回答一覧 - 男性が原因の不妊について No.7 -
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:2回 体外受精:0回
 主人が重度の乏精子症で、次回から体外受精(IVF)にステップアップする予定です。色々と調べてみると、重度の男性不妊の場合、受精をしても、移植後の流産率が高いということがわかり、とても不安です。もしくは、運良く自然妊娠できても、化学流産となって、病院へ行って初めて男性不妊が発覚する方も多いということです。私もその一人です。重度の男性不妊の場合、精子自体にも問題があるのでしょうか?  

 重症男性不妊症の場合には、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)が必要になることが多いと思います。しかし、流産については必ずしも流産率が高くなるとはいえません。ただ、精子頭部の奇形(円形・ピン頭・巨大など)があったり、(不動)死滅精子の場合には受精しませんし、「単為発生(精子が入っていない卵が分割する場合)」という異常の場合は妊娠できません。
 精子の数(濃度)が少なかったり、運動率が低かったりする場合でも、形が良好な運動精子を用いれば、妊娠は十分期待できると思います。
 妊娠・流産については、どちらかといえば、女性の卵子の質の方が重要だと思います。加齢により間違いなく、排卵誘発で得られる卵子の個数や、個々の卵子の質は低下しますので、早めに治療に入ることをお勧めします。[2007年11月15日]  
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 閉塞性無精子症と診断され、精巣上体から精子回収をしました。
 そこで、疑問に思ったのが、射精する度に、精子が精巣上体にたまっていくのかということです。もしも、そうだとすると、主人の場合、かなりの量がたまっているのではないかと思い、不安になります。おかしな質問ですが、閉塞性無精子症の場合、生理学的にどのような現象が起こっているのか教えて下さい。  

 分かりやすくたとえるならば、精巣(睾丸)が精子の工場、精巣上体(福睾丸)が倉庫、精管が流通経路です。
 精巣の働きは保たれているので、精子は造り続けています。例えば避妊のためパイプカットをした場合(精管結禁)には、そこで通路が遮断されてしまいます。それより上流のところに精子が溜まることになり、次第に精巣上体管がふくらんで行きます(尾部→体部→頭部へ)。したがって精巣上体全体も腫大しますので、外側から触診でも分かります。その中では、下流の側ほど精子が古くなりますので、死滅して、変性してしまいます。上流の一部でしか運動良好精子が得られない場合もあります。男性の日常生活には支障はありません。
 原因が不明の場合もしばしばありますが、原因として考えられるものには、以下のようなことがあります。[2007年11月15日]
1. 先天性(生まれながらの精管欠損)
2. 幼少時のソケイヘルイアの手術による精管結禁(後遺症)
3. 福睾丸炎など、炎症による閉塞
4. 避妊のためのパイプカットなどです。  
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:35 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不明 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 結論からいえば現在の高度移植医療技術レベルで、妊娠は十分可能です。  精巣(睾丸)で精子がまだ造られているのならば、精巣上体から精子を採取して、凍結保存を行います。女性は顕微授精(ICSI)の治療に入ります。用手的に精子を採取することもできないのであれば、他の方法での妊娠は困難だと思われます。[2007年11月15日]  

 結論からいえば現在の高度移植医療技術レベルで、妊娠は十分可能です。
 精巣(睾丸)で精子がまだ造られているのならば、精巣上体から精子を採取して、凍結保存を行います。女性は顕微授精(ICSI)の治療に入ります。用手的に精子を採取することもできないのであれば、他の方法での妊娠は困難だと思われます。[2007年11月15日]  
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:63 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 はじめまして。私は63歳(男性)で、妻は30歳です。自然妊娠がかなわず、都内のクリニックで人工授精(AIH)を受ける予定でいます。
 質問ですが、男性の精子も、加齢により質・運動率・生存率が劣化するのでしょうか。また、男性が高齢の場合は、染色体異常のリスクが高くなるとの研究結果があると聞いたことがありますが、本当でしょうか。  

