回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.35-
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:1回 体外受精:3回
 セントマザーで治療しています。結婚が遅かったため、不妊治療も44歳になってから始めましたが、軽い刺激を加えても卵胞は1個しかできず、年齢的にはかなり厳しいと自分でも実感しております。
 これからの治療をどうしようかと途方にくれることもあり、自分の卵巣年齢を知る方法はないものかと思っています。生理3日目までに測定するFSHなどのホルモン値やAMHの検査は、卵巣にまだ余力があるかどうかを知る目安となるのでしょうか?現在、私の生理3日目までのホルモン値は、FSHが12〜16、E2は50〜90です。AMHは測定したことはありません。いつか治療を断念する日がくる、それは私が決めなければとは思うのですが、まだ生理も規則正しいため、いつまで治療を続けるかなかなか決められないでいます。「まだ治療を続けても大丈夫」という目安があれば、教えてください。

 卵の数はやはり1個で、今後増えることは期待できないと思います。それは、加齢とともに卵胞の数が減ってきているためで、生理的な現象ですから避けることはできません。また、その卵の質に関して、予想することは難しいと思います。
 AMHは卵巣機能がどれだけ残っているかを調べる意味では利用しますが、卵の質までは判定できません。たとえ採れる卵が1個でも、分割の状態が良好であるならば、治療を続けられる価値は十分あると考えます。[2009年5月16日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 薬の使い忘れについてお尋ねします。
 月経6日目から貼り薬のエストラーナを貼っています。月経20日目から膣座薬を使うように指示されていたのですが、うっかり忘れてしまい、気付いたのが2日後の夜でした。
 膣座薬は1日2回使うよう処方されていますが、この2日半、お薬を使わなかったことが、次回の体外受精(IVF)に大きく影響してしまうのでしょうか?
 また、私は毎回FSHが高く、生理2〜3日までの採血で20〜30台です。このような数値が続けば、うまくいかないのではと不安になっています。年齢のこともありますしFSHが高くても誘発をしてもらった方がいいのかと悩むこともありますがどうでしょうか。

 20日目からの膣座薬は黄体ホルモンが入っているのでしょうか。多少入れるのが遅くなっても、あまり問題になることはないかと思います。ただ、月経3日目のFSHが20〜30台というのは高いと思います。このままだと採卵を誘発しても卵胞ができにくい(もしくは、まったくできない)ことが予想されます。ずっと同じような数値であれば、エストラーナ+膣座薬を2〜3周期行うか、ピルを3週間×2ヶ月間続けたあと、FSHが20未満になってから排卵を促すことをおすすめします。[2009年5月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:2回 体外受精:1回
 前回の質問で、田中先生から回答をいただきました。ありがとうございました。私の質問の書き方が悪かったようで、うまく伝わっていなかったので、再度質問させていただきます。
 担当医は、たとえ話で「20時間後に採卵した場合は1個も採卵できない」とおっしゃったのですが、前回の採卵は、HCGを打って36時間後でした。主治医の言葉がひっかかるのですが、もう少し採卵時間を遅らせれば、もっと多く卵が採れたのでしょうか?それとも、時間をずらすことは成熟度(排卵をしてしまうかもしれませんが・・)にだけ関係することで、採卵数には関係しないのでしょうか。もしも、数時間で採卵数が違う場合ですが、HCG注射の時間も採卵の時間も決まっている現在の病院ではどうすればよいでしょうか。

 HCGを打って36時間後であればタイミングは問題ないですよ。
 逆に遅らせると、かえって排卵してしまうこともあります。HCGは40時間までは持ちますが、40時間以上経つとどんどん排卵していきます。また、時間を長くすることによって、採卵数が増えることはありません。HCGを打つ時間は、採卵の36〜38時間前と、どこの病院でも決まっていると思います。[2009年5月16日]
(院長:田中温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:16回 人工授精:4回 体外受精:1回
 先日、凍結胚移植について質問があります。
 内膜が薄いので、ホルモン補充周期で移植することになりましたが、生理開始3・5・7日にエストラーナ貼り薬を3枚ずつして、9日目に内診したところ、13mmの卵胞が1つ育っておりました。
 その後、そのまま隔日で貼り薬を続け、周期13日目の夜からプロゲステロン坐薬を使い、その日を排卵日と仮定して、2日後に移植というスケジュールとなっています。
 9日目に見つかった13mmの卵胞が気になっていますが、移植時に、まだ排卵しないまま残っていた場合、移植をしても問題はないのでしょうか?(現在も貼り薬、朝晩の坐薬は継続中です。)

