回答一覧 - 妊娠するには・妊娠のしくみ No.1 -
 こんにちは。わたしは、33歳で、妊娠を希望して1年ほどになります。半年前から、排卵検査薬を使っていますが妊娠しません。排卵検査薬が陽性であっても排卵してないことがあるのでしょうか?
 また、近医で「子宮内膜症では?」と言われたことがあります。もしそうだとしたら治療しないと妊娠は無理でしょうか?

 排卵検査薬は尿中LH(黄体化ホルモン)を測定することによって、排卵時期を推定する検査薬です。
 LH濃度が上昇し始めた時から約40時間後、ピーク値から24時間後に排卵が起こるといわれていますので、その少し前から検査をスタートしてください。理想は1日3回検査を行うことですが、それが困難な場合には、最低でも1日2回検査をして上昇を見逃さないようにして下さい。
 但し、多嚢胞性卵巣のように排卵しにくい卵巣では、LH陽性でも排卵しないこともありますので、病院でエコーにて直接卵胞を測定する、また子宮頚管粘液の状態を調べる、また基礎体温でそのリズムから排卵日を推定してみる等の方法でできるだけ正確な排卵日を推定してゆきましょう。
 また近医で「子宮内膜症では?」と言われたとのことですが、これも症状や内診、エコーからだけではわからないことも多いので、マーカーやラパロスコピー(腹腔鏡検査)等も検査して、正確に診断してもらいましょう。内膜症の方でも妊娠される方は大勢いらっしゃいます。早く妊娠することが内膜症も改善することになります。しっかりと検査を受けた上で的確に治療しましょう。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 1人目の妊娠は問題なく、すんなり出来ました。1人目が3歳になり、手もはなれてきたので、そろそろ2人目をと思っているのですが、ぜんぜんできません。もう半年以上経っています。主人と2人で病院にて検査をしていただいた方がよいでしょうか?そういった検査は、一般的には産婦人科に行くのでしょうか?それとも婦人科ですか?

 原則として、2人目不妊も1人目ができない方と同様の検査が必要です。超音波にて子宮・卵巣等の婦人科検査を行い、子宮卵管造影検査で子宮・卵管の通過性に問題がないかどうかを検査する必要があると思います。また御主人側では、たまに精子の状態が悪くなっている場合もありますので、精液検査を行い、精子の数や運動率に問題がないか調べてみる必要があります。
 1ヶ月ほど基礎体温を測定されて、できればご主人と一緒に産婦人科を受診してください。
(産婦人科医:永吉基)
 こんにちは。初めて質問をします。わたしの月経周期は20日間隔です。今までは特に気にしていなかったのですが、ある雑誌で私の周期間隔は短く、異常の部類に入っていました。月経周期が20日というのは異常なのでしょうか?一度産婦人科へ検査に行ったほうがいいのでしょうか?

 まずご自身でできることは基礎体温を測ることです。それを持って産婦人科を受診ください。
 産婦人科では、卵胞がうまくできているのか、排卵がきちんと起こっているのか、黄体期(高温期)が短くないのかの3点を、基礎体温および超音波の検査で診ていただくことをお勧めします。
 治療法についてですが、まず卵胞が育っているかを超音波でみていただいてください。卵胞が育っていなければ、排卵誘発剤の内服が有効的です。卵胞が育っていても排卵しない場合は、超音波と尿のLHの検査で確認します。排卵しない時にはHCGを打つことによって排卵を促すことができます。黄体期が短い場合には黄体期を長くするために黄体ホルモン剤を内服したりHCGを打つことによって卵巣を賦活することが大切です。
(産婦人科医:永吉基)
 2年前に不妊治療を始めようと病院へ通い、ホルモン検査や卵管造影検査をしました。その時には、左の卵管の通りが悪いと言われました。そのまま治療をすればよかったのですが、仕事が忙しくて、通院をやめてしまいました。2年間なんとなくは気になっていたのですが、いつも30日周期でくる生理がこなくて、妊娠検査薬をしても陰性だったことがきっかけになり、再び同じ病院に足を運びました。以前のデータが残っており、卵管造影の事を言われました。今回は、卵管が少し腫れていると言われてびっくりしたのですが、腫れをおさえる治療の説明はありませんでした。去年くらいから左の下腹部に違和感があったのですが、今は、違和感を以前よりひどく感じるようになりました。担当の先生はあまり大事ではないという感じなのですが不安でいっぱいです。何もしなくてもよいのでしょうか?

