回答一覧 - タイミング治療と人工授精 No.9 -
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:8回 人工授精:1回 体外受精:回
 黄体嚢胞というのはどういったものなのでしょうか?排卵後に血がたまっているという症状は、黄体嚢胞と同義なのでしょうか。
先月、左からの排卵を確認した後、排卵はしているが、卵巣が30mmに腫れていて、血がたまっていると言われました。今月は右からの排卵確認時に、排卵はしているが、また卵巣が20mmで血がたまっていると言われました。
毎回、排卵後に血がたまるのはこれからも繰り返すのでしょうか?また、これらは排卵しておらず、黄体化未破裂卵胞(LUF)になっている可能性はないのでしょうか?LUFと排卵後の黄体嚢胞または血がたまって腫れている等は簡単に区別がつくのでしょうか?毎回排卵の確認はしていますが、本当は、排卵していなくてLUFではないかと心配しています。また血がたまっているのであれば、妊娠に影響したりするのでしょうか?なお、排卵誘発剤等は使用しておらず、自然排卵です。腹腔鏡も受けており、特に癒着等は指摘されていません。

 排卵後に血が溜っているというのは赤体と言った状態で、その後卵が変化し黄体になっていきます。お話からすると赤体を見ているのだと思いますが、その後はその時の状態なのでしょうか。卵の状態は変わっているのではないでしょうか。日を追って診察してもらって下さい。黄体化未破裂卵胞(LUF)と排卵後では、卵の変化の状態をみることで、ある程度見極めることは可能だと思います。
排卵後の卵巣状態を1〜2日置きに診てもらって変化しているのか診てもらうのがいいと思います。[2010年2月3日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:1回 体外受精:回
 今後の治療方法についてアドバイスをお願いします。腹腔鏡検査では特に癒着もなく卵管も通っていました。男性不妊もありません。
これまでタイミング7回、人工授精(AIH)1回を行いましたが妊娠に至っていません。ホルモン値はLH=9.02、FSH=8.6と、LHの方が高値となっており、生理3日目の卵胞数についてもいつも両方の卵巣に10個以上見えます。ただ、ネックレスサインは指摘された事はありませんし、毎月排卵もしており、生理も周期的なので、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)なのか、ただのPCOなのかわかりません。
ちなみに排卵はいつも11日目くらいと早いのも気になっています。卵胞はきちんと20mmになります。これは上記のようなPCOSやPCOと関係ありますか?また早いと卵の質に問題はあるのでしょうか?
これまでは自然排卵で治療を行ってきましたが、次周期は排卵誘発剤を使用してみようか悩んでいます。ただ、上記のような状態なので、たくさん卵胞ができてしまうのではないかと心配です。このような場合は、今後どのような治療をしていけばいいのでしょうか?排卵誘発剤を使うと卵の質がよくなるでしょうか。
使った方がいい場合、どの薬をどのように服用した方がよいのか・・・質問がたくさんあって申し訳ございませんが、お願い致します。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と多嚢胞性卵巣(PCO)は違います。わかりやすい大きな違いは、PCOSには、排卵障害が見られる点です。あなたは基礎体温が二相性で月経周期が規則的ですから、PCOSではありません。但し、超音波でたくさん(10個以上)の胞状卵胞が見えるということはPCOということになります。
クロミッドで排卵しているようですから、卵巣機能としては問題ないと思います。しかし、もともと卵胞がたくさん見えていますので、排卵誘発法を使う時には十分注意しなければ卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という副作用になりやすいので、卵巣の状態をしっかり観察していただきながら誘発を行って下さい。
現在では、排卵誘発剤(FSH製剤)で自己注射ができるペンタイプのものもあります。少量のFSHで2〜3個の卵胞が成長する方法を選ばれるといいのではないでしょうか。[2010年1月20日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:0回 体外受精:3回
 4年前に男性不妊(運動率4.7%、精索静脈瘤、逆行性射精)で、いきなり顕微授精(ICSI)となりました。
 私自身は、自然排卵もあり、ホルモン値にも異常はありません。そのため、なるべく薬を使わずに治療をしたいと希望し、2回目までは、クロミッドで誘発し、移植後にプラノバールを使いました。採卵数が2回とも1個ずつだったので、3回目はクロミッド+HMG×2回に変えたところ、卵が30個もできてしまい、排卵しないようにテイゾー+アンタゴニストを使用しました。採卵後には、プラノバールとプレマリン、移植後にプラノバール×2週間服用することになりました。
 採卵後の服用を始めてから、頻脈、不整脈、寝汗、めまい、むかつきなどの症状がありましたが、主治医からは我慢するようにとのことでした。移植をしても結果は陰性、現在は8個の胚盤胞凍結胚が残っています。
 その後、体調はどんどん悪化し、精神的にも不安定になり、うつ病と診断されて、お薬を飲んでいます。希望をもって治療に臨んでいたのに・・・ホルモン剤が合わなかったことで不安になりました。
 先日、精索静脈瘤と逆行性射精の治療は尿器科でもできることを知り受診しました。精液検査をした結果、運動率が34%になっていて、これならば人工授精(AIH)でも大丈夫でしょうと説明を受けました。
 そこで人工授精を考えていますが、お薬をまったく使わない方法では、使った場合にくらべて妊娠率に違いがでるのでしょうか?(ホルモン剤が合わなくてひどい目にあっているのでできれば使いたくないのが本音です。)
 また、現在飲んでいる精神薬(デプロメール1日3錠、レキソタン6錠)は胎児に影響はないでしょうか?