 原則的に月経が規則正しくて、基礎体温が二相性の方は、ホルモン周期よりも自然周期の方が妊娠率は高く、流産率が低くなります。貼り薬は卵胞ホルモンですから、卵胞が育ってしまうこともあります。このような場合には、ホルモン環境はかなり乱れてしまうと思いますので、ぜひ自然周期で移植されることをおすすめします。
 月経周期が規則正しく、9日目の卵胞が13mmであれば、正常に発育している卵胞だと思います。そのような卵胞の場合は、融解胚移植時に卵巣内にあっても大丈夫ですよ。もしも、融解胚移植がうまくいかず、月経が始まった場合、月経3日目までにそのような大きさの卵胞が確認されたのであれば、残存卵胞となりますから、その周期にはピルの投与が必要でしょう。[2009年5月16日]
(院長:田中温)
年齢:31 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:1回 体外受精:1回
 自然周期で初めての採卵をすることになり、指定日時にスプレキュアを点鼻して、採卵に挑みました。しかし、結果は空胞とのこと・・・大変ショックをうけました。半年前から通院を始め、不妊の検査を受けた結果、たまに無排卵になることがあるようだが、特に異常はないということでした。
 これまでは、自然周期のタイミングを何度か(1周期はクロミフェン服用)と、デュファストン(10日間)を使った人工授精(AIH)1回です。治療暦も浅く、年齢的にもまだ卵巣機能が低下しすぎているとは思っていないので、初めての採卵の結果に、ただただ呆然としております。
 基礎体温は高温期に移行するのに少々時間がかかりますが、二相性にはなっており、高温期は12〜14日程度あります。生理周期も29日周期で規則的です。だた、過去1年の間に、4回は無排卵でした。
 過去2周期の月経3日目のホルモン値は、以下の通りです。
 E2=51、LH=11.7、FSH=9.7 卵胞=4個(6.1〜9.3mm) → 結果は無排卵
 E2=45、LH=10.4、FSH=10 卵胞=3個(6.2〜6.6mm) → 月経16日目に採卵をして空胞
 主治医からは、多嚢胞性卵巣(PCO)の可能性もあるといわれ、現在はマーベロン1錠×2回/日を2週間分服用中ですが、新しい卵がきちんと育っていくのか不安です。無排卵になる原因がわかれば、今後の治療も色々と考えられるように思いますが、無排卵になる原因としてはどのようなことが考えられますか?また、今後はどのような検査や治療をしていけばよいでしょうか。アドバイスをお願いします。

 体外受精(IVF)の妊娠率を左右する一番大きな要因は、排卵誘発法です。
 いかに質の高い卵を10個ぐらい(多すぎてはダメ)採るということで、結果が90%くらい決まるといっても過言ではありません。現在、行っている方法も排卵誘発法のひとつではありますが、あなたにとって決してベストとはいえないと思います。
 GnRHアゴニストやGnRHアンタゴニスト等を使えば質の高い卵がかなり採れ、その結果、妊娠率は必ず上がります。主治医と相談しながら、排卵誘発法を検討することおすすめいたします。[2009年5月16日]
(院長:田中温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 初めての体外受精(IVF)を行い、採卵周期に桑実胚を1個戻し妊娠しましたが、子宮頸官無力症のため18周で流産しました。再び体外受精に挑戦していますが、3回の凍結胚移植(胚盤胞)に失敗・・・。
 再び採卵から始め、胚盤胞を移植しましたが、化学流産に終わりました。医師の話によると、頸管無力症のため多胎になると危険とのことで、胚は1個しか戻すことができません。失敗が続き、複数個戻せないものかと思っています。頸管無力症の場合は、先生も1個という判断をされますか?頸管無力症で多胎妊娠をすると、どのような危険があるのでしょうか?

