回答一覧 - 女性が原因の不妊について No.17 -
年齢:25 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:6回 人工授精:回 体外受精:回
 月経26日目に卵胞が26mmでした。形が歪んでいたことと、水が溜まっていたことが気になりましたが、LHサージは陽性でした。
 D28では、排卵確認で卵胞37mm、内膜10mmで、相変わらず形は歪んでいて、水が溜まっていました。たった2日で卵胞が10mmも成長するものですか・・・。薬や注射は使っていません。
 これは、黄体化未破裂卵胞(LUF)というものでしょうか?排卵後、卵胞内に水が溜まったとは考えにくいでしょうか?何か行うべきでしょうか?

 この時は何の服用もしない自然周期だったのでしょうか。それともクロミッドや セロフェンなどの排卵誘発剤を内服していたのでしょうか。
 自然周期でも排卵直前には26mm位になることはありますが、37mmは大きすぎます。経験上で一般論を言うならば、37mmは排卵後に卵胞があったところにできた「黄体のう胞」の可能性が高いと思います。おっしゃられるように成熟した卵胞が排卵しないままに黄体化する黄体化未破裂卵胞(LUF)も考えられますが、ちゃんと排卵した後でもそのようなこと(黄体形成)は充分考えられます。LUFかどうかについては今後も慎重に検討する必要があります。袋がまだ残っているからといって単純にLUFと決めつけるのは早計過ぎるでしょう。
 卵胞が黄体のう胞になった場合には1日で10mm大きくなっても何ら不思議ではありません。そのような症例はしばしばあります。次の月経が始まっても、まだのう胞が残ったままになっていることもしばしばありますが、機能性卵巣のう腫ですので、一時的なもので、いずれも消滅します。
 LUFの起こる原因はいくつかあると思いますが、1つの原因としては卵巣周囲に癒着があって卵胞が破裂できず、卵子が外へ排出できないことも考えられます。腹腔鏡検査で卵管周囲癒着症の有無を調べてもよいと思います。癒着の原因としては腹腔内手術の既往(卵巣のう腫・子宮筋腫・虫垂炎など)や、クラミジア感染、子宮内膜症などが考えられます。また卵巣の表面が硬くなっていたり、ゴムのように伸びすぎて破裂しにくい場合もあるかも知れません。
 腹腔内に水が溜まっていたとのことですが、確かに排卵後(黄体期)には腹水が溜まりやすいので、それは排卵の確認の一つの目安にはなるかも知れません。[2010年9月24日]
(産婦人科医:粟田 松一郎)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 海外で治療をしています。
 夫の射精障害、私の高FSH(D3で13くらい)もあり、不妊治療をしています。D3の胞状卵胞は、2〜3個くらいで、卵巣機能低下との指摘のため体外受精(IVF)を試みています。ショート法で3度試しましたが、育った卵胞は2個で質もよくなかったので、低刺激法に切り替えました。それから毎回最低1つはよさそうな卵胞が育ち、採卵を試みているのですが、ここ2回ほど、卵子が採れないことが続きショックを受けています。これは、エコーやホルモンチェックではきちんと育っている卵胞だけれども、実はそうではない空砲ということなのでしょうか?先生の言い方だと、「卵子はあったけど、とれなかった・・」という感じです。治療期間は1年未満。成熟した卵子が採れた場合には受精もします。
 ただ、海外ということもあって、卵子提供の話が出ているのですが、卵胞が育つ以上、あきらめたくない気持ちもあります。先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

 胞状卵胞が2〜3個見えるということですので、ご自身の卵子での妊娠は充分可能だと思います。特に当院では卵管に戻す方法(GIFT・ZIFT)もお勧めしております。卵子の提供はまだ早いのではないでしょうか。頑張ってみてください。[2010年8月23日]
(院長:田中 温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:27回 人工授精:1回 体外受精:0回
 16年前に子供を産んでいます。その後もすぐ妊娠したのですが、前の旦那のDVにて死産しています。 再婚後は、妊娠することはなく、3年前から基礎体温もつけ不妊治療を受けています。主人の検査は問題ありませんでした。去年卵管造影検査で卵管両側不通とクラミジアの検査は陽性で大学病院にてFTカテーテルを受けました。その後も通水治療を続けています。
 3回目の通水後、左側卵管の通過は見られたのですが、右側卵管が途中までしか通っていない状態でした。人工授精(AIH)をしたのですが妊娠に至らずでした。先日の通水では右側卵管を中心にしてもらって通過し、自然妊娠もできると言われたので、タイミング療法(ケフレックス+注射)を行いましたが、妊娠しませんでした。排卵後のホルモン検査でP4=10.68、E2=3000以上でした。
 年齢のことも考慮して、今後の治療を考えたいと思っていますが、どうすればよいでしょうか?