 人工授精(AIH)の場合、排卵が規則的に行われている方には、基本的にお薬は必要ないと思います。ただし、精索静脈瘤にはあまり効果がないと考えられておりますので、34%の運動率であれば人工授精では難しいかもしれません。体外受精(IVF)の方がいいのではないかと思います
。  精神薬については主治医の先生の指示に従ってください。なるべくなら飲まないほうがいいのではないでしょうか。
 体外受精のお薬で大変つらい副作用にお悩みになられたと思いますが、採卵後にすべての胚を凍結してしまえば、このようなホルモン剤は一切飲む必要がありません。凍結保存した胚は、2周期後に(まったくお薬を飲まない)自然周期で移植することが可能です。副作用を避ける方法を考えていけば、体外受精も可能だと思いますから、決してあきらめないで下さいね。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:5回
 セントマザーで体外受精(IVF)をしています。あと2ヶ月程で46歳になります。 FSHも高くなりつつあり(15〜25)、クロミッドを使用しての体外受精をしていますが、高齢のためなかなか結果がでません。精子の状態は、運動率、数ともに良好です。
 私は高齢ということを除いては、卵管も通過していて排卵もきちんとあり、異常は見つかっていません。体外受精でも受精・分割はするし、移植もできるのですが、着床しない状態です。
 もう少し治療をがんばろうと思っていた矢先、不況の煽りをうけ、以前よりも経済的な余裕がなくなって、思うように治療に通えなくなってしまいました。そこで、人工授精(AIH)を考えもしていますが、45歳以上でのAIHは無駄でしょうか?人工授精で実績が出るのは、何歳くらいまでなのでしょうか?

 卵管の状態、精子の状態が問題ないようですから人工授精(AIH)は可能と考えられます。
今の状態は、卵の質(年齢によるものと思われる)か着床に問題があるのだと思います。加えて、体外受精(IVF)にて、現時点で妊娠に至っておりませんから、人工授精での妊娠の可能性は低いものと思われます(当院でのAIHの妊娠率は約15%です)。
ただ、体外受精を続けていてうまくいかずに、治療をお休みしている時に自然妊娠される方もいらっしゃいますから、無駄ということはありません。年齢がいくつまでと線引きをするのは難しいですが、卵が成長して育っているならば、(率は高くないかもしれませんが)可能性はあります。[2009年11月18日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:2回 体外受精:回
 卵胞のサイズが大きいことが気になっています。
 12日目に15mm、16日目の診察では26mmになっていました。カルテには、33という数字も書いてあり不安に思っていますが、33mmの卵は、受精できないのでしょうか?
 26mmの時点で排卵させる注射をして、翌日に人工授精(AIH)でしたが、その間も卵が大きくなっているのだとしたら、排卵時は30mmくらいになっている計算になります。
 卵管に通りやすい大きさは20mmと聞いたことがありますが、受精しやすい卵胞のサイズがありますか? こんなに大きな卵胞でAIHをしても無駄だったのではと思っています・・・。

