回答一覧 - 最新医療(着床前診断・産み分け 他) No.2 -
 年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:8回
 海外在住で不妊治療をしています。胚盤胞移植を4回行いましたが陰性となり、その後腹腔鏡検査を行って自然妊娠しましたが、13トリソミーで17週で死産となりました。その後2回胚盤胞移植を行いましたが、陰性でした。
 一度目の採卵では9個採卵し、胚盤胞になったのは2個だけでした。二度目は13個採卵し、7個が胚盤胞になりました。hcgが2回出たので、2回は化学流産しています。卵の質は毎回良いと言われていました。
 その後、卵子提供を受け2回移植しました。1回目は卵子の質が良くなかったそうで、2回目は2個しか受精しませんでしたが3日目の8分割を移植し、現在妊娠判定待ちです。
 腹腔鏡検査をした際にポリープがあると言われましたが、2cmほどで妊娠には影響のない場所だそうで、そのままにしてあるそうです。着床しないのは私の子宮に問題があるのでしょうか?次は卵子提供ではなく自分の卵子で治療を進めたいので、着床不全検査や着床前診断を受けたほうが良いのでしょうか?

 一回目は17週で13トリソミーと原因がはっきりわかっておりますが、その後の化学流産に関しては、HCGの値がどの程度だったのでしょうか、胎嚢は見えたのでしょうか?値が低い場合には判断が難しいところですね。現在日本では着床前診断を認めようとする方向に来ております。あなたの場合は卵がたくさん取れて胚盤胞がたくさんあるようですから、着床前診断ではなく着床前スクリーニングが有効ではないでしょうか?ただし、これを受けるにはあなた方ご夫婦の染色体に異常がないということが前提となります。
 着床前スクリーニングは、8細胞もしくは胚盤胞から細胞を採取して行います。8細胞の方が技術的にも容易に細胞がとれますが、染色体異常が最も混沌としているモザイクと言う時期で、培養を行うと消えるべき異常なものがまだ残っている状態です。その状態で検査をするため、全体として異常率が7割近くになります。これを胚盤胞まで培養して検査を行うと異常率は減少し、本来は異常となるもののみが検出されて異常率は2割程度まで下がります。このように、検査をしなければ5割近く移植できるものが、8細胞で検査を行うと、3割程度に下がってしまうという欠点があります。しかし、胚盤胞まで発育する胚は、全体の2~3割の卵子で、特に高齢の方だとその可能性が下がりますので、胚盤胞まで培養できない場合検査が行えなくなる方もいらっしゃいます。以上が8細胞か、胚盤胞で行う場合の長所と短所であります。この検査で妊娠率が高くなることはありませんが、流産率は著しく下がります。どうしても流産を避けたい方にはおすすめできますが、この検査だけで費用が50〜60万円程度掛かります。かなり厳しい経済状態を迫られますが、その点が問題なければ受けてみてはいかがでしょうか?[2015年1月21日]
(院長:田中 温)
年齢:40 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 出生前診断は希望すれば誰でも受けられますか?

 新しい出生前診断である母体血を用いた方法は、すべての方が受けられるわけではありません。対象となる妊婦は、胎児超音波で胎児の染色体異常がある可能性が高いと診断された方、母体血マーカーで異常がある可能性がある方、過去に染色体異常(トリソミーなど染色体数の異常)の児を妊娠した経験のある方、高齢妊娠の方、両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有しており、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆される方に限られております。[2013年8月31日]
(院長:田中 温)
年齢:40 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 セミナーの中で「体外受精は自然妊娠と比較して、生まれてくる子どもが異常を持っている割合はほぼ変わらない」という内容があったと思いますが、その異常とはダウン症、奇形等の重いものについてでしょうか?それとも、幼児期以降に発見される自閉症スペクトラムやADHD、LD等の発達障害等も含む割合でしょうか?発達医療では、近年の発達障害児の増加の背景に高齢妊娠、不妊治療での妊娠が遠因とされる説があります。

