回答一覧 - 男性が原因の不妊について No.3 -
年齢:29 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 知り合いがオットセイドリンクを飲んで妊娠できたという話を友人から聞きました。もし、専門医からみても本当に効果のあるのもだとしたら、長年不妊に悩んでいる42歳の先輩に勧めたいのですが、いかがなものなのでしょうか?先輩は旦那様が、射精しづらく、妊娠しにくい原因になっているということです。

 オットセイドリンクがどのような成分であり、どのような効果があるかわかりません。昔から精力増強剤といわれるものはマムシドリンクとか、ほかにも色々あるように思われますが、いずれも医学的に検証されたものはないと思われます。
 このようなものは一般的に非常に高価であり、ただ単に気合的に精力や性欲が高まったように感じるだけのものではないかと思います。このように効果が不確定なものに頼るよりは、ご夫婦で不妊の検査を受け、検査に基づいて原因に応じた治療をしっかり行うほうが妊娠に至る順当な考え方であろうと思います。[2006年9月1日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:33 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 1年前に無精子症と診断されました。体の中で「精子を作りなさい」という信号は十分にでているそうなのですが、造る機能が働いていないようです。精巣も小さいと診断されました。診断から1年がたち、やはり子供が欲しいので顕微授精(ICSI)に挑戦しようと考えています。しかし、顕微授精を行うには、精巣から精子が採取できなければいけません。造精機能不全、精巣が小さいといった状態で、精子を採取できる可能性はあるのでしょうか?
「精子は採取できなかった。あなたは子供が作れない。」といわれたら・・・と毎日不安でたまりません。

 お話から、御主人の診断は「非閉塞性無精子症」と思われます。当院では、精巣内に成熟精子がみつからなくても、前段階の精子細胞が存在すれば、それを用いた顕微授精法(ICSI)で今までに多数の妊娠・出産例があります。ホルモン検査や触診の結果からは、楽観的なコメントはできませんが、まずは精巣組織を採取してから、ということになります。[2006年8月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:5回 人工授精:0回 体外受精:0回
 地元の不妊治療専門病院で、主人が無精子症と判明し、精巣生検を行う場合は、その病院とは別経営の泌尿器科を紹介されました。紹介された泌尿器科は、不妊治療関係の経験が浅く、不安を感じています。
 デリケートな検査だけに、泌尿器科に行くのを渋っていた主人が、セントマザーの存在を知り、セントマザーでなら・・・と言ってくれています。セントマザーで主人の検査をしていただけないでしょうか。
 検査をしていただける場合、そして幸運なことに精子がいた場合なのですが・・・。私は仕事をしていて、時間が自由になりません。また、交通費などの金銭的な部分や精神的負担から考えると、不妊治療は引き続き地元の病院を希望しています。手前勝手ではありますが、精巣生検のみの通院はうけていただけるものでしょうか。また、その後のアフターケア(精子運搬や治療後の過ごし方)にご協力はお願いできるのでしょうか。

 無精子症には、閉塞性無精子症と原発性無精子症があります。
 閉塞性無精子症の場合には、精巣上体より大量の良好精子が取れますので、凍結保存しておき、運搬することも可能ですので、他施設での治療も十分可能です。
 しかし、精巣上体より精子が取れない、すなわち原発性無精子症の場合には、精巣内精子が取れたとしても非常に数は少なく、不動精子や奇形精子が多くなりますので、精子を使わずに後期精子細胞を使った方が有利となります。
 凍結の技術は、施設によって、大きく異なります。当院では、凍結技術を独自に開発をしておりますので、非常に少ない精子凍結も可能ですが、他施設では難しいところもあります。また、後期精子細胞を用いた凍結や顕微授精に関しては、残念ながら、他施設では十分な結果がでていないと報告されております。ですから、たとえ運搬したとしても治療には直結しない可能性がございます。その点を十分にお考えになられて、ご判断されてみて下さい。できる限りの協力は致します。[2006年7月1日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 男性不妊治療でお世話になっています。先日、精巣生検の手術のことをドクターと話しました。精巣の周りの皮を4cmほど切って精巣を取り出し、針を刺して精巣内に精子をさがす。それで、精子がいなかった場合は、精巣の精子がいそうなところの細胞を採取すると聞いています。ホームページでも読んでいます。
 細胞を採取することとなった場合は、どのくらい細胞を採取することになるのかとドクターに聞いたところ、「1/3は採ることとなるでしょう」と言われました。私の精巣はもともと小さいので、細胞採取となったら、かなり小さくなると思います。妻は、「細胞を採って精巣が小さくなっても何も変わらないよ」といいますが、細胞を採取することまではしたくないのが正直な気持ちです。
 院長も、手術をしてみないとわからないとおっしゃっていましたが、これまでに私のように精巣が小さい例はあると思います。精子が見つかる確率と精子細胞がみつかる確率を教えて下さい。また、細胞を採ることによって男性ホルモンは今以上に減るのでしょうか?それによって後遺症のようなことはないのでしょうか?