 卵胞サイズが33というのは毎回でしょうか。今回だけでしょうか。
 30mm近くても人工授精(AIH)後に排卵しているようであれば問題ありません。毎回この大きさで卵が排卵されてない時は問題がありますから、10〜20mmの大きさでHCGを測って排卵させたりします。大きさが大きいからと言って、中にある卵が異常卵とは言えませんし、それによって奇形が増えるということはありません。きちんと排卵しているのであれば、人工授精は無駄ではないと判断します。[2009年10月16日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:26 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:2回 人工授精:1回 体外受精:回
 不妊治療を始めて5ヶ月になります。 タイミング療法で妊娠に至らなかったので、今回初めて人工授精(AIH)を行いました。今日で高温期16日目になりますが、夫婦生活を持ち、オーガズムに達してしまったのですが、これは危険なのでしょうか?
 子宮収縮が起こるので絶対やめておくべきだとの意見もあるようで、不安になりました。仮に妊娠していた場合、胎児に奇形などの影響や流産の原因になるのかどうか、教えて下さい。
 治療中ということもあり、この時期に夫婦生活を持っていいのか、いつも主人と悩んでいます。どうぞよろしくお願い致します。

 高温期に頻繁に夫婦生活を持つということでなければ問題ないと思います。また、それで妊娠しても、胎児の異常や流産に結びつくものではありません。ただ、雑菌が入る機会もありますから、どうしてもそれが気になるのであれば、入浴後にするとか、人工授精後は夫婦生活を持たないというふうに決めてみてはどうでしょうか。高温期に夫婦生活があったからといって、妊娠率が下がったり、奇形率が上がったりはしません。[2009年10月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:4回 体外受精:0回
 クロミッド100mgを5日間内服し、14日目に検尿と卵胞チェックをしますが、尿はいつもマイナスです。しかし、たいてい、卵の大きさは30mmを超えており、前回は38mmと巨大化しています。 卵は大きすぎてもよくないと聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?そんなに巨大化しても、正常に排卵し、卵管へ取り込め、出産できるもなのでしょうか?

 クロミッド内服時には卵が30mm位まで大きく育つことがあります。尿の反応後やHCGを打った後、その卵胞は消失していますか(=排卵していますか)?きちんと排卵しているのであれば、卵胞が大きくても問題ありません。
 毎回30mm位になっているのに、卵胞が残っているのであれば問題ありと考えます。そのような場合で20mm台の時点で反応が出ないなら、早めにHCGをうつと良いでしょう。 卵の大きさというのは個人差があります。30mmにならないと尿の反応(排卵のサイン)が出ない人や10〜18mmで早く尿の反応が出る人(=小さい大きさで排卵する人)もいます。しかし、結果的に排卵がきちんと起こっていれば問題ありません。[2009年10月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:0回 体外受精:0回
 クロミッドを月経5日目から1日1錠5日間、HMGが2回、卵胞径20mmでHCG、翌日タイミングをとりました。HCGから1週間後の卵胞チェック時、医師Aから「右は排卵しているが、左は未破裂卵胞が残っているので今回の妊娠はないかもしれない」と言われました。やはりその周期は妊娠せず、月経4日目の内診時、未破裂卵胞のため今回は見送りとなり、プレマリン10日間飲んだ後、プラノバール9日間を飲み、次の月経が始まったら卵胞チェックの予定でした。しかし、以前通院していた婦人科へ漢方薬をもらいに行った時、医師Bから「未破裂卵胞ではなく水がたまっている卵巣膿腫だから、妊娠の可能性はゼロではない」と説明を受け、プレマリンは10日間続け、プラノバールは飲まずに、月経6日目からクロミッド5日間、HMG2回、卵胞18mmでHCG、タイミングをとりました。
 少しでも可能性があるならと喜んで排卵誘発をしたのですが、HCGから1週間たった今日、両卵巣が腫れており、圧迫感と軽い痛みがあります。しかし、医師Bからは、「深刻に心配することはない。また1週間後に卵巣チェックしましょう」と言われています。このような症状、状態では妊娠の可能性はないのではと思えるのですが、医師B(親身に相談を聞いてくれ、信頼できる先生)が、可能性はあるとはっきりおっしゃったので、私は混乱しています。
 質問1.医師Aの言葉ですが、HCGから1週間の段階で、妊娠の可能性有無がわかりますか?また、未破裂卵胞が残っていても片方の卵巣からは排卵しているということは考えられないのでしょうか?
 質問2.未破裂卵胞が残っていると、次周期の妊娠の可能性はゼロですか?それとも妊娠の可能性が低いから治療を見送るということでしょうか?
 質問3.両医師の診断、判断が違いますが、未破裂卵胞があっても排卵誘発を使ってもよかったのでしょうか?また、それで妊娠する可能性はありますか?
 質問4.両医師の診断、判断が違った原因としてどのようなことが考えられますか?
 質問5.今後どちらの医師に診ていただき、任せたら良いのか、とても混乱しています。アドバイスをください。

