重要です。画一的なやり方は避けるべきでしょう。
 同じ人が同じ排卵誘発法を行っても周期が違うだけで全く結果が違うということもよくあります。それほど卵巣の機能というものは敏感なものです。あなたの卵巣の状態、過去の結果などを参考にしながら手探りで最適な排卵誘発法を見つけることが重要だと考えます。[2016年4月23日]
(院長:田中 温)
年齢:44 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:1回 体外受精:6回
 4年前に自然周期で胚盤胞移植し、1人娘がいます。それから何度か自然周期にて胚盤胞を移植していますが、年齢もあり、なかなか妊娠しません。
 今回初めて完全ホルモン補充周期で胚盤胞を移植しました。 2日目よりエストラーナテープとプレマリンを投与し、9日目の内診で子宮内膜の厚さが8.8mmとのことで、切り替えの注射並びに膣座薬(1日3回)とプレドニン(1日1回1錠)を投与しました。13日目に胚盤胞を2個移植し、ルトラール1日3回1錠ずつが追加になりました。
 ホルモン補充と決まった時にもらった予定表では、「15日目で内膜の厚さが8mm以上あれば切り替えて、胚盤胞であればその5日後に移植」という流れになっていたので、「あまりにも早すぎるのではないですか」と先生に質問しましたが、「子宮内膜さえ厚くなっていれば問題ない。あくまでも予定表は予定で、前倒しで内膜が厚くなっていれば移植も前倒しになる」との事でした。ちなみに、血液検査でのホルモン値などは計っていません。移植は、子宮内膜のみの判断です。
 妊娠判定は25日目の予定なのですが、色々とネットで検索してみると、13日目で移植されている方はいらっしゃらず、素人から見ても早すぎるのでは?と不安です。胚盤胞はあと1個残ってはいますが、ホルモン補充だと薬代だけでも工面するのが大変なので、できれば成功したいと思っています。
 ホルモン補充の場合、子宮内膜さえ厚くなれば、移植日は早くても問題ないのでしょうか?

 凍結胚移植には、ホルモン補充周期と自然周期とがあります。月経周期が規則正しく高温相・低温相が二相性になっている方は、原則的に自然周期の方が妊娠率は高く、流産率は低くなります。ですので、当院では主に42歳までの方は自然周期をおすすめしております。ただし、月経周期が不順で正確な排卵日が見つからないような場合、または43歳以上の高齢者の場合にはホルモン周期の方が適していると考えます。
 内膜の厚さは個人差があり、いくら大量のホルモン剤を使っても厚くはならない方もおられます。そのような方の場合には無理に大量のホルモン剤を使って移植までの時期が長くなることは、消退出血を起こす確率が高くなり、決して得策ではありません。2週間程度薬を投与し内膜が厚くならない場合には、6〜7mmあれば十分だと考え、黄体ホルモンを追加されて良いと思います。何日目ということよりも、全体の流れの中での内膜の厚さを捉えて、治療をされてみてください。凍結胚移植は内膜の薄い人のためには非常に有利な方法ですよ。[2016年4月23日]
(院長:田中 温)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 昨年、両卵巣のチョコレート嚢胞の手術をしました。それまでは自己タイミングをしていましたが、1年程経っても妊娠には至りませんでした。手術後に不妊の検査をしたところ、AMHの値が1.3だと判明しました。他の検査では特に異常はなかったそうです。
 「早く体外受精をした方が良い」と言われ新鮮胚移植を行いましたが、化学流産となりました。採卵時も卵が2つしか採れず、凍結胚もできませんでした。治療を再開すべきなのでしょうが、気持ちが疲れてしまい少し休みたい気持ちもあります。体外受精で化学流産だったので、着床する力はあるのかもしれない、頑張れば自然妊娠や人工授精でもできるかもしれない、と期待してしまいます。しかしAMH値を見ると、そんなに時間もないのかと焦ってしまいます。
 低AMHや内膜症体質の場合、自然妊娠率は下がるのでしょうか。私のような場合、ステップダウンしても妊娠は望めるのでしょうか。

 AMHは卵巣予備能と関係するといわれております。卵胞数が少なく、排卵誘発への反応も乏しいことは考えられますが、AMH値のみで妊娠の可否は決めかねます。
 流産歴や卵管造影検査・腹腔鏡検査での精査をすることで、ステップダウンによる妊娠が可能かどうかも考えられます。[2016年4月23日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:36 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:3回
 子宮内膜症のチョコレート嚢胞を手術をした後、左卵巣に境界型悪性腫瘍が発覚し左卵巣を摘出しました。その後、体外受精にて一人子供を授かり出産しました。
 第二子を希望していて、ショート法で体外受精を行いました。受精はするのですが、その後胚盤胞へと成長しません。ホルモン数値などは問題ありませんでした。次回からアンタゴニスト法に移行すると先生がおっしゃっていたのですが、アンタゴニスト法でも良い結果が出ない場合は子供を諦めた方がよいのでしょうか?