 異常には、発達障害も含んだものを指します。
 WHOによる世界的規模での調査では、体外受精児の異常は自然妊娠に比べて有意に高くなるという報告はありません。ただし、体外受精の技術そのものによる異常はなくても、体外受精を受ける患者様の背景、すなわち最も大きな影響因子として注目されている母体の高齢化による原因は考えられます。体外受精を受ける患者様の年齢が異様に高くなっておりますので、結果を見ると体外受精による出生ですが、詳しく調べていくと年齢の高い母親から生まれたということが一番のキーワードになると思います。早い時期に出産されることが一番大事です。[2013年8月31日]
(院長:田中 温)
年齢:36 基礎体温: 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回 
 筋腫・内膜症で去年から体外受精に挑戦しています。去年11月に1度妊娠しましたが8週目で流産となりました。胎児の染色体異常ということがわかりました。
 そして今月、稽留流産となってしまいました。救急車で運ばれたのが不妊外来のない病院だったため、胎児側の原因かどうかはわかりませんでした。
 セントマザーでは着床前診断を実施していると伺いましたが、転院を希望すれば私も着床前診断を受けることができるのでしょうか?また、着床前診断を申請したら何か月後くらいに許可がおりるのでしょうか?

 着床前診断ができるのは、すべてのスクリーニング検査を行い、染色体異常以外には異常が認められない場合に限られます。また、胎児の染色体異常とあなた方御夫妻の染色体異常が合致すれば、適応となります。申請には約半年近くかかるとお考えください。[2013年4月17日]
(院長: 田中 温)
年齢:46 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:20回 人工授精:0回 体外受精:回
 再婚後、市販の排卵検査キットを使い、タイミング療法による妊娠を試みましたが思うようにはいかず念願叶っていません。この状況を娘夫婦に相談し、実娘(27歳)からの卵子提供の話が出来ています。
 セントマザーで受け入れていただけますか?

 卵子提供を受ける条件としましては、卵子提供以外では妊娠が不可能の方です。現在の年齢で考えますと、残念ながら卵子提供の適応とはなりません。[2013年4月17日]
(院長: 田中 温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:10回 体外受精:4回
 先日、不妊治療で妊娠しましたが、胎嚢確認後、繋流流産しました。絨毛検査の結果は、不均衡型相互転座でした。
 流産組織染色体検査では、胎児は男の子で、AとBの核型は「19色体短腕p13.3-pterが欠失し、その断端に由来不明な付加部位を伴う男性核型」と記され、Cは正常女性核型とあり、「なお、AタイプおよびBタイプにつきましては、付加部位が異なっているため別タイプとさせていただきました。」と追記されていました。
 今後は、血液検査で夫婦の染色体検査する予定です。夫婦の染色体検査で異常が見つかった場合は、着床前検査をすすめられると思いますが、早く子供がほしい気持ちと金銭的にあまり余裕がないので、着床前検査はできれば避けたいと思っています。
 私たち夫婦の染色体異常を受け継いでいるのでしょうか?胎児の要因での染色体異常とは違うのでしょうか?

 流産組織染色体検査は、子宮内容除去術を行い、採取された絨毛組織に含まれる細胞中の染色体を調べています。採取した検体や状態により、結果が異なる事はしばしばあります。
 おそらく今回の流産の原因は19番染色体とどこかの常染色体で不均衡型相互転座を起こしたということでしょうが、現時点でご夫婦どちらかに染色体の不均衡型相互転座を持っているかどうかはわかりません。
 今回の受精卵で偶然起きている可能性も考えられます。まずは、ご夫婦の染色体検査を受けて頂く事をお勧めします。もし、ご夫婦のどちらかに不均衡相互転座が見つかり、他のスクリーニング検査で異常が認められなければ、習慣性流産の予防のため、着床前診断を受けられることをお勧めします。[2012年10月20日]
(産婦人科医:伊熊 慎一郎)
年齢: 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 今年2月、抗がん剤を使用した治療を開始する前に、受精卵を凍結しました。限られた時間の中で年齢的なものもあり、受精卵は1個でした。抗がん剤により卵巣機能が低下するのは確実で、閉経する可能性もあります。もしこの凍結卵を移植し妊娠に至らなかった場合、その後の妊娠は諦めることになるのでしょうか?またこの1個の凍結卵で出産できるようになるために、私に出来ることは何がありますか?(2012年7月 第13回 セミナーより)

