回答一覧 - 男性が原因の不妊について No.1 -
 精子や精子細胞は、長く凍結保存しすぎるとダメになってしまうのでしょうか?もし、期限のようなものがあるのならば、何年くらい凍結保存が可能でしょうか?また,保存をするための料金も併せて教えてください。

 精子および精子細胞は共に卵子と受精し、胎児となる能力を持つ細胞です。しかし精子細胞は、精子になる一歩手前の未熟な細胞であり、その分、凍結に対しても抵抗力が少し低下します。その為、精子細胞の場合には、精子に比べ、凍結条件を十分注意しながら凍結する必要があります。しかしながら、一旦凍結してしまえば、凍結期間に関しては、差はありません。保存期間が長くなるに従い、細胞の質が悪くなるということもありません。
 1年間の保存料(2005年11月現在)は、精子細胞の凍結は52,500円、精子の場合は、1本目が52,500円、2本目からは105,00円ずつの加算となります。
(院長:田中温)
 検査の結果、睾丸の中に精子が1匹もおらず、第二精母細胞しかいませんでした。第二精母細胞からせめて精子細胞まで育てることは可能でしょうか?
 もしも、精子細胞まで育てることが可能な場合、着床率や妊娠率はどのくらいなのでしょうか?また、着床した場合には、自然妊娠された方と比べて、リスクなど何か違いがありますか?

 第二精母細胞は、直ちに精子細胞に分化してしまいますので、実際に第二精母細胞を確認できる頻度は非常に低くなります。ですから、もし精巣内に第二精母細胞が確認できたというのならば、それは精子細胞か、第一精母細胞であった可能性が高くなります。形態的に第一精母細胞と第二精母細胞との鑑別は容易ですので、多分、精子細胞であったのではないかと思います。
 この未熟な細胞を培養して精子細胞にすることは可能ですが、その発生率は極端に低くなりますので、現在は、培養はしておりません。
 精子細胞は、精子になる前の未熟な細胞ですので、この細胞を用いた顕微授精では、精子を用いた場合と比べ、妊娠率は低下し、妊娠した後の流産率は、30%と高くなります。しかし妊娠継続した場合の新生児のリスクに関しては、精子と変わりません。
(院長:田中温)
 精子の検査結果も良く、これまではタイミングで頑張ってきましたが、妊娠に至らずAIHにスッテップアップしました。1回目のAIHの時は精子の数は8000万、運動率は70%と正常な数値でした。でも、2回目以降は、精子の数が1200万だったり500万だったり350万だったりとばらつきがあります。運動率も20%位に下がってしまいました。
 こんなにも違いが出ることはめずらしいのでしょうか?また、こういった違いは何が関係しているのでしょうか?元に戻すことができればと思うのですが・・・。このままAIHで妊娠は望めますか?

 1回目の検査とその後の検査は同じ施設で行なったのでしょうか。またAIHを処理した技師あるいは医師の検査能力の差はなかったでしょうか。あまりに落差が大きいのですが、もし全て正しい値であれば急激に精巣の中の造精機能が低下した可能性もあります。別の施設で再検査されてはいかがでしょうか?
 場合によっては、今後も今のレベルで継続できるのか、それともさらに低下していくのかを考えて対応する必要があります。このレベルではAIHでの妊娠は困難と思われますし、薬物療法も限界があると思います。奥様の年齢を考えて、体外受精や顕微授精への治療内容の変更も考えてみてはいかがでしょうか。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 約1年半前、夫が無精子症であることがわかりました。夫の血液検査も行いましたが、その時には異常がありませんでした。
 妊娠を望むのであれば勇気を出して精巣検査に取り組むしかないのですが、痛い思いをして検査をして、残念な結果になるかもしれないと思うと、夫婦揃って、なかなか一歩を踏み出せずにいます。もしも、精巣検査をせず、睾丸の大きさや固さなどの「外見や触感」で、精巣内に精子がいるかどうかの目安があるのなら教えてください。人それぞれだと思いますが、痛みは相当ひどいのでしょうか?麻酔や痛み止めなどで、手術中や術後の痛みを和らげていただけますか?術後の仕事への復帰は何日後くらいになりますか?
 夫は、仕事を終えたあとに、激しい運動(バレーボール)を毎日行っています。精巣検査をする前後には、このような運動の制限、食事制限や服薬などをする必要があるのでしょうか?