 女性の年齢が上昇すると、それにしたがって、自然妊娠の場合でも染色体異常児や流産率が上昇します。それは、卵子の減数分裂の過程で染色体に異常が起こりやすくなるためです。女性の場合と比較すると高齢男性の精子の染色体異常の発生率はさほど気にするものではないと思います。多少の上昇はあるかもしれませんが、もし心配であれば、妊娠中期に羊水検査をするという方法もあります。
 女性のほとんどの方は、50歳前後までに閉経になりますが、正常男性は高齢になっても精巣で精子を作り続けます。正常男性では、急激に精液所見が悪くなることはなく、徐々に低下していくのだろうと思いますが、何か原因があれば、急激に悪くなっていくこともあります。一度、不妊治療専門施設で精液検査をされることおすすめします。[2007年11月15日]  
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 夫の精子を検査したところ、精子の数・量・運動量がすべて悪いという結果で体外受精(IVF)をすすめられました。3回目の体外受精のときに、検査時の状態も含めて、今までで、精子の状態が最も悪いため、次回からは顕微授精(ICSI)を行なうようにといわれました。
 顕微授精を行うのはいいのですが、この先、夫の精子がなくなるのではないかと心配になってきました。精子がなくなるということはありえるのでしょうか?もしも、精子がなくなったり、状態がどんどん悪くなるようなことがあれば、早急に精子を凍結保存しなくてはと考えております。ぜひ回答をお願いします。

 悪化していく可能性はありえます。何らかの原因で精液検査の所見が悪くなり始めると、急速に悪化の一途をたどることがあります。成人してから、おたふく風邪で副睾丸炎をおこしたり、高熱が続いたり、打撲や受傷した既往歴がない場合、大半ははっきりとした原因は不明です。将来、無精子症になる可能性もありうると思います。このような経過で、ひとたび悪くなったものが、元の正常な機能に戻るということは、今までの経験上、少ないと思います。精液検査を繰り返してみて、悪化をたどるようならば、凍結保存などの対応も必要だろうと思います。[2007年11月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 セントマザーで後期精子細胞を使った顕微授精(ICSI)を3回行いました。
 3回とも、G1のよい卵がたくさん取れましたが、受精卵が少ない上に分割が遅く杯盤胞まで育たず、戻しても着床の気配すらありません。自然周期の凍結胚移植に望みをかけましたが、やはり分割が遅く、5,6,7分割の3つの卵を戻しましたが、着床しませんでした。
 これから先、再度挑戦しても、同じことの繰り返しになるような気がしています。このまま治療を続けても、望みないのではないでしょうか。Sb1レベルの後期精子細胞の顕微授精です。今後の治療方針を聞かせてください。

 卵が良好で3回治療をして、良い胚ができないということは、後期精子細胞の質が低いということだと思います。この先の治療に関しては、ご夫婦で相談されてみてください。可能性のある細胞ですから、治療をするというご判断に賛成をしております。我々としては治療を積極的に進められることをおすすめいたします。[2007年10月15日]
(院長:田中温)
年齢:25 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 関東に住んでいます。夫が非閉塞性無精子症で、先週、東京の病院で精巣生検手術を受けましたが、精子も後期精子細胞も無いと言われました。組織の20ヶ所くらいを調べてくれたようなのですが、諦めきれないままでいます。もう一度手術をして、後期精子細胞が見つかる確率はないでしょうか。もう、非配偶者間人工授精(AID)か、子供は諦めるという道しか残っていないでしょうか。

 後期精子細胞か、未熟な後期精細胞かの判断は、熟練者がようやく判断できるほど、かなり難しい部分があります。未熟な後期精子細胞での成功例は、日本では当院だけといわれております。それは、どの細胞が未熟な後期精子細胞なのかを見極めることが難しいからです。たしかに、20箇所探しても見つからないということは、実際にはいない可能性は高いと思いますが、やってみる価値はあると思いますよ。実際に、そのようなことをおっしゃって治療の結果妊娠された方が何人かいらっしゃいます。[2007年10月15日]
(院長:田中温)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 今年の3月より不妊治療を開始しました。開始した当初5月頃は精子数が100万くらいで、顕微授精(ICSI)が可能とのことでした。主人は、昨年10月頃より間欠的自己導尿を行っております。時折、膀胱炎や尿道炎のためにシプロキサンを内服しており、炎症は1回/月くらいのペースです。導尿回数は3〜5回/日です。
 治療では、採精のたびに精子がほとんど採れなくなり、予期せぬ精子の減少に困惑しております。医師より、陰嚢を穿刺して精子を取り出す提案がありましたが、精子が採れることは期待できるのでしょうか?突然精子が減少したのですが、自己導尿と関連があるのでしょうか?主人の内服している薬剤に関しては精子の減少につながるようなものがないことは医師の確認済みです。主人の年齢は30代半ばです。