 クラミジアが陽性であること、またFTカテーテル後も卵管が一側通っていないということならば、体外受精(IVF)に入った方がいいと思います。[2010年8月23日]
(院長:田中 温)
年齢:31 基礎体温:無関係 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:2回 体外受精:0回
 1人目を右からの排卵で無事妊娠出産しています。2人目も右からの排卵でしたが、子宮外妊娠をしてしまい、卵管切除しました。
 開腹の際、「左も癒着があるのでまた子宮外妊娠する可能性が高い」と言われました。体外受精(IVF)での治療を覚悟していましたが、通水検査では左卵管は通っていました。
 それなら体外受精が出来るまでの間でも人工授精(AIH)で頑張ってみたいと思いますが、妊娠してもまた子宮外妊娠になってしまう可能性の方が高いのでしょうか?また、癒着がある事と、卵管が通っていると言うことは違うのでしょうか?主治医は卵管が通っていても癒着があるならばAIHはお勧めできないないという考えのようです。
 また、子宮外妊娠は卵管の通りや癒着に関係があるのでしょうか?

 左卵管が通っていれば人工授精(AIH)での妊娠の可能性はあります。ただし上記の文面にあるように、癒着があると、たとえ卵管が通っていても100%いい状態とは言えません。
 また一度子宮外妊娠を起こした方は、起こしていない人に比べて次回に子宮外妊娠を起こす可能性が高くなります。それは、他方の卵管も卵管内の状態が悪いことが多いからです。
 ご本人が希望されれば人工授精も可能です。ただし主治医の先生は妊娠率が高くないという理由からおすすめにならなかったのではないでしょうか。少しおかしいように思われるかもしれませんが、子宮に卵を戻す体外受精であっても、子宮外妊娠になる可能性があります。妊娠された時には、胎のうが子宮に見えるまでは気をつけていてください。[2010年8月23日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:23回 体外受精:回
 これまでずっと人工授精(AIH)を行ってきました。クロミット゛で誘発していましたが、だんだんと排卵しないで卵が残ってしまう回数が増え、最後はフォリスチム+HCGにて誘発を3回行い、卵巣が腫れてしまいました。現在は、ステップアップを視野にいれて治療を少しお休みしています。
 治療時は、高温期に黄体ホルモンを内服していましたが、排卵確認後、10日目くらいから2日ほど少量出血し、いったん止まったあと、生理が始まるというようになっていました。現在は、3ヶ月ほど、薬を一切使っていませんが、出血する状態はかわりません。どのようなことが考えられるのでしょうか?閉経が近づいているということでしょうか?このような状態で、体外受精は可能でしょうか?

 まず主治医は、出血についてどのような治療をされているのでしょうか。文面のみからの症例推測しかできませんが、いくつか考えられることを述べたいと思います。以下のような点についてきちんと検査をされているならば、問題はないかと思います。
 黄体期に出血しているのは、黄体ホルモンが不足している黄体機能不全が考えられます。内服していますが、投与しているホルモン量が少ないのかもしれません。
 他には、子宮の入り口に膣部びらんがあって出血していることもあります。子宮がん検診をされていないようであれば行ってください。
 その他、卵巣の不調や子宮筋腫、子宮腺筋症などがありますが、まずは以上のことをチェックされてみてはどうでしょうか。診察をしてみないと具体的な卵巣のことがわかりませんが、体外受精は可能だろうと思います。[2010年8月3日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:5回 体外受精:0回
 右に5cmのチョコレート膿腫があります。これまで一度も妊娠反応がないためラパロをしようとしたところ、主治医に、AMHが25と年齢より低めなので体外受精(IVF)を勧められました。しかしチョコレート膿腫があるので、卵子の質が良くないとおもうので、あまり期待しないようにと言われました。これは妊娠を諦めたほうがいいということなのでしょうか。
 今後ロング法で体外受精に挑戦する予定ですが、最善の方法があれば教えていただけますか。また卵子の質を良くする方法はありますか。

