回答一覧 - 女性が原因の不妊について No.21 -
年齢:36 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 子宮内膜症のため、子宮の外にかなり多量の血液による癒着がありましたが、今は手術をして完治しました。完治したとは言え、癒着がひどかったことが着床や妊娠へ影響を及ぼすことはありますか?(2012年7月 第13回 セミナーより)

 確かに子宮内膜症は不妊症の大きな原因とされています。内膜症が重症になるにつれ、自然妊娠だけではなく体外受精、顕微授精ともに妊娠率は下がると言われています。ただ、完治しているのであれば、大きな影響はないと考えます。
また、癒着に関しては、卵管周囲の癒着があれば自然妊娠に大きな影響を与えると考えます。タイミング、人工授精で妊娠に至らないのであれば、早めの体外受精を考えてみてください。[2012年9月15日]
(産婦人科医: 御木 多美登)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:5回 体外受精:回
 不妊治療を初めて3年目です。先日40歳を迎えたので体外受精に進む事になりました。
 まず、1周期カウフマン治療を行い、プレマリンを7日間服用しました。服用中の後半2日間は少量の出血もありましたがすぐに止まり、医師の指示でその後プラノバールを10日間服用しました。さらにその後6日でリセットし、D3にホルモン値を調べるとFSH:17.86、E2:25.30でした。2月にD3のFSHを計測した際は7.93でしたが、半年でこんなに数値が上がるものなのでしょうか。また、この数値で採卵した場合、良い卵子は望めないでしょうか?FSHが高値の場合は採卵を見送った方がいいのか迷っています。
 現在、採卵にむけて、ゴナピュール150を一日おきに注射しクロミッドを朝/夜服用していますが、現在の排卵誘発周期を続けるか、自然周期に変更するかをとても迷っています。私のようなホルモン値の場合、セントマザーではどのような治療を行いますか?アドバイスをお願い致します。

 FSHが高値という事は、卵巣機能の低下を反映しますので、卵子の質は低下していると考えられます。D3のFSHが17.86との事ですが、この数値は高値です。当院では15以上ではIVF-ETに入る事はお勧めしておりません。
 半年の間にFSHが7.93から17.86になったという事はそれ程珍しい事ではありません。逆に言えば、治療をすれば、FSHを15以下に抑え、IVF-ETに入る事も可能かと思います。
 あなたがFSH 17.86である事を考慮すれば、まずFSHを低下させてから治療に入る事をお勧めします。FSHを低下させるために、カウフマン療法を1〜2クール施行します。(経口避妊薬の内服でも構わないと思いますが、文献によるとカウフマン療法でFSHを下げる事が多いようです。)
 その後、D3のエコー所見で胞状卵胞の数を確認し、血液検査でFSHが下がった事を確認します。ある程度の胞状卵胞を認め、FSHが15以内であれば、あなたが現在施行しているクロミッドとゴナピュール(隔日)注射の併用療法でも全く問題ないと思います。[2012年9月1日]
(産婦人科医:茅原 誠)
年齢:40 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:1回 体外受精:回
 私は、左卵管閉塞、右卵管狭窄、黄体機能不全があり、AMH値は0.75です。先日、排卵日かなと感じた経管粘液の多い日から4日目に人工授精をしました。人工授精の2日前から尿検査を行い、2日前にはスコア2、1日前にはスコア1の陰性になり、人工授精の当日には排卵していると言われたのですが、この場合、妊娠している可能性はあるでしょうか?また、もし妊娠していなかった場合は、卵管の状態やAMH値等から考えると、体外受精に切り替えた方がいいのでしょうか?