 早産(早期産)が最も大きな問題です。双胎は単胎妊娠に比べて早産の可能性がかなり高くなります。34週以前の出産では週数が早くなればなるほど、出産後、厳重な新生児管理が必要です。とりわけ、肺の成熟(呼吸機能)が問題となります。近年の新生児医療の進歩によって、かなり早産児の予後は改善されましたが、「後遺症が全く残らない状態」となると、心配は残ります。
 元々子宮の頸管部分が、緩みやすい状態だと、早産の危険はさらに高まります。予防的に妊娠13〜16週で子宮頸管縫縮術(シロッカー式手術)をするのも1つの対応方法だと思いますが、まずは「双胎妊娠にはしない」という事が重要です。[2009年5月2日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 2年前から、月経3日目のE2=50〜70、FSH=5〜11、LH=3〜4.6です。AMHは18ぐらいです。
 受精卵は毎回6〜10個できますが、未成熟卵が3〜5個あり、3日まで培養できるのは2〜3個です。初期胚を凍結して移植していますが妊娠に至りません。過去2回、自然妊娠(35歳→出産、38歳→初期で流産)をしています。
 これまでに何度か前周期に低容量ピルを21日間飲んだことがあります。また、採卵日を調整するため、前周期の低温期や高温期から1〜2週間低容量ピルをのんで採卵したこともあります。卵の質は、ピルを服用した時とそうでない時とで、それほど変わったように思いませんでした。
 私のようなケースの場合、ピルを服用するメリットはどのようになりますか。(例えば、D3のホルモン値をよくするためなど?)もし服用する方がいい場合、いつから飲み始め、どのくらいの期間飲めばよいのかよくわかりません。また、どのような種類のピルを飲むとよいのかも教えてください。
 ピルを飲むと多少は副作用が出ることと、年齢のこともありできるだけ早く結果を出したいので、あまり飲みたくありません。しかし、ピルを服用することで、質のよい卵が採れる確率があがるなどのメリットがあればそちらを優先したいと思っています。ピルを飲む目的など、色々と教えてください。よろしくお願いします。

 ピルは諸刃の剣です。ピルを使う事によって卵の質が向上する事もありますが、一般的に卵の数は減少します。 また、高齢で胞状卵胞数が少ない場合には、卵の数は更に減少しますのでピルは使わない方がいいと思います。 画一的にピルを使うのではなくて、月経3日目までの胞状卵胞数の数、E2、LH、FSH、FSHの値を見て決められてはどうでしょうか。
 一般的にピルの効果があるのは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のように、ホルモンが異常で、排卵誘発剤に対して過剰に反応し、たくさんの卵胞が発育してしまう方です。その場合には、ピルを1〜2周期使う事によって発育する卵胞数がコントロールでき、質の良い卵が採れます。そのような症例に対しては、ピルは非常に有効です。
 一般的に高齢で卵の数が少ない場合にはピルはかえって逆効果となることがありますので十分注意して下さい。[2009年5月2日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温: 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:6回
 結婚して6年、治療を始めて5年になります。結婚してすぐに、子宮内膜症で両側チョコレート膿腫、子宮後屈、子宮腺筋症がわかりました。生理のたびに、発熱など子宮内膜炎を起こしました。その中で、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)を繰り返していましたが、誘発剤を打っても卵胞が育たない、採卵できても受精卵のグレードが悪いという状態が続きました。
 内膜症の進行と症状がひどく、3年前にラパロをうけました。内膜症の自覚症状は軽減されましたが、その後も、グレードの悪い受精卵しかできません。主治医からは、「今まで厳しい治療をしてきているので、これから3周期休んで治療を再開しても駄目ならば諦めて卵子提供の話をする」といわれました。
 このような状況ならば、もう卵子提供という道しかないのでしょうか・・・?5年間治療を頑張ってきましたが、卵子提供は国内では認められていないこと、多額の費用が必要ということもあり、もう子供を諦めるしかないと考えています。セントマザーで、私のような症状でも出産された方はいますか?