 右卵巣のみでも排卵誘発し、採卵・受精が確認できておりますので、他の排卵誘発法(アンタゴニスト法など)で治療をぜひ頑張って頂きたいです。体外受精(顕微授精)の結果を左右する最も重要な因子は卵子の質です。90%は採卵した卵子の質で決まると言っても過言ではありません。この卵子の質は排卵誘発法によって決まります。いかに適した排卵誘発法を選択するかが臨床医の腕の見せ所だともいえます。排卵誘発法の選択は月経3日目までの左右卵巣内の胞状卵胞の数と大きさ、E2、LH、FSHのホルモン値および過去のデータなどより、総合的に選択することが重要と考えます。
 また、受精方法を媒精か顕微授精のどちらにするか御相談されてみてはいかがでしょうか。[2016年2月16日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:4回 体外受精:12回
 現在他院でホルモン補充周期移植をしています。今回、移植前の検査(D15)でP4:4と高い数字が出てしまい
 移植キャンセルとなりました。これまで何度も移植をしてきましたが、P4が高くなった事も移植キャンセルになった事も初めてで残念な気持ちです。
 色々調べてみて、P4が高いのは黄体化の始まりで移植ができないことはわかりましたが、高くなる理由、改善策がわかりませんでした。エストラーナテープでホルモン補充していたこともあり、担当の先生からは「高くなった理由は分からないが、シールが弱かったかも」と言われ、次周期はシールを増やしてチャレンジすることになりました。
 どのような場合にP4が高くなるのでしょうか?また改善策はありますでしょうか?

 黄体ホルモンが4.4ということは、月経周期15日までに卵胞が成長し、排卵したことを意味すると思われます。今後ホルモン周期での移植を考えるなら近医の先生がおっしゃっているように、エストラーナテープの枚数を増やす、もしくは前周期にGnRHアゴニストを使って排卵を抑制して、ホルモン補充をすれば移植可能でしょう。また、ホルモン周期にこだわらないのでしたら、自然周期で排卵をみて移植することも可能でしょう。[2016年2月16日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:1回 人工授精:1回 体外受精:1回
 私は多嚢胞性卵巣症候群と診断されています。前回採卵後、新鮮胚移植で着床。その後、卵巣過剰刺激症候群になり、腹水・胸水貯留、卵巣茎捻転を起こしました。
 今回、初めて凍結融解胚移植をすることになりました。説明では月経3日目よりフェマーラを5日間服用、診察にて排卵日を特定しその5日後に移植する流れです。フェマーラを服用するのも初めてで、説明を聞いたものの気になることが出てきました。いただいた資料を読んだ後に色々と調べた結果、誘発・採卵のためにフェマーラを使用している施設はあるようなのですが、今回のような流れで使用しているという情報が見つかりませんでした。
 移植のためにフェマーラを服用する今回のような使い方はあるのでしょうか。その場合、安全性に問題はないのでしょうか。