 実際にあなたの卵巣状態を拝見していませんので、はっきりとしたことは言えません。一般論として受け取ってください。
 まず、発育した卵胞がすべて排卵することはほとんど無く、半分排卵すればいい方だとお考え下さい。ですから、1個が排卵し、残りが未破裂卵胞で残っているということは、決して珍しいことではありませんし、右から排卵していますので、妊娠する可能性もあります。ただし、未破裂卵胞が残っている場合には、次の周期に月経不順、卵巣機能が不順となり、排卵しなくなることもあります。ですから、月経5日までに超音波で見て、卵巣が腫れている場合には、あなたが服用した方法で1回お休みするということは、意味のあることです。
 卵胞がたくさんできているのに、ほとんど排卵していない場合、何個排卵したか分からない場合もあります。この場合には妊娠の可否を推定することが難しくなります。未破裂卵胞が残っていても妊娠の可能性はありますが、次回の卵巣機能が乱れるために、妊娠していない場合は、1ヶ月お休みしてお薬を服用してコントロールすることはいいことです。
 もともと卵巣のう腫だったのか、それとも未破裂卵胞かの判別は非常に難しいところです。最初からあなたの状態を診ていた先生の診断を信用されてはいかがでしょうか。決して、後から診た先生が間違っているとも考えられませんし、最初の先生が間違っているとも考えられません。どちらの医師に任せるかは、あなたご自信が感じ取ってください。治療していく中で信頼関係が保てるのかどうかは、実感して分かってくることだと思いますし、医師の相性も関係してくると思いますよ。
 私の意見になりますが、医師を選ぶ場合のひとつの方法として、卵胞の発育および、排卵の有無を「正確に」観察してくれる医師を探すといいと思います。人工授精(AIH)を行った後に、排卵を確認しない施設も多いようですが、未破裂卵胞の発見という観点から考えれば、AIH後の排卵確認は必要だと思います。また、たくさんの卵胞ができた時にいくつかが排卵したかどうかを見極めるためには、黄体の有無や腹水の溜まり具合を観察することが大切で、その方法を用いればほぼ100%診断が可能です。このような細かい点をしっかりと診てくださるかどうかでお決めになってはいかがでしょうか。[2009年10月16日]
(院長:田中温)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:12回 人工授精:3回 体外受精:回
 不妊治療歴1年9ヶ月です。
 先日、3回目の人工授精(AIH)を終えたばかりです。治療をしている人に「人工授精の翌日に夫婦生活をもつと妊娠の確率が高いよ!」と言われました。主治医にききましたが、その日は診察も混んでいたものあり、急ぐかのように「どうぞ好きなように・・・」とだけ言われました。それ以上は聞けませんでした。
 人工授精後の夫婦生活は、有効ですか?

 念押しの性交渉ですね。実際には精子は射精後3〜4日間は生存していますから、それほど意味があるとは思われませんが、逆に有害でもないと思われます。[2009年9月17日]