 子宮内膜症がかなり進行している状態のようですね。子宮内膜症が進んでいる場合には、成長する卵も少なく、質も悪い場合があります。最後にされた体外受精(IVF)では、何個卵ができて何個分割されたのでしょうか?子宮内膜症が進行していても、卵胞が育っていれば可能性があります。過去の卵胞形成の方法(排卵誘発法)はどのようなやり方だったでしょうか?これまでの方法とは別の方法で、卵の形成が可能なこともあります。
 また、卵子提供ということが条件になりますが、最近では卵の若返りといって卵の核は本人のもので、出産した人などの良好な卵(卵胞質)を使って、本人の卵を良好にする研究が進んでいますが、実際にはまだ子宮には移植できません。日本でも近い将来、卵子提供が可能になる状況が整いつつありますので、卵子若返り(核置換)が出来る日が来る事を期待しております。[2009年5月2日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:37 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:3回
 2年前にチョコレート嚢腫で右卵管と右卵巣の一部を腹腔鏡で摘出しています。また腺筋症もあり、かなり子宮が大きくなっているようです。生理2〜3日目のFSHは15〜18です。
 これまでに3回の体外受精(IVF)を行い、1回は受精せず、残り2回は顕微授精(ICSI)をして、その周期にG2×1個を移植しましたが着床しませんでした。
 主治医からは、「このままだと着床しないので、毎月採卵して凍結し、いい胚が2個になったら、3〜6ヶ月くらい生理を止めて子宮を小さくしてから戻しましょう」と言われています。
 着床率や流産のことを考えると生理を止めた方がいい気もするのですが、知人から「生理を止めると、その後卵が思うように採れなくなったり、質が悪くなることがあるので止めない方がいい」と助言を受けました。
 毎回1〜2個しか採卵できず受精ができない月もあるので、生理を止めた後今以上に卵を採ることが大変になるような気がしてとても迷っています。
 現在は、毎月採卵をして凍結卵をためていますが(8分割G2×1個、5〜6分割G2×2)、卵のグレードがイマイチなので、もう少し採卵をする予定です。たまったら、生理を止めた方がいいのか、それとも生理は止めずに採卵した周期もしくは次周期に移植した方がいいのか、どうかアドバイスをよろしくお願いします。また生理を止める方がよい場合は、どのくらいの期間止めたらいいのかも教えてください。

 腺筋症はGnRHアゴニストなどの薬を使う事によって縮小することが認められておりますが、内膜の状態や着床の状態自体が変わるわけではありません。
 子宮全体がそのまま小さくなるだけですから、無理に子宮を小さくするお薬を使うよりも、自然周期で戻した方がいいのではないでしょうか。凍結卵を移植する場合には、月経周期が規則正しく排卵日がはっきりとわかる場合は、自然周期の方がよいと思います。ただし、排卵日がはっきりと見つからない場合には、ホルモン周期の方がいいと思います。[2009年5月2日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:7回
 主人が交通事故で脊髄損傷のため車椅子です。セントマザーで自然周期に胚移植し、現在は7歳と2歳の子供がいます。先日、3人目希望で採卵して全胚凍結をしています。今後の参考のため、質問をさせてください。
 1.排卵誘発剤HMGですが、製薬会社の違いで卵胞の大きくなるスピードや効き目の違いはあるのでしょうか?また、副作用の有無に違いはありますか?(製薬会社ではなく、本人の体調や体質によって違うのでしょうか?)
 2.HMGの本数が多くなっても卵の質に問題はないのでしょうか?
 3.注射の痛みにとてもばらつきがあるのですか、痛みがあまりないと効き目が少ないようで心配になります。関 係はありますか?
 4.卒乳していても母乳が出る場合、排卵誘発剤等の治療を開始しても、卵の成長や質に影響はないでしょうか?
 5.お世話になっている地元の病院では、卵胞や内膜測定、排卵は確認してもらえますが、自然周期戻しでは、尿中LHカラーの測定キットがありません。市販の検査キットで判定してもいいのでしょうか?
 6.地元の病院では、子宮内膜の厚みが超音波とエコーの両方をしても測定しにくいと毎回言われています。2人目妊娠の時よりお世話になっていますので転院は考えていませんが、大丈夫でしょうか?