 凍結胚移植の方法には自然周期移植とホルモン補充周期移植の二種類があります。自然周期移植は、自然排卵が起こらなければ凍結胚を解凍培養し、移植することができません。
 奥様は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のため自然排卵が起こりにくいと考えられ、排卵誘発剤で排卵を起こして凍結胚移植を行うことを考えたものと思います。排卵誘発剤はクロミッドやセキソビットを用いることが多いですが、フェマーラもこれらと同様に排卵誘発の効果があり、安全面も特に問題ありません。
 しかし、凍結胚移植を行う上で重要な点は移植する際の子宮内膜の環境で、一番良いのは自然排卵する際に形成される子宮内膜です。従って、排卵誘発剤で排卵して形成される子宮内膜が着床に適している環境となる可能性は自然周期に比べて低いと考えられ、あまりお勧めできません。
 自然周期での移植が難しい場合はエストロゲン製剤で子宮内膜を形成し10mm程度の厚みが出来たところで黄体ホルモン製剤を補充しながら凍結胚移植を行うホルモン補充周期で行うことをお勧めします。[2015年11月20日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:39 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:20回 体外受精:5回
 私はPCOSで採卵は2回目なのですが、今回はクロミッド+hmgの誘発で、左右15個くらいの卵胞が育ちました。
 採卵当日の朝のエコーで排卵済みのものが3つあったのですが、残りを採卵しました。
 このような場合、残りの卵子の質は良くないのでしょうか。やはり、先に排卵済みのものが主席卵胞ということで、一番質の良いものなのでしょうか。
 今回、採卵当日は8時半からの予定で、採卵前々日の21時と23時に左右一回ずつのブセレキュアの指示がありました。21時に使用した際は上手く出来たのですが、23時に使用した際には左右ともに噴霧したら垂れて出てきてしまった量が多く、上手く出来なかったのではと思っています。それが早めに排卵済みになってしまった原因なのでしょうか?

 排卵が済んでいるという事は、LHホルモンが上がり黄体ホルモンの分泌が始まっているため、残った卵胞は黄体化が生じておりますので、質の高い卵子は数少ないと思われます。普通は採卵時に排卵が認められた場合には採卵をキャンセルするのが一般的です。排卵したものが最も質の良い卵であると考えてよいと思います。
 またブセレキュアが左右一回ずつでは少ないと思います。次回からは確実に3回ないしは4回するようにされてはいかがでしょうか。[2015年11月20日]
(院長:田中 温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:30回 人工授精:6回 体外受精:3回
 去年AMH:0.16未満と診断されました。その時期はFSH:9辺りだったので採卵し、移植まで行った卵もありましたが、度重なる治療で生理周期がだんだん長くなりカウフマンを挟む様になりました。カウフマン後はリバウンド効果なのか反応も良かったのですが、今年3月に初めてスプレキュアを使ってFSHが一気に75.5に上がりそこからFSHが下がらなくなりました。医師によると「スプレキュアを使うと一時的に上がりそこから下がっていく」との事で、その後ずっとFSHが20〜29辺りです。
 現在2カ所の病院に通っています。完全自然周期でしか採卵しない病院と、クロミッドを使用して刺激をしていく病院です。前者の病院ではカウフマンは行っていないので後者の病院にて処方してもらい、採卵は前者の病院で行っている状態です。
 カウフマンを3周期以上行いましたが効果が見られないので今後どうするべきなのかわかりません。今月はD3でE2:5以下という結果でした。今後、最善の治療方法は何になるのでしょうか?

 卵巣の機能を調べる最も大事な検査法は、AMHではなく月経期間中3日目までの左右の胞状卵胞の数と大きさです。胞状卵胞数が2〜3個あれば十分採卵は可能です。数が少ない場合にはゴナドトロピン療法よりも低刺激の方がよいかもしれません。
 FSHの値はカウフマンやピルを使うことによって変動させる事は可能ですが、FSHの値が下がったとしても卵巣の機能をもったとは言えません。FSHの値が非常に高い傾向にあることより、卵巣機能がかなり低下されていると考えられます。この状態ではカウフマンをやりながら採卵するという方法が現在の一般的な方法ですが、この方法で生児を得る確率は5%以下だと思われます。今後このような卵巣機能がかなり低下された方には新しい卵巣刺激法が期待を持たれています。これはまだ臨床には応用されていませんが、年末から始める予定です。詳しいことが分かり次第ホームページに掲載しますのでそちらをご覧下さい。これからの発展を期待したいところです。[2015年11月20日]
(院長:田中 温)
年齢:49 基礎体温:不明 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 親の介護等をしておりましたらいつの間にか高齢になり、介護終了とほぼ同時期の48歳から生理周期が不順で、生理が最後にあったのが8ヶ月前となります。結婚はしていません。結婚を考えている人(49歳)が、強く子供を望んでいます。少しでも可能性があれば挑戦をしてみたいと思っています。
 地元の病院で子宮頸がんの定期検診を受けていることと子宮筋腫があります。何か試してみる方法はありますか?