 年齢、月経周期が規則正しいこと、タイミング、人工授精(AIH)をすでに何度かされているという点より、卵管周囲の癒着が考えられます。
 あなたが自然、または人工授精での妊娠をご希望ならば、まずは腹腔鏡検査をお勧めいたします。その結果、卵管周囲の癒着が強い場合には、体外受精に入られるというステップを踏んでもいいのではないでしょうか。
 チョコレート膿腫が5cm以内の場合には、腹腔鏡検査時に摘除することもひとつの方法です。[2010年8月3日]
(院長:田中 温)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:7回 人工授精:2回 体外受精:0回
 現在わかっている症状は、片方卵管閉塞、黄体機能不全(P4=2〜7)、子宮が小さい、内膜が薄い(3〜6mm)です。排卵前のE2が高いために内膜が薄いのではないかといわれました。
 体外受精(IVF)を視野に入れていますが、現在の病院では体外受精ができません。ただ、担当医から現在の状態で体外受精をしても可能性が低いと言われているので、転院できずにいます。
 このような状態の場合、本当に体外受精をしても無理なのでしょうか。また、E2が高いことと内膜が薄いことには関係があるのでしょうか。

 排卵前のE2値が高いというのは、具体的に数値はいくつくらいなのでしょうか。タイミング、人工授精(AIH)での卵の作り方は、排卵誘発剤の内服(クロミッドなど)のみでしょうか。それともクロミッドにHMGなどの注射を併用されているのでしょうか。
 担当医からはE2値が排卵前に高くなっている原因について、どのような説明を受けていますか。上記の文章のみではE2の高くなっている原因や状況がはっきりしませんので、上記にお尋ねした数値などが具体的に分かるようでしたら、ご連絡下さい。[2010年7月20日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:20回 人工授精:3回 体外受精:9回
 40歳で体外受精(IVF)の治療をしています。
 20代で内膜症が見つかり、膿腫、腺筋症、小さな筋腫もあって、昨年ラパロを行いました。内膜症は多少改善されたものの、オペ後もいい卵がなかなかとれません。
 ロング法で刺激をしても反応が悪く、できる卵は2個程度なので、現在はクロミッドのみや完全自然周期で採卵し、数は少なくても質のいい卵を・・・ということで頑張っています。しかし受精まではできても、いつも3日くらいに分割が止まってしまいます。採卵は9回していますが、移植までいったのは1回のみです。
 いい卵がとれないのは、内膜症と年齢のせいと担当医は言うのですが、何か対策はないのでしょうか?以前より月経前症候群(PMS)が酷く、今は漢方やサプリメントなどを内服していますが、月経の数日前になると、必ず低血糖になります。インスリンの影響で卵の質が下がるというのを聞いたことがあるのですが、低血糖になるのは何か関係があるのでしょうか?ちなみに、今まで検診などで血糖の指摘を受けたことはありません。