 子宮卵管造影検査で卵管の通りが悪い原因にクラミジアを含めた感染症や子宮内膜症があります。まず、クラミジアや子宮内膜症の可能性がないか検査をお勧めします。感染症が見つかった場合は抗生剤等の内服治療をし、子宮内膜症がある場合には軽度であれば経過観察をし、重症度が進んでいる時には薬物治療や外科的治療も考慮しなければいけないこともあります。その点をもう一度精査してもらってください。
 以前には感染症といえば梅毒、淋菌が起炎菌として多かったのですが、抗生剤の進歩によってこれらは減少、症状がマイルドなクラミジアが最近脚光をあびるようになりました。それは、クラミジアが激痛等の激しい症状に乏しく、なんとなく下腹部が重い、少しおりものが多いといった軽い症状しか呈さないためです。
 不妊領域ではクラミジアによって卵管に炎症をもたらし、その通過性が悪くなっている患者様がいます。卵管の腫大の治療として、当院では腹腔鏡を使用し腫大部分の電気焼灼切除術を行っております。両管の卵管が悪い場合には早い時期の体外受精をお勧めします。
(産婦人科医:永吉基)
 結婚して、1年4ヶ月、排卵期あたりに性交しても、子供ができなくてとても心配しています。どうしても子供が欲しくてもできなくて、基礎体温をつけてみたところ、二相性になっていませんでした。驚いて、不妊相談をしている医院を受診し、排卵しているかどうかを血液検査でホルモンの検査をしていただいたところ、排卵はしているようです、とのことでした。夫もフーナーテストで調べてもらいましたが、異常はないようです。
 現在、タイミング療法を行っており、排卵が近くなるとHMG製剤を注射しています。まだ1回目のチャレンジですので、気長にがんばりたいと思っています。
 でも、やはり基礎体温のことが気にかかります。ガタガタになっている基礎体温が、子供ができない原因なのでしょうか。他に検査した方がよいことがあれば教えてください。

 排卵の確認には、経膣超音波検査と尿中のLH(黄体化ホルモン)の測定が必要です。この2つの検査をしなければ、確認はできません。血中の黄体ホルモン(プロゲステロン)が高くなっていても排卵したことにはなりません。黄体化未破裂卵胞ということもありえます。
 フーナーテストは不正確な検査ですので、院内で採精した精液検査を受け、精子の数および運動率を正確に調べてみていただいて下さい。
(院長:田中温)
 基礎体温は、流れを見ていく上では大切ですが、必ずしも教科書等に出ているように、きちんとした二相性になるとは限りません。排卵が確認されていれば、良いかと思います。あとは、卵管の通過性の検査がまだなら、お勧めします。
(産婦人科医:永吉基)
 はじめまして。私は結婚2年目の主婦です。子供がなかなか出来ないので、セントマザーにかかりたいのですが、通うには遠いため、まずは近くの不妊治療専門病院で検査を受けようと思っています。そこで色々と調べたのですが、治療費や治療方針が病院によって異なり、どこの病院に行けばよいのか迷っています。
 不妊治療は、初めてなので病院選びをするには何を基準に選べばよいのか不安で、ご相談いたしました。どのようなことができるのがよいのか、どのくらいの検査費用が妥当なのか(上限はどのくらいなど)を教えてください。