 尿検査のスコアは、ピークまたは増加から24〜36時間前後に排卵が起こるため、2日前のスコアが2で当日排卵していたことに矛盾はありません。妊娠している可能性は充分あると考えます。
 さて、体外受精へのstep upについてですが、AMHの値が気になるところです。ただ、AMHには平均値と言う概念しかなく、正常値という考え方はありません(いくつであっても異常ではないということです)。また、卵子の質を表す指標でもないため、それだけでは判断がつかないことが多いです。たとえ0であっても妊娠したという報告が多数あります。卵管の状態も含めて考えると、あと数回人工授精を試してみて妊娠しなければ、体外への切り替えでも良いかもしれません。担当の先生とよく話し合って考えてみてください。[2012年8月1日]
(産婦人科医: 御木 多美登)
年齢:30 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:8回 人工授精:0回 体外受精:0回
 夫婦生活を始めて1年半が経ち、妊娠歴はありません。東京在住でフルタイム勤務ですが、仕事や家庭でストレスはありません。
 初潮からこれまで生理がこなかったことなど1度もなく、23〜25日周期で定期的に来ていましたが、昨年3月に生理が1週間ほど遅れたので、婦人科を受診しました。たまたま無排卵だったのだろうとのことで、薬で生理を起こすことになりましたが、翌月も生理が10日以上こなかったので、再度薬で生理を起こしました。医師からは「ストレスやダイエットが原因でないなら、震災の不安かも」と言われました。その後、半年間クロミッドを飲んでタイミング指導をうけ、毎月卵胞は1,2個確認できましたが、一度も妊娠しません。
 昨年10月に不妊治療専門病院に転院して検査を受けたところ、卵管造影の結果は良好でしたが、AMHが0.1以下(測定不能)となったので、体外受精を勧められました。主人の検査結果は、「精子が少なめではあるが、顕微授精じゃなきゃ妊娠できないレベルではない」とのことです。
 現在は早発閉経と言われ、体外受精の準備をしていますが、採卵までたどり着けずにいます。先月からカウフマン療法を行い、生理3日目のFSHは先月の35から今月は27になり、クロミッドを服用し始めましたが、18日目でもE2が41で、卵胞が育ってないとのことで採卵キャンセルになりました。医師からは「時間はかかるかも知れないが、地道に採卵できるのを待つしかない」と言われ、現在はソフィアAを飲んで生理を起こすことにしています。
 AMHが0でも妊娠した例はあるといいますが、なかなか採卵までたどり着けず、もうどうしていいかわかりません。毎月何万もかけて検査を受けたり薬を飲んだりしても、採卵もできずにまた薬でリセットさせる・・・いつまでこんなことが続くのかと思うと、辛くてたまりません。でも時間がないと言われているから治療を休む勇気も出ませんし、子供をあきらめることも考えられません。夫との子供がどうしても欲しくて、養子や卵子提供などは考えていません。悩むのがよくないと言われても、考えずにはいられないです。
 早発閉経が治ることや、自然と生理が復活して自然妊娠することなどはありえないのでしょうか?現在の治療が最適かどうか、アドバイスをお願いします。

 早発閉経と診断され、お辛いこととお察しします。
 奥様の月経3日目の胞状卵胞数はいかがでしたでしょうか?胞状卵胞が経膣超音波で確認できる場合、卵巣機能が回復すれば排卵が起きると考えられています。そのために、まずはカウフマン療法を最低3周期行う必要があります。カウフマン療法を継続し、終了後にくる月経3日目のFSH,E2を評価し、改善が見られた場合はクロミフェンやHMGなどを使った排卵誘発を行ってはいかがでしょうか。[2012年8月1日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 5年前に第1子を自然妊娠にて出産しました。現在初めての体外受精に取り組んでおります。2年前に子宮頸がんのため円錐切除術、半年前には子宮外妊娠のため卵管温存術を受け、どちらも内膜掻爬を施行しています。そのため、不妊治療で通院している病院の他に、手術した病院など3箇所の産婦人科に通院しています。
 子宮外妊娠後、基礎体温は二相性ですが月経量が少ないことが多かったので、不妊治療先の先生に相談したところ、内膜掻爬後の癒着も考えられるとのことで子宮鏡検査を勧められました。しかし検査予約を入れた後に、子宮外妊娠術後の卵管造影で、子宮腔内に癒着はないと言われたことを思い出しました。そのことは伝えていたはずなのですが、その時によって先生が変わるためか、情報が伝わりづらいことが多くストレスに感じることもたびたびあります。子宮内膜癒着を確認するためには、卵管造影のみでは不十分なのでしょうか?子宮鏡検査を受けたほうがよいでしょうか?