 『多のう胞性卵巣症候群(PCOS)』という、排卵障害の原因があります。この場合、「インスリン抵抗性」が認められることがあり、しばしば、経口糖尿病治療薬(「メトフォルミン」など)が用いられることもあります。PCOSの症例では、卵子の質の低下が起こりやすいといわれていますが、あなたが『PCOS』の診断や疑いがないのであれば、これとは関係ありません。
 また、『低血糖になりやすい』とのことですが、どのような症状や検査に基づいているのでしょうか?詳しい症状や検査結果が記載されていないので、ご質問の内容からは判断することができません。ご本人の思い込みや勘違いということはないでしょうか。私の浅い経験の中では、「月経近くになると低血糖になる」という疾患は、今までに経験がありません。本当に低血糖発作などを起こしやすくなるのであれば、まずは内科的に詳しく検査を受けられてはいかがでしょうか。
 月経前にみられる症状に次の様なものがあります。
■月経前症候群(PMS)
 これは、月経の1週間くらい前から起こり、月経とともに消滅するものです。
イライラ、のぼせ、下腹部痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着かない、憂鬱、むくみ、体重増などがあります。
 対処法としては次の方法があります。
 ・光に当たり、生活のリズムを整える。
 ・ストレッチ、ウォーキングなど体を動かす有酸素運動を心がける。
 ・刺激物を避け、3食きちんと食べる。
 ・つらい時は無理をしない。
 また類似疾患としては
■月経前不快気分障害(PMDD)という病気があります。
 これは、月経前に落ち込みや、わけの分らない絶望などの精神症状尾がうつ病に匹敵する程重く、社会生活に支障が出る事もあります。ひどいめまいや眠気で、ほぼ寝たきりになったり、周囲の人や自分自身に対して、攻撃的な感情が起こることもあります。自殺企図もあります。このような場合、抗うつ剤治療などが有効で、精神科を受診することが勧められます。[2010年7月20日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:40 基礎体温: 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:2回 体外受精:1回
 お薬を飲んで卵を作っていますが、いつも内診(エコー)時に、片方しか卵巣が映らないと言われます。
 映っていないほうにも卵ができている可能性があるかもしれないのですが、わかりません。
 よって、いつも映っている卵1つしか採卵ができません。どうして卵巣が片方しか映らないのでしょうか?骨盤がゆがんでいるのでしょうか?体操や食事療法など、自分でできる改善策はありますか?

 手術で卵巣を摘出していない限り、卵巣は見えるはずですので、映らないのではなくて、卵巣が確認できていないのだと思います。過去に開腹手術などをしている場合や皮下脂肪が多い場合には、位置が変わっていたり、見つけにくいことがありますので、そういう場合には、腹部から見ると確認できるはずです。
 次回の診療は、院長希望とお伝えになり、今回の件を診療時におっしゃってください。今回の件に骨盤のゆがみなどは関係ありませんので、体操や食事療法などですぐに改善することは難しいと思います。[2010年7月20日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 多発性筋腫のため、開腹手術を2回受けています。卵管が詰まっていたため、体外受精(IVF)の治療をしています。しかし、常に子宮の中に液体のような物が溜まっているため胚移植ができません。自然な状態でも綺麗になることがありません。
 現在はまた筋腫が大きくなってきたため、リュープリン注射を使用し、(現在3回うちました)様子をみている段階です。他に子宮の中が綺麗になり、胚移植できる方法はあるでしょうか。

 子宮の中の液体は、子宮筋腫手術の際に、内膜を縫合したせいではないでしょうか。詳しい事は診てみないとよく分かりませんので、現時点ではお答えすることが難しいと思います。[2010年7月3日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:回 体外受精:回
 ホルモンの値には異常はみられませんでしたが、基礎体温が二相性にならず、無排卵であることがわかりました。クロミッドを処方してもらって4ヶ月になります。 クロミッド服用後、基礎体温は二相性になり、クロミッドを休んでも卵胞が確認できるようになりました。卵胞サイズが22〜24mmくらいでHCGを打ってタイミングをとり、その1週間後に、血液検査をして排卵したかどうかを主治医が判断してくれています。
 色々調べてみると、排卵済みかどうかはエコーでチェックする病院が多いようなので、エコーをお願いしましたが、血液検査で排卵しているので問題ないと主治医より説明を受けました。黄体ホルモンがあがって基礎体温があがっても、排卵していないこともあるのならば、血液検査だけでは信頼性がないと思っていますが、どうでしょうか・・・。
 実は、この2周期ほど、月経期に基礎体温が少し高めであることが気になって調べていたら、黄体化未破裂卵胞などの可能性もあるとあり、不安になっています。(ちなみに主治医は、気にすることはないとのお返事でした。)
 そのような可能性も含めて検査してくれて、排卵を確認してくれる病院で転院したほうが良いのだろうか、それとも、現在の病院の方法で安心できるものなのか...迷っています。アドバイスをお願いします。