 近くの不妊治療専門病院で検査を受けられても結構ですが、当院では遠隔地の方のための遠隔治療や検査も積極的に行っております。
 御主人の都合を合わせてご一緒に来院して頂ければ、御本人と共に重要な検査を一日で行うことが可能です。一度メールで確認されて、検査と共に治療方針をお聞きに気軽に来院されてはいかがでしょうか。当院での治療費や治療方針は、ホームページ上に公開しております。
 不妊治療施設は、日本国内に600施設以上もあり、その希望や内容も様々です。選択の基準としては、どれだけ不妊症の治療に真剣に取り組んでいるかを感じ取れるかだと思います。治療内容を分かり易く公開しているか、その実績は十分か、治療の相談は十分にしてもらえるか、治療費用は妥当か、急変時の対応は可能か、土日・祝日・時間外治療も考慮してもらえるか等、これらは気になるところだと思います。
 以上のことは、インターネットや書店でマタニティー関連や不妊向けの雑誌や書籍等にも情報が掲載されていますので、比較検討されてみてはいかがでしょう。
 不妊症の原因がはっきりしている場合の検査やお薬の費用には、保険がききます。しかし、体外受精などのART(生殖補助医療)に関しては、お薬も含め全て自費となります。施設間にかなり費用の格差がありますが、平均的には1回30〜40万円位ではないでしょうか。
 初診時における奥様の検査についてですが、まず経膣超音波にて子宮・卵巣の状態をチェックを行います。費用は、1,650円(保険)です。次に必要であれば(これまでに検査をしていない場合や以前の検査から時間が経過している場合など)子宮卵管造影で卵管の通過状態や子宮内腔の状態を調べます。この費用は、1,590円(保険)です。あとは、基礎体温などをみながら総合的な治療のお話を致します。
 初診時に御主人は、精液検査をして、精子の数と動きを調べます。費用は、340円(保険)です。
 当院では、御夫婦の検査結果を参考として、最も妊娠率が高くなる治療法を相談して決めるようにしておりますので、可能であればご夫婦揃って来院下さい。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 私は、43歳で不妊治療をしているのですが、最近血中のFSHが高くなってきました。このFSHの値が高くなると妊娠しにくくなると聞いたのですが、本当ですか?FSHの値は何に関係しているのでしょうか?年齢的なこともあり、そろそろ治療を諦めなければならないのかという不安に襲われています。このまま治療を続けてもいいのでしょうか。

 FSH(卵胞刺激ホルモン)は、卵子を発生するために脳下垂体から分泌されるホルモンです。閉経が近くなると、FSHに対する卵巣の反応が鈍くなります。その結果、卵胞を発育させようとして分泌量はさらに多くなり、血中のFSHが高くなります。このような状態は、閉経が近い、もしくは早発閉経の方によくみられます。
 高齢の方の治療を行う際には、卵巣の予備能を予知することが重要なポイントとなります。検査法としては、月経初期(1〜3日目)のFSH値、E2値、インヒビンベータ値の測定が報告されています。その中ではFSH値(15mIU/ml以下)が最も信頼度が高いと考えられております。しかし、FSH値を単独で判断するよりも、月経中の両側卵巣の胞状卵胞(将来成熟卵胞となる予備の卵胞)の数を参考にすることにより、一層正確な判断が可能となります。
 もしもFSH値が多少高くても(20〜25mIU/ml)、胞状卵胞の状態が良好な場合(胞状卵胞の大きさが粒揃いで、2〜3個以上で卵巣の表面にある場合)には、採卵に入って構わないと判断しております。FSHの迅速測定ができない施設の場合には、この胞状卵胞の所見のみで十分対応できることが分かっております。
 血中のFSH値が高くなった場合、良好な卵子が採れる確率は非常に低くなり、体外受精の妊娠率も低下しますので、まずFSH値の濃度を下げるためにGnRHアゴニストの投与やカウフマン療法などを行います。そして、FSH値が下がった後にクロミフェン(もしくはHMG)の投与を行っております。その際、月経初期(月経中)の左右の卵巣を超音波で観察し、5〜7mmの卵胞の数が2〜3個ある場合には、卵巣の反応は良好であろうと予測して治療に入ります。もしこの時点で、20mm以上の卵胞がある場合には、排卵誘発はせずにカウフマン療法をさらにあと1クールされるようにお勧めします。HMGの量を2倍3倍4倍と投与する方法もありますが、あまり効果はないと考えております。かえってクロミッドだけの方が質の良い卵が採れる事がよくあります。
(院長:田中温)
 プロラクチンが高いと言われ、カバサール(1週間に1度)を飲んでいます。
 薬を飲む前から、基礎体温は正常だったのですが、プロラクチンが高くなる原因は何ですか?体質なのでしょうか?もしも、改善方法があるのであれば、教えてください。
 カバサールの服用は、妊娠するまでと言われていますが、出産後は飲まなくてもいいのでしょうか?一度、薬をやめた時に胸が張る感じがしたのですが・・・。
 また、薬を飲んでプロラクチンの値が正常だった場合、着床率は薬を飲んでいない人と同じですか?