 精子がみつかる確率は約20%です。精子は認められず、後期精子細胞がみつかる確率は約30%です。
 当院で採取する量は、耳掻き2〜3回分ですから、男性ホルモンが減ったり、形が変化することはありませんし、後遺症もほとんど無いとお考えになって結構です。睾丸が小さい方の場合は、診療に必要な量を採取すると1/3程採ることになるかもしれません。しかし、半分あれば、精巣機能に問題はありませんので、安心して下さい。[2006年6月15日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 3年ほど前から不妊治療をしています。夫が閉塞性無精子症のため、手術で精子を採取し、現在、凍結保存をしています。顕微授精・胚移植を5回行い、1度だけ妊娠しましたが初期で流産しました。流産してからしばらくの間、治療をお休みしておりましたが、年齢や経済的な面で、最後のチャンスだと思い、夫と話し合って、セントマザーへ転院して、もう一度チャレンジしたいと考えております。
 現在の病院での凍結精子保存の期限が迫っており、期限延長には料金もかかりますので、できればすぐに凍結精子をセントマザーへ輸送したいと思っていますが、可能でしょうか?セントマザーでは、診察していただいた事がないのですが、受け入れていただけるのか不安です。

 御希望であれば、受け入れはもちろん可能です。精子についてですが、よい状態で運搬することが大切です。当院に専用の容器がございますので、必要であればお貸しいたしますので御連絡ください。可能であれば、病院の雰囲気を見たり、お話をするために一度ご来院いただいてもよいと思います。
 精子および後期精子細胞の凍結の方法は、各施設によって異なり、その状態にもかなりの差があります。もしも、本数に余裕がある場合は、1本融かして、どのような状態なのかをみてみましょう。良い状態で凍結されていると良いですね。[2006年6月1日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 結婚して3年目になります。主人は、結婚する3年くらい前に睾丸を片方摘出しており、その時の医師に、数年は子供ができにくいかもしれないと言われたそうです。
 年数さえ経てば・・・と思っていましたが、まだ子供には恵まれません。こちらのQ&Aには、片方摘出しても機能は十分と書いてありました。しかし、やはり睾丸摘出は、不妊の原因にもなるのでしょうか。私たちのようなケースでは、妊娠するには治療が必要ということなのでしょうか。教えてください。

 片方の睾丸しかなくても、その睾丸で精子がつくられているなら充分妊娠は可能ですが、精液検査の結果によって対応は異なります。まずは検査を受けて下さい。[2006年5月4日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:0回 体外受精:0回
 現在、海外在住で、2人目不妊治療中、自己注射にてホルモン治療をしています。先日、主人の精子の奇形率について指摘され、顕微授精(ICSI)を勧められました。結果は、Volume 2.0ml Density,110*10(6)/ml,運動 Motility Rapid 37%,Sluggish 22%,Non-progressive 6%,Immotile 35%,奇形率Morphology 6%(Cruger法で14%以上が正常),Vitality 69%(60%以上が正常)でした。
 量的には問題はないそうですが、自然なタイミング(ホルモン治療と合わせて)を考えていたので、大変驚いております。そこで、4つ質問があります。
 1.自然な性交で妊娠は困難でしょうか。
 2.人工授精などの治療をする価値はあるでしょうか。
3.奇形精子が受精した場合、流産を引き起こすのでしょうか。
 4.漢方薬を服用もひとつの改善策でしょうか。
 現在、主人は37歳で、仕事のストレスは特にありませんが、ファーストフードなどの脂っこい料理を好んで食べています。アドバイスをいただければ光栄です。