 自己道尿をしなければならない基礎疾患は何でしょうか?性行為あるいは膣内射精は可能でしょうか?
 抗菌剤を使用していても、自己道尿による尿路感染症から、上行性に精管や精巣状態(副睾丸)に炎症を起こすことはあります。精路の炎症によって、精子にダメージを与えたり、精路の通過障害を併発することが考えられます。精液中の白血球の存在についてはいかがでしょうか。ホルモン検査で、精巣の造精機能を調べることも可能です(LH、FSH、テストステロン、プロラクチン)。最終的には、精巣上体や精子を採取することが必要になることもあります。[2007年10月2日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:3回 体外受精:2回
 セントマザーで治療をしています。凍結精子を解凍後、残り分を再凍結できたのですが、あとで考えると心配になってきました。再凍結は精子の質が悪くなったりはしないのでしょうか。もし、質が落ちるとしたら、どの程度落ちるのでしょうか。再凍結の精子よりも、新しく採取した精子の方が良いのであれば、採取しに行こうと思っています。教えて下さい。

 再凍結で、精子の質が悪くなることはありません。しかし、運動性の低下や全体の量が減ることがあります。人工授精(AIH)をされるということで、気になるようであれば、新しく採取したものがよいかもしれません。[2007年10月2日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:0回
夫が無精子で、大学病院でMD-TESEを受けましたが、精子も細胞も見つかりませんでした。しかし、採取した組織を培養士さんが不妊クリニックに持ち帰り、濃縮させて、6本の組織のうち試しに1本融解させたところ、精子が3匹見つかりました。しかし、すべて奇形精子でした。濃縮させたものなので、あとの5本も同じような精子があると思いますとの事でした。「正常な精子ではないから受精も難しいかもしれないけど、可能性が0というわけではない。顕微授精(ICSI)をしてみますか?」と言われ、やるだけやってみようと決意しました。私には問題ないので、卵子は良いのが採れるだろうと言われています。次の月経後から採卵の準備が始まります。
 このような少ない精子、しかも形状が異常な精子での受精・妊娠はやはり不可能でしょうか。もし駄目だったら、非配偶者間人工授精(AID)に進もうと決めているのですが、できることならこの顕微授精で授かりたいです。

 当院では、このような患者様を毎年数多く診察治療してきています。それゆえに、はっきりと断言できる内容があります。ストレートに言うとショックを受けられるかもしれませんが、当院の考え方をいえば、「精子細胞が見つからないのに、精子のみ存在することはありえない」ということです。裏返すのであれば、「精子がいるのに、精子細胞を見つけられない」というのは技術的に問題があります。
 MD-TESEは、泌尿器科医が行いますが、精巣組織から精子や精子細胞を探すのはほとんどの場合は培養士です。何年間も普段からヒトの精巣組織や精細胞を詳しく診断したり、研究しているわけでなければ、その診断レベルは高くはないものと考えてよいでしょう。体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)に何年間もたずさわっている培養士でも、それとは別の特殊なトレーニングが必要です。一見、精子のように見えるシッポが生えた細胞でも、実は、精子でない場合がしばしばあります。当然、そのようなものを用いても、妊娠はできません(可能性は0%です)。どのような奇形かは、わかりませんが、見つかったものが本当の精子であっても、頭部奇形であれば、妊娠はできないと思います。また、動いていないのであれば、すでに死んだ精子の可能性も十分ありえます。その場合も、妊娠する可能性はありません。より詳しいご相談が必要であれば、一度、直接当院にメールにてご連絡下さい。その際には、この投稿についても一言お書きくださいね。[2007年10月2日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:25 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人は、2歳の頃に睾丸がおりてこなくて(停留睾丸)、手術で睾丸袋に縫いつけたそうで、睾丸が片方ありません。睾丸は熱に弱いので、体内から睾丸がおりてこなければ、精子を作る能力がなくなると、このサイトに書いてありました。2歳というのは、遅いでしょうか?大きさは正常だと思うのですが、子どもはできるでしょうか?検査をすればわかることだとはわかっていますが、心の準備ができずにいます。