 プロラクチンが高くなる原因のほとんどが原因不明です。しかし、滅多にないケースですが、脳下垂体に腫瘍ができるとプロラクチンが高くなるということもあります。
 カバサールを飲むとプロラクチンは下がり、正常値になりますので、妊娠するまで使用されて結構です。
 但し、妊娠後は胎児への影響を考え、中止する方が良いといわれております。出産後、断乳の後はまたお飲み下さい。また断乳をする際にこれを飲むと短期間内に断乳が可能となります。
 着床に関しては非常に多くの因子が関与することがわかっています。プロラクチンは、値が高くなりますとホルモン分泌を調整している視床下部-下垂体系に悪影響を与え、その結果、着床を準備するホルモン(エストロゲンやプロケステロン)にも影響を与えてしまいます。ですから、着床をするためには、プロラクチンの値を正常値に戻すことが必要になります。薬を飲んでプロラクチンの値が正常になった方と薬を飲む必要のない方(プロラクチンが正常値の方)とで、着床率に違いはないと考えてもよいので、安心してくださいね。
(院長:田中温)
 夫婦生活において、ジェルを使用することは妊娠に悪影響を及ぼすことはありますか?

 女性の腟のうるおいは、肌のうるおいと同じように女性ホルモンの分泌に支配されています。女性ホルモンの分泌は、30代にピークを迎え、その後は徐々に低下してゆきます。その影響は、月経不順や顔や手の肌のカサカサ感、また腟の乾燥感となってあらわれます。特に女性の性的気分が高まると腟からは分泌液(愛液ともいいます)が増加し、充実した性生活を送ることができます。
 しかし女性ホルモンが不足したり、前戯が足りなかったりして、愛液が無くうるおいが無い状態ですと性行為に痛みを伴い、不愉快な気持ちが残ります。ジェルやゼリーはこのうるおいを補うために作られたもので、安全なものです。薬の成分やホルモン成分は入っていませんので、妊娠に悪影響を及ぼすこともありません。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 とても長い間不妊治療を続けています。なかなかうまくいかず、あっという間に今年で40歳になります。このまま治療を続けてもよいのでしょうか。妊娠できたとしても、体力的にも無事に出産ができるのかとても不安です。もう諦めた方がよいのでしょうか。

 女性の年齢が40歳以上になると、卵巣機能は低下します。採取できる卵子の数は極端に減り、質も著しく低下します。これは女性の生理的な現象ですのである程度は避ける事はできません。ですから、40歳以上の方に対しては、それなりの戦略を立てる必要があります。基礎体温が規則的に二相性になり、排卵誘発後、血中の卵胞ホルモンが正常に上昇し、排卵後には黄体ホルモンが十分に上昇される方には、治療の継続をお勧めしております。しかしながら、30才台の方に比べ妊娠率は低下し、流産率は高くなることは前もって御理解していただく必要はあります。妊娠後は染色体異常の発生率も上昇しますので、絨毛検査や羊水検査をお受けになられるようにお勧めしております。
 当院では、GnRHアゴニストやGnRHアンタゴニストを用いた排卵誘発は積極的には行わず、主にクロミッド(又はHMGと併用)を投与し、採卵を行っております。少ない卵子しか採取できない方にとって最も妊娠率の高くなる方法は、卵管に移殖する方法であります。精子と卵子が受精して細胞分裂を起こす場所は、子宮内ではなく卵管の中です。ですから卵管の中に早期に胚(卵子)を戻すということは生理的であり、自然な状況に早く戻すという点で利に叶っておりその結果、妊娠率は高くなるわけです。この方法で当院では48才の方が妊娠出産をされております。
 採卵当日、顕微授精後に卵管内に卵子を移植する方法をGIFT(gamate intrafallopian transfer)、翌日受精を確認して戻す方法をZIFT(zygote intrafallopian transfer)と呼びます。採取された卵子の数が2〜3個の場合はGIFT、4〜5個以上の場合はZIFTと一応分けております。手術時間は約10〜15分で終わり、入院は1日で終了します。卵管の通過障害がある場合や、お腹を切ることを希望されない方には、胚盤胞まで培養し、アシステッド・ハッチング又は透明帯除去をおすすめしております。
 黄体機能の低下が起こりやすい為、採卵2〜4日目にE2とPの測定を1〜2回行い、その値をみて黄体ホルモン又は卵胞ホルモンの補充を若年層より多目にしております。
(院長:田中温)
 現在27歳で子作りを始めて7ヶ月になります。
 毎月排卵期を知るために、指を膣に入れて、伸びるおりものが出ているかチェックをしていますが、この7ヶ月間で一度も確認できたことがありません。基礎体温は、二相になっているのですが、排卵をしていないということはありますか?検査をしていただいた方がいいのでしょうか?自宅で簡単にできる排卵期を知る方法はありますか?