 今の状態から推察すると閉経に近い状態と考えます。人の卵子は増えるものではなく、一旦なくなってしまうとそこからは増えません。今の医学では卵の増殖はできません。
 御妊娠を考えるためには他人の卵子をもらう事(卵子提供)となります。ただし、排卵誘発をする事で、残っている卵が育つ可能性もあります。
 まずは体外受精をされてみてはいかがでしょう。[2015年10月2日]
(産婦人科医:御木 多美登)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:3回 体外受精:1回
 男性不妊です。精子運動率が7%なので顕微授精しか望みは無いと言われ、先月初めて顕微授精で二段階移植を行いました。Short法で、採卵12個、成熟卵6個、受精卵4個、胚盤胞1個でした。初期胚と胚盤胞を移植し、子宮内膜は14mm程あり最高の環境だと言われましたが、妊娠しませんでした。
 12個も採卵出来て成熟卵が6個しか無かったという事は、卵の質が悪いのでしょうか?もしくは採卵方法があってなかったのでしょうか?また、成熟卵が6個あったのに、胚盤胞まで育った受精卵が1個だったのは、卵か受精卵が弱いと言う事ですか?
 回答よろしくお願いします。

 胚盤胞まで育つ力のある卵子が採卵できていますので、奥様の卵子の質や卵巣機能が悪い訳ではありません。このような場合はアンタゴニスト法など誘発方法を変更するのが良いと思います。
 また、分割が良好な胚は4日目の桑実期胚で凍結保存し、自然周期に排卵日を特定したのち融解し、5日目の胚盤胞まで1日培養し、移植することをお勧めします。[2015年10月2日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:40 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:15回 人工授精:2回 体外受精:1回
 以前採卵した凍結胚盤胞を移植予定です。前回の高温期中頃よりスプレキュアを続けましたが、今回生理後受診できず、スプレキュアを続け13日目よりエストラーナテープを開始しました。移植は30日目です。
 こんなに期間を空けて移植しても大丈夫なのでしょうか。

 前周期の高温期からスプレキュアを使用し、ホルモン補充周期に凍結胚移植を行うという方法はあまり一般的な方法ではありません。月経30日目に凍結胚移植ですと、消退出血を起こすリスクが高くなるため、お勧めできません。
 マーベロンなどの低用量ピルを14日間服用してリセットし、次の周期に凍結胚移植を行うことを考えてみてはいかがでしょうか。[2015年10月2日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:2回 体外受精:5回
 第1子を体外受精にて出産後、9か月で生理がきて、10か月で断乳しました。11か月で凍結胚盤胞を移植し、妊娠反応があり胎嚢も見えましたが、その後発育せず流産となりました。もう少し生理を見送っていれば、妊娠を継続できていたのだろうかと後悔の気持ちでいっぱいです。高齢のため、焦ったのがいけなかったのでしょうか。

 月経開始、断乳後3ヶ月頃からの治療開始を目安としております。
 少し早い時期での治療開始となりましたが、着床し胎嚢まで確認できておりますし、開始時期が原因ではないと考えます。受精卵の状態が分かりませんのではっきり申し上げられませんが、受精卵が原因となることも多いので主治医の先生とも再度御相談下さい。[2015年10月2日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:39 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 採卵数が毎回1〜2個と少ないです。少しでも増やすために自分でできることはありますか?
 (2015年8月 第16回 セミナーより)

 今までの排卵誘発法がどのような内容かにもよりますが、大切なのは月経開始後の胞状卵胞数です。また血液検査でホルモン状態を確認し、排卵誘発法の検討をすることで改善できる可能性はあります。
 またご自身での体調コントロールとしては、やはり生活習慣が大切です。バランスの良い食事・適度な運動を心がけてください。[2015年8月27日]
(産婦人科医:山口 貴史)
経腹採卵後のお腹の痛みが続いています
年齢:44 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 今回初めての採卵でした。左に10個、右に5個ほど育ち、卵がお腹の方にあるということで、羊水検査のようにお腹に針を刺す経腹採卵を行いました。8個採卵し、受精した卵は3個で、それを凍結しました。D10に診察したところ、内膜は綺麗で厚みも8.4ミリあるので再来週に移植することが決まりました。
 ただ、心配なことがあり、採卵後1ヶ月以上経つのにずっとお腹の左少し上(卵巣?)あたりに痛みがあります。立ち仕事をしていた日に痛みが増し、夜は痛みで苦しみました。D10の診察の際に、そのことを先生に話したのですが「大丈夫です。」と言われました。エコーでお腹を診察してもらうことはありません。今は重い物を持つことや立ち仕事はやめています。
 経腹採卵だと、このようにしばらく痛みが続くことはあるのでしょうか?再来週に移植になりますが、このままでよいのでしょうか?