 2度の子宮内掻爬を経験されているということですが、その後の子宮卵管造影検査で子宮内腔に問題なければ積極的に子宮鏡検査を行わなくても良いと思います。
 また、月経血が少ないとの事ですが、子宮内膜の状態はいかがでしょうか?例えば、不妊治療でクロミフェン(排卵誘発剤)の内服が長くなれば、子宮内膜が薄くなり、月経血も少なくなってきます。今までの治療の経過はいかがでしょうか?一度、出産経験のある方が、いきなり体外受精に入るとは思えません。
 ただし、当院でも、複数回の体外受精で妊娠に至らなければ子宮内環境の精査目的で子宮鏡をお勧めする事はあります。
 以上の点を確認し、子宮鏡検査の適応について再度主治医の先生と検討されてはいかがでしょうか?[2012年8月1日]
(産婦人科医: 茅原 誠)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 夫の膣内射精障害がきっかけで、先日はじめて不妊外来を受診しました。先生の提案により、シリンジ法でうまく行えることが分かり、この方法で半年か一年程度、自然に妊娠するか試してみたいなと二人で考えていた矢先、TRH試験で私が潜在性高プロラクチン血症であることが分かりました。検査結果は、負荷前:9.68 ng/ml、30分後:122.9 ng/mlです。その他の一般採血、感染症一式、LH、FSH、E2、テストステロン、AMH(6.29)、夫の男性要因等はすべて正常でした。さらに、エコー上、「多嚢胞性卵巣気味だね」と指摘されています。確かに月経周期は37日で、低温期が長いです。また、特にダイエット等している訳でなく、食事も3食きちんと摂って軽い運動もしているのですが、HOMA-Rが0.27(BS82、インスリン1.36)だったので、太りなさいと怒られました。
 担当医からすぐにテルロン錠0.5を半錠毎晩内服することと、子宮卵管造影検査をするように指示されましたが、潜在性高プロラクチン血症の治療については専門医でも意見がわかれることと、造影検査には副作用もあると聞いたので、本当に今すぐ行わなければいけないことなのか、疑問に思っています。アドバイスをお願い致します。

 確かにあなたのプロラクチン値は潜在性高プロラクチン血症の診断となります。
 プロラクチンが高値の場合、一番問題となるのは排卵障害です。ただし、エコー検査で排卵の有無についてのチェックがされているか、文面から不明ですのでテルロン内服の適応についてははっきりお答えできません。今後、排卵障害が確認できればテルロンの内服も考慮されるのではないでしょうか?
 多嚢胞性卵巣症候群は、1)月経障害 2)LH/FSHの上昇または男性ホルモンの高値 3)エコーでのネックレスサイン(多嚢胞所見)の3つをすべて満たした場合診断となります。あなたは、37日周期で月経発来を認めているようですので1は当てはまらなさそうです(なお、正常月経周期は25〜38日と言われており、あなたの周期は正常と言えます)。
 多嚢胞性卵巣の場合、HOMA-Rが上昇し、耐糖能障害(血糖のコントロールが不良となる)事がありますが、あなたのデータは問題ありません(1.7以上で高値と評価します)。「太りなさい」というのはあなたがかなりやせていらっしゃるから担当医がおっしゃられたのではないでしょうか?確かにやせすぎは中枢性の月経障害を起こすことがあるので注意が必要です。
 結論としては、エコーでの排卵障害の有無を確認されてからテルロンの内服を考慮してもよいのではないでしょうか。[2012年7月17日]
(産婦人科医: 茅原 誠)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 43歳で結婚と同時に不妊治療を始め、顕微授精からスタートしました。
 先日AMHの結果が出ましたが0.19と予想よりはるかに低く愕然としました。私は30歳の頃卵巣のう腫で右側の卵巣を全摘出しているので余計に低いのだと思います。
 先日低刺激の自然周期法で初めて採卵し、3個卵が採れ、前核期胚で凍結しました。その周期のD3の採血はFSH 15、E2 25、LH 4でした。ネットで探しても私ほどAMHの数値が低い方を見かけませんが、今通っているクリニックの先生は、あまり数値に関して説明がなく、説明を求めても、「まあ低いけどね・・・大丈夫でしょう」という程度の返事しかもらえません。
 ここ2年位で生理の周期が短くなり、量や日数は治療を始めて更に減って短くなっている気がします。今回は卵が3つ採れましたが、近い将来卵も採れなくなって閉経するのでは?と不安でなりません。近いうちに閉経してしまうと思われますか?