 ご心配されている内容はよくわかります。結婚して何年経っているのでしょうか。避妊せずに妊娠するように努力しているにもかかわらず、1年以上妊娠しないのであれば、心の準備が整ったら、ご主人に精液検査を受けてもらってください。奥様も、標準体重ではないことや月経不順がありますので、不妊症の原因になりえます。早めにご夫婦で専門施設にて不妊症のスクリーニング検査を受けることをおすすめします。
 ひとりであれこれ悩んで、袋小路にはまりこんでしまうよりも、勇気を出してまず一歩を踏み出しましょう。その結果を見た上で、更に次のことを考えてみられてはいかがでしょうか。[2007年8月2日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 主人が、クラインフェルター症候群と言われて、手術をして精子を見つけることができて凍結保存しています。体外受精(IVF)を行いましたが、着床までは行きませんでした。保存している精子は、残り1本しかありません。もう後がないので一番良い方法を!!と考えています。
 これまでは、受精卵を子宮に戻す為に、フェミエスト4.33mgを事前に張り始めて、胚移植後にフェミエストと一緒にプロゲホルモン(膣座薬)をしていました。膣座薬の他に、注射を胚移植後に毎日打つ方法があると言われてどちらが良いのか悩んでいます。
 先月中旬に胚移植の予定でしたが、凍結していた受精卵が3つすべて駄目になっていて、移植当日の朝に、移植できないと言われてしまい、注射を試すことが出来ませんでした。次の採卵予定は来月頃の予定です。今までと同じ方法で挑戦した法が良いのか、新しく注射を毎日打つ方法をしたほうが良いのか悩んでいます。どうすればよいか、先生からアドバイスをいただけると参考になります。

 クラインフェルター症候群にはモザイクと非モザイクの2通りがありますが、ご主人はどちらでしょうか。非モザイク型のクラインフェルター症候群であれば、精液中には精子がいないと思いますので、睾丸・精巣内から精子を見つける必要があります。採取した精子がもうなくなるのであれば、もう一度精巣生検をして、精子を見つけることを希望されることもあるでしょう。その場合には、精子になる後期精子細胞が見つかると思いますから、この細胞をたくさん保存しておくとよいと思います。そうすれば、次回、精子がなくなった時に、精子のかわりに後期精子細胞を使って治療をすることによって、ほぼ同じ確率で妊娠が可能ですよ。
 胚移植後のホルモン療法には、色々な種類があります。膣剤薬のかわりに、黄体ホルモンの筋肉注射を毎日打つという方法もあります。あまり差はないと思いますが、一般的には、黄体ホルモンの注射が一番効果があるといわれております。しかし、この黄体補充の方法の差よりも、凍結移植した胚の状態の方が重要だと思います。とにかく良好な分割胚を作ることが重要だと思いますよ。[2007年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:31 基礎体温:無関係 生理周期: タイミング法:不明 人工授精:不明 体外受精:不明
 重度の乏精子症で治療中です。採卵当日に射出精子が採取できないことも多いのですが、凍結精子では受精率が非常に低く、受精しても分割が途中で停止してしまいます。
  以前、運よく射出精子が1〜2匹採取できた際、G2とG3の受精卵が育ちましたが、着床には至りませんでした。そのため、採卵当日にMD-TESEを行い、精巣より精子を採取しました。24個採卵、成熟卵20個のうち、16個が受精したものの、全て分割が停止してしまいました。その後、MD−TESEで採取した凍結精子で顕微授精(ICSI)を試みたものの、やはり凍結精子だと受精率が低く、結果がでません。どうすればよいのでしょうか。何かよい治療方法はあるのでしょうか。