 化学療法誘発性無月経は化学療法開始後1年以内に生じる3か月以上の無月経と定義されます。発生頻度は患者の年齢、抗ガン剤の種類、抗ガン剤の投与量に依存します。
あなたの年齢は何歳でしょうか?どこの臓器の癌だったのでしょうか?何サイクル、どの抗ガン剤を使用したのでしょうか?これによってその後の妊娠率も変化すると思います。特にアルキル化剤は、化学療法誘発性無月経を誘発するリスクの最も高い抗ガン剤と言われています。(40歳以上の乳がん患者へのアルキル化剤の使用は80%に卵巣機能不全を起こすとされています。)
化学療法誘発性無月経に至らなければ、癌治療後、採卵は可能と思います。
残念ながら、凍結胚を移植後妊娠成立せず、化学療法誘発性無月経となった場合はその後の妊娠は厳しいと言わざると得ないでしょう。
(近年卵巣組織凍結の報告が散見されており、今後の癌・生殖医療の中心的役割を果たす可能性があります。Cf:鈴木直ら:がん・生殖医療の実践に基づいた化学療法後の妊孕性温存の可能性について.癌と化学療法,2012)[2012年9月15日]
(産婦人科医: 茅原 誠)
年齢:27 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 なかなか子供が授からず受診したところ、妻には異常が見つからず、夫である私が閉塞性無精子症と診断されました。また、血液検査にて染色体異常(13番染色体とY染色体との転座)があるとの説明を受けました。
 担当医から精巣を切開して精子の存在を確認する方法を進められていますが「染色体異常を持つ場合、精子が存在しないことがある」との記述を多く目にし、精巣生検を行うことに不安を感じています。染色体異常をもつ場合、精子が作られている可能性はどれくらいの確率であるのでしょうか?また、自分の染色体異常が子供に受け継がれる可能性や、先天的な障害等につながる可能性はどのくらいあるものなのでしょうか?

 転座自体に関しては着床前診断が可能ですので、正常な胚だけを戻すことは可能です。問題は、閉塞性無精子症と診断されていますが、これが事実ならば必ず精巣上体より精子を採取されてください。決して精巣内より精子を採取しないようにご注意されてください。精巣上体精子の方が、濃度も高く、運動率も良く、妊娠率も高くすべての点において精巣内精子より勝ります。精巣にはメスを加えませんので、術後の侵襲も低くなり、疼痛など回復も早くなります。この点についてご注意ください。
 また、転座に関しては着床前診断で正常型のみを移植することができますのでご心配はいりません。決して諦めずに頑張ってください。[2012年7月17日]
(院長: 田中 温)
年齢:39 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:10回 体外受精:5回
 先月、凍結胚盤胞を移植しましたが、胎嚢確認後の5週目で流産しました。不育症検査で血液の流れが悪く血栓ができやすいという結果が出たので、移植後はバファリンを服用しての治療をしています。しかし、ここ最近の流産はヘパリン注射する前に流れてしまっているため、今回初めて夫婦の染色体検査を行いました。現在結果待ちの状態ですが、染色体検査に異常がなくても受精時に変異を起こすことがあるとも聞きました。着床前診断をした方が流産の原因が分かるのではないかと思ったのですが、したくてもすぐに出来るわけではなく、審査や委員会などに通るまでに時間がかかり、費用も高額だと聞きました。診断を申請してから認可が下りるまでの期間と1回の費用はどのくらいかかるのでしょうか?また、現在胚盤胞を凍結していますが、胚盤胞の卵は着床前診断が出来ないと聞きました。着床前診断は2〜4分割の時に行うのでしょうか?
 以前通っていた病院で2度、現在通っている病院でこの2年で3度、合計5回の流産を経験していますが、今の病院では着床前診断ができません。最近の2回の流産は全く同じ週で流れてしまい、喜びもつかの間で一瞬にして崩れてしまいました。なんとか原因を知りたいのですが、この4〜5週の流産の原因をはっきり知ることは難しいのでしょうか。