 AMH 0.19は確かに低値です。平均値とすると46歳以上の数値となります。実際、AMHが1.0を切ると不妊治療困難とする意見も聞かれます。
 ただし、AMHはあくまで参考値であり、あなたのように採卵・受精卵凍結までできているのであれば妊娠が不可能と断言できるものではありません。また、FSH 15という数値は、やや高めではありますが、当院でも治療に踏み切る値ではあります。
 あなたのホルモン値で、今後の閉経までの日数は断定できませんのではっきりしたコメントはできませんが、治療を否定するような条件ではないと思われます。卵巣機能を予知する上で最も信頼できる所見は、胞状卵胞の数です。月経3日目までの胞状卵胞の数を是非みていただいてください。[2012年7月17日]
(産婦人科医: 茅原 誠)
年齢:31 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 現在夫30歳、妻31歳で、結婚して1年6カ月になりますが未だに妊娠しません。
 生理直後の子宮内膜が厚いとのことで検査をしたところ、子宮内膜ポリープが少なくとも3個はあると診断されました。通院している病院ではポリープの大きさと不妊期間の長さで摘出を決めるそうですが、このままもう少し様子をみるか摘出するかは、私達の希望次第とのことでした。摘出する場合は4〜5日入院し、全身麻酔をして子宮鏡下手術となります。
 このポリープが明らかに不妊の原因だとすればすぐにでも摘出したいのですが、絶対に原因であるとは言えないようなので決断できずにいます。やはり摘出した方が良いのでしょうか?

 子宮内膜ポリープでは受精卵の着床を妨げたり、初期流産の原因になると考えられますので、摘出することをお勧めします。稀にではありますが、悪性所見が認められますので、病理検査で詳しく調べられると良いと思います。[2012年6月16日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:回 体外受精:回
 第一子の妊娠時に中毒症になったため、38週で帝王切開にて出産し、子供は現在5歳です。
 二回目の妊娠時には、初期から張りや出血があり、16週で頚管16mmとなったのでマクドナルド術を受けましたが、20週で破水し、流産となりました。三回目の妊娠時もやはり初期から張りや出血があり、16週で頚管26mmとなったのでシロッカー手術を受けましたが、入院中に19週で破水しました。不育症検査や人間ドッグなど出来る限りの検査は受けましたが、特に問題はなく、どちらも原因は不明です。
 現在は、タイミング治療を受けています。転勤のため、出産も2回の妊娠も別の病院で、今は4か所目の病院です。診ていただいている先生からは「次回妊娠した際は、子宮が大きくなり始める前の12週頃に縛った方がよいでしょう」と言われていますが、縛ることが私の体に合わないのでは…という不安が残るため、なかなか答えが出ません。
 今後妊娠した際は、やはり予防的に縛った方が無事に出産できる確率は上がるのでしょうか?