 排卵時期を知る方法として、頚管粘液を調べる方法があります。これは排卵が近くなるに従い卵胞ホルモンが増加し、頚管より分泌される粘液が、増量するためで、人によってはこの粘液を自分で採取し、指の間でその伸びを測ることにより排卵日を見つけることが可能となることもあります。
 しかし、実際に自分で頚管粘液を採取し、それを客観的に判定できる方は非常に少ないと思います。ご自分で排卵日を知る方法としては、基礎体温を測り、高温相になる2日ないしは3日前より尿中のLH(黄体化ホルモン)を調べるキットが薬局にありますので、そちらを使用されてみてはいかがでしょうか。キットを使用し、1日できれば2〜3回(起床時、午後、就寝前)の中で一番強く反応が出た陽性となった時より24時間後に排卵すると計算されるとよいと思います。
 ご自分で正確に尿の反応が陽性となった時期を見つけるのは困難な場合もありますので、不妊専門の産婦人科に早く受診され、正確に排卵日をみつけていただく方が早道だと思います。
(院長:田中温)
 現在、婚約中です。先日、ブライダルチェックで、子宮が普通より小さいといわれました。誘発剤を飲んで排卵させようと考えていますが、将来妊娠できるのでしょうか?

 子宮の大きさで、妊娠の可否を予測するよりも、まずは、基礎体温が二相性になって規則正しく月経が来ているかどうかを判断する方が重要です。子宮の大きさは、卵巣から出る卵胞ホルモンや黄体ホルモンによって、コントロールされますから、初めに卵巣機能を正確に調べることをおすすめします。月経が周期的で、基礎体温が二相性になっていれば、妊娠は大丈夫です。
(院長:田中温)
 基礎体温をつけて約1年になります。今までは、基礎体温に特に問題はないように思いましたが、今回は高温期が2週間足らずなのです。何かおかしくなってしまったのでしょうか?放っておいても大丈夫でしょうか?

 高温層が何日間あるかを正確に測定するのは、誤差があって、なかなかわかるものではありません。それは、基礎体温だけでは、いつ排卵したかがはっきりとわからないからです。排卵日がわからない以上、基礎体温表で、高温層がどれくらい続いたのかを見ることは難しいといえます。高温期は10日以上あれば、よしとしていいと思います。
(院長:田中温)
 初めまして。先月、卵巣(片側のみ)の摘出手術を受けました。妊娠は可能だといわれましたが、卵子は、毎月かわりばんこに片方づつの卵巣から排卵されるということなので、わたしの場合には、2ヶ月に1度しか排卵しないことになるのでしょうか?

 卵子は片方の卵巣から毎月交互に排卵すると言われておりますが、実際はそうではありません。約50%が交互で、残り50%は不規則に排卵するということが、報告されております。卵巣が1側しかない方の場合には、その1側から毎月排卵します。
(院長:田中温)
 1年前より基礎体温をつけているのですが、排卵日が近くなると、腹部に痛みがあります。なにか病気があるのでしょうか?