 排卵誘発剤HMGは製薬会社による差はそれほどないと思います。但しFSH製剤はHMG製剤の中からLHの成分を除去した物ですから、卵巣の腫れやすい方にはHMG製剤ではなくFSH製剤の方が有効的です。
 HMGの本数は10本未満なら大丈夫だと思いますが、10本以上となりますと卵胞の発育が少し遅い状態になりますので、卵の質はやや低下すると思います。注射の痛みは同じ製剤ならば、ほとんど(差は)ないと思いますが、HMGの溶解液の量・針の太さ等によって多少の影響があるかもしれません。
 卒乳しても母乳が出る場合には、プロラクチンの値を測ってみて下さい。プロラクチンが高い場合には卵子の質は少し低下します。
 自然周期でのLHカラーの測定は市販のキットで大丈夫です。1日に3回尿を採って判定を行って下さい。非常に微妙な変化がありますので、1本ではその差がわかりません。3本並べてみると、どの尿の反応が一番強いかということがはっきりすると思います。子宮内膜の測定は経膣超音波であればそれほど難しいとは思いませんが。経腹超音波では難しいと思います。是非、経膣超音波で測っていただいてください。[2009年5月2日]
(院長:田中温)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:8回 体外受精:1回
 初めての体外受精(IVF)を行いました。セトロタイド法で刺激し、4つ採卵でき、3つが成熟卵でした。精子には問題はありませんが、採卵数が少なかったため、顕微授精(ICSI)を行ないました。1つは顕微授精の段階で変性したらしく、残り2つのうち受精したのは1個でした。そして2日目の正午頃に7分割(G2)の受精卵を移植しました。
 主治医は1つだけど、きれいな受精卵だとだけおっしゃいましたが、よく考えたら培養2日で7分割というのは、はやすぎるのではないか?と心配になっています。
 また卵胞も少ないですし、誘発したのに受精卵がたった1個だったので、とてもがっかりしています。今回は生理2日目の卵胞数は5〜6個で、10日目での採卵でした。次回の戦略についてもアドバイスをお願いします。

 2日目の正午の7分割であれば問題ないと思います。但し、あなたの年齢で採卵数が4個というのは少ないと思います。月経3日目までの胞状卵胞の数はいくつだったのでしょう。
 胞状卵胞が4〜5個あるのであれば、次回はセトロタイドをやめて、GnRHアゴニストを使った方が有利だと思います。GnRHアゴニストを用いる方法には、Long法とShort法があります。どちらを選択するかは、月経1〜3日目の3日間のうちに経膣超音波で確認した胞状卵胞の数と大きさ、E2・LH・FSHのホルモンの値、この4つの結果で決められるといいと思います。
 胞状卵胞数の数がある程度多く、ホルモンの値が正常な場合にはLong法がいいと思いますが、胞状卵胞の数が少ない場合には、Short法の方がいいと思います。また、LHの値が2〜3以下の場合には、FSHを使わずHMGの方が有効だと思います。[2009年5月2日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:5回 体外受精:1回
 Long法で誘発し2個を胚移植しましたが妊娠に至りませんでした。医師より次回は生理17日目に来院し、スプレキュアを始めるよう提案されましたが、体の負担が気になります。次の治療まで、少し間隔をあけなくてもよいでしょうか。お休みする方がいい場合としなくてもいい場合についてお教え下さい。
 また以下の治療歴を鑑みるとき、今後どのような治療が良いのかお教え頂けると有難いです。また、考えられる不妊の原因についても考えを聞かせてください。
 <治療歴>
 2年前に不妊外来初受診し、各検査を行いましたが特に問題は見つかっていません。半年後の精液検査にて運動率が30%だったので主人にクロミッド投与をして、その2ヶ月後に2回目の人工授精(AIH)で妊娠しましたが、8週目で成長が止まり繋留流産となりました。
 半年間は治療を休み転院しました。現医師は精子の問題はなしとの見解で、運動率も80%でした。しかし、AIHを3回試みても妊娠に至らず、体外受精(IVF)にステップアップしてLong法にて誘発しました。6個の卵が採れ、体外受精と顕微授精(ICSI)を半々で行いました。体外受精では3個すべてが受精卵となり、G2×2、G3×1でした。顕微授精では1個のみ受精しG2でした。今回は、体外受精のG2×2個を戻し、他は分割が遅いため凍結しないことになりました。

 体調がよく治療を始める段階で卵巣の腫れなどがないなら、1周期お休みされれば問題はないかと思います。
 分割状態はどうでしょうか。2回目の移植ですが、分割状態が良ければLong法でいいと思います。
 またほかの方法として、Short、アンタゴニスト法もありますし、クロミッド+hMG法なども選択肢としてあるでしょう。
 体調が悪い場合や卵巣の腫れがある場合は、2〜3周期あけ、状態が安定したら治療を再開されて下さい。[2009年5月2日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:3回 人工授精:1回 体外受精:2回
 もともと周期が40日ほどと長く、ホルモン補充での移植をこれまでに2回しました。1回目は陰性、2回目は陽性でしたが胎嚢確認前に内膜が剥離しており流産でした。
 主治医からは、次回もホルモン補充で移植しましょうと言われているのですが、気になる点があります。実は、ホルモン補充移植の次周期に卵がなかなか育たなくなり、LHが高くなります。例えば、今回のホルモン補充後は生理40日目頃からようやく卵胞が育ちはじめ、その後1週間であっという間に排卵しました。卵胞が発育し始めるまでの40日間は眠ったような状態であったように感じました。このような状態ですが、次回もやはりホルモン補充移植を行った方がいいのでしょうか?この状態が正常であれば安心なのですが...
 もともと月経周期は40日と長めですが、排卵しない月はなく、基礎体温も2相性でした。(治療中はお薬で調整しています。)

