回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.65 -
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:6回 体外受精:1回
 前回の不妊治療では採卵は1個しか出来ませんでしたが1回目の体外受精で、妊娠・出産に至りました。
 あれから数年経ち、夫が「2人目はもう無理だろうか」と聞いてきました。1人授かれば十分だと思っていたのですが、贅沢な悩みですよね。
 ただ妊娠・出産後に色々とありました。まず不妊治療中に分かった左卵巣のチョコレート嚢胞は出産後になくなっていました。それは良かったのですが、妊娠初期の検査で子宮頸がん上皮内癌とわかり、出産後3ヶ月を経て円錐手術しました。それが2015年です。それからは順調に回復し現在に至ります。子宮頸がんに関しては問題ありませんが、1.5cmぐらいの子宮筋腫が3つあるそうです。あと先月生理後3日目に不正出血があり超音波で子宮内膜を調べましたが、疑わしい厚さではなく緊急性がないとのことで止血剤と卵巣の働きを良くする漢方薬で良くなりました。ただ円錐手術による傷口の関係からか、子宮体癌の検診をしようとすると激痛で行えませんでした。
 確かに2人3人連れている方や妊婦さんを見ると色々思うことはありますが、私は今でも十分幸せです。
 ただ主人の諦めがつかない部分もあるようで、こんな状況の2人目不妊治療で妊娠・出産可能性はありますか?

 ご出産後の経過(円錐切除や子宮筋腫、子宮体癌の検診の痛み)に関しては、今後の不妊治療に差し支えないと考えます。
 現状で1番大切なことは、ご年齢とそれによる卵巣機能の低下の状況です。
 一般的に妊娠率・出産率は下がりますが、可能性はありますので一度診察し、現状の把握をしていきましょう。[2020年9月18日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 AMHが低く、1回目の採卵では3個しか成熟卵が得られず、受精したのは1個でした。
 2回目の採卵で採卵数を増やすことはできるのでしょうか?

 採卵数は卵巣機能にあわせた排卵誘発法の検討がとても重要です。
 成熟卵が3個とのことですが、採卵時の穿刺可能であった数が多いのであれば、誘発剤の再検討をすることで、採卵での成熟卵の獲得を多くすることが可能でしょう。
 また、月経開始時の胞状卵胞数の評価はとても大切ですので、再評価することが必要と考えます。[2020年9月18日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:3回 体外受精:5回
 これまで5回の凍結胚移植を行っており、1回も陽性反応がでていません。3回は胚盤胞移植で3BB、5BB、3BBで、3BB移植時にHCG:3.4だけ出ました。残りの2回は3日目コンパクション胚で判定日にHCG:10だけ出ましたが、正式な陽性判定は出ていません。
 病院からはERA検査を勧められたのと、「一度自然周期で移植してみては?」と言われました。次で6回目の移植となりますが、胚盤胞の残りはなく、3日目10分割G2となります。
 私の年齢で5回も陰性であれば、着床障害となるのでしょうか?また、ERA検査は有効な検査でしょうか?金額が高いのと、新しい検査なので強制はしない感じでした。20代とはいえこれだけ陰性が続くと、肉体的にも精神的にも金銭的にも厳しいので何かよい方法があれば教えていただきたいです。

 当院では3BB以上のGradeの胚を3回移植して妊娠に至らない場合、着床障害と診断しております。hCGが3.4や10と出ている場合着床障害と判断するのは難しいですが、着床障害に対する検査はした方がよいと思います。
 当院では不育症検査・免疫異常・子宮内膜炎の検査を行います。ERA検査は当院としてはおすすめはしていません。[2019年12月24日]
(産婦人科医:大野 基晴)
年齢:38 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:1回 体外受精:4回
 AMH:3.4ng/ml、FSH:9.6、LH:6.5でHMGフェリング300単位を3日間、150単位を3日間で卵胞チェックを行い、卵胞数が3個しかないということで、また300単位を5日間投与しました。採卵当日、卵胞が3日前からそれほど育っていませんでしたが、採卵を行い卵子1個のみでした。
 今までの経過としては一年前に、300単位を5日間、150単位を5日間投与して卵子7個、OHSSになってしまいましたが胚盤胞は3個でき、移植し妊娠しましたが5ヶ月で死産になってしまいました。
 AMHがそこまで低くはないのに卵胞ができないのは、誘発方法かHMGフェリングが私には合わないのでしょうか?ちなみにいずれもショート法です。
 エコーでは多嚢胞気味になる周期もありますが、採卵数には反映してくれません。HMG製剤ではなく、FSH製剤に変更した方が卵胞数が増えるのでしょうか。先生でしたら、どのような誘発方法と誘発剤を使われますか?