 産科ガイドラインには、既往妊娠が頸管無力症であったと疑った場合に、頸管の短縮、開大に注意しながらの経過観察および予防的頸管縫縮術を勧めています。しかし、どちらの治療法が最良かは結論が出ていないのが現状です。また、予防的縫縮術を施行する時期ですが「妊娠12週以降のなるべく早期に行う」とあります。
 あなたの経過から、頸管無力症の確率は極めて高いと思われます。縫縮術をするのであれば、頸管長が短くなる前に早期に施行することが望ましいでしょう。
 また、腟内の感染は流産・早産に密接に関与する事がわかっています。前回の妊娠中に腟分泌培養検査は適切に施行されていましたでしょうか?せっかく縫縮術を施行しても、腟内、子宮頸管に感染をきたしてしまっては全く意味のない治療になってしまいます。(縫縮術後の腟内・子宮頸管感染の予防はその後の妊娠継続を成功させる上で極めて重要です。)
 2回の流産が頸管無力症によるものであったのか、感染によるものであったのか、それともいずれの素因も認めていたのかよく検討し、今後の治療法を決定する必要があると思われます。[2012年6月16日]
(産婦人科医: 茅原 誠)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:3回 体外受精:2回
 前周期に遺残卵胞をリセットするためカウフマン療法(プレマリン10日間+プラノバール10日間)を行いました。
 プラノバールの服用が終わる2〜3日前から少量の出血があり、その後の出血量は微妙な増え方でしたので、生理初日がとても分かりづらい状態でした。結局病院で「プラノバール終了後5日目がD1」と決まり、体外受精の準備に入りましたが、本格的な出血が始まったのはD1と決めた日の2日後でした。
 D1の内診で胞状卵胞はいくつか見えましたが、ホルモン値は、FSHは5.9、LHは1.4、E2は検出せずという結果でした。D3でE2ゼロでは問題があると思いますが、D1での検査が初めてだったことや、そもそもその日が本当のD1かどうかも難しいところなので、「E2検出せず」をどう捉えればいいのか分かりません。ドクターには「この時期なら心配ないよ」と言われましたが、これは問題ないのでしょうか?
 もしかするといくつか見えた胞状卵胞が空胞という意味なのでしょうか?それとも、D3になれば数値は上がってくるものなのでしょうか?遺残卵胞がない状態ならE2が高めの方が妊娠しやすいと聞いたこともあり、とても不安です。関東在住ながらセントマザーでの遠隔治療も検討しています。ご回答を宜しくお願いします。

 カウフマン療法後E2が検出せずということを普通に捉えると、プラノバールの効果があなたにとって、強く効きすぎたためかもしれません。ただ出血が内服終了前から出始めたことや、少量の出血が続き、1週間後から生理程の出血量になったことは、ホルモン量としては黄体ホルモンが低かった可能性もあります。
 プラノバール終了後5日目をD1とした日の子宮内膜はどのくらいだったのでしょうか、厚いときはホルモン量が十分でも内膜を維持できずに出血していく可能性があります。また、ホルモン値は月経周期のどの時期で測るかによって大きく変化します。今回の場合、周期も不順な状態ですので正しい評価はできないものと思われます。2,3日後に測定し、比較してみてはどうでしょうか。[2012年6月16日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:36 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:10回
 私は15年前から重度の子宮腺筋症で、体外受精を10回ほど行いましたが妊娠しませんでした。今は治療をお休みしています。生理痛が酷かったため、3年前に核出手術を受け少しは楽になりましたが、最近また痛みが酷くなってとても辛いです。子宮を全摘してしまえば痛くなくなるとは思いますが、子供は欲しいので踏みきれません。生理痛を和らげる方法はありますか?

 子宮腺筋症合併不妊の妊孕性やART治療成績に及ぼす影響に関しては、多数例で詳細に検討した研究報告は少なく、一定の見解は得られていないようです。また、手術療法がその後の妊孕能に影響するかどうかもまだはっきりとした答えは出ていないと思われます。(この点に関しては2012年4月の日本産婦人科学会学術講演会でも議論されておりました。)
 しかし、子宮腺筋症術後の妊娠確率に関する文献を検索すると、「45%程度」とした報告が見られました。実際に診察をさせていただいておりませんのではっきりした事はお話できませんが、決してあなたの妊娠の確率が低いとは断言できないと思われます。
 生理痛を和らげる方法は、鎮痛薬の内服(または座薬)が主な治療方法となります。ただし、それでも無効な場合には低用量ピルの内服や、GnRHアゴニストによる偽閉経療法があります。しかしこの治療を施行した場合、治療期間中の妊娠が不可能となります。
 今現在、子宮腺筋症の再燃と、生理痛の悪化が激しいのであれば、GnRH療法を計6回程度施行し、腺筋症を縮小させたうえで、その後短期決戦的に体外受精を行い、妊娠を目指す方法も選択肢の一つとして考えてもよいかと思います。[2012年6月16日]
(産婦人科医: 茅原 誠)
年齢:38 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 私は11歳から生理が始まりましたが、ずっと生理不順です。20歳過ぎからは過長月経のときもあり、3年ほど前には3ヶ月間出血していたこともありました。年を取るごとに周期が乱れてきて遅れることが多くなり、無月経だった時もあります。2年ほど前に、たまたま脳のMRI検査をしたときに下垂体が少し大きいけど問題はないと言われました。また最近は、月経前症候群の症状が辛く、仕事を休むこともあります。
 先日、地元の大学病院の婦人科でホルモン値の検査をしたところ、LH=45.3 FSH=76.8 E2=42で、先生から「LHとFSHが高い場合、E2は低数値になるんだけど、E2は正常値だね・・・。早発閉経の入り口でこれからE2の数値が下がってくるか、下垂体に問題があるのか・・・」と言われました。現在は2ヶ月無月経なので、カウフマン療法を3コースすることになりました。この状態から、どんなことが考えられますか?