 当院では初診日の手術も、電話で手術日の予約が可能です(予約は2週間以上前までにお願いします)。
 ホルモン値が正常で精巣が大きい場合には、閉塞性無精子症の可能性が高くなります。副睾丸(精巣上体)に多くの精子がたまっている場合も期待できます。その場合には精子の採取は容易です。
 しかしホルモン値が異常(FSH高値など)や精巣が小さめの場合には精子が見つかる可能性は落ちると思いますが、精子になる前の段階の細胞があれば妊娠できる可能性はあります。実際に組織を採取して細胞をみてみないと判断できません。個々人で手術後の痛みの程度には差があります。局所麻酔を用いて麻酔の針を刺す時の痛みだけでだけで、手術中の痛みをほとんど感じないようにすることもできます。手術後は点滴の痛み止めを行ないます。帰宅後は坐薬の痛み止めを使ってもらいます。術後の仕事への復帰は個人差がありますが3,5日程度でしょうか。術後1週間程度はスポーツは控えてください。術後2日程度は飲酒も避けて下さい。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 こんにちは。去年、セントマザーで後期精子細胞が見つかり、凍結保存をしました。これまでに、2回の顕微授精をしましたが、よい結果がでず、次回の顕微授精でストックがなくなります(現在残り5本)。なくなった時には、また睾丸を切開して細胞採取することになると思いますが、以前見つかった時も「見つかったものは極未熟な後期精子細胞です」とおっしゃっていた先生の言葉がひっかかり、もしやもう見つからないのでは・・・と不安でたまりません。
 次回の顕微授精には万全の体制で臨みたいと思っていますが、もし再度睾丸を切開することになった場合にも、後期精子細胞は見つかるでしょうか?1回目には見つかって、2回目には見つからないということもありますか?食事など生活面で気をつけられることはありませんか?

 精巣生検は、回数が増える度に陰嚢内での癒着がひどくなり、精巣の動きが悪くなり、引きつれたりすることもありますので、原則的には一回ですむようにしております。一回の精巣生検で15-20本の細胞を凍結保存が可能です。
 しかしながら、後期精子細胞のグレードが非常に未熟な場合には、一度に3-5本ほど融かす事があります。この様なレベルの方は、次回さらに良い細胞が見つかる可能性は非常に低くなり、前回と同様ないしは少し下がるとお考え下さい。この細胞の良し悪しに関しては、食生活や日常生活はほとんど影響がありません。残念ですが精子を作る細胞は、一度ダメージを受けると、それ以降回復したりすることは望めないのが現状です。
(院長:田中温)
 私は23歳、彼は46歳の歳の差カップルなのですが、現在結婚を前提にして交際をしております。彼は、前妻との間に2人の子供がおり、パイプカットをして20年近くたちます。
 結婚後は、2人の子供がほしいと彼に相談したところ、彼も手術を受ける覚悟をしてくれました。その後、何度も彼と話し合いをして、私はまだ年齢が若いので、出産は30歳前後にしようと決めました。しかし、以前、パイプカットをして時間が長く経つと、精子の数が減るという話を聞いたことがあり、不安なのですが本当でしょうか?私が30歳になったら、彼は53歳になります。パイプカットの期間や、彼の年齢のことも考えて、30歳の私に妊娠できるチャンスはあるのでしょか?

 結論から言いますと、妊娠できるチャンスはありますが、ご自身が心配しておられることの可能性もありえます。切断した精管同士を再びつなげる手術はどこの泌尿器科でもできるわけではなく、施設はかなり限定されると思います。手術を行なった場合、必ず性交によって妊娠可能な状態の射出精子が出てくるという保障はできません。
 現在では精巣(睾丸)や精巣上体(副睾丸)、から直接精子を採取して顕微授精法を行なう方法で妊娠されるカップルの方が圧倒的に増加しています。もし、手術でうまくいかなかった場合には、そのような治療法も考えてみてはいかがでしょうか?その場合には、精子の状態が低下していても卵子の状態が良好(年齢によってできる卵子の数や質は徐々に低下していきます)ならば充分妊娠は可能です。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 不妊治療の結果、先天性の染色体異常と診断されました。精巣内の精子を探す事は出来るけれども、睾丸が小さいので片方の睾丸がなくなってしまう可能性があると言われています。睾丸がなくなれば、男性ホルモンに異常が生じて、今までのように普通に生活が出来なくなるとも言われました。
 こういった理由から、どうしても子供が欲しいのなら、非配偶者間人工授精(AID)を医師から勧められましたが、可能性があるのならば、出来る限りがんばりたいと思っています。どのぐらいの睾丸の大きさまでなら異常をきたす事無く調べられるものなのでしょうか?1回も調べる事は出来ないのでしょうか?