 不妊治療の方法や考え方はドクターによって多少違いがあります。あなたが今通院されているドクターは、排卵を1週後の血液検査で調べる考え方ですね。 あなたの調べられた通り、おそらく多くの不妊専門施設では、超音波で排卵の有無をみていると思います。また、黄体ホルモンが上昇し、基礎体温が高温相であっても、黄体化未破裂卵胞の可能性もあり、排卵が起きていないケースもあることは事実です。この黄体化未破裂卵胞は、超音波でみれば明らかになります。 今後、現在のドクターに超音波でみてもらえるかを相談して、あなたが納得されるなら現状で、納得いかなければ転院も視野に入れて考えてもいいと思います。[2010年7月3日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:1回 体外受精:回
 半年ほど通院し、なかなか妊娠に至らない状態で、セントマザーに転院しました。検査の結果、私が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)である事がわかりました。夫の精子は抜群に良いとの事でした。
 セロフェンを服用し、卵胞が丁度いい大きさになり、排卵誘発の注射をして、タイミングを行っています。4回タイミングをして、妊娠にいたらなかったので、初めて人工授精(AIH)をしましたが、妊娠しませんでした。年齢や経済的な不安もあり、今後どうしたらよいか迷っています。セロフェンをのんで注射をすれば、きちんと排卵できているようです。他に何かやった方がいい検査があるのでしょうか?夫の精子が抜群によくても、人工授精をあと何回か続けた方がいいのか....それとも次のステップを考えた方がいいのか迷っています。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のために月経不順があり、ご夫婦のみでは排卵日を特定するのが困難だろうと思います。ただそれでも全く無排卵というわけではなかったわけですから、夫婦生活を根気よく続けていれば、少なくとも何回かは排卵日近くでの膣内射精が行われたものと思われます。
セロフェンで排卵日を早めに誘導して、タイミングを取りやすくする治療は、理にかなっているとは思いますが、それでなかなか妊娠できない場合に、人工授精(AIH、)体外受精(IVF)へとステップアップしていくやり方を基本として行っております。
 その間に他の不妊原因について更に検査していくこともあります。
 腹腔鏡検査で骨盤内癒着の有無を確認することもお勧めしています。
 体外受精については、肉体的、精神的、経済的、スケジュール的な負担がかなり大きくなりますので、よくご夫婦で検討していく必要があります。
 それぞれのカップルで不妊原因やその程度、ご夫婦の諸事情や挙児希望の考え方が異なりますので、画一的な回答はできません。
 最終的には女性の年齢は、卵子の質の低下、染色体異常率の増加、妊娠率の低下、流産率の上昇など大きな影響を与えます。
体外受精の治療に入ったら、ずっとその治療しかしてはいけないわけではありません。わずかではありますが体外受精で残念な結果に終わった後に、自然妊娠された方もいらっしゃいます。再びタイミングやAIHへ戻ることもできます。[2010年5月6日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 4年前に子供を授かりました。2人目を考えて、違う不妊治療専門の病院で治療を開始しました。
 D15に卵管造影検査をして、結果は問題なく、翌日からセロフェン1×2とグリコラン1×2を飲むように言われました。D10の血液検査ではLH=17.7、FSH=6.5、テストステロン=78.8でした。(以前から多嚢胞性卵巣です。) セロフェンは5日間を服用して卵胞を大きくするそうですが、薬を服用するには遅い時期なのではと疑問に思っています。担当医は、卵管造影をした後の3ヶ月間が勝負だということと、重度の多嚢胞性卵巣ではないから大丈夫だということを説明されました。
 以前の治療は体外受精(IVF)でしたが、今回は、人工授精(AIH)を行う予定です。検査や内診などから、人工授精でもいけるかもしれないと判断されたようです。
 しかし、薬の服用時期が遅くないのか、一度お薬で生理をおこさせてからの方がよいのではないか、卵子の質は大丈夫だろうかとたくさん不安があります。このまま治療を開始してもよいものでしょうか?