 精液検査については、「奇形率」のみの指摘だったとのことですが、精子の奇形のタイプによっても対応が異なりますので、できれば一度こちらでも検査してみたいと思いますが、海外在住なので難しいですね。別の専門施設で再検査をして、奇形率の異常の有無を含めて、セカンドピニオンを求めてみてはいかがでしょうか。
 4つの質問に対してお答えいたします。
 (1.について)以前一度出産されているので、自然妊娠の可能性はあると思います。精子濃度や運動率は正常にもかかわらず、奇形率だけが悪化するということはあまり経験がありません。ただ新たに他に妊娠できない原因が出現している場合もありますので、女性の側の精査も必要です。月経周期は順調だとしても、「加齢」による影響も考慮が必要です。
 (2.について)人工授精(AIH)も数回(6回くらいまで)はためしてみてもよいと思いますが、原因によっては顕微授精(ICSI)や体外受精(IVF-ET)が必要となることもあります。
 (3.について)形として明らかに異常をもつ精子は、受精能力がかなり低いと思われますので、精液検査での奇形率が高くても、奇形精子による受精はかなり少ないのではないかと思います。精子が原因で流産や先天異常が起こる場合、しばしば精子の染色体が原因となることがありますが、その場合でも精子は、外見上は正常なものがほとんどでしょう。
 (4.について)軽度から中等度の男性不妊の方で、漢方薬で精子濃度や運動率が改善することは時々認められますが、万能薬というわけではありません。ひとつの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
 もし御主人がいわゆる「メタボリック シンドローム」の「要注意」になっているのであれば、食生活の改善を努力された方がよいでしょう。[2006年5月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:2回 体外受精:2回
 不妊治療の過程で男性不妊が分かり顕微授精(ICSI)をしましたが残念な結果になりました。今後の治療ですが、経済的な理由で今すぐ治療をすることが難しい状況です。しかし、年齢のことを考えると、お金が貯まるまでの期間に何もしないのはもったいないような気がして、同時に焦っています。
 主治医の話では、人工授精(AIH)をするのは最低でも夫の精子が1000万/ml以上ないと難しいと言われています。毎回データは違いますが、少ない時は30万/mlで、1000万/mlは過去に1回だけという状況です。このような状況で、経済的な理由から人工授精(AIH)を行うことに、果たして意味があるのでしょうか。精子が少しでもいれば、わずかかも知れませんが妊娠の可能性があるのではといった気持ちと、可能性として非常に低いのであるのならば、やはり顕微授精をするために十分な費用が貯まるまで(半年〜1年ほど)待った方がいいのか悩んでおります。先生方のご経験やお考えをお聞かせ願えればと思います。

 今までの経過やデータからみて、人工授精(AIH)によって妊娠できる可能性は確かに少ないと思われます。経済的な面を考えずに判断すれば、顕微授精(ICSI)を続けるべきだと思います。しかし、経済的な負担は大きく、また1回の治療によってゴールが保障されているわけでもありません。とりわけ女性については、加齢による妊娠・出産への影響は大きく、早めの治療が望まれます。お子さんが産まれた場合には、子育て期間の親の年齢も気になります。このようなことについては、当然、御本人自身が一番心配されているものと察します。大変辛いところだろうと思います。
 御存知とは思いますが、一昨年から各自治体で、御夫婦の所得状況によって、年1回、10万円まで(2年間)の治療費の支援を行っています(夫婦の所得総額による制限あり)。しかし、患者様が不妊治療で負担する治療費の総額からみると、決して多い額とはいえません。少子化対策としても、是非、一刻も早く不妊治療に保険を適応してほしいものです。今までもさまざまな形で保険適応に向けた動きはありましたが、いまだに成立していません。今後は、患者さん団体の側からの政府へのさらに強い働きかけが重要になるのではないかと感じます。御本人が期待された「答え」になっているかどうかわからず申し訳ありませんが、自動車やマイホームを我慢してでも、不妊治療にトライされている御夫婦も多いことと伺っております。[2006年5月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人が無精子症と診断され、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)を受けました。主人の場合、染色体異常などはなく、無精子症の原因は不明です。担当医からは、精子細胞がみつかる確率は30%だといわれましたが、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)の結果、後期精子細胞はみつかりませんでした。
 セントマザーでは、私たちのような症例の場合、後期精子細胞以上がみつかる確率は何%くらいでしょうか?もういちど顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)を試す価値はあるでしょうか?