(産婦人科医:佐々木雅弘)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:回 体外受精:回
 結婚して2年、32歳の兼業主婦です。
 1年目に自然妊娠しましたが9週目で繋留流産し、その後、念の為にと専門医を受診しました。卵管造影検査、ホルモン負荷試験などを行ったところ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、軽度の高プロラクチンと診断されました。
 現在はクロミッド、カパサールを服用し、卵胞チェック後HCGの注射をうって、タイミングをとり、半年たちます。
 ただ、もともと基礎体温も生理周期も量も規則正しく、治療なしで妊娠した事や、カンジタなどで20代のころから婦人科には抵抗なく通っていましたが、一度もPCOSを指摘されたことはなく、本当にPCOSなのか心配です。たまたま一度だけそういう症状が現れる事ということもありますか?
 また、通っている不妊クリニックはとても混雑していて、先生にはなかなか質問できず、看護師さんに毎回採血されますが、その結果などは説明を受けた事もありません・・・不信感を持ってしまったら治療行くのも億劫になり、しばらく治療を休むか、思い切って病院を変えるか悩んでいます。
 というのも、治療を開始してから、規則正しかった生理が2日で終わったり、卵胞が3つずつ育ったり、毎回右にしか卵胞がそだっていない(今はこれが一番不安です。左は機能してない?)と、不安に感じる事が多くなったこともあります。クロミッドは連続して飲むのはよくないときいたので、それが原因かとも不安ですが、どうでしょうか。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の定義は、まず排卵障害です。そして次に、超音波検査で左右の卵巣に10個以上の小さな嚢胞がたくさん認められること、さらに、ホルモン異常(男性ホルモンが高く、LHの濃度が高い)を認めた場合、PCOSと診断します。
 あなたの場合は基礎体温が規則正しく二相性ですので、PCOSではないと診断いたします。あなたはPCOSではないわけですから、もちろんクロミッドに反応して卵が育つと思います。
 不妊治療は、患者様と治療を行う医師との信頼関係がとても大切です。もしも信頼関係が薄らいでいるのであれば、病院を変えたほうがいいと思います。
 なお、ご心配の件は、クロミッドを連続して飲むこと自体が原因とは考えにくいです。[2009年9月17日]
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:7回 体外受精:回
 現在、クロミッドにて排卵誘発をして、HCG注射の後に人工授精(AIH)を受けています。残念ながら、今までに妊娠はありません。注射による排卵誘発に変更することによって、妊娠に近づくことはできますか?過去に1度、卵巣が腫れて、プラノバールを飲んだことがあります。
 現在は、1周期に2つの卵はできていて、内膜も問題ないと言われています。最近では、高温期に黄体ホルモン剤を内服しても、11日目くらいからは、少量の出血が続いています。高温期の出血は妊娠できないことと関係しているのでしょうか。高度医療にすすむ余裕もなく、諦めることもできず・・・自分を責めてばかりです。何かできることはないでしょうか。

 人工授精(AIH)の妊娠率は、当院では15%くらいです。注射をすると卵が多く育ち、排卵することによって妊娠率は多少上がります。ただし、注射の場合は、反応に個人差があります。反応が良く、10個以上と多くの卵が育つと、卵巣が腫れたり、双子以上の多胎率が高くなります。逆に反応が悪くて、クロミッドと変わらず1〜2個ということもあります。反応が悪いときには、体への負担を考えるとクロミッドの方がいいでしょう。注射をお考えなら、量の少ないものから打ったり、1日おきに打つなど、体にマイルドな方法もありますので、主治医と相談されてみてはどうでしょうか。[2009年8月12日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:6回 体外受精:0回
 タイミング10回を経て、人工授精(AIH)を6回、いつもクロミッドを飲みながら2年以上不妊治療をしてきました。3年前に自然妊娠(流産)の経験があるため、卵管造影検査の必要はないだろうということで、検査をしていませんでしたが、最近転院して卵管造影検査を行ったところ、右側の卵管閉塞がわかりました。
さらに、今までの経過を見てみると、ほとんどが閉塞している右側からの排卵ばかりでした。そこで、卵の数を増やす目的でHMG注射を3日目から隔日打ちましたが、大きくなる卵は1個だけでした。左側からの排卵は、およそ4ヶ月に1回くらいのようですが、それにあわせてタイミングや人工授精を行うしかないのでしょうか?

 当院や他のいくつかの不妊施設では、「FTカテーテル」という、卵管鏡を用いた卵管開口手術を行っています。比較的高額な治療ではありますが、保険適用があります。体外受精(IVF)にステップアップする前に検討してみてはいかがでしょうか。[2009年8月4日]