 凍結胚を戻す方法は、自然周期で排卵を見つけて戻す方法と、ホルモン補充を行って内膜を人工的に作る方法の2つあります。
 月経周期が規則正しく、基礎体温が二相性の場合には、自然周期の方法が有利です。ホルモン補充周期に比べ流産率が少し低下します。しかし、月経周期が不規則で排卵日が見つけにくい場合には、ホルモン周期の方がいい結果となります。
 ホルモン周期を使った場合、次の自然周期の月経は乱れますが、もともと卵巣機能の正常な方であれば、1〜2ヶ月ぐらいで元に戻ると思います。ホルモン周期でいい結果が出ない場合には、次回は自然周期で戻されてはどうでしょうか。[2009年5月2日]
(院長:田中温)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 重度の男性不妊で顕微授精(ICSI)をして、今回で3回目の移植となります。
1回目は採卵周期での胚盤胞移植、2回目はクロミフェン周期での凍結胚盤胞移植でした。今回は、クロミッドを飲み続けた影響か、月経量が減り、内膜も薄くなっているため、ホルモン補充周期での凍結胚移植です。今回、凍結しておいた4日目桑実胚を、移植日の前日に解凍して培養し、移植日は胚盤胞にLAH(レーザアシスティッドハッチング)をしてから、移植しました。
 とても良い胚だと説明があり、移植後の体調も以前とは違う感じだったので、今回は妊娠できるかもしれないと、かなり期待していましたが結果は陰性でした。内膜も14mmあったので原因はわからないようです。
 これだけ試しても妊娠に至らないということは、もう可能性はないのでしょうか。それとも妊娠に至らない理由が他にあるのでしょうか...現在は、4日目桑実胚を3つ凍結保存してあります。金銭的にもかなり厳しく、どうか残りの卵で妊娠したいと願っているのですが、不安でいっぱいです。私は基礎体温が2相性ですが、高温期が10日しかなく、黄体機能不全といわれています。このような場合は、どの方法での移植をすると最適でしょうか?

 妊娠しない理由は黄体機能不全ではないと思います。胚は採卵後約5日目の胚盤胞で着床しますので、着床後、たとえ黄体期が10日間だとしても5日間の余裕があります。その間に着床した部分からホルモンを自分で分泌していきます。この量は注射や飲み薬で補給されるホルモン量よりもずっと高くなります。
 着床を決めるのは、最終的には、やはり胚の質によるものだと思います。クロミフェンでの採卵は、卵の数が非常に少なくなりますので、排卵誘発法を変えてみてはどうでしょうか。GnRHアナログやアゴニストを使うと、10個ほどの良好な卵が採れて凍結できる卵の数が増えるので妊娠率が必ず上がりますよ。
 月経が規則正しいのであれば、凍結胚をホルモン周期より自然周期で戻されてはどうでしょうか。着床率に差はありませんが流産率がかなり低くなるという報告もあります。またレーザーアシステッドハッチング(LAH)は効果があるという報告と同時に、かえって着床率が下がるという報告もありますので、透明帯が明らかに厚く硬くなっていない場合には、あえて施行する必要はないのではないでしょうか。[2009年4月18日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:20回 人工授精:1回 体外受精:8回
 私はFSHが高いので、誘発をしないで採卵しています。1年程前までは、FSHが30〜40ありましたが、E2は30くらいでマーベロンを飲んでいました。採卵前周期の高温期にはFSH値が3くらいで、採卵もできて桑実胚や初期胚盤胞まで分割していました。
 ところが、マーベロンの影響か、FSHがはねあがってしまうことと卵の質が落ちてきたので、現在完全自然で採卵しています。完全自然周期だと月経3日目のFSH値は10〜11で、E2は50〜70となり、受精後に分割するのは稀になりました。更に、空胞や変性卵、採れても受精できないという状態になりました。これからはどうすればいいのでしょうか?カウフマンもピルと同じように、卵が採れなくなることはありますか?ちなみに、月経3日目の卵胞は、3〜7mmの大きさのものが1〜2個程度で、どうにか採卵はできています。