 現在の我が国で行われている顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)や精巣内精子採取術(TESE)のほとんどは、過去に発表された論文にしたがって、似かよった精細管(精巣組織)の処理方法を用いています。しかし、その手技は、スライドガラスなどで物理的に組織をすりつぶすという方法で、きわめて雑な方法といわざるを得ません。多くの細胞の中から各段階の精子細胞、精母細胞、精祖細胞といった生殖細胞を正しくみつけ出す能力は、ただ漫然と経験を重ねるだけで身につくものではありません。体細胞と生殖細胞を見分けることができない施設も多いと思われます。また、現在行われている生殖細胞の凍結保存方法にも大きな問題があります。一般に行われている「組織をそのまま凍結保存する方法」では、かなりの「ダメージ」が避けられず、解凍時には多くの細胞が死滅してしまいます。
 当院では独自に開発した特殊な組織処理方法の「技術」と各段階の生殖細胞を正しく見きわめる「目」をもっています。後期精子細胞がみつかる確率は約30%位ですが、1000例をゆうに超える症例にもとづいた経験と精子細胞を用いた多くの出産症例の実績を信じていただけるなら、いちどお話をお聞かせいただけませんでしょうか? [2006年5月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 主人は32歳ですが、1型の糖尿病(病歴15年・腎症の飲み薬服用)で、まったく射精ができません。
 尿中に精子がいるので、2005年末に膀胱洗浄をして、精子を採取し、顕微授精(ICSI)をしましたが妊娠しませんでした。その時には、4個の卵が採れましたが、そのうち受精したのは1つだけ(5分割、G2)で、それを戻しました。
 今回の膀胱洗浄は「生理食塩水」で行いました。尻尾が硬直していたり死んでいるものが多かったそうです。培養液はよくないとを聞きましたが、そのせいで精子の状態が良くなかったのでしょうか?「培養液」での膀胱洗浄は安全なのでしょうか?
 2006年夏には顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)をする予定にしています。主人はMD-TESEをする覚悟はできていますが、切らなくても大丈夫なら・・・と思い、再度、顕微授精をしようと思っています。より確実な精子採取方法を教えてください。

 膀胱洗浄でたとえ動きが悪くても、精子が取れるのであれば、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)をする必要はありません。膀胱より回収した精子で正常な赤ちゃんがたくさん産まれております。少なくともTESEよりは成績がよくなります。[2006年4月17日]
(院長:田中温)


 培養液での膀胱洗浄でも、とくに危険はないと思いますが、膀胱洗浄で良好精子が採取困難な場合、精巣上体(副睾丸)の中に溜まった精子を採取する方法があります。精巣自体から採取するよりも、多量の運動良好精子を凍結保存できることがあります。精巣上体に精子がみつからない場合には、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)を行うことになると思います。[2006年4月17日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 妊娠を希望している32歳の主婦です。主人の精液量が少なく、色も透明なのですが、やはり量が少ないと妊娠の可能性も低くなるのでしょうか?色が透明なのは無精子症なのでしょうか?治療が必要でしょうか?

 精液の量や色だけでは判断ができません。まずは御主人の精液検査を行うことをおすすめします。その結果に基づいて、より適切なアドバイスができると思います。4〜7日くらい禁欲した状態で検査を受けて下さい。[2006年4月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人が無精子症で、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)をおこないましたが、精子細胞、後期精子細胞が見つからない結果におわりました。
 太い精細管がみつからず、弾力性は10cm以上が理想だけれども、主人は0.5cm〜5cm程度しかなかったそうです。精巣の大きさは通常の半分以下で、2回の精液検査、精巣生検をへて、最終手段でMD-TESEをうけました。細胞もわずかしかないといわれました。これまでに、精子や後期精子細胞のみつからない人が、何年後かに再度検査を受けみつかった例というのはあるのでしょうか。
 また、主人はFSHが通常の3倍くらいあります。これは環境ホルモンの影響の可能性もあると思いますが、それを取り除くことができればFSHも正常値になって、精子が作られる可能性はないのでしょうか?環境ホルモンの影響で体に蓄積された不純物を取り除く方法はあるのでしょうか?

 顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)で精子や後期精子細胞が見つからなかった場合には、御主人の精巣内の細胞を用いての妊娠は不可能だと思います。
 原因としては、ほとんどの場合が先天性(生まれつき)のものだと思います。もしも、環境ホルモンが影響するのであれば、もっと多くの男性が無精子症となるはずですから、環境ホルモンの影響はほとんどないと思いますよ。[2006年4月1日]
(院長:田中温)
年齢:26 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人の検査(尿・血液・精子3回・触診)をしたところ、非閉塞性無精子症と判断され、生検をしても精子が存在する確率は10%しかないと言われました。また、染色体異常だと思うため、主人の遺伝子を残すのは不可能だと思って下さいと言われて、夫婦で落胆しています。
 ホルモン検査で、FSHが14でしたが、それ以外は全て平常値でした。染色体異常という診断は、FSHの値で決まるのですか?また、染色体異常では子どもを授かることができないのでしょうか?あまりにもショックで、主人はとても心を痛めています。希望はありませんか?

 非閉塞性無精子症の男性にFSHが高値のことが多いのは事実です。精巣に対して精子をつくるように命令するために、脳下垂体からFSHが多量に分泌されているのです。このような症例の中には、「染色体異常」が含まれていることも事実ですが、もっとも多いのは「クラインフェルター症候群(47,XXY)」といって、正常男性よりもX染色体が1個多い異常です。しかし、この症例の中には、精巣内に精子や精子の前段階の細胞が存在する場合がしばしばあります。それを用いて顕微授精(ICSI)で妊娠、出産されたご夫婦も多くいます。その場合、精子などの「生殖細胞」の染色体は、ほとんどが正常であり、だんな様の遺伝子を半分受け継いだお子さんが生まれてくることは十分可能です。まずは、しかるべき施設で御相談されることをおすすめ致します。[2006年3月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:0回
 生理周期は25日程度で、血液検査では黄体機能不全では?と曖昧に言われました。初めはクロミッドを飲み、排卵時期に性交渉をしてくださいと言われたのですが、主人が勃起障害(ED)なので、出来ませんでした。クロミッドを飲んでいたからなのか、生理周期が28日程度になり、生理14日目に受診した時には、排卵が終わっていました。今回も28日目に生理になり、11日目に受診すると、人工授精(AIH)をしましょうということで、本で自分なりに調べ、AIHでは精液を洗浄することや、抗生物質を処方されることを勉強しました。
 AIHの当日、主人はプレッシャーに弱いためになかなか採精できず、予約の時間ぎりぎりになってしまいました。そのせいなのか、私がAIHをした病院は、そのままの精液を使い、抗生物質も処方されませんでした。このような方法もあるのでしょうか?
 また、今後、主人のことを考えますと、AIH当日に自宅でも精液が採取できない場合があると思います。このような場合にはどうしたらいいでしょうか?

 男性が射精できないパターンには2通りあります。1つは、完全な勃起障害で、全く射精できない場合。もう1つはその時の精神的な状態によってできる場合とできない場合がある不完全な勃起障害です。御主人は後者にあたると思います。ですから、前もって精液を採取し、良い状態で凍結をしておいてはどうでしょうか。そうすれば、あとは奥様の排卵日を正確に見つけ、前もって凍結した精子を融かして人工授精すれば良いと思います。
 当日、今日が排卵日だから何が何でも精液を取らなければいけないということがプレッシャーとなって、勃起障害となる男性は意外と多いのですよ。どうか御主人の立場も御理解してあげて下さい。良い結果はでると思いますよ。[2006年3月1日]
(院長:田中温)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 初めまして。フーナーテストの結果があまり良くなかったので、精液検査をした結果、乏精子症だとわかりました。300万/ccしかいないと言われました。担当医からは、顕微授精(ICSI)を勧められました。でも、昨年、2回の妊娠反応が出ているので(2度とも初期流産でした)、私どもとしては、そこまでは・・・と考えています。1度、人工授精(AIH)をしてみようかとも思っています。でも、タイミングが合えば、妊娠の可能性はあるのではないかと思っているのですが・・・。流産の理由は、何でしょうか?不妊治療をして、約1年になり、金銭面でも負担があるので、1日でも早く子供を授かりたいのですが、やはり、担当の先生がおっしゃるように、顕微授精しか希望はないのでしょうか?