 顕微授精(ICSI)の技術が高く、正しく行われているのであれば、形態が正常で運動精子の受精率は80%以上となるはずです。また、分割は50〜60%になると思います。受精率や分割率が悪いという場合には、2つの原因が考えられます。
  まず、1つは卵子の質が悪いということです。卵子の質が悪ければ、たとえ分割しても、途中で分割がとまってしまいます。もう1つは精子の問題です。精子が動いていても、頭部などに奇形がある場合には、受精率が低下します。24個の採卵数は、少し多いと思います。10〜15個程度に採卵数を減らすように排卵誘発法を変えてみると、よい結果が出ると思いますよ。[2007年7月1日]
(院長:田中温)
 結婚して半年が経ちました。年齢的な事を考えて早く子供をと考えていますが、なかなか恵まれません。
  私は3年前に子宮粘膜下筋腫で腹腔鏡手術を経験しています。他にも2つ筋腫があると言われましたが、今は経過観察の状態です。
  主人は、小学生1年の時に脳炎になった経験があり、障害はありませんが、病気以前の記憶がありませんので、主人は自分が無精子症かもしれない、と悩んでおります。脳炎は無精子症の原因となるのでしょうか?

 一般論としては、あまり関連性はないと思います。精液検査をすれば、すぐ結論は出ます。ご主人に検査をしてもらって下さい。[2007年7月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:0回 体外受精:0回
 TESEで精子細胞が見つからず、非配偶者間人工授精(AID)に進むか悩んでいます。
  主人は例え自分と血のつながりがなくても、夫婦の間の子供だからと言っています。ただ、心配なことは、妊娠できて生まれた後のことです。将来、どうしても精子提供者の情報が必要になった場合(例えば遺伝的な病気があった場合など)、精子バンクの情報はどれくらい保存されるものでしょうか。また、そういった場合は、精子提供者を教えていただけるのでしょうか?

 日本では全国的な精子バンクはありません。ほとんどは、各施設が独自に精子を集めて提供しております。現在の非配偶者間人工授精(AID)の精子の検査としては、感染症の検査ぐらいで、遺伝的な疾患などについては詳しく調査は求められておりません。ですから、将来、お子様に遺伝的な病気が見つかったとして、その原因が、提供者由来なのか、それとも突然変異なのかについては、検査ができない可能性が高いとお考え下さい。また、現時点においては、精子提供者の情報は一切与えられない、提供者のプライバシーを守るということが大原則です。将来、お生まれになるお子様について不安がある場合は、一生続くものですから、AIDはされない方がよいと思います。[2007年7月1日]
(院長:田中温)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 セントマザーで精子細胞が見つかり「15本分見つかった」と説明を受けました。これは、15回の顕微授精(ICSI)ができると考えていいのでしょうか?また、細胞を使い切った場合、もう一度生検はできるのでしょうか?

 15本分凍結していることと、治療が15回できるということは同一ではありません。お名前がわかりませんので、はっきりしませんが、私がどのように説明をしましたでしょうか。非常に数が少ない方の場合には、15本凍結しても15回できるわけではなく、1回に5本使用する可能性がある旨をご説明していると思います。1回の治療に複数本の細胞を用いることがありますので、15本分の凍結があっても、15回の治療を行えるわけではないことをご理解ください。
 また、原則的には、15本凍結して、すべてを使いきっても妊娠しない場合には、次のステップに入ることをお勧めしております。それは、精巣生検を繰り返すと、精細管内の条件が悪化すること、また、癒着などで違和感が生じるなどの後遺症があるからです。しかし、どうしてもということであれば、2回まではできないことはありません。[2007年6月16日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:3回 人工授精:4回 体外受精:0回
 これまでに4回の人工授精(AIH)で妊娠せず、あと2回にAIHにチャレンジしてもダメな場合は、体外受精(IVF)をと考えております。しかし、先日主人が前立腺炎にかかり、5月中旬より抗生物質のクラビットと症状改善薬のセルニルトンを、2週間服用するようにと、処方されました。そこで、質問があります。
 1. 精子ができるには約3ヶ月かかると聞いたことがありますが、今、抗生物質を服用すると、約3ヵ月後(体外受精をしたい頃)に、精子の状態に影響は出るでしょうか?(現在は、精液検査に異常なし)
 2. 体外受精が成功した場合、胎児への奇形等の悪影響はありませんか?
 3. 薬を飲まず(もしくは薬が効かず)、前立腺炎が完治しない場合は、妊娠を望まない方が良いのでしょうか?完治しなければ、精子の状態が悪くなったり、胎児へ悪影響を与えてしまうのでしょうか?