 大変お辛い思いをされましたね。
 通常、経腹採卵を行ったからといってお腹の痛みが経腟採卵より強くなることは考えにくいです。白血球やCRP(C-反応性タンパク)といった炎症反応を調べる血液検査は行われたでしょうか?もし調べられて数値が上昇していた場合は、腹膜炎を起こしていた可能性があると思われます。痛みの状態が変わらないようでしたら、移植をキャンセルすることを考えてみてはいかがでしょうか?[2015年7月11日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
不妊治療と副作用について
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:3回 体外受精:3回 
 不妊治療を始めて1年半ほどになります。
 一通り検査した結果、AMHは年齢相応に低く、右側の卵管が閉塞していました。初めての人工授精で妊娠はしましたが、9週で流産してしまいました。流産の手術後卵巣に水がたまる事などがあり、治療を再開したのは2か月後でした。年齢的にも採卵するなら早いほうが良いとのことで、体外受精を始めました。
 現在までに低刺激(生理3日目からルトラール5日間服用)で3回採卵し、新鮮胚移植を1回、凍結胚移植を2回行いましたが全て陰性でした。先月はホルモン周期で移植しようとしたところ生理3日目のE2ホルモンが85あって、様子を見ることになってしまいました。
 移植までの間に診察を受けたところ、自然周期で卵胞が排卵するにはまだ小さいままなのに急に2日後に排卵してしまったり、生理の経血が減っていたり、生理5日目でも体温が下がりきらなかったりと、移植後のHCG注射やルトラール服用の副作用があるのではないかと心配しています。
 そこで質問です。不妊治療にはホルモン剤が必要になると思うのですが、体調の変化を気にせずに治療を進めても大丈夫なのでしょうか?状況によっては少し休んだ方が治療の効果が出るのでしょうか?

 ホルモン剤を使用した周期の次に始まる月経は、ホルモン剤の影響で基礎体温が高い状態で月経が始まることや、月経量が少なくなることはありますが、月経3日目までの診察で胞状卵胞が確認でき、血液検査でFSH・LH・E2のホルモンの基礎値が問題なければ治療を進めていくことは問題ありません。
 もし遺残卵胞が残っていたり、E2ホルモンが3桁以上まで上昇している場合はホルモンバランスが整っていない状態で月経が始まった可能性があるため、お休みしていただくことをお勧めします。[2015年7月11日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
良好胚盤胞を移植しても着床までしか進みません
年齢:38 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:7回
 男性不妊で1人目は顕微授精にて出産しました。
 2人目の治療を再開して7回胚盤胞を移植し、5回着床しましたがいずれも育たず流産手術を3回しました。胎嚢確認まではできますが、胎芽が見えずに終わってしまいます。
 移植した胚盤胞のうち半分はグレードの良いものでしたし、1回の採卵でグレードの良い胚盤胞が複数個できています。子宮内膜も十分厚さがあり着床もします。念のため行った不育症の検査も問題ありませんでした。
 何か打つ手はありますでしょうか?グレードの良い胚盤胞が3個残っています。育つ受精卵と出会えるまで淡々と移植を続けるしかないでしょうか?

 不育症の状態であると考えられます。5回妊娠している事を考えると、移植している胚は良好胚であると思われます。
 不育症の原因としては、血栓症の素因、遺伝的なもの、子宮の形態異常、そして免疫学的なものと、様々なものがあり、はっきりと原因がわからない事もあります。不育症の検査とはどのようなものをされたのでしょう?
 当院では、まずは採血にて、血栓症の素因がないか、ご夫婦の染色体異常がないかどうかを検査し、それで異常がないのであれば、免疫学的なものと考え、リンパ球移植という治療法をさせて頂いています。施設によってはその代わりに免疫抑制剤を使用する所もあるようです。リンパ球移植の効果は大きく(但し日本産婦人科学会は推奨しておりません)、8回続けて流産されていた方がリンパ球移植後、最初の妊娠で出産された事もありました。
 1度当院に御来院され、詳しい内容を聞いてみてはいかがでしょう。良い結果が出るよう尽力致します。[2015年7月11日]
(産婦人科医:御木 多美登)
質問一覧に戻る   |    このページの最初へ   |    TOPページに戻る