(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:0回 体外受精:0回
 1人目は誘発剤使用のタイミングで授かり、現在2人目を希望して同じく誘発剤使用でタイミング法を行っています。
卵胞チェックで、右に1個、左に2個の卵胞がありましたが、15mmと16mmだったので、注射をしました。しかし、その2日後には3個とも卵巣からみえなくなり、排卵したようなのでタイミングをとるように言われました。(確かに前日に下腹部が痛だるい感じでした)卵子は排卵の6時間ぐらいまでが鮮度がいいと聞いた事がありますが、本当でしょうか。もしもそれが本当ならば、このタイミングでよいのかと不安に思っています。
15mmの2日後に排卵は早いように思いますが、体質改善の葉酸やマカのサプリメントを飲み始めてからのような気がしています。これらの影響はあるのでしょうか。もしも、影響があるのであれば、治療中はサプリメントを中止した方がよいのではと思っていますが、どうでしょうか。

 御指摘のとおり、精子は2〜3日生存しますが、卵子はせいぜい半日程度です。従って、タイミングを取る時期は排卵直前の方が妊娠率は良いと思います。私たちの施設を含め多くの医療機関では、20mm程度を目安に、LHなどのホルモンを測定してHCGの注射時期を決定しています。15〜16mmは少し早いようにも思えますが、主治医は、年齢など他のファクターを加味して、注射時期を決定しているのかもしれません。
排卵の時期に関しては、マカや葉酸の影響というよりは、HCGの注射によるものと考えられます。これらのサプリメントに関しては通常の用量であれば、タイミング療法と併用しても特別な害は無いと思われます。 現在のタイミング療法に疑問を持たれるのであれば、転院して新たなやり方でやってみるのもひとつの方法です。[2009年8月4日]
(産婦人科医:佐々木雅弘)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:0回 体外受精:0回
 セントマザーにて、タイミング治療をしていますが、妊娠には至っていません。
ひと通りの検査、ラパロ、精子、卵管、すべて異常はありませんでした。
そろそろ人工授精(AIH)にステップアップしたいのですが、私のように原因がない場合も人工授精は有効でしょうか?人工授精をとばして、体外受精(IVF)にすすむべきでしょうか?
また、他のクリニックでは「人工授精の精液濃縮は、精子の寿命を短くする」とか「HCG注射は、妊娠したと体が認識して受精卵を拒否する」といった説明を行うところもあるようで、不安に感じています。このような情報について、セントマザーの考えも聞かせていただければと思っています。

 まず、「人工授精の精液濃縮は精子の寿命が短くする」「HCG注射は妊娠したと体が認識し、受精卵を拒否する」ということはないように思われますから心配いりません。
原因がはっきり分からないケースでは、人工授精(AIH)をすることによって原因がわかることもあります。(例えば精子の状態があまりよくない、子宮頸管部分の卵管粘膜が薄いなど)
年齢やラパロ所見等で体外受精(IVF)を勧められていないようでしたら、タイミングの次は人工授精でよいと思います。不妊の原因は100%分かるわけではありませんが、治療の経過で分かってくることもあります。体外受精は高額な費用がかかりますし、今はまず人工授精されることをお勧めします。[2009年8月4日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:10回 人工授精:1回 体外受精:0回
 Webサイトにて色々と勉強しています。排卵誘発の時には、飲み薬のみの場合は尿中LH濃度、HMG注射の場合には卵胞の大きさ(20mm程度になったらHCG)を参考にするようですが、飲み薬のみの場合とHMG注射の場合で違うのはなぜでしょうか?同じ大きさでも卵胞の質が違うのでしょうか?
現在、クロミッド、カバサール、プレドニンを内服し、HCGを打っています。私は、排卵しにくいようで、卵胞の大きさが24〜27mmにならないと排卵検査薬が陽性になりません。また、排卵検査薬で陽性になってから排卵するまで翌日〜4日とバラバラです。HCG注射を打っても24〜36時間では排卵せず、翌日〜4日かかります。排卵検査薬で陽性が出たら病院に行き、HCGを10,000打っています。
卵胞が20mm前後でHCGを打っても排卵までに3日程かかるので、排卵検査薬が陽性になってから病院に行っていますが、本当は20mm前後でHCGを打った方が良いのでしょうか?排卵検査薬で陽性になっていたら、HCGを打つ意味はないのでしょうか?