 LHがFSHより高値でテストステロンの値の単位が分かりません。
 月経不順があって、径膣エコーで卵巣内に小さな胞状卵胞が多数認められる(ネックレスサイン)のであれば、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性はあると思います。
エコー状ネックレスサインが認められなかったので、主治医の先生は多のう胞性卵巣(PCO)ではない、とおっしゃられたのかもしれません。グリコランはPCOSに対しての治療として処方されたはずです。
 原則的にクロミフェン(セロフェン、コロミッドなど)は、月経5日目から5日間処方するのですが、内服終了後数日して診察した時に、薬に反応していない場合(小さい卵胞ばかり)でも、更にその時点でクロミフェンを5日間追加投与すると、その卵胞が大きく発育する場合がしばしばあります。原則的投与ではないかもしれませんが、主治医の先生の処方の仕方は、間違った投与方法ではなく、そのような投与方法も知っておられる経験豊かな先生ではないでしょうか。
それぞれのカップルには、それぞれの問題、事情、考えがあります。
 人工授精(AIH)でいくのか、体外受精でいくのかは、医師の説明を十分受けて質疑応答をしたうえで、最終的にはご夫婦でお決めになるべきだと思います。[2010年5月6日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 2月に8週で流産手術をしました。2回の生理を待って、生理3日目にホルモン値検査をしましたが、FSH=13、LH=3.9という結果でした。
これは流産後で、ホルモンバランスが崩れているためで、しばらくすると正常値に戻ると考えてもよいのでしょうか?担当医からは、もう一度検査をすると言われています。ちなみに、5年前に検査した結果は、FSH=5.5でした。 顕微授精(ICSI)でしか望みがない状態ですが、二人目がほしいと思っています。このようなホルモン値では、妊娠は難しいのでしょうか?

 2回の生理は自然にきた生理でしょうか。その時の基礎体温は二相ですか。二相性で自然に生理がきている(排卵が起こっている)のであればFSHもそのうち低く(10未満に)なるのではないかと思います。
 排卵誘発剤やピルなどの薬を飲んで生理を起こしたとしたら、今後も薬を飲んで生理を起こして、ホルモン値を見てもらうことがいいでしょう。流産後で急にホルモンのバランスが崩れて生理も来なくなる患者さんもいますから、生理が不順とすればホルモンバランスを整えるためにお薬を服用されることが良いかと思います。今の状態であれば近々正常化するものと思われます。[2010年5月6日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:1回 人工授精:0回 体外受精:0回
 これまで一度も妊娠したことはありません。また、これまで比較的、規則正しくきていた生理も、今回初めて周期が乱れています。(通常28日〜33日が、今回43日でした)
 産婦人科に通い始めたので、そのストレスもあるのでしょうか・・・?実は、認識はなかったのですが、血液検査で過去にクラミジアにかかっていたといわれ、大変驚きました。数値も高いと言われました。(IgA0.89=陰性)(IgG5.32=陽性)自覚症状はありませんでしたが、過去のクラミジア抗体数値が高いということは、それだけ当時ひどい炎症が起きていた、と考えるべきでしょうか?
 また、クラミジア感染の経験がある者は、卵管造影検査がとても痛いと聞きました。この、卵管造影検査で、クラミジアが原因の癒着はある程度、剥がすことができるのでしょうか?

 炎症の程度と血液検査の値は必ずしも一致するのもではありません。現在クラジミアにかかっているということでなければ、内服治療は必要ありません。卵管造影検査は卵管の通りがどうか(卵管が細い、詰まっているなど)を見る検査ですから、クラジミア感染を起こした人が痛いというわけではありません。感染を起こしていても卵管が正常であれば痛みがない人もいます。また完全に閉管している場合も、痛みがないか少ないこともあります。基本的に卵管造影検査では癒着を剥がすことはできません。ただし、造影剤が通ることによって、細くなった卵管が広がり、通りが良くなるケースはあります。卵管周囲の癒着の有無を調べる方法としては、腹腔鏡検査があります。おなかに小さな穴をあけて行ないますから、入院が必要ですが、軽度の癒着であれば検査の時にはがすことも可能です。癒着が気になるようでしたら、検査を受けることを考えてみられてもよいでしょう。[2010年5月6日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:1回
 9ヶ月前に卵管造影検査を受けて、特に問題はありませんでした。体外受精(IVF)の後、卵巣を休ませている期間に、主治医から「通水検査をしましょう。」と言われたのですが、必要あるのでしょうか?受けるメリットがあれば受けてみようかと考えていますが....