 AMHは卵巣内に残っている卵子数の指標となりますが、それだけで卵胞刺激した周期に育つ卵胞が多いかどうかにつなげて考える事はできません。刺激を開始する際の診察時に胞状卵胞がいくつ見えているか、ホルモン値がどうなのかを指標にします。年齢的にAMH:3.4は良好だと思います。
 体外受精、顕微授精などの不妊治療の成績を左右する最も大きな要因は排卵誘発法です。排卵誘発法の選択によって、結果が大きく変わると言っても過言ではありません。ではどのようにして最も適した排卵誘発法を見つけるかが問題となります。これが我々の腕の見せ所でもあります。
 まず月経3日目の左右の卵巣の胞状卵胞の数、E2・LH・FSHのレベル及び過去の排卵誘発法の結果などを参考にして、GnRHアゴニスト法(ショート法またはロング法)、またはGnRHアンタゴニストのアンタゴニスト法の2つにわけられます。
 月経3日目までの胞状卵胞が左右5個以上あればアンタゴニスト法がよいと思います。FSHよりもHMGを300単位で2日間、その後150単位に減らして、5日目あたりから卵胞の数、E2の値を測定し、卵胞が16〜17mm以上に発育した時点でアンタゴニストを打ちはじめます。E2が卵胞1個当たり250〜300pg/ml、1番大きな卵胞の直径が22mmぐらいに成熟した時点でHCGまたはGnRHアゴニストで排卵を誘発します。
 過去にOHSSになってしまったとありますが、卵子7個ぐらいではOHSSとは言いません。普通OHSSは卵子20個以上の場合を指します。現在ではレトロゾール(商品名:フェマーラ)を用いる事によって、ほぼ全例でOHSSの副作用を防ぐことができ、なおかつ卵の質を下げずに良質な卵子を採る事も可能です。ただしこの排卵誘発法はまだ一般的ではありません。卵胞発育、ホルモン状態、血液の凝固機能などを十分注意して行えば良好な卵子が採れると思いますよ。[2019年3月7日]
(院長:田中 温)
年齢:25 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:2回
 精子の運動率が悪い男性不妊のため顕微授精を2回しました。
 1回目は8細胞胚移植で陰性、2回目は凍結胚盤胞移植グレード4アシステッドハッチングありで陰性という結果でした。
 1回目はショート法で採卵数6個、うち3個が正常受精しました(未熟卵2個、変性卵1個)。移植しなかった2個を胚盤胞培養しましたが胚盤胞にはなりませんでした。2回目もショート法で採卵数7個、うち3個が正常受精しました(未熟卵2個、異常受精2個)。正常受精した3個は2日目8細胞胚、5日目胚盤胞グレード5、6日目胚盤胞グレード3で凍結しました。このうち5日目胚盤胞を移植しましたが陰性でした。
 子宮内膜等きれいで、厚さも異常なし、胚盤胞もきれいだったとの事で、とても落ち込んでいます。やはり25歳でも、卵子の質が悪いために移植した胚が元々染色体異常等で成長出来なかったのでしょうか?また採卵できた数が2回とも少ないので、AMHも低いと考えられるのでしょうか?
 次回はドクターより、「結果が出ていないため、1個の胚を6日目胚と同じくらいまで育て2個移植」をすすめられました。次回で妊娠できるのか、今絶望しています。