 知識が正しいものと間違ったものが交錯しているのでよく整理してみましょう。 排卵誘発剤には飲み薬のクロミッドと注射のHMGが代表的です。クロミッドの場合には大体24〜40mmの間でLHのサージが始まり、そのLHが高くなるピークの約24時間後に排卵が始まります。ですから、あなたの場合(卵胞が24〜27mmにならないと検査薬が陽性にならない)は正常です。また、尿中のLH測定は、1回では不十分です。尿の比重などによって反応がかなり変わりますので、1日に3回(起床時、午後、寝る前など)は測定が必要です。卵胞が22mm以上になってから測定して下さい。必ず陽性が出ます。また、陽性の中でも特に強くなった時点、強陽性を見つけてください。この強陽性になった時点から約24時間後に排卵します。もしその時点より48時間経っても排卵しない場合には、黄体化未破裂卵胞という卵巣の状態となりますので、治療が変わってきます。
HCGの場合には、排卵する時期がかわり、クロミッドよりも確かに卵胞が小さくなります。しかし卵胞が20mm以下で排卵することはまずないと思います。HCGを打ってから排卵する時間は、大体36〜40時間の間ですので、24〜36時間で排卵しないのは当然です。HCGを打つかどうかは難しい問題ですが、クロミッドなどの飲み薬で排卵誘発する場合には、自然排卵(自然にLHの濃度が高くなる)を待つか、卵胞が25〜26mm以上になってからHCGを打つかのどちからでしょう。HMGを使用している場合には20〜22mmくらいでHCGに切り替えるといいと思います。 排卵検査薬が陽性後のHCGは打たないほうがいいと思います。検査薬で陽性になった後でHCGを打つと排卵時間が予測できなくなってしまいます。[2009年8月4日]
(院長:田中温)
年齢:26 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:1回 人工授精:0回 体外受精:0回
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され、排卵誘発剤(セロフェン)の服用と注射でやっと排卵しましたが、夫婦生活の6時間後にフーナーテストを行った結果、精子が死滅していました。精液検査の結果も数は少ないものの、運動率は高く、自然妊娠は可能と言われました。また、私の抗精子抗体検査も陰性で、精子が死滅していたのは、頸管粘液が少ないことと排卵誘発剤の影響があると言われました。排卵誘発剤を服用しないと卵胞が育たないので、服用を止めることはできません。人工授精(AIH)も検討するようにと言われましたが、このまま服用しながらタイミングを行っていても妊娠の確率は低いのでしょうか?すぐにAIHに進む方が良いのか迷っています。

 主治医の先生の判断も十分理解できますが、排卵誘発剤そのものによって精子が死滅するのではないと思います。排卵誘発剤のクエン酸クロミフェン・クロミッド・セロフェンなどでは、抗エストロゲン作用によって、排卵直前に増加するはずの子宮頸管粘液の量が減少し、膣内に射出された精子が子宮内に侵入することが困難になる事があります。もしも奥様の「抗精子抗体」が陽性の場合には、そのために精子が子宮頸管内でその動きを止められてしまう事もあります。
 まだ、年齢的は若く、タイミング法も1回しか行っていないので、他に不妊症の原因が見当たらないのであれば、半年くらいはタイミング法を続けてみても良いと思います。人工授精法(AIH)に進むのは、それからでも遅くないと思いますよ。ご夫婦で相談して決めて下さい。
 また、排卵誘発法として、HMGやFSH製剤の注射を用いると、子宮頸管粘液の状態は悪化しません。「多胎妊娠」や「卵巣の過剰反応」を避けるために、量を調整し、HMGの75単位〜150単位を隔日(1日おき)に投与したり、FSHの75単位の連日投与なども検討してみる価値はあります。また、FSH製剤には自己注射できるペンタイプのものもあります。[2009年7月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:回
 セントマザーにて人工授精(AIH)を受けています。精子を注入した時やクスコを外す時に、臀部のほうに液体が流れてくることがあります。
 全部が流れ出ているわけではないようですが、精子の運動率が少ないので、できれば、少しでも多くと言うのが正直な気持ちです。ゆっくりと抜いてくれる先生では出てこない時もありますが、わざわざ指名するのは躊躇します。  精子が流れ出ても、妊娠率には変わりないのでしょうか?