 下垂体の他のホルモンは正常なのでしょうか。たとえば、プロラクチンやADHなど、月経不順があることと、年齢、LH、FSHが高いことをふまえると早発閉経になろうとしているように思われます。すでに無月経になっているということは、排卵刺激を行って卵をつくるより、低刺激な治療法を選択されることが望まれます。[2012年5月2日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:30 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 私は子宮筋腫と子宮内膜増殖症の治療のため、4ヶ月間イトレリンを使用していました。
 既にイトレリンの使用は終えており、現在は生理開始待ちです。担当医師からは、1ヶ月半程度で生理が来ると説明されていたのですが、言われていた期間を過ぎても生理が来ません。ここ半月ほどは、生理痛のような痛みはあります。生理はいつ再開するのでしょうか?
 また、できれば子作りをはじめたいのですが、やはり生理再開後の方がいいのでしょうか?

 4ヶ月イトレリンを使用することによって、卵巣機能、子宮内膜の状態が抑制されたと考えます。ほとんどの方は機能が完治してくるのですが、回復が遅い方もいらっしゃいます。患者様によっては薬の効果が強く出ることもあり、6ヶ月以上無月経ということもあります。治療を受けた病院に連絡するか、一度受診されてみた方がいいように思われます。子作りはその診察のあとに考えてみてはいかがでしょう。[2012年5月2日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:10回 体外受精:9回
 抗核抗体80倍、高プロラクチン、抗リン陰性でカバサールを週に1錠服用しておりました。過去に一度、胎嚢確認後の流産を経験しています。
 今回、初めて顕微授精をおこない胚盤胞を凍結胚移植して妊娠し、カバサールは妊娠反応が出た時点で中止ました。今までなかなか着床しなかったので、今回初めて小児用バファリンを毎日一錠服用しているのですが、この薬の服用はいつまで続けるべきでしょうか?
 また、5w5dで茶色の出血が続くため診察にいくと、胎嚢が12ミリしか確認できないとのことで、クロマイ膣錠を投与されました。その後にお腹に激痛がありましたが出血はなく、6w0dで胎芽も確認できました。ただ、その時にダクチル錠とアドナ錠を1週間分処方されたのですが、妊娠後に処方されたこれらの薬は赤ちゃんへの影響はないのでしょうか?