 5回流産した中で、流産物の染色体検査をされた事がありますか。その結果にもし異常があれば、日本ではまだ一般的には行っておりませんが、正常な染色体だけを選ぶPGSという施術も欧米では行われております。
 染色体検査で異常が無い場合には、スクリーニング検査を行い、もし異常があればバファリン、アスピリンやヘパリン療法が必要となり、全ての検査で異常が無い場合にはリンパ球移植が有用となります。流産の原因はいろいろなものがありますが、着床前診断の適応となる染色体異常が原因となる可能性は数%と高いものではなく、ほとんどが原因不明です。一般的に、抗リン脂質抗体などが原因となる場合が多く認められます。まずは、不育症のスクリーニングテストをお受けになられ、原因や治療の説明を十分にお聞きになる事が重要だと思います。[2012年2月15日]
(院長: 田中 温)
年齢:37 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:4回 
 4年前に早発閉経と診断され、セントマザーで1回採卵をし、体外受精をしました。他院でも採卵、顕微授精を4回しましたが、卵子が悪く反応しません。その後、転勤や経済的問題等で治療継続できず、現在に至ります。
 私には、結婚していますがまだ子供がいない35歳の妹がいます。ホルモン状態などは問題ないようで、卵子提供を申し出てくれていますが、可能なのでしょうか?

 あなたの場合、医学的には問題なく、卵子提供を受けることは可能です。卵子提供を受けるにはJISARTの倫理委員会の審査があり、その審査を通過すれば卵子提供は可能です。ただし、JISARTのガイドラインでは、提供者の条件として、子供がいる必要がありますので、残念ですがあなたは適応にはなれません。[2012年2月1日]
(院長: 田中 温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:1回 体外受精:回
 着床前診断と染色体スクリーニングはどのように違うのでしょうか?相違点を教えてください。

 着床前診断は、ご夫婦のどちらかに染色体異常があり流産を繰り返す場合に、胚の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べる方法で、染色体スクリーニングは、ご夫婦に染色体異常は認められないが流産を繰り返し、その流産の原因がトリソミーなどの異常を認められた場合に流産率を下げるために胚の染色体を調べて、正常なものを戻す方法です。どちらも体外受精を行い、胚が着床して妊娠する前に調べる方法です。
 しかし現在、最高で9種類しか染色体を調べる事は認められていませんので、100%染色体が正常であるという確証は得られませんが、この9種類で、ほぼ9割近くは流産する可能性の高い染色体とそうでないものをふるい分けることが出来ると思います。将来は、CGHという方法で全ての染色体が一度にスクリーニングすることが可能になると期待されております。[2011年9月3日]
(院長:田中 温)
年齢:29 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 一年前に、妊娠三ヶ月で流産しました。原因は夫の染色体異常で、父親からの遺伝だと言われました。同様に夫の兄も染色体異常ということで、義兄の奥さんは、何度も流産繰り返し、やっと男の子を授かっています。夫も義兄も、父親の染色体異常が遺伝しているとのことですから、夫の染色体異常はわが子にも遺伝してしまうのでしょうか?
 また夫の精子はすべてが染色体異常なのでしょうか?それともたまたま今回染色体異常の精子と受精してしまったのでしょうか?
 精子は二ヶ月ほど掛かって作られるとの事ですから、食事や禁煙禁酒などで、異常のない精子を作ることが可能でしょうか?流産を繰り返したくないので、正常な染色体の精子を増やしたいと思っています。

 内容から判断しますと、ご主人の染色体異常が流産の原因と考えられます。この染色体異常を直すことは不可能ですので、異常のない精子を作る事や正常な染色体の数を増やすことは不可能です。また、染色体異常は約50%の確率で子どもに遺伝します。染色体の異常の内容にもよりますが、着床前診断も一つの治療法として考えてみてはいかがでしょうか。[2011年9月3日]
(院長: 田中 温)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 過去に2回妊娠した経験がありますが、どちらもある致死性の常染色体優先遺伝病だったため、6ヶ月で諦めることになってしまいました。胎児由来組織を遺伝子検査したところ、遺伝子に欠損が見つかりましたが夫婦ともに正常なため、どちらかが性腺モザイクだろうと言われました。
 子供が欲しいのですが、性腺モザイクでも着床前診断は受けられますか?それにより、正常な子を妊娠することは可能でしょうか?