 2回の排卵誘発法がショート法ですので、誘発法の再検討をする必要があると考えます。顕微授精で成熟卵は十分受精できています。5日目胚盤胞Grade5で良好胚ですので、一概にショート法が合わないとは言えませんが、排卵誘発法を見直すことでより良い成熟卵、受精卵を期待できると思います。
 また、良好胚移植を2回以上施行しても着床に至らない場合は、着床不全の精査をすすめていきましょう。
 AMHは参考ですが、一度検査してみてはいかがでしょうか。[2019年3月7日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 卵管が原因の不妊のため体外受精をしました。
 自然周期で凍結胚盤胞を移植し、現在妊娠9週目となります。胚移植後から現在までプレマリン(朝昼1錠ずつ)とデュファストン(朝夕1錠ずつ)、週に1度HCG5000単位を注射しています。
 移植前に何度かと妊娠判定(4週目)の際に血液検査をしましたが異常はありませんでした。
 そこで質問なのですが、こんなにホルモン補充は必要なのでしょうか?
 自然周期とホルモン補充周期があることを最近知り、自然周期の移植ではホルモン補充をしない病院もあるそうで、ホルモン補充を行うことで胎児に影響はないのか毎日不安でネットで検索ばかりしています。
 主治医に尋ねると、「心配しなくて良い」と言われ、詳しいことは話されないので、胎児に影響があるかないか教えていただきたいです。

 自然周期での移植をする場合でも、年齢やホルモン値によってはホルモン補充を行うことがあります。
 胎盤が完成する9〜10週を目安に投薬は終了とする事が多く、黄体機能のサポートを行い流産を予防する事が目的です。
 ホルモンの補充量としては胎児への影響はないと考えてよいと思います。[2019年3月7日]
(産婦人科医:大野 基晴)
年齢:36 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:3回 体外受精:1回
 片方に3cmほどのチョコレート嚢胞があります。タイミング、人工授精を経て全て陰性。前回初めて体外受精をしました。AMHは一年前に2.35と低めだと言われました。
 今回の体外受精に向けての検査で、
生理2日目のホルモン値はLH:5.9 FSH:7.5 E2:11.8
生理9日目はLH:2.9 E2:1189.0 P4:0.2
生理12日目はLH:1.5 E2:2731.0 P4:0.5でした。
 排卵誘発法はアンタゴニスト法(注射はゴナールエフ、オビドレル、セトロタイドを使用。前々日にブセレキュア点鼻薬使用。セフジトレンピボキシルも服用スタート。前日にジクロフェナクナトリウム座薬使用。)でした。採卵数は17個で、そのうち10個を体外受精、7個を顕微授精し、それぞれ3個ずつ合計6個の受精卵が出来ました。精子状態は毎回よくないと言われ、今回も濃度:2885万/cc 運動率:25.43%でした。
 全て一旦凍結し、後日凍結胚移植を行うとのことでしたが、分割せずのものが1個、分割が進まず分割期胚でストップし凍結できないものが5個で、結局1個も移植は出来ませんでした。
 先生からは「36歳という年齢で採卵数もあるのに1個も移植できないのは珍しい。受精は出来ているので受精障害ではなく、卵子の質の問題。生まれつきのものかもなのでそれはどうしようもない。」と言われました。
 まだまだ諦める気はありませんが、妊娠の可能性は極めて低いのでしょうか?多数採卵のため卵巣に負担がかかっているので3ヶ月ほどお休みが必要とのことで、この期間に次回採卵に向けて改善のために何か出来ることがあれば是非教えていただきたいです。また採卵方法は次回もアンタゴニスト法がベストでしょうか?完全自然周期法やクロミフェン法などの他の方法の方が合っていることはあるのでしょうか?