 排卵時には、下腹部に痛み(排卵痛)が起こることがありますが、これは病気ではありませんので心配はいりません。排卵痛は、排卵に伴う内臓痛ですので、鈍い痛みを感じます。個人差があり、救急車で運ばれるほど強い痛みがある場合もありますが、一般的には、軽い鈍痛で、排卵後に自然に消失していきます。この排卵痛が自覚できる方は、排卵時期を予測する上で、非常に有利となります。
(院長:田中温)
 こんにちは。初めて相談します。排卵日を予測する方法は雑誌などに色々と書いてありますが、どうすればよいのかイマイチわかりません。排卵を確実に予測するには、どうすればよいのでしょうか?

 排卵の正確な予測には、経膣超音波による卵胞のモニタリングと、尿中のLH濃度の測定が必須です。経膣超音波の検査で、排卵日は約2日の誤差で予測できます。予測された排卵日の約2日前より、尿中LHを測定します。尿中LHの測定は、最低でも1日に2回(できれば3回)行い、反応が最も強く出た時点から24時間後に排卵が起きると考えてください。この方法が非常に確率の高い予測法になります。
 自然周期の場合には、頚菅粘液の量や結晶の変化を観察することも有効です。基礎体温は、あくまでも参考程度とされてください。
(院長:田中温)
 現在、子宮内膜症の治療で、薬で閉経状態にしています。子宮内膜症の状態がよくなり、そろそろ薬をやめてもよいということなのですが、どれくらい妊娠できる状態になるのでしょうか?

 子宮内膜症の治療として、ホルモン療法(GnRHアゴニストやボンゾール)を行います。大体、半年を目処に投薬をします。投薬中止後1-2ヶ月で月経が開始し、その1-2ヶ月後からは自然排卵が認められるようになりますので、妊娠が可能となります。
(院長:田中温)
 なかなか妊娠せず、病院で検査を受けたところ、男性ホルモンの値が高いといわれました。男性ホルモンの値は、どういう影響をおよぼすのでしょうか?男性ホルモンを下げるには、どのような方法がありますか?

 男性ホルモンが高くなる最も代表的な疾患は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。(その次は副腎性器症候群となっております。)PCOSの本態は、脳下垂体より分泌されるLHの濃度が高くなることにあります。高LHの作用により、男性ホルモンが高値となり、正常な卵子の発育が障害され、排卵誘発後も質の高い卵子がとれにくくなります。
 男性ホルモンは、卵巣だけでなく副腎でも作られていますので、副腎に問題がないか調べることも重要です。ラマ後の質に影響を及ぼす以外には、男性ホルモン値が高くなることにより、多毛・にきび・脂性などの症状も発生します。また、肥満を合併することも多く、全身的な所見の一部分となる場合があります。よって、男性ホルモン値を測定することは、体外受精の予後を予測する上で重要です。
 男性ホルモン値が高く、肥満傾向がみられる場合には、体重を落とすためのダイエットが第一に重要となります。カウフマン療法やピルを約半年行えば、ほとんどで症状は改善しますが、よくならない場合には、ステロイドやGnRHアゴニストを使用します。時間はかかりますが、必ずよくなりますから、根気よく続けてください。
(院長:田中温)
 治療を始めて1年になりますが、担当の先生からいつも内膜が薄いと言われています。生理も不順なのですが、内膜が薄いと、排卵をしていたとしても生理が来ないことがあるのでしょうか?

 内膜が薄くても、きちんと排卵していれば、月経は必ずきますので心配はいりません。排卵がおきず、月経が不順な状態を放置していますと、内膜は薄くなっています。また、内膜が非常に薄い場合には、月経の量が極端に減ってしまい、無月経となったと勘違いされることもあります。基礎体温表があれば、排卵しているかどうかがはっきりしますので、ぜひ基礎体温をつけてみてください。二相性になっていれば、黄体ホルモンは分泌されていますので、月経は必ずきます。
(院長:田中温)
 基礎体温表が高温期に入っているのに、病院の診察では大きな卵胞が見えるそうなのです。そういうことはありえないと思うのですか、どういうことなのでしょうか?

 高温層になっても排卵していない場合には、卵胞はどんどん大きく成長していきます。これを黄体化未破裂卵胞といい、意外と多く見られる症状です。
 高温層=排卵したという昔の考えは正しくありません。
(院長:田中温)
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