 当院では、卵管造影検査でまったく通りに問題がない場合、検査から1年以内であれば通水をしないで様子を見ています。ただし、検査のときに通っていても、通りがスムーズでなかったり、通るまでに時間がかかったときには、治療の合間や、治療を休んでいる間に通水を行うこともあります。
今後、タイミングや人工授精(AIH)での治療の予定がなく、体外受精(IVF)のみを考えていらっしゃるのでしたら、積極的に通水はしなくてもいいように思われます。ただ、主治医は検査結果を見て、また、今後のことを考慮して通水を判断されていることと思いますので、通水検査を受けるメリットについては主治医にご確認下さい。[2010年4月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:23 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 結婚して2年が経ちましたが、妊娠しません。生理周期は38〜40日前後です。基礎体温は二相性で、高温期も必ず14日はあります。
排卵時期のおりものは、のびたり水に溶けないと聞きますが、排卵日付近ではなくても水に溶けないことがあります。匂いなどは無く、以前ナプキンでかぶれた時に念のため検査をしましたが性病ではありませんでした。
水に溶けないおりものは異常でしょうか?また、このことが妊娠しにくい原因になるのでしょうか?

 自分で、水に溶ける溶けないの判断は習慣的な要素が大きいので、早く不妊治療施設を受診してみてもらうべきでしょう。通常、排卵日近くになると子宮頚管(入口の部分)からの透明な粘性の分泌が増え、10mm以上に伸びるようになります。乾燥させると顕微鏡でみると大きな結晶ができているのがわかります。
 子宮頚管粘液の分泌が不良の場合、膣内に射精される精子がスムーズに子宮内に侵入しにくくなることがあります。
 早期の子宮癌なども子宮頚管部分を手術(円錐切除)した場合にも、粘液の分泌がなくなりますので、そのような場合は、人工授精(AIH)法などで排卵日に直接子宮内へ処理後の精子を注入する方法もあります。
 排卵日近くになったころに、朝性交を行った上で産婦人科にて粘液を採取して、顕微鏡で観察すると、中に運動している精子を見ることができます。精液検査が正常なのにも関わらず、精子の動きが悪い場合には、それが不妊の原因になっている場合があります(Postcoital test、ヒューナーテスト)。
 そのような場合、粘液の性状が不良な場合もありますが、子宮内粘液の中に抗精子抗体が存在していた時に精子が動けなくなる場合があります。
 いずれにしろ、まずは人工授精(AIH)法から治療を開始してみるべきでしょう。それでもなかなか妊娠に至らなければ体外受精を考えて下さい。[2010年4月16日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:0回 体外受精:0回
 先日、卵管造影を行った結果、片側卵管の閉塞を指摘されました。また、内診、エコーにて、筋腫、多のう胞性卵巣、ポリープなどもありました。
 今後の方向性として、腹腔鏡検査を行う予定なのですが、その際一緒にFTカテーテルなどの方法で卵管の閉塞を改善することは可能でしょうか?
 そういった方法を試すことで自然妊娠の可能性はでてくるのか知りたいのでよろしくお願いいたします。

 FTカテーテルは卵管閉塞が適用です。しかし癒着がある場合には効果がありませんので、腹腔鏡と一緒にすることは非常に有用だと考えます。同時にすることが可能ですよ。
 癒着がなく卵管閉塞のみならばFTカテーテルで自然妊娠の可能性は充分考えられます。[2010年4月1日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 海外で体外受精(IVF)をしています。5年前に、おそらくクラミジアがみつかり、飲み薬と座薬で治療をしました。その後、妊娠を望んでいたのですが妊娠に至らず、腹腔鏡検査の時に両卵管閉塞が見つかり、両卵管を通過させてもらいました。年齢の事もあり、体外受精(IVF)を昨年から始め、これまでに3回行いましたが失敗に終わりました。
 主治医に相談したところ、卵管水腫のために、体外受精でも妊娠が難しいといわれました。今後は、卵管切除して体外受精を続けるか、卵子提供を考えた方が良いということです。
 卵管水腫と言われたのが今日始めてであり、卵管水腫が体外受精に影響があるということを3回も行った後に言われた事に動揺しています。私の希望としては、卵管をどうにかして正常に近づけて自然妊娠を試みたいのですが、やはり卵管切除をするほかないのでしょうか。
 参考のためですが、採卵数は4個、2個×2回で、グレードは中程度です。左卵巣が子宮に隠れていて採卵ができず、空胞も多いです。薬の量をMAXにしても成熟卵が少なく、胚移植の時もチューブが子宮の中でクルクル回り、移植しにくいようです。