 抗核抗体陽性、流産1回とのことですので、小児用バファリンは当院では妊娠34〜35週目まで内服していただくよう話しています。ただし、出血が多かったり続く際には、一時中断することはあります。切迫流産の治療にダクチル、アドナ錠が処方されたものと思いますが、今の時期で1週間の内服であればまず問題ないものと思われます。
 処方されている小児バファリン、ダクチル、アドナに関する疑問は主治医の考えがありますから、詳しくは主治医の説明をよく聞かれてください。[2012年5月2日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 黄体化未破裂卵胞(LFU)の疑いがあり、昨年5月から4回採卵し、1回目で体外受精、2回目以降は顕微受精をしましたが1度も受精したことがなく、胚移植までたどりついたことはありません。
 8月上旬に2回目の採卵を行ったのですが、下旬に腹部の激痛に襲われ、不妊治療をしている処とは別の病院にかかったところ、『出血性黄体嚢胞』と診断されました。
 その病院では、数ヶ月で自然に吸収され消えると言われたのですが、何ヶ月経っても一向に小さくなる気配もなく、半年経った今でも、50×50mmくらいの嚢腫が右の卵巣に残っています。見た目はまるでチョコレート嚢胞のようです。不妊治療をしている病院では、このまま一生消えないかもしれないと言われました。ただ、消えなくても特に影響はなく、採卵の邪魔になるくらいだから大丈夫、と言われたのですが、遺残卵胞があると、あとの卵の成長に影響するというようなことをよく聞くので気になっています。出血後、右からしか採卵していないような気がしますし、これだけ大きいと捻転したりしないか心配です。仕事でエコーを使っているので、たまに自分でチェックしているのですが、生理の前後でも全く変化ありません。
 11月から3ヶ月連続採卵の治療を受けており、11月、12月の採卵後にピル(マーベロン)を14日飲みました。
 1月は、前の卵胞が残っていたということで、誘発は中止になりましたが、ピルは飲みました。それでも嚢腫は全く変化せず、右の卵巣にまで、20×20mmくらいの同じような嚢腫ができてしまっています。
 先生は、右のことには特に触れず、今月は大丈夫と言われて、今周期初めて、クロミッドからフェマーラに変えて誘発中で、注射は明後日あたりからの予定です。今回もダメなら転院を考えているのですが、この嚢腫は本当にこのまま放置しても大丈夫なのでしょうか?

 これまでの経過を考えるならば、出血性黄体嚢胞ではないと思います。出血性黄体嚢胞は、卵巣の機能によって変化するものなので、月経周期によって大きさが変化します。あなたの場合は、同じような状態がずっと続いておりますので、卵巣腫瘍ではないかと思います。良性であるならば放置していいと思います。良性か悪性か、また子宮内膜症かは、血液検査のひとつである腫瘍マーカー検査というテストで可能です。また、同時にMRIをお撮りすることをお勧め致します。[2012年4月2日]
(院長: 田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 体重が減少してから第二度無月経を約8年放置していました。現在BMIは16まで回復し、半年前からホルモン療法で出血を起こしています。
 体重増加が先とは思いますが、FSH、LHは正常値で、E2は低値でも排卵誘発剤を使用するなどの不妊治療を行えば、妊娠は可能でしょうか?

 排卵誘発剤の使用で卵胞の発育が認められれば妊娠は可能です。急激な体重増減は体のホルモンバランスを崩し無月経の原因となりますので、充分にコントロールされて下さい。[2012年4月2日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:6回
 治療4年目です。男性不妊のため、これまで6回顕微授精をしています。私は多嚢胞気味と言われた以外、これといって原因はなく、ホルモン値なども問題ありません。
 ショート・ロング・アンタゴで誘発すると、どれも15〜20個くらいの卵ができますが、G1は1、2個でG2がほとんどです。採れた卵がすべてG2だった時もありました。担当医からは卵の質は良好と言われているのですが、分割がうまく進まないため桑実期胚まで培養することができずに、3日目培養の7分割〜8分割を移植となります。
 ひとつ気になったのが、受精後の結果が2PN、1PN、PN-(0PN)で記載されており、採卵数の半分近くをPN-(0PN)が占めていたことです。2PNは正常受精、1PNはうまく受精できなかったと認識しているのですが、PN-(0PN)とは卵に核がない状態をいうのでしょうか?もしそうだとすれば、卵の質は良好なものの、分割がうまく進まない原因として考えられますでしょうか?また、PN-(0PN)になるのを防ぐ方法などあれば、教えてください。