 1ccあたり300万の精子数では、やはり顕微授精が唯一の妊娠方法だと思います。しかし、今まで2回の自然妊娠をされているのであれば、実際にはもっと良い時があるのかもしれません。もしくは、これまでの2回の自然妊娠が本当の妊娠ではなかった可能性があります。超音波で胎嚢を確認しておられるでしょうか?ごく初期の流産の場合には、妊娠反応が薄くて、直ちに出血が始まるという場合があります。このような場合には、実は妊娠していなかったということになるかもしれませんね。
 精液検査は、1回では判定は困難です。特に所見が悪い場合には、体調の良い時に、複数回されてみて下さい。そしていつも同じ結果ならば、それが御主人の精子の状態だとお考えになられていいのではないでしょうか。[2006年3月1日]
(院長:田中温)
 癌の治療のため、放射線を使用することになりました。放射線治療の前に、無精子症になる可能性があるという説明を受けました。治療がひと段落したら、子供が欲しいと思っています。無精子症になってしまうと、子供は諦めないといけないのでしょうか?

 悪性腫瘍の腫瘍のための制癌剤や放射線治療を行った後、無精子症になることは珍しくありません。治療の内容にもよりますが、半年もしくは1年で正常な精子が再びできることもありますし、全く機能がなくなる場合もあります。ですから、可能ならば放射線治療に入る前に精子をとって、凍結しておいた方が安全だと思います。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 2年前にパイプカットをしましたが、心境に変化があり、もう1人子供が欲しいと思うようになりました。パイプカットをすると、もう子供は諦めないといけないのでしょうか?何か方法はありませんか?

 パイプカットは、両側の精管を縛る方法です。治療法としては、この切除した部分を繋ぎなおす外科的治療法と、精巣上体に貯留した精子を外科的に取り出して顕微授精する方法の2通りがあります。いずれの方法も有効ですが、精巣上体より精子をとって顕微授精をした方が成功率は高く、妊娠するまでの期間が短くなると報告されております。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 妻に対して愛情はあるのですが、いざとなると、勃起しなくなってしまいました。最近仕事でのストレスがたまっているのかもしれません。私も妻も子供をのぞんでおりますので、なんとか・・・と思えば思うほどうまくいきません。どうすればよいでしょうか?

 妻への愛情があっても実際に夫婦生活をすると勃起しない、ないしは途中で萎えてしまうということはよくあります。全く勃起しない場合にはインポテンツといいます。精神的なもので勃起しない場合と、糖尿病などの病気により勃起しない場合があります。ご自分で採精できるのであれば、精神的な問題であり、精巣自体の能力は正常ですから、ご自分で採取した精子を用いて人工授精をすれば妊娠は十分可能です。精神的な問題の場合、人工授精で妊娠・出産した後に、精神的に落ち着いてきますと、いつの間にかインポテンツが治り、2人目は自然妊娠ができるようになるケースが多く見られます。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 昨年、精子細胞が見つかり、凍結保存をしております。これまでに、その精子細胞を使って2回の顕微授精をしておりますが、妊娠することができません。精子細胞は、成熟した精子よりも受精する力が低いという説明を受け、納得しておりますが、どうしても子供が欲しいのです。精子細胞を精子にすることはできないのでしょうか?

 精子細胞を精子まで培養することができれば、妊娠率はもっと高くなると思いますが、精子にまで発育する確率は低く、臨床応用できる程にまでは至っておりません。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 無精子症と診断されてから、主人が落ち込んでしまい、毎日涙を流さない日はありません。妻として、彼にできることはないかと、毎日漢方や鍼灸、食事など調べています。無精子症がよくなることはないのでしょうか?

 残念ながら、パイプカット以外の無精子症のほとんどは治りません。それは、精子を作るための機能は、いちど障害を受けるとその後、薬や手術などで元に戻すことができないからです。精子ができるまでには5段階のステップが必要です。このステップの1つでも障害が起きると、その段階で止まってしまい、最終的には精子とはなりません。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
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