 あなたの致死性の常染色体優先遺伝病の詳しい内容を教えてください。もし、その遺伝子異常の発現部位がどの染色体のどの部位にあるか、ということが確定しているのであれば着床前診断は可能です。
 しかし、日本産科婦人科学会の指定した着床前診断の適応は、染色体に異常があることにより流産を繰り返す、または20歳までに死亡または寝たきりになる原因となるほど、重篤な遺伝性疾患であるということが証明された場合のみです。[2011年7月2日]
(院長:田中 温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 医療も進んできましたが、体外受精(IVF)で男女の産み分けをすることは可能でしょうか?

 日本では、体外受精での産み分けは認められておりません。[2011年3月16日]
(院長:田中 温)
年齢:29 基礎体温: 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 主人の父がハンチントン病でなくなりました。主人は遺伝子診断を受けておりませんので、遺伝しているか今の段階では不明です。現在、日本では遺伝性疾患の可能性があると考えられる症例に着床前診断が可能といわれていますが、ハンチントン病の場合は着床前診断の適応ではないでしょうか?重篤な遺伝性疾患とは小児期に重篤な障害が生じる疾患と聞いていますが、ハンチントン病も若年型ハンチントン病があるため重篤だと思います。着床前診断を行なうことは可能でしょうか?

 お父様がハンチントン病の場合、遺伝子を受け継ぐ可能性は50%ですので、まずは保因者診断をすることが先決と思います。正常であれば、ハンチントン病は隔世遺伝しないため問題ありません。もしも保因者であれば、着床前診断の適用となります。しかし、実際に着床前診断を行うためには、主治医と他にもう一人、日本人類遺伝学会が認定した医師の診断が必要となります。二人の診断が揃いましたら、主治医の施設の倫理委員会で承認を得なければなりません。その倫理委員会の承認を得られましたら、日本産科婦人科学会の着床前診断の専門医に申請して、許可を得ます。その許可が出て、着床診断が可能となります。
 着床前診断は体外受精(IVF)が前提となりますので、体外受精がおこなわれている施設でなければなりません。しかし、当院のように染色体異常の着床前診断は行っておりますが、遺伝子診断は他の施設にお願いするという場合も可能です。まずは、ご主人の保因者診断をされてはどうでしょうか。[2011年2月17日]
(院長:田中 温)
年齢:40 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不明 タイミング法:2回 人工授精:1回 体外受精:1回
 1年前までセントマザーで治療を受けていましたが、高FSHで卵子ができない状態でした。ようやく1個だけ採卵できて移植したのは4年前です。赤ちゃんをあきらめようと思いましたが、1年経っても気持ちの整理がつきません。私には姉妹もいませんが、海外での卵子提供には勇気がいります。今、日本では、卵子提供の治療はどこまで進んでいるのでしょうか

 日本では、JISARTの倫理委員会が承認した症例においては、卵子提供が行えておりますが、その適応の中には加齢は入っておりません。すなわち、年齢が高くなったために良好な卵子が採れない場合は、残念ながら卵子提供は適用できないということになります。早発閉経などの診断が出たとしても、提供者は、ご自分で見つけるほかありません。あなたの場合には日本では卵子提供は困難と考えます。[2010年1月21日]
(院長:田中 温)
年齢:27 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 私は卵巣機能不全と診断され、ホルモンの薬を飲まないと自力での生理はありません。FSHが135です。
 そんな私でも卵子の提供ができれば妊娠は可能なのですか?
 もしも可能なのであれば、卵子提供を受けられる条件などを詳しく教えてください。お願いします。