 人工授精(AIH)の際に液体が出てきて、全部出てしまったのではないかとよく質問されますが、一部が出ているだけですから、液体が出てきても、全く問題ありません。処理後の精液は1mlシリンジに入れて子宮内に流していますが、液量が多いと子宮内から溢れて出てきますし、少ないとほとんど子宮内からもれないで、出てこないこともあります。精子が流れても、妊娠率に変わりはありません。
 昔は、液が出ないように、診察台やベッド上で10〜15分ぐらい静かに保つようにしていましたし、施設によってはそのようにされているところもありますが、妊娠率に差が出ることはありません。[2009年6月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 人工授精(AIH)の予定のため、先日卵管造影検査をしました。検査当日は特に問題ないとのことでしたが、次の日に再度レントゲンを撮ったところ、卵管に前日の造影剤がたまっている部分が見られたとのことでした。
 主治医の先生には「はっきりしたことは腹腔鏡をしないとわからないが、造影剤がたまって見えるところに癒着がある可能性があるので、半年くらい人工授精をしても妊娠しなければ腹腔鏡を考えましょう」と言われております。
 このようなケースの場合、癒着の可能性はやはり高いのでしょうか。これまでにクラミジアや子宮内膜症、腹膜炎等にかかったことはありません。また、実際に癒着があった場合に、人工授精をしてもいいのでしょうか。半年も待たないで、癒着の有無を調べる方がよいでしょうか。

 「子宮卵管造影検査」単独では、疑うことはできても、腹腔内の癒着の確定診断はできません。
 確定診断には、「腹腔鏡検査」が必要です。クラミジアについては過去の感染の既往についても調べるべきであり、抗体検査(IgG、IgA)をお勧めします。原因が思い当たらない場合でも腹腔内癒着が起こっている可能性はありえます。
 主治医の先生がおっしゃるような対応も良いと思いますが、ご心配であれば、配偶者間人工授精法(AIH)の前に腹腔鏡検査をしても良いかと思います。あるいは、半年間AIHでも妊娠しなければ、腹腔鏡検査を行わず体外受精(IVF)の治療へステップアップしても良いかもしれません。ご夫婦でよく相談して決めてはいかがでしょうか。[2009年6月16日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:0回 体外受精:0回
 現在32歳で、基礎体温と市販の排卵検査薬でのタイミングをはかっています。
 周期14日で検査薬がプラスになったので、その日と翌日に性交をもちました。しかし、検査薬がプラスを示しても、基礎体温が上がってきません。これは問題でしょうか?
 また、検査薬がプラスになっている期間は妊娠しやすい時期で、マイナスになってから性交ももっても意味はないのでしょうか?

 排卵検査薬はLHというホルモンを計って、ある程度の濃度であればプラスとなるようになっています。排卵前に血中のLHが最高濃度になったあと、24〜36時間で排卵となります。ある程度の濃度以上になるとすべて陽性となるので、1回だけの検査ではLHのピークを見つけるのはなかなか困難です。8時間毎に1日3回測定するとか、超音波検査を受けて卵胞の大きさを測定してもらっては如何でしょうか。[2009年6月3日]
(産婦人科医:佐々木雅弘)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:10回 体外受精:回
 現在 セントマザーにて、クロミフェン内服による人工授精(AIH)を受けています。
 1人目は、精子数8000万、運動率70%にて、すぐに授かることができました。しかし、2人目を希望してAIHを始めてからは、運動率が少し悪くて40〜60%です。
 これまでに10回以上のAIHをしていますが、妊娠に結びつかないことと、運動率が落ちたことと関係があるのでしょうか?精子処理後は、精子の状態は改善されていると説明がありますが、どれくらいの改善を期待して良いのでしょうか?
 ステップアップも考えていますが、現時点では家庭の事情で厳しい状況です。AIHを成功させるためにできること(私の検査など?)はないでしょうか。

 1人目の妊娠はおいくつの時ですか。運動率が少し悪いとの事ですが、数は変わっていないのでしょうか。数が4,000万以下に下がっていなければ、人工授精(AIH)を続けても可能性はあります。
 2人目を妊娠しない理由として、精子の運動率が落ちたことも多少は影響があると思われます。精子処理後、精子の運動率は改善されますが、毎回採精時の状況や処理後にも変化することがあります。その都度違いますので、具体的に、どれくらいと表現するのは難しいです。
 今後として10回以上の人工授精ですから、ステップアップが望ましいと思いますが、ひき続き人工授精を希望される場合、(まだされていないようであれば)奥様の腹腔鏡検査をお勧めします。[2009年6月3日]
(産婦人科医:永吉基)
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