 マーベロンやプラノバールなどを前もって飲む事は諸刃の剣です。いい卵が採れる場合と全く採れなくなる場合があります。基礎体温が正しくて二相性であり、残存卵胞がない方で、あなたの年齢であればピルを使わない方をおすすめします。
 ホルモン環境、FSH 、LH、E2、などをコントロールするのであれば、ピルを使うのではなくてGnRHアナログのLong法が最も成績が良くなると一般的には評価されています。排卵誘発法を検討してみて下さい。必ずいい結果が出るはずです。卵巣機能は同じ人でも、周期によってかなり変化するものです。その周期または個人によって排卵誘発法を検討する必要があると思います。[2009年4月18日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:7回 体外受精:6回
 体外受精(IVF)での移植後の夜に生理かと思うような出血があり、びっくりしてしまいました。移植後、時間が経ってからの鮮血のような出血は初めてだったので心配だったのですが、主治医はよくあることだとあっさり言われてしまいました。異常はないのでしょうか?また、以前から、生理2日目くらいに出血とともにかなり大量に塊のようなものがドロッと出てくる時があるのですが、これは何でしょうか。妊娠には影響しないものなのでしょうか。

 胚移植後の出血はおそらく胚移植時の物理的な操作の影響だと思います。子宮内に胚移植する際には、子宮頚管を通して細いチューブを子宮の奥深くに入れます。この際、子宮の一部をつまんで手前に引っ張るために、鉗子をかけます。鉗子は先端が鋭く、子宮の膣部を挟むようになっており、そのつまんだ針穴から出血したのではないでしょうか。一般的には非常に細い針穴ですので、痛みもなく出血もほとんどありません。ガーゼを1時間入れておくだけで完全に止まります。まれに多くの出血をすることもありますが、子宮内の出血はありませんので、着床には影響ないと思います。もし心配であれば、ぜひ担当の先生に診て頂いて下さい。[2009年4月18日]
(院長:田中温)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:8回 体外受精:1回
 3年前に、クロミッド法による人工授精(AIH)で妊娠に至りましたが20週で流産しました。その後、全身性エリテマトーデス(SLE)であることが判明し、プレドニン10mgとアスピリンを服用しています。服用を続けて約3年になります。  流産後、6回のAIHを試みましたが妊娠しないので、先月、クロフェミン法(内科的にロング法は禁止されています)で誘発して体外受精(IVF)に挑戦しましたが空胞でした。普段、生理は規則的だし、2個の卵胞の発育も順調で、16mmと20mmまで育ったので、まさか空胞だとは予想もしていなかったためショックでした。
 最初の妊娠はわりとすんなりできたので、次の妊娠にこんなに時間がかかるとは思っていませんでした。
 不妊の原因は精子の状態が少し悪いためだと思っていましたが、実は卵の質が悪いためではないかと思い、質問することにしました。
 ホルモン検査では異常を指摘されたことはありません。採卵4日前の結果は、血中E2=156.9、プロゲステロン=0.5でした。この値は正常でしょうか。次回はマーベロンを14日服用し、アンタゴニスト法で挑戦する予定ですが、また空胞になるかもしれないという不安と卵胞が少なくなるのではという不安があります。アドバイスをお願いします。