 先天性の染色体異常ということですが、クラインフェルター症候群のことでしょうか。精巣が非常に萎縮している状態だと思います。このような場合でも精子が存在する可能性は、わずかながらあります。採取する量は非常に少量ですので、精巣全部が無くなるということはありません。
 男性ホルモンは、精巣の中のライディッヒ細胞から分泌され、精巣組織がごく少量でも、その効果は十分期待できますのでご安心下さい。大きさ的には小指の頭くらいあれば、精子が見つかる可能性はあります。
(院長:田中温)
 私は、クラインフェルター症候群(47XXY)の染色体異常の無精子症ですが子供ができますか。リスクはありますか?

 クラインフェルター症候群では、睾丸が小さく、ほとんどのケースで射出精子は認めません(無精子症)。しかし数割のケースで精巣内にごく少数の精子の存在を認めることがあり、(microdisection法:顕微鏡下に太くなった精細管をみつけ、そこに針を刺し、精子をみつける方法)それを用いて顕微授精を行って妊娠、出産に至ったカップルも増えています。もし精巣内に精子を認めなくても精子細胞が存在するならば、この細胞を使っても妊娠も可能です。当院では2名の方がこの方法で正常児を出産しています。本人は染色体異常でも採取した精子や精子細胞の染色体は殆ど正常であり、同じ病気になることは稀です。心配であれば、妊娠中に羊水検査や絨毛検査をすることも可能です。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 私は脊髄損傷の患者です。子供が欲しいので、自宅の近くにある脊損センターにて、直腸内電気刺激で射精して人工授精をおこなっていますが、なかなか妊娠しません。直腸内電気刺激の他に有効的な治療があれば教えて下さい。

 直腸内電気刺激は、外科的処置をしなくても何回も採取できる、又、費用が安いなどの利点があります。一方、長時間射精されずたまった古い精子から採取されるため、運動率がかなり低下するという欠点もあります。約10〜20%の運動率が確認できるのであれば、凍結保存し、顕微授精(ICSI)で妊娠は十分可能となります。運動率が10%以下の場合は、凍結保存後の運動率が殆ど0となりますので、外科的に精巣上体より良好な精子を回収した方が良いでしょう。
(院長:田中温)
 精巣上体から精子を採取して凍結保存しておき、顕微授精を行っています。電気刺激でなかなか妊娠できないのであれば、この方法の方が妊娠率はずっと高いと思います。最終的には、妊娠の年齢によって妊娠の可否が左右されることになりますので、早めに取り組まれるようお勧め致します。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 これまでに、精巣生検を2回(大学病院1回・セントマザー1回)しました。大学病院では精子細胞もないと言われました。セントマザーでは、6本の精子細胞がとれました。
 再度精巣生検をしたら、今度は精子が見つかるという可能性もあるのでしょうか?もしその可能性があれば、精巣生検を再度受けたいのですが、回数に限界はあるのですか?あと何回くらいできるのでしょうか?

 数回精巣生検を行い、精子が認められない場合には、次回精子が見つかる可能性は非常に低いと思います。
 精巣の機能には、時間が経つと回復したり、改善したりする能力はありません。一度ダメージを受けた場合には、一生その影響が残ってしまいますから、将来、精子が見つかるということは期待できません。また精巣生検を複数回することにより、精巣内で癒着が起きてしまい、何か引き連れたような感じが残ったりしてしまいます。その様な不利な点を考えますと、精巣生検は多くても3回までが限度だと思います。

(院長:田中温)
 仕事が忙しく、なかなか来院できないので、精子凍結をしていただきましたので、自宅に戻って勉強をしてみようと思い、色々と調べてみました。そこで、気になった点があるのですが、精子凍結は、染色体異常を起こす可能性があるのでしょうか?もしも、そのような可能性があるのであれば、無理をしてでも毎回通いたいと思ってます。また、凍結した精子を使うことで、妊娠率に影響はないのでしょうか?