 顕微授精だと、だいたい80%が2PNとなります。2PNにならない理由としては、卵子の質が悪いか、顕微授精の技術が十分でないという状態だと思います。
 採卵数が20個を越えると言うのは、すこし採れすぎですので、卵の数を10〜15個くらいに減らしてみてはどうでしょうか。排卵誘発法によって、発育する卵胞の数をコントロールすることは十分に可能です。[2012年4月2日]
(院長: 田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)だったため、薬や注射を使って何度かタイミング法を試みたあと、最終的には体外受精にて第1子を妊娠し、出産しました。
 以前、血液検査でクラミジアに感染していることが分かり、薬を飲みました。クラミジアはかなり前から感染していただろうとのことでした。その際に子宮卵管造影検査も行っており、「卵管周囲に癒着が見られるものの卵管は通っているため、確率は低いが自然妊娠は可能である」ということを言われています。
 子宮卵管周囲の癒着は、妊娠するとどうなるのでしょうか?妊娠により子宮が大きくなるにつれて癒着がはがれたりすることはあるのでしょうか。また、第1子を帝王切開にて出産しましたが、帝王切開する際に癒着をはがすことはあるのでしょうか?

 クラミジアなどの炎症が原因で癒着が起こっているのであれば、剥がれたり良くなったりすることはありません。妊娠したからと言って、癒着が軽くなることはないでしょう。妊娠中に炎症を起こさなければ、現状のままと考えます。
 帝王切開時の癒着の扱いに関しては、どの場所にどの程度の癒着があるかで、剥がすかどうか決まります。癒着があるからといって全て剥がす必要があるというものではありません。[2012年4月2日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:30 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:9回 人工授精:3回 体外受精:回
 以前より、薬物療法(クロミッド・HCG・デュファストン)によるタイミングを続けていますが授からず、AIHを3回行いました。妊娠したものの子宮外妊娠になり、右卵管を切除し、その際に左卵巣にチョコレート嚢胞が見つかったため、卵巣を部分切除しています。子宮外妊娠のオペ中に、通水検査をして頂いたのですが、その際、左卵管は詰まっており、今後卵管造影検査が必要との事でした。
 そこで質問なのですが、通水検査で詰まっていた卵管が、卵管造影検査をすると通っているということはありえるのでしょうか?また、右卵管が無く、左卵巣はチョコレート嚢胞が再発する可能性もあるので、左卵管が通っている、通っていないにしろ、AIHや自然で妊娠する確率は低いのでしょうか?私のような体の場合、やはり体外受精が一番妥当な治療法なのでしょうか?

 術中に通水検査をして通過性が確認できない場合は、造影検査を行っても通過性が確認できる可能性は低いです。造影剤の方が粘稠厚が高いため圧力がかかり、狭窄下状態でも通過することがあります。
 卵管因子の場合はAIHや自然での妊娠の可能性は低いため体外受精(IVF)の適応です。左卵管を再開通させて自然な方法での妊娠を希望される場合は、通水治療を5〜6回行うか、FTカテーテル治療を行ってから卵管造影を受けられることをお勧めします。[2012年4月2日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期: タイミング法:5回 人工授精:11回 体外受精:6回
 3年前に都内の総合病院にて誘発を行い、良い卵が得られなかったこともあり、現在不妊専門のクリニックにて治療を行っております。
 昨年の秋にホルモン値をはかったところ、FSHは25くらいでした。その後、サプリやDHEAなどを飲んで下がり始めました。
 今年2月のD2にFSHは10.66、E2は33.66で、胞状卵胞が3つあるとのことで、D3からセロフェン2錠を5日間とフェリング150ミリを4日間投与しました。さらに、D7からガレニストを2日間とD8にフェリング225ミリを投与しました。E2が610になり、D11で2個採卵出来ましたが、成熟卵1個と空胞1個で、その後異常受精のためキャンセルとなりました。
 FSHが低くなっても、必ずしも良い卵が複数個取れるということではないのでしょうか?やはり自然採卵に戻したほうがよいでしょうか?アドバイスをお願いします。

 ピルなどのお薬を使ってFSHを下げることは可能ですが、そのことと卵巣機能が正常になることは一致しない場合があります。胞状卵胞が3つ見つかるということですので、ガニレストを使わない誘発方法を試してみてはいかがでしょうか?[2012年3月15日]
(院長: 田中 温)
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