 月経周期は規則的で二相性ですので、卵巣自体の機能は正常だと思います。
 妊娠が可能な状態であるならば、排卵誘発法のLong法が禁止されているのがよく分かりません。現在のご病気の状態が妊娠しても大丈夫であるということは、妊娠後のホルモン状態に耐えられるということですので、Long法によるホルモンの変化は高々2〜3週間ですから、ほとんど影響ないと思います。体外受精(IVF)で妊娠するためには、ある程度の数(10〜15個)の良好な卵子を、いかに採ることが重要です。そのためにはLong法は非常に有効な方法の1つです。もちろんアンタゴニストもいい法です。マーベロンを飲む事は月経周期が規則正しい方の場合には諸刃の剣です。かえって悪くなる事もありますので、ご注意ください。[2009年4月18日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:2回 体外受精:1回
 HMG150で刺激をして、卵胞は8個育ったのに採卵できたのは3個でした。(採卵の3日前に主治医からは、採卵数は6個が目標だとおっしゃっていました。)受精したのは3個のうち2個で、3日目8分割(G1とG3)で移植しました。
 採卵数が少なかった理由を主治医に質問したところ、「空胞ではなく卵胞に卵子が張り付いていて取れなかったのだと思う。HCGをうって20時間くらいだとこのような状態になって、なかなか採卵できない。だからといって採卵時間を遅くすると排卵してしまう。大体7割くらいが採卵できる。」との回答でした。
 しかし、私は7割どころか4割の採卵率でした。せっかく育った卵胞なので、できれば全部採卵したいと思っているのですが、どうにか多く採卵する方法はないでしょうか?
 また、もっと多く卵胞を育てたいと思っています。適切な刺激法は人によって違うとは思いますが、今後どのような刺激法を試してみるべきでしょうか?主治医はHMGの量を増やす事やセトロタイド法に対しては否定的です。

 HCG注射後、採卵は36〜38時間が一般的で20時間は早すぎます。おそらくあなたの聞き間違いではないでしょうか。HCGを打って20時間で採卵する事はないと思います。しかし、もしHCG注射後20時間で採卵したのであれば、採卵数は極端に減ってしまいます。まずこの点をよく主治医の先生によくお聞きになられて下さい。
 もし、今回が20時間であったならば、次は36〜38時間の間で採ってもらって下さい。必ずいい卵が採れるはずです。排卵が心配であるならばGnRHアゴニスト・アンタゴニストを使うといいと思います。体外受精(IVF)の成功率は、ある程度の数の質の高い卵子をいかに採るかによって決まります。もちろん自然に良好な1個を採る方法もひとつの方法ですが、HMGの量を増やすことや、セトロタイドを最初から否定する事はないと思いますよ。[2009年4月18日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:4回 体外受精:回
 前周期に黄体化未破裂卵胞(LUF)があり、マーベロンを21日間内服しました。今周期は、体外受精(IVF)の予定でしたが、月経3日目(D3)のFSHが26.16に上昇し、マーベロンを1周期継続することになりました。
 これまでのFSHは高くても16くらいです。今回、こんなに上昇した原因は卵巣機能が低下してしまったということでしょうか・・・マーベロンの影響は考えられますか?
 ちなみに、D3でのモニタは卵胞数が5個で、9mmの大きさのものが1個ありました。このまま体外受精に挑戦し、良い卵が採れるのか不安です。

 ピルを長期に使用することによってFSHが高くなることもあります。元々あなたは月経が規則正しくて基礎体温も二相性ですので、このように月経3日目にFSHが上がることはないと思います。卵巣が腫れたりはしていませんか。
 D3での卵胞数は5個で、そのうち、9mmの卵胞が1つあるようですので、卵巣の状態としては、排卵誘発の準備状態にあると考えられます。治療に入られていいと思います。[2009年4月3日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 セントマザーで治療中です。関西からの遠距離通院です。
 これまでに、全胚凍結を含み3回の体外受精を行っていますが結果は陰性です。しかし、転院前には排卵誘発をしても卵が採れないことが多かったのですが、転院してからは毎回採卵ができています。グレードも悪くありません。
 今日はホルモン検査についてお尋ねします。
 転院前の病院では、毎回、生理3日目や採卵前にホルモン検査をしていましたが、セントマザーでは行ったことがありません。これは遠距離から通院しているからでしょうか?それとも、そのような方針なのでしょうか?

 原則的に40歳未満で体外受精(IVF)に入られる方は、月経3日目までに胞状卵胞の計測、E2、LH、FSHのホルモン値を測定しております。遠隔治療の方の場合には、3日目までに来院することが不可能なことが多く、近医で卵巣が腫れていないかどうか、卵巣の状態を診ていただいて判断しております。
 月経3日目までに卵巣が15mm以上になった場合には、E2が高くなって卵巣の反応が低下しますので、キャンセルと判断させていただいて、ピルを投与しております。しかし、14mm未満であれば、経験的にホルモンはほぼ正常と考えますので、治療に入るようにしております。[2009年4月3日]
(院長:田中温)
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