 それぞれ、ご質問にご回答いたします。
 1. 抗生物質よりも、前立腺炎などの精路感染症が精液所見に影響を与えることの方が可能性は高いと思います。
 2. 薬については、ほとんどの場合、大丈夫だろうと考えています。妊娠母体への内服に比べれば、リスクはかなり低いと思いますよ。
 3. そのような場合でも治療に入ってもかまいません。 [2007年6月16日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:0回 体外受精:0回
 夫が非閉塞性無精子症で、睾丸を切開して精子を回収する手術を受けます。
 もし幸い精子が見つかり、顕微授精(ICSI)で妊娠・出産できたとして、残った精子を1〜2年保存してもらって2人目の顕微授精(ICSI)に使用することは可能なのでしょうか。2人目を希望する時、また夫に辛い手術をしてもらわないといけないのではないかと心配で仕方ありません。無精子だと、子供は1人でも授かったら2人目は諦めないといけないでしょうか。

 一般論として、凍結精子を用いて次回の治療をすることは可能ですが、再手術を行なう施設も多いと思います。精子回収手術は、大変辛い手術ですから、当院では、なるべく1回ですむようにと考え、凍結保存をしています。2人目をお考えの場合や、治療をしばらくお休みする場合などは、1年毎に「凍結保存の延長(更新)」の手続きをしていただきます。ただし、凍結保存した精子をすべて使い果たしてしまった場合には、再手術が必要となります。[2007年6月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:28 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 これまでに精液検査を10回以上受けましたが、すべての検査で、総精子数2000万を切るくらいで乏精子症と診断されていました。しかし、セントマザーに転院して初めの精液検査で総精子数5億5千もいました。そのときの状態によって変わると聞いてはいましたが、ここまで変わるものなのでしょうか?
 3ヵ月前から漢方薬をのんでいますが、1ヶ月前の検査では特に変わりはありませんでした。たった1ヶ月でここまでかわるように思えなくて不思議です。受診時に先生にも尋ねましたが、前の病院の事は知らない!と言われてそれ以上は聞けない雰囲気で...紹介状を見せてもあまり意味がないのではと残念に思っています。
 精子数がここまで変わることはよくあるのでしょうか?

 当院では、不妊治療を目的としたカップルが全国から多数来院されており、様々な状態の精液所見をもつ男性を診察しております。精子濃度や運動率についても、正常並みの所見か、それよりも劣る所見かは、明らかに判別できます。ただ、以前の状態がわからないのに、以前の検査結果が正しいのかどうかは安易にお答えするべきではないと思います。実際に、精液所見が改善したのかもしれませんが、さほど頻繁に起こることではないかもしれません。逆に、徐々に悪化していく症例は、時々見かけますが、禁欲期間やその時々の体調の変化などで上下の変動もありえます。今後、更に何回か精液検査を繰り返してみた上で、再評価されてはいかがでしょうか。
 それよりも、たとえ精液検査結果の違いの原因ははっきりしなくても、「今まで結果がでなかった」という事実はあるのだと思いますから、現在の御夫婦の検査結果やその他の状態を踏まえた上で総合的に評価して、今後の新たな治療計画を立てて前向きに取り組んでいくべきだろうと思います。[2007年6月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人が染色体異常と診断されました。非常に珍しい「46XX」だということです。
 妊娠の可能性はほとんどなく、手術すると今は正常な男性ホルモンのバランスが崩れると言われました。もう諦めた方が良いのでしょうか?

 「46XX」の男性は、無精子症の原因の1つですが、外見上は立派な男性だと思います。「46XX」は、Y染色体の中にある女性から男性へうつる性決定遺伝子であるSRY遺伝子がXの染色体にうつったためだと思います。染色体レベルでは女性型ですが、SRY遺伝子が転座していますので、外見は男性となります。しかし、本来のY染色体ではありませんので、無精子症になったのだと思います。
 精巣内の精子または後期精子細胞が見つかる可能性は低いと思いますが、やってみる価値がまったくないとは言えません。男性ホルモンに関しては一度測定をしていただいてください。もしも低いようであれば、生検はしない方がよいかもしれませんね。[2007年6月1日]
(院長:田中温)
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