 精子凍結は、安全で完成された方法です。凍結することにより精子の染色体に異常が起きるということはありません。受精率に関しても新鮮精子と同様と考えて下さい。
 -196℃の超低温に凍結保存した後、解凍する際に何割かの精子は死滅してしまい、運度率は約20%程低下します。しかしながら、このストレスに耐えられる良好な精子は正常に戻ります。ダメージは心配いりません。精子の運動性が60%以上、精子数が3〜5000万/cc以上、最活発前進運動精子が運動精子の30〜40%以上であれば、凍結AIHに使用しても妊娠率は下がりません。
 精子の性状があまり良くない場合(上記の条件より低い場合)には、凍結後、運動率の低下が著明となります。このような場合には、ご主人にお願いして射出精液でのAIHをされることをお勧めしております。
(院長:田中温)
 数年前に無精子症と言われ、毎回精巣を切って精子を採取しています。採取した精子を使って顕微授精を行っていますが、なかなか子供ができません。私のせいで妻には辛い思いをさせていると感じていますが、何度も切るのは正直辛くなりました。毎回切らなくてもいい方法はないのでしょうか。

 精巣上体(副睾丸)や精巣(睾丸)に精子がいれば1回の手術で精子を凍結保存することができます。何回分かの治療が可能です。


(産婦人科医:粟田松一郎)
 不妊治療を始めようと病院を受診し、検査を受けたところ、主人が精子無力症といわれました。自然妊娠を希望していますが、どの程度の運動率があれば、自然妊娠の可能性があるでしょうか?できるなら、タイミングから法から始めたいのですが、人工授精にステップアップする目安はいつでしょうか?

 精子の運動率は、弱い動きでも強い動きでも同じように算定しますので、要注意です。運動率80%でも、ワンプラス(+)のような、非常に弱い運動性の場合では、人工授精では無理で、体外受精がいいと思います。要は、全体の運動する精子の数と割合とその動き方です。最活発前進運動するような精子が、50%以上あれば、人工授精で十分妊娠する可能性があると思います。
(院長:田中温)
 最初の結婚で、子供を授かりましたので避妊の意味でパイプカットを行いました。今度再婚をすることになったので、子供が欲しいと思うようになりました。調べてみると、外科的に元通りにする手術と精巣上体(もしくは精巣)より精子を採取する方法があると聞きましたが、私にはどちらが向いているのでしょうか。

 外科的に元通りにする方法はありますが、それを行っている施設は全国でもさほど多くなく、経験や技術的にも差があると思います。手術の予約で長くまたされることも多いと聞きますし、手術は成功しても必ずしも妊娠できるだけの精子が出てくる保証もありません。一時的には成功しても、その後出てこなくなる事もあります。現在の日本では、より高い確率で妊娠に至るためには、精巣上体(副睾丸)から精子を採取して、凍結保存した上で顕微授精を行って妊娠させる方がより一般的になっています。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 なかなか子供ができず、受診をしたところ、妻には異常が見つからず、夫である私に問題があるのではないかと指摘されました。今度、精巣生検を行う予定なのですが、睾丸を切開するのにはとても抵抗があります。切開しないで細胞を採取する方法はないのですか?

 男性不妊症、無精子症の最終診断は、精巣内の組織を採りだしてその中に精子がいるかどうか(又は後期精子細胞がいるかどうか)で決まります。
 精巣生検は、原則的には外科的に行いますが、経皮的に注射器で採り出す方法もあります。特に閉塞性無精子症(精子を運ぶ精管が途中で閉塞している為に無精子症になる症例)で、精巣上体下部がかなり拡張(腫大)している場合には、切開せず皮膚の上から直接針を刺して採取することが可能です。注射器で精巣内の細胞を採る方法もありますが、これは十分な量が採れませんので、何度も繰りかえさなければなりません。
 良好な精子をピンポイントで多数獲得するためには、外科的に採る方法が最も効果的です。当院では、精巣生検ないしは精巣上体精子回収法は1回で終わるようにと考えておりますので、最も良い状態の精子または後期精子細胞を得る為に外科的な操作をおすすめしております。1回の操作で約15〜20回分のサンプルを凍結保存する事が可能です。後期精子細胞の成熟度が高い場合には、1本で1回分となりますが、成熟度の低い細胞の場合には、1回分として3〜5本使用することもあります。凍結後の後期精子細胞の受精能力は、フレッシュのものと変わりません。
 精巣生検は全身麻酔で行い約30分で終わります。入院は必要ありませんが、遠方から来院される方には、当日は当院近くの宿泊施設で一泊されることをおすすめしております。生検後の局所及び下腹部の鈍痛は4〜5日間続きますが、鎮痛剤で何とか治まります。デスクワーク程度であれば、生検の2日後より可能となりますが、重い物を持ったり、激しく動き回るお仕事の場合は、抜糸(生検4日後)まで安静にされた方が良いと思います。
(院長:田中温)
 なかなか子供に恵まれず、先日病院で検査をしたところ、精子が1匹もいない無精子症と診断されました。幼い頃から体だけには自信があり、大病を患ったこともありませんので、無精子症になってしまった原因が思い当たらず納得できません。無精子症の原因は何ですか?違った結果が出ることはありませんか?