 今日の日本では、かなり多くの人がクラジミア感染の経験があります。日本のある高校において行った調査では、驚くことに女子高生全体の2〜3割が感染しても、症状が軽症か殆んどなくて、全く気付かないこともしばしばあります。クラミジア菌が膣から子宮、卵管へと侵入して腹腔内(骨盤内)に炎症を起こして、卵巣や卵管の周囲に癒着を起こすことがあります。クラジミア菌を体内から駆除したとしても、骨盤内の癒着の状態はそのまま変わらないか、更に進行していく場合すらあります。
 不妊治療の内容としては、閉塞している卵管に対しては、通水治療や卵管鏡(FTカテーテル)を用いた治療によって、再通過させるようにこころみます。たとえ水が卵管内を流れるようになったとしても、卵巣が排卵した卵子を卵管采がしっかり掴まえて、卵管内を子宮内まで運んでくることが出来るのかどうかは保証できません。また、その後の不妊治療中に再び卵管が閉塞してしまうこともあります。卵管の先端の卵管采が癒着で閉じてしまうと、卵管壁から卵管内に分泌される卵管液がどんどん貯留して卵管水腫が出来てしまいます。
 そのようになってしまった卵管は、元には戻らないものと認識する必要があります。
 たとえ開腹手術や腹腔鏡手術を行ってもあまり効果はなく、再び更に強い癒着を起こすこともありますので、それで自然妊娠を期待することは、あまり現実的ではないように思います。また卵管内に貯留した古くなった卵管液が、子宮内に移植した胚の発育に悪影響を及ぼすことが懸念されます。更に、子宮内の戻された胚が、ころがってそのような卵管内に入り込んでしまうと、そこに癒着して、子宮外妊娠を起こす可能性も増加します。

正常な卵管の場合に比べて、クラジミアや子宮内膜症でダメージを受けた卵管の場合に、卵管妊娠になりやすい原因としては以下のような2点があげられます。
 1.排卵時期には卵子が卵管の先端が子宮内に運ばれやすいような本来の卵管内の流れがありますが、卵管閉塞によってその流れが障害され、一旦卵管内に入り込んだ卵子が子宮内に再び戻ってくることが出来なくなること。
 2.卵管の壁が炎症によって荒れ果ててしまったり、狭くなっていてそこに胚が引っ掛かってそこから動けなくなってしまい、卵管壁に着床してしまうこと。
 それらの問題点を解決するために、卵管水腫のケースでは、卵管と子宮との境界で切断する治療をお勧めしています。ただ卵管閉塞のある全ての人に対してこの手術を行っているわけではありません。卵管切断しないまま、体外受精の治療に入る方もたくさんいらっしゃいます。患者さん自身の希望を優先しているのが現状です。ただ、比較的大きな卵管水腫が見つかった場合には、なるべく卵管切断手術をお勧めしています。
ソフトチューブで胚移植しづらい場合には、出血させない為にも、早めにガイドワイヤー付きの器具に変えて、胚移植することが望ましいと思います。[2010年4月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 卵管閉塞のため体外受精(IVF)を3回しています。卵管水腫があることを指摘され、今後の体外受精のために、卵管切除をすすめられました。しかし、インターネットや知人の話から、卵巣の機能低下やホルモンのバランスが崩れるという情報があって、とまどっています。
 卵管を切除するべきか、卵管結紮術をするべきか迷っているのですが、卵管切除は、卵巣機能の低下にどのくらい影響があるのでしょうか。また、卵管切除および卵管結紮術は、開腹手術をして入院となるのでしょうか。それとも腹腔鏡下手術でも可能でしょうか。
 間違った判断や順番(例えば、採卵が先で卵管切除または卵管結さつ)で次回の体外受精を台無しにしたくないので、最善の方法をとりたいと思っています。アドバイスをお願いします。

 程度にもよりますが、卵管水腫があると着床率が下がる事は世界的に認められておりますので、体外受精(IVF)で胚移植をする前に、卵管水腫の治療をすることをお勧めします。
 卵管水腫の治療としては、子宮腔内と卵管との通過性を遮断するだけで効果がありますので、腹腔鏡が有用だと思います。開腹は大変だと思いますし、腹腔鏡であれば入院期間も少なくて済みますので経済的負担にもならないと思います。[2010年4月1日]
(院長:田中温)
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