 卵子提供の条件は、卵子提供以外では卵子が得られない場合です。すなわち、ターナー症候群などの染色体異常により卵巣が認められない場合、または早発閉経、または子宮内膜症などの手術によって卵巣を切除してしまった場合などです。卵巣機能不全には色々なパターンがあります。どうしても卵子が得られない場合のみが適応となりますので、卵子はできるが数が少ないとか、質が悪いというケースは適応外となります。
 卵子提供者の条件は、35歳未満の既婚者で出産が終了していることですが、卵子提供者はいらっしゃいますか?このような方を見つけるのは困難と思われますがいかがでしょうか。もし、いらっしゃるのであれば、条件を満たしていれば十分卵子提供は可能です。しかし、この卵子提供は、日本産科婦人科学会、厚労省は正式には認めておりませんので、JISARTの倫理委員会に提出することが条件となります。[2009年9月17日]
(院長:田中温)
年齢:27 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 血友病遺伝子の保因者です。
 着床前診断による、血友病ではない子どもを産みたいのですが、セントマザーでしていただけるでしょうか?また他に方法はありますか?

 着床前診断は、重篤な遺伝子性疾患が適用となります。すなわち、20歳までに死亡または、寝たきりの状態などとなる疾患を指します。血友病にはタイプがいろいろとありますが、今までに着床前診断を行った症例の中には、血友病は一例もないようです。血液製剤などによって、治療が可能であると判断されていることが理由のようです。
 当院では、遺伝子異常を対象とした着床前診断は取り扱っておりません。染色体異常に起因する習慣流産のみです。一度、主治医の先生から遺伝子診断について、詳しくされている病院をお聞きになって、そちらに連絡を取られて着床前診断が可能かどうかを確認されてください。
 主治医が、着床前診断が必要であると診断した場合には、第三者としての立場となる遺伝専門医、人類遺伝学会の認定した遺伝専門医の先生による着床前診断が必要であるという、同様の診断書があれば、着床前診断の申請が可能です。その後、日本産科婦人科学会の委員会で検討され、必要と認可された場合には治療が可能です。
 ただし、実際に遺伝子診断を行う施設はそれほど多くないと思いますので、診断するだけでなく、体外受精(IVF)をして移植をするということも妊娠するための大きな要素となります。  まずは、主治医の先生によく相談されてください。[2009年9月17日]
(院長:田中温)
年齢:46 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:2回 体外受精:3回
 高齢のため、子供を諦めなければならないと思いつつ、辛くて治療をやめる事ができないでいます。
 卵子提供(核置換)が実現されればと、切に願っているのですが、認められるには、どのくらいの時間がかかるとお考えですか?また、この件に関しまして新しい情報がありましたら、教えていただけたらと思います。
 こちらのQ&Aフォーラムで読ませていただくと、2〜3年前の情報でしたので、質問内容は同じですが質問させていただきました。先生方の熱心な取り組み、本当にありがたく思っております。

 核置換は、まだ、世界でどこも実施しておりません。その理由は、技術的にまだ成功していないというもの殆どです。
 最近では、技術的には、かなり高率に核置換後の胚の発生が認められるようになっておりますが、倫理的な問題もあります。技術的な問題がクリアできれば、おそらくアメリカ、イギリスではこの治療法が近々始まると思います。そうすれば日本でも可能になってくると思います。わたしも期待しております。[2008年11月4日]
(院長:田中温)
年齢:44 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:5回
 卵子提供を受けて妊娠・出産する場合、「大量出血等が多くて危険だ」と報道されたことがありますが、実際に卵子提供と大量出血等の因果関係はあるのでしょうか?
 アメリカ国内では、そのようなことはないと聞いたのですが、先生のご意見をお聞かせ下さい。

 卵子提供と大量出血との因果関係は直接には関係ないと思いますが、卵子提供を受ける方には、排卵障害が長く続くために、子宮が委縮状態になっている方が多いと思います。そのような場合は、子宮の発育が悪い状態ですので、妊娠自体がハイリスクとなります。
 ハイリスクの現象の1つとして、分娩時の出血、出産後の収縮が十分に機能しないということが起こりうる可能性は十分に考えられます。そのような意味においては、因果関係はあると考えます。
 少なくとも排卵障害により長期的に月経が止まってしまうような状態下における卵子提供であれば、その提供後の妊娠は非常にリスクが高いということを十分に念頭におかれ、対応十分な施設での出産をお勧めいたします。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
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