 再検査でわずかに精子を認めることもあります。それぞれの施設での検査能力の差はあるかもしれませんし、ご主人様の体調によることも考えられます。しかし、他施設でも「無精子症」の診断がなされる場合のケースが大半です。 自覚症状がなくても「無精子症」と診断されることはしばしばあります。無精子症には大きく「閉塞性」と「非閉塞性」があり、それぞれ「先天性」(生まれながら)と「後天性」の場合があります。
 「閉塞性」は、「精巣(睾丸)」で精子はちゃんとつくられており、それが射出するまでの途中の通過障害によって無精子となっている状態です。幼児期にソケイヘルニア(脱腸)の手術時に精管を一緒にしばったり切断してしまった場合や不妊手術(パイプカット)、炎症(副睾丸炎、精管炎など)などで後天的に起こったり、生まれながら両側の精管が欠失している場合もあります。睾丸の大きさは正常かやや大きめのことが多く、ホルモン検査も正常値です。
 「非閉塞」は、「精巣」で精子の産生に障害が起こっている状態で、精巣の中にも精子が全くみつからないものもあれば、少数存在するものもあります。精巣は正常よりも小さい場合が一般的です。精子形成について、左右で差がある場合もあります。ホルモン検査で異常値を示す場合がしばしばあります。原因としては、先天性としては、「染色体の異常(クラインフェルター症候群.47,XXYなど)」「遺伝子の異常」「原因不明」が挙げられ、後天性としては成人後のおたふくカゼによる副睾丸炎」「高熱の既往」「原因不明」などがあります。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 こんにちは。乏精子症の治療をしています。以前は、少ないながらも精子が見つかっていたのですが、先日の検査では精子が見つかりませんでした。再度検査をすることを指示されているのですが、どのくらい期間をおいて検査をすれば、次の精子ができるのでしょうか?

 精子の数が極端に少ない重症乏精子症の方は、精子が認められるときと、全く認められないときが交互にあることがよくあります。少なくとも、造精機能はかなり障害されていますから、たいていは時間の経過とともに、精子が0(ゼロ)となってしまいます。ですから、少ないながらも精子が認められている間に治療に入るか(顕微授精)、今のうちに精子を凍結しておかれるほうがいいと思います。
 精子凍結は、2,3匹でも、凍結する技術が開発されていますので、ただちに、凍結、顕微授精にはいられたほうがいいと思います。再検査は、1週間あければ十分でしょう。
(院長:田中温)
 何年も妊娠せず、ようやく主人を説得して検査を受けたところ、男性不妊と言われました。検査の結果、顕微授精しかないといわれましたが、精子の数や運動率を向上させる方法はないのでしょうか?

 顕微授精が唯一の治療法であるような重症男性不妊症の場合には、残念ですが、精子の状態を改善する方法はほとんどありません。顕微授精にはいられることをお勧めします。


(院長:田中温)
 先日、主人との会話で、子供の頃に高熱を出したことがあると聞きました。私達夫婦になかなか子供ができないのは、もしかして主人の精子に問題があるのではと不安で仕方ありません。精子がない可能性もあるのでしょうか?

 無精子症の原因として高熱はよく言われますが、よほどの長期間の高熱でない限りは、それが原因だとは考えにくいと思います。成人後のおたふく風邪でも、実際に無精子症になる確率は30%程度です。無精子症の原因の大半は不明です。


(院長:田中温)
 主人の精子の状態がよくないといわれました。精子の状態をよくするために、なにか効果のある食べ物はないでしょうか?

 男性不妊の原因の大半が不明です。ですから食べ物で精子の状態が急激によくなるとは期待されないほうがいいと思います。一般的な規則正しい食事をしていれば十分です。ただし、過度のアルコールやタバコは悪影響がありますので、控えられてください。
(院長:田中温)
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