 AMHの値は問題ありません。卵子の予備能を調べるのはAMHよりも卵胞の数の方が正確です。採卵数が17個ということですからAMHの値は気にしないでいいですよ。
 数の割には分割数が少ないということはやはり排卵誘発法の問題だと思います。同じアンタゴニスト法でもやり方は色々ありますので、十分注意してモニターをすれば必ず良い卵ができますのでご安心下さい。完全自然周期法やクロミフェンなどは妊娠率が下がりますので避けた方がいいです。あなたのように卵がたくさん採れる方の場合にはアンタゴニスト法が良いと思います。しかし、先ほど言いましたようにアンタゴニスト法は卵の状態をしっかりとみてタイミング、注射の量などを変えないとなかなか良い卵は採れません。しっかりと卵胞の発育を見て頂けるよう、日・祝日の診察をお願いされて下さい。必ず良い卵が採れるはずです。[2018年11月30日]
(院長:田中 温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:3回 体外受精:1回
 33歳でAMH6.1、排卵やホルモン値に異常はありません。右卵巣に32mmのチョコレート嚢胞があります。
 先日、前周期カウフマン療法後クロミッド+hMGの低刺激法にて16個採卵できました。成熟卵だった13個全てに顕微授精を行い11個が受精。9個が分割スタートしましたが、うち6個に多核胚やダイレクト分割が見られ結局全て胚盤胞まで育たず全滅してしまいました。
 担当医から、「卵の質に変化があるよう次の採卵はショート法で」とご提案頂いておりますが、クロミッド+hMG法からショート法にすることで何が好転するのかが知りたいです。
 もともと排卵にD20〜24ほどかかり卵胞が22mmを超えてやっと排卵、という卵巣なので、排卵抑制しながらのショート法は少しは有効なのかな、と思っているのですが、採卵するタイミングの早い遅いは卵の質に関係ありますでしょうか。
 まずは数、ということは重々承知しておりますが、仮にショート法でたくさん採卵できてもまた胚盤胞まで分割しなかったり、多核胚が多いなどの場合、自然周期法の方が望みはあるのでしょうか?
 排卵抑制を行いながら卵胞を育てることでなるべく沢山の卵を大きくする、それが卵子の質を上げるということでしょうか?それともとにかく成熟卵の数を増やして良い卵子に当たる確率を上げることが狙いですか?
 今回軽くOHSSにもなり(78mm腫れ・腹水有)、チョコレート嚢胞もあるので、ショート法にやや不安があります。

 排卵誘発法で卵の質は大きく変わります。
 以前の排卵誘発法(低刺激)で十分に数は採卵できておりますので、質を上げるため誘発法を変えるとすると、GnRhアンタゴニストかGnRhアゴニストの使用が考えられます。
 誘発法の選択は主治医の先生が、今回の結果をふまえ決定されていますので、治療に入る周期月経3日目の胞状卵胞数やホルモン値を参考に再度御相談されて下さい。沢山の卵を大きくすることが一概に質を上げるというものではありません。AMHも高く、低刺激でも採卵数が多いので、OHSSも考慮しますと、Long法かアンタゴニスト法が考えられますが、よく相談の上、決定しましょう。
 また採卵のタイミングですが誘発法により早い遅いはあります。普段の月経周期からはかけ離れたとしても、質は保たれることもあります。[2018年11月30日]
(産婦人科医:山口 貴史)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:5回
 40歳から不妊治療を始めて3年ほどが経ちます。しかし、良い卵が採れず、3回しか移植できていません。また、全て陰性でした。今までショート法、アンタゴニスト法、クロミッド 法を試しました。
 不妊治療を始めてまずはショート法にて誘発し、その際は卵が5〜8個は採れていましたが顕微授精をしても半分以上受精しませんでした。受精した卵も分割ストップなどが多かったそうです。
 前回、アンタゴニスト法にて誘発した際は、採卵数日前で卵胞数4個、E2(卵胞ホルモン):315でした。4個採卵し、2個だけ正常卵で顕微授精をするものの受精しませんでした。最初のショート法の時も卵が数個でもE2の値は低かったそうです。
 今回は、アンタゴニストが合ってないのだと思いクロミッドのみでの誘発も行いました。E2:574.9という高い数値で良い卵が採れるかもと期待しましたが、1個は空胞、1個は変性卵で、顕微授精もキャンセルになってしまいました。
 受精率が悪いので次はカルシウムイオノフォアで卵子活性を試してみるつもりでしたが、この様な結果で試す事が出来ず、受精率の改善策は今のところ分かりません。第一子は現在11歳で私は来月で43歳になるので、もう良い卵子が残っていないのかもと、覚悟しだしています。
 この様な、良い卵子がもう殆ど残っていない状態ではどの様な治療が可能ですか?また、卵管内移植をしてみたいと思いますが、私の様に胚盤胞まで育った事のない卵子、空胞、変性卵などが多い場合でも望みはありますか?

 様々な排卵誘発法で採卵を試みていく中で、受精・分割ができていないのは、やはり卵のエイジングが大きく関わっていると考えられます。採卵が可能な状態であることを考えますと、月経周期や排卵誘発法の見直し、顕微授精方法の変更(細胞質置換など)検討項目はいくつか考えられます。また、卵のコンディションによりますが、受精直後に卵管内移植をすることも、考えられるアプローチではないかと思います。一度御相談にお越し下さい。[2018年5月26日]
(産婦人科医